“うるっ” とさせられたのは、彼らの合唱曲を聴かされた時であり、演奏会の演出によってだった。合唱のコンサートなどそれほど興味があるわけではないのだが、歴史あるHBC少年少女合唱団の定期演奏会ということで足を運んだところ、思わぬ感動をいただくこととなった。
11月13日(日)午後、札幌芸術文化劇場hitaruでHBC少年少女合唱団の第56回の定期演奏会があり、料金も廉価だったこともあり足を運んでみた。
少子化の影響もあるのだろうか、団員は小4~高3までで総勢63名と往時半分くらいの団員数で、特にジュニアクラス(小4~6)は僅か17名と少々寂しかった。お聞きしたところ観客を入れての定期演奏会はコロナ禍もあって3年ぶりの開催ということだった。
演奏会は、全体合唱、クラス別の発表(ジュニアクラス、シニアクラス〈中1~高3〉)などで構成されていた。例によって発表された曲目を羅列すると…、
◆全体合唱 ヨハンシュトラウスⅡ/美しき青きドナウ
◆ジュニアクラス ミュージカル「サウンドオブミュージック」より
リチャード・ロジャース作曲
・サウンドオブミュージック
・ひとりぼっちの羊飼い
・ドレミの歌
・エーデルワイス
・さようなら、ごきげんよう
◆シニアクラス ・宮本正太郎/定点観測
・Don Macdonald/Winter Sun
・Ola gielo/Ave Generosa
◆団員ステージ ・N.H.Brown/雨に唄えば
・草野正宗/空も飛べるはず
・星野源/アイデア
◆全体合唱 「故郷:日本の歌による5つの合唱曲」より
・岡野貞一/おぼろ月夜
・岡野貞一/紅葉
・文部省唱歌/村祭
・? /高校三年生の歌
・高階哲夫/時計台の鐘
〈アンコール〉 ・ヨハンシュトラウスⅠ/ラデッキー行進曲
合唱について私が評するなんてことはできないのだが、印象を記すとするとジュニアクラスはやはり人数の少ないために声量的に厳しいなぁ、というのが正直な感想である。ぜひ一人でも多くの団員を勧誘してほしいものである。
シニアクラスは人数も多く、声量的にも、音楽的にもかなりのレベルに達しているのではと思わされたし、全日本合唱コンクールの全国大会進出を決めたということも頷ける合唱だった。
※ 掲載した2枚の写真は、演奏会の雰囲気を表現している写真と考え、ウェブ上から拝借しました。
さて、私が “うるっ” とさせられた場面であるが、一つは彼らが披露した曲の一つ、スピッツというロックグループが歌う「空も飛べるはず」を歌った時だった。以前から「いい曲だなぁ」という思いを持ってはいたが、彼ら彼女らの歌声で聴いたとき、思わず “うるっ” とさせられてしまったのだ。この曲はTVドラマ「白線流し」の主題曲として知られた歌である。この曲自体は平成6(1994)年に発売された曲だが、この曲を聴くと私はなんと半世紀以上前の高校時代にタイムスリップしてしまうのだ。甘酸っぱく、ちょっと切ない思い出と共に私は瞬間移動してしまうのだ。歌詞が良い。メロディーが良い。草野正宗の声が良い。タイムスリップさせてしまう条件が揃い過ぎているのだ。全てのフレーズが素晴らしいのだが、サビの部分の歌詞を掲載させていただくことにする。
君と出会った軌跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず
夢を濡らした涙が 海原へ流れたら
ずっとそばで笑っていてほしい
そして、初めての経験であるが、ユーチューブのスピッツが歌う「空も飛べるはず」を貼り付けてみたい。(こちらをクリックください。☞)
続いて私が “うるっ” とさせられた場面は、この定期演奏会が高校3年生の団員にとっては卒団式を兼ねたような構成になっていたのだ。演奏会の最後の場面で卒団する高校3年生の代表が、彼らの周りにいた指導者、関係者、父母、そして下級生たちにてらいもなく素直に感謝の気持ちを表現した別れの言葉に、おじさん(いやお爺ちゃん)は柄にもなく “うるっ” とさせられたのだった。
前述もしたが、合唱団のコンサートは久しぶりだったが、「良い演奏会だったなぁ…」という思いを抱きながらhitaruを後にした。