田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

茂木健一郎トークショー

2013-10-06 19:47:08 | 講演・講義・フォーラム等
 それは講演会と呼ぶよりは「トークショー」と呼んだ方が相応しかった。講演題もなく、ハンドマイクをもち演台より前方に進み出て、聴衆を笑いに誘いながら持論を披露する姿はまさしくトークショーそのものだった。 

 話題が少し古くなってしまったが、9月22日(日)午後、道新ホールにおいて道新「ぶんぶんクラブ」主催で脳科学者としてすっかり有名になった「茂木健一郎」氏の講演(トークショー)があり、聞く機会を得た。

          

 司会者の紹介の後、茂木氏はひょこひょこっとステージに登場した。お世辞にもスマートとはいえないずんぐりむっくりした体型の上に、茂木氏のトレードマークであるもじゃもじゃヘア(自分で整髪すると言っていた)と人懐っこい顔をのっけて、文字どおりひょこひょこっと登場した。
 その姿に会場から思わず笑いが漏れた。それは聴衆の方々が彼に抱いていたイメージとはかけ離れた姿かたちに対してのように思われた。しかし、氏はそのことは十分に予期していた反応だったようだ。「これでも毎日のようにジョギングに励んでいるんですよ」と語っていた。
 そしてまったく別の場面で「脳科学の世界からいうと、どんな人にも劣等感はあって、それは自分の個性に近いものだ」とも語った。

               

 氏の話はあちらこちらと飛んだ話となったが、印象的な言葉を紹介することにする。
 冒頭、氏は夕張市の例を持ち出しながら、「人生にはどうしようもないことがあり、自分でコントロール出来ることと、出来ないことがある」とした。その上で出来ないことで悩みストレスを抱えるよりは、出来ることに積極的になるべきだと話した。
 そして「楽観回路」という言葉を持ち出した。「楽観回路」とは、文字どおり楽観的に物事を考える脳の回路のことで、この回路により何事に対してもプラスの行動が取れるようになるということである。氏がステージ上で楽しそうに話すこと、それ自体が楽観的に物事を考え行動することを実践していたと見た。

 茂木氏は「教育はいかに人間関係を築くかを教えることだ」とした。それは自分と遠い関係の人たち(氏はアウェーの人たちと称したが)とどれくらい新しい絆を築くことができるかによって人の可能性は広がっていくという。つまり相手の気持ちはどうすることもできないものだが、相手と新しい絆を築くことによって、よりポジティブな関係を築けるということを言っているのだろうか?(これは私の解釈だが)

 最後に氏は「自分を知るためには、自分と違う他人と出会うこと」という言葉で締めた。

 茂木氏の研究分野は「脳科学」という一般人には縁遠い研究分野である。その縁遠い、一般人には難しい世界を、氏は一般人にも分かり易く語ってくれるところが受けているのだと思われる。その世界ではいろいろ批判もあるようであるが、研究成果を分かり易く説くことは研究者にとっても大切な一資質だと私は思っているのだが…。
 楽しく、そしてちょっとためになるトークショーだった。