田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

またまた感動!北海道高校演劇Special Day

2024-01-11 15:18:06 | ステージ & エンターテイメント
 笑いと涙…、帯広三条高校演劇部の「つぶあんとチーズ」の舞台は、またまた私を感動させてくれた。例年この時期に発表される高校演劇の代表の舞台を私は毎年楽しみにして観劇を続けているのだが、今年も素晴らしかった!
     
 1月10日(水)夕刻、かでるホールにおいて「北海道高校演劇Special Day」が開演された。高校演劇Special Dayとは、昨年行われた全道高校演劇大会において最優秀賞と優秀賞を獲得した2校に与えられた晴れの舞台である。今年度の最優秀校は帯広三条高校演劇部「つぶあんとチーズ」、そして優秀校の余市紅志高校演劇「被服室の変」の二つの高校が選出され、晴れの舞台を踏むことになった。
 最初に演じたのは優秀校の余市紅志高校演劇部だった。ここで私は大失態を演じてしまった。登場した演者のセリフが聴き取りづらかったこともあったのだが、なんと私はコックリさんを演じてしまったのだ。私に寝不足や疲れがあったことは否めない。しかし、言い訳はできない。余市紅志高校演劇部には大変失礼なことをしてしまった。感想を述べることができないのが残念であり、恥ずかしい。
  
  
 休憩を挟んで帯広三条高校演劇部の舞台となった。休憩中に外気に触れて気合を入れ直して舞台を注目した。幕が開いてまず驚いた。舞台は高校の職員室の一角を設定したものだったが、その物量に驚いた。おそらく小型トラックに荷物を満載にして帯広から運び入れたのではと思われるほどの物量が舞台に設定されていた。(写真参照)
  
 そこで学校祭の裏方を務める二人の女子高校生のやり取りが語られるのであった。裏方とは、学校祭の売店の売上を計算させられるという地味な役目である。一人は役割を投げやりに務める神原夏美、一人は誠実に務めを果たそうとする高井桃花。水と油の二人だが、二人で作業を進めているうちに次第に親近感を抱いてきた。その間の夏美のコミカルな演技が度々観衆の笑いを誘った。彼女は零細農家の子だったが、明るい性格故にたくさんの友達に恵まれた高校生だった。一方の桃花は銀行員の娘で、父親の度々の転勤に伴い天候をくり返したことで友人を作ることに億劫となっていた。
 その二人が夏美からの働きかけで徐々に近づき(教師から差し入れされた “おやき” を介して…)夏美は一方的に友人宣言をするのだった。しかし、夏美の家は離農したため夏美自身が転校しなければならないことが判明した…。
 高校生活の一部を切り取った、まるで性格が正反対の二人が紡ぎ出す情景は、私のような高齢者にとっては懐かしさを伴い、現役の同世代の人たちにとっては「あるある」の世界を描かれたようで、共感を得る舞台となったように思えた。
 高校生の演劇を観ていていつもかんずることだが、舞台の巧拙に占める脚本の役割は 非常に大きいのでは、と思っている。今回の「つぶあんとチーズ」は演劇部顧問の井出英次氏によるものとのことだが、あるいは出演の二人を想定した「あてがき」だったのではと思われるくらい、二人の役がはまっているように見えた。冒頭に記したように “笑いと涙” に終始した素晴らしい舞台だった。
 帯広三条高校演劇部は今年7月の全国大会で「つぶあんとチーズ」を演ずるという。舞台装置満載で岐阜県羽島市に乗り込んで、北海道高校演劇の水準の高さを披露してもらいたい。
 余談であるが、私の席の前に「網走南が丘高校演劇部」と背中に書いたジャージー姿の女子高校生がいた。網走と知って私の血が騒いだ。何せ私が人生のほとんどを過ごしたオホーツクの地の人である。彼女らに問いかけた。「この演劇を観るために札幌まで来たのですか?」と…。すると彼女らは「そうです」と答えるではないか。今の高校生の行動力って凄いんですねぇ。私は「ぜひ来年この舞台に立てられるように頑張ってください!」とエールを贈った。彼女たちは素直に「ハイ。頑張ります!」と返してくれた。
過去にこの舞台にはオホーツク代表の北見緑陵高校演劇部が立ったことがある(2017年)のだからあながち夢物語ではない。来年のこの舞台に彼女たちが立つことを期待したいしながら帰途に就いた。