う~ん…。少し難しいお話を聴いた。刑法犯の中で薬物依存者や高齢者・障害者の再犯率が高くなっていることが課題となっているというが、それらの方々に対して「当事者研究」が有効とのことです。いったい「当事者研究」って何?
昨日(2月5日)午後、札幌エルプラザホールにおいて、北海道地方更生保護委員会などが主催する「北海道ブロック再犯防止シンポジウム」に参加しました。
このシンポジウムは主として保護司の方々が対象のようだったのですが、一般にも門戸が開放されており、何にでも興味を覚える私はスケジュールが空いていたので迷わず参加しました。
シンポジウムの構成は、基調講演とパネルディスカッションになっていましたが、基調講演が難しかったのですが、大変興味深かったので、こちらを中心にレポすることにします。
基調講演は、社会福祉法人の「浦河べてるの家」理事長の向谷地生良氏が「地域で支える、地域を支える~刑務所での対話実践の経験から~」と題してのお話でした。
昨日(2月5日)午後、札幌エルプラザホールにおいて、北海道地方更生保護委員会などが主催する「北海道ブロック再犯防止シンポジウム」に参加しました。
このシンポジウムは主として保護司の方々が対象のようだったのですが、一般にも門戸が開放されており、何にでも興味を覚える私はスケジュールが空いていたので迷わず参加しました。
シンポジウムの構成は、基調講演とパネルディスカッションになっていましたが、基調講演が難しかったのですが、大変興味深かったので、こちらを中心にレポすることにします。
基調講演は、社会福祉法人の「浦河べてるの家」理事長の向谷地生良氏が「地域で支える、地域を支える~刑務所での対話実践の経験から~」と題してのお話でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/4b/85be2a6aa1668646e33025656a10f85e.jpg)
私のレポはまず、本題に入る前に「浦河べてるの会」について、私自身が理解することから始める必要がありました。
ネットで調べたところ、向谷地氏は「浦河べてるの会」の設立当時から深く関わってきた方でした。向谷地氏は大学を卒業され、浦川赤十字病院の精神科のケースワーカーとしてお勤めだったそうです。
しかし、1984(昭和53)年、病院を例え退院したとしても統合失調症等を抱えた人たちにとっては行き場がなく、浦河教会の旧会堂で共同生活をし、向谷地氏も一緒に起居し、病気を抱えた人たちと生活の場を確保し、働く場を作り、病気のケアもする場として、回復者クラブ「ドングリの会」を設立したのがそもそもの始まりだそうです。
当初は日高昆布の産地直送を請け負う仕事によって生活の糧を得ていたが、海産物から農産物の直送、通販、あるいはカフェの運営などと活動の幅を広げ、1984(昭和59)年には社会福祉法人「浦河べてるの家」を起ち上げるまでに発展したそうです。現在では、就労継続支援B型、生活介護、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、グループホームの運営等、手広く活動を展開し、従業員も100人ほどいるそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/d6/c161d07022eeb515b5d8fc6b30e9c500.jpg)
向谷地氏はその法人の中心人物として、法人の運営に、入所者のケアに八面六臂の活躍をされてきた方のようです。
統合失調症などの病を抱えた入所者のケアに用いたのが「オープンダイヤローグ」という手法だったそうです。「オープンダイヤローグ」とは、ともかく対象者と徹底的に話し合う手法だそうです。(詳しくはご自身でお調べください)
そうした手法を積み重ねる中から、向谷地氏が行きついたのが「当事者研究」だということです。この当事者研究という概念について向谷地氏から説明があったのですが、私には十分な理解はできませんでした。
向谷地氏から提供された文書によると「当事者研究とは、日常の困りごとや出来事に対して、常識や前例にとらわれずに、〈問いや課題〉を前に置きながら〈研究する〉という視点に立って自由自在に語り合い、時には図(絵)や、演技(アクション)を用いて出来事や苦労をのおきるパターンやしくみ、かかえる苦労や困難の背後にある意味や可能性を一緒に考え、意味を発見していく対話のプロセス」のことを言うのだそうです。
誤解を恐れずに言えば、自分の困りごと(病状)を自分自身で解決していこうとする対処法とでも言えるのでしょうか?
この手法は今や日本の精神医学界では主流になっているとも聞いています。事実、向谷地氏は北海道医療大学の教授を務め、現在は同大学の名誉教授であり、特任教授でもあるということです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/b3/0219e022841a1f85f911b0809d5345f7.jpg)
そして向谷地氏は、某刑務所において高齢者で再犯をくり返す犯罪者に対して、この「当事者研究」の手法で、「一緒に研究をしましょう」と呼びかけて話し合い、当事者と共に研究することで手応えを感じているとして講演を結びました。
刑務所も明治以来、「懲罰」に主眼をおいてきた制度を115年ぶりに改正して「更生」に軸足を
移そうという動きが急だそうです。その主流となるのが「当事者研究」という手法なのかもしれません。
やや生噛りのレポになったきらいはありますが、再犯防止に向けての努力が私たちの見えないところで真剣に取り組まれていることの一端を知ることができたシンポジウムでした。