北(北海道)と南(沖縄・奄美大島)の民謡がコラボするコンサートを聴いた。いずれにもそれぞれの良さを感じたが、私はやはり道産子である。北海道の民謡が心地良く耳に入ってくるのは逃れられないことだった…。
昨夕(11月1日)夜、北海道文化財団が主催する「民謡和楽器コンサート 北彩南美(ほくさいなんび)」がかでる2・7ホールで行われたのを鑑賞した。
なぜ自分がこのコンサートを聴いてみようと思い立ったのか、どうも判然としないのだが、今考えると数年前(2014年)に奄美大島を旅した際に、郷土料理店で聴いた奄美民謡をもう一度聴いてみたいと思ったからかもしれない。さらには入場料(1,500円)も手ごろだったこともある。
コンサートは次のようなラインナップだった。
◇オープニング 「安里屋ユンタ」 全出演者
◇沖縄民謡 「秘伝仲風」、「三紘よざれ節」、「北谷舞方」 よなは徹(三線、唄)、仲宗根“サンデー”哲(島太鼓)
◇奄美民謡 「朝花節」、「ヨイスラ節」、「まんこい節」、「渡しゃ節」 里朋樹(唄)、里歩寿(三線、唄)
◇北海道民謡 「道南ナット節」、「道南口説節」、「江差追分」 KAZUMI(唄)、佐藤秀悌(尺八)、他に三味線、ソイ掛け
◇和心ブラザーズ「風花」、「じょんから節バトル」、「雷神」
新田昌弘、菅野優斗(津軽三味線) しんた、田村幸崇(和太鼓)
◇エンディング 「ソーラン節」
いずれの演者もその世界では十分な実力者ばかりである。十分に聴きごたえのあるものばかりだった。三地域の民謡はそれぞれ趣が違い、それぞれの地域の風土に育まれる中で誕生してきたことをよく伺わせてくれた。ただ、私には奄美大島で聴いたときにも感じたのだが、地域のことをよく理解せずに聴いてもその良さを十分に感得できないきらいがあったが、今回もすべての唄が初耳のものばかりのこともあり「難しいなぁ…」というのが正直な感想だった。対して、北海道民謡には初耳の曲もあったが、私にはどこかで耳にしたことがあるという郷愁のようなものを感じることができた。改めて民謡とは、その地域で育ち、幼少のころから耳に親しんだ曲にこそ郷愁のようなものが感じられるのでは、と思ったのだが…。
和心ブラザーズのステージは、古来の楽器である津軽三味線、和太鼓を使いながらも、現代の人たちの感性に訴えるような音楽づくりを志向しているグループと映った。津軽三味線、和太鼓、ともに圧倒的な音量で聴く者に迫ってくる音である。和心ブラザーズのステージは「これでもか、これでもか」と聴く者たちに迫ってくるような圧倒的な迫力が会場を支配しているようだった。
北(北海道)の四季が織りなす鮮やかな色彩、南(沖縄、奄美大島)の自然の美しさがステージで混然一体となって満員の聴衆を満足させてくれた「北彩南美」だった。