「地球上の生命が絶滅する?」……。ずいぶんとセンセーショナルなタイトルである。しかし、講師のような地質学の研究者にとっては、数十億年という途方もない長い時間軸で考えるとセンセーショナルでもなんでもなく、研究者間ではきわめて常識とも言える話のようなのだが…。
先日、中央区で開催された「高齢者市民講座」のレポを投稿したばかりであるが、好奇心だけが取り柄の私は、今度は東区まで足を伸ばした。
11月18日(金)午後、東区民センターにおいて「高齢者市民講座」の東区会場の講座にまで顔を出した。この日のテーマは「地球生命絶滅ものがたり」と「魏の曹操」の二つの講義だった。「魏の曹操」の方は、東区において中国史を連続的に開講しているらしく、私にとってなんとも付いていくことができずレポすることが困難なので、「地球生命絶滅ものがたり」に限ってレポしたい。
講師を務めたのは「山の手博物館」(民営で地質関係に特化した博物館)の理事である若松幹男氏だった。拝見したところかなりご高齢の方(83歳?)に見えたが、地質に関しては札幌市内では他に代替えの効かない方のようである。調べたところ氏は「北海道地質調査業協会」の技術アドバイザーの任にも就かれている方のようだ。
※ 講義をされた若松幹男氏です。
若松氏はまず約46億年前に誕生した地球の歴史を地質時代区分ごとに生命発達の概略史を説明された。それが下の図である。
地 質 時 代 区 分 |
年 代 |
出 来 事 |
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先カンブリア時代 |
冥王代 |
46億年前~ |
地球全体がマグマに覆われていた |
太古代 |
40億年前~ |
陸と海ができあがる。生命の誕生(原核生物) |
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原生代 |
25億年前~ |
大気中に酸素が増加。真核生物 |
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顕 生 代 |
古生代 |
5.4億年前~ |
生物が大量発生。多細胞、大型生物 |
中生代 |
2.5億年前~ |
恐竜時代 |
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新生代 |
6500万年前~ |
哺乳類時代 |
表の年代のところを見ても分かるように、地質研究者たちの年代を測るスケールは私たち一般人とはまるで別次元のものである。例えば、人類がいつ誕生したのか?についても、地質研究者たちに言わせば「つい最近こと」ということになろうか?それでも我々人類が猿から進化して2足歩行を始めた「猿人」が現れたと考えられるのが400~300万年前と考えられるということなのだ。ましてや今「縄文時代」が脚光を浴びているが、この縄文時代でさえその始期は1万6千年前後と言われても、私たちには遠~い、遠~い、ずーっと過去のこととしか思えないのだから、そのスケール感は何をか言わんやである。
さて、そのような途方もない歴史を有する地球であるが、顕生代に入ってからこれまで5回の大量絶滅を経験しているという。その時代と原因を羅列すると…、
①4億4千万年前(オルドビス期末) 氷河の消長に伴う海水準の上下に伴い生物消滅
②3億7千万年前(デボン紀後期) 火成活動によって海洋が無酸素となった
③2億5千万年前(ベルム期と三畳紀の境界)シベリアの火成活動による海洋の無酸素化
④2億1千万年前(三畳紀とジュラ期の境界) 火成活動による海洋の無酸素化、酸性化
⑤6千550年前(白亜紀と古第3紀の境界) 小惑星の衝突
若松氏はこのように生物を絶滅に追い込む6回目の地球のイベントがいずれ必ずやってくるというのだ。但しそれは何千万年単位での可能性について言っていることなのだ。
講演のまとめとして若松氏は次のように述べて締め括った。「農耕が、人類による生態系破壊の始まりだと思いますが、その後、200年前の産業革命以降、人口が爆発的に増え、地球温暖化を促進させる炭酸ガスを増加させており、最近に至っては “核の脅威” まで迫っています。大規模な火成活動や小惑星の衝突、太陽の膨張などによる自然発生的な生命の大量絶滅は逆らうことは、恐らく不可能です。しかし、少なくとも人為的行為による6回目の地球生命大量絶滅だけは避けたいものです」
※ ウェブ上から若松氏の写真を見つけました。
あまりにスケールの大きな話で実感が伴わないが、たまあに聴く分にはこうしたお話も悪くはない、と思った今回の講座だった。
(若松氏のお話をかなり簡略化してレポさせてもらいました)
※ 投降後に拙ブログを改めてみたところ、表の線が消えていますねぇ。線を入れる方法が分かりません。類推をお願いします。