能楽の良さ(魅力)をなんとか感得しようと思ったのだが、やっぱり私にはその良さを感得する感性はなかったようだ…。観世流能楽師の方からその魅力を伺ったのだが…。う~ん、私の中では興味より、難しさだけが残ってしまった…。
7月3日(水)午後、北海道立道民活動センター(かでる2・7)において道民カレッジ「まなびの広場」が開催され聴講した。テーマは「古典芸能 能楽の世界へようこそ!」と題して札幌在住の能楽師:坂井隆夫氏が講義してくれた。
※ 講義をする札幌在住の能楽師:坂井隆夫氏です。
私は今年4月に「能楽鑑賞のひととき」を鑑賞したり、北海道唯一の小樽市の能楽堂を見学したり(この時、能は演じられなかったが)、と何とか能楽の魅力を感じたいと思ってみたのだが、それが叶わずに今日に至っていた。そんな時に道民カレッジで能楽のことを知ることができると聞いて参加してみたのだが…。
講師を務めた坂井氏は30歳ころに一念発起して「能楽」を学び出したそうで、「観世流九皐会(キュウコウカイ)」に所属して研鑽の結果、師範からアマチュアとしては最高位の師範に任ぜられたそうであり、かつ札幌能楽会の会長を務められている方だという。
坂井氏は、能の歴史、能舞台のこと、あるいは能の出演者の構成など、分かりやすく詳しく説明してくれた。
能を演じる世界は独特の専門化、分業化が確立されていることである。つまり能に出演する役には、主人公のシテ方、相手役のワキ方、説明役の狂言方、楽器を演奏する囃子方、と分かれてそれぞれが専門の流派に所属していることだ。例えば、ワキ方の流派に所属すると、けっして能の舞台において主人公を演ずることはなく、いつも相手役を演ずることになるという。
日本全国に能楽協会に所属する能楽師は約1,000人だそうだが、そのうち約700人はシテ方の流派に所属し、ワキ方は50人、狂言方や囃子方が約130人ほどだそうだ。
この構成をみるかぎり、やはり主人公役(シテ方)に人は集中しているようだ。能は「シテ中心主義の古典芸能」とも称されているようだ。
坂井氏からはその他にも能楽の演目、能の構成、などいろいろ教わったが、そこについてのレポは割愛する。
※ 坂井氏から提供された「野宮」の一節を表した謳本です。
講義の最後に坂井氏は自ら能楽の演目の一つ「野宮(ノノミヤ)」の一節を披露された。それを聴いた私は「あゝ、やっぱりダメだ…」と心で呟いていた。あの独特の謡い方こそ、能楽の最たる特徴なのに、それがどうも私の中に素直に入ってこないのだ。坂井氏は「野宮」の謡本もコピーされたものを渡していただいたのに、私にはまったくその意味が読み取れなかったのだ…。情けない。
う~ん。これで能楽を追うのを止めるのは口惜しいばかりである。今は「もう少し追っかけてみようかなぁ~」という心境である。