正直言って、荒唐無稽な劇画を見せられているような気分を拭えなかった。昨年度のアカデミー賞の作品賞など主要7部門を独占した映画ということで期待して観賞した映画だったのだが…。
本日午後、札幌フロンティアシネマにおいて映画「Everything Everywhere All at Once」を観た。実はこの映画が昨年度(2022年度)のアカデミー賞作品賞を受賞したというニュースを見て早速観てみようと思ったのだが、ネット上でのレビューの評判があまりにも酷いので一度観賞を諦めていた。ところが本日、特に予定もなかったことから「怖いもの(?)見たさ」で足を運んでみた。
ネット上のレビュー版では次のような評価が目立った。
「ストーリーの流れがつかめず、途中寝落ちしそうなるもテンポの良すぎるほどのバトルシーンを見入っていたが、お下劣ヒドすぎる、目を背けるどころかあまりにも不快で席を立とうと思ったくらい」
「最初からうるさいだけで意味不明。入り込むことなく、知らない間に寝てた。雑な作りに、大雑把な構成と中途半端なお涙頂戴?下品なギャグと、時代遅れの衣装や世界観。全く意味わからん。久しぶりにこんな駄作観た!」
「お笑いで例えて言うならば、自称お笑いマニア=松本人志の笑いが分かるんだよっていうマウントを取りたがる人向けの作品」
「この作品を褒めている人は、分かっている自分は意識高いと思いたいだけ」
「脈絡もへったくれもない。話の主題が飛びまくる。なんだかとんでもなく話下手な人間の一方的な喋りのようなつまらない映画だった」
と散々の評価だったのだが(もちろん高評価のレビューもあったが、酷評のレビューだけを紹介した)、観終わった私の感想もレビューの評価と差はない思いである。何せ、映画の当初から何が何だか分からないままカンフーまがいの活劇が続くのだが、そこに一つのテーマがあるらしいことは分かるのだが、それがストーリーの中でなぜ必要なのか、私にはさっぱり分からなかった。そのテーマというのは、本来私たちは “ユニバース” という一つの宇宙観に立って物事を考えているのだが、映画は “マルチバース” という複数の宇宙が存在するという前提に立って作られているのだが、それが良く理解できないし、映画の作りとしても十分に説明しているとは言い難いものだった。
映画は奇想天外なカンフーエンタメ映画との触れ込みであるが、制作者(監督)だけがその意図を面白がっていて、観客はついていけないという典型的な映画だったのではないか?また、そのような映画がアカデミー賞の主要部門を独占したということも私にとっては解せないことであった。
今週末、私は2021年度(一昨年)のアカデミー賞作品賞を受賞した「CODA あいのうた」という映画を観る予定にしている。こちらは純粋に秀作だと期待している映画である。楽しみに待ちたいと思っている。
なお「Everything Everywhere All at Once」とは、「あらゆるものが、あらゆる場所に、一斉に」という意味になるそうだ。