田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

風が強く吹いている

2020-09-25 15:54:13 | 本・感想

 読書量がけっして豊富な私ではないが、時には私の心のひだにピタッとはまる本に出合うことがある。その一つが本日のタイトルの本である。はまってしまった私は寝るのも忘れて読みふけってしまった。

 某日、妻が買い求めた某週刊誌の一コーナーに作家・三浦しをん氏にインタビューする記事があった。その記事の中で三浦氏が「風が強く吹いている」を書き上げるにあたって箱根駅伝の取材を6年も続けたと語った。そして氏は「好きなものに対しては執念深いんです」と語っているのを知り、「これは。面白いかも!」と思った。そのうえ題材が正月恒例の「箱根駅伝」(東京箱根間往復大学駅伝競走)と知り、毎年箱根駅伝を楽しみにしている私としては「これは読まなくては!」と思ったのだった。

          

 そこで早速札幌市図書館に貸し出しを申し込んだ。手にした「風が強く吹いている」の帯には「書き下ろし1,200枚!」(これは原稿用紙1,200枚という意味?)と書かれていた。実際の本の総頁数は508頁もの長編だった。 

 ストーリーは、駅伝の無名大学に在籍する高校駅伝の経験者(清瀬灰二)が、一人の優秀なランナー(蔵原走)と出会ったことから、陸上にはほとんど縁のない残り8人を集めて箱根駅伝に挑戦するというおよそ現実的ではない、ある意味荒唐無稽な物語なのである。

 清瀬灰二(愛称:ハイジ)も、蔵原走(愛称:カケル)も高校駅伝の経験者だったが、それぞれの理由から駅伝の有名大学には勧誘されなかった、いわば落ちこぼれである。

 わずか半年後に迫った箱根駅伝の予選会に向けて、ハイジを中心して練習は開始されたが、素人集団はハイジの周到なリーダーシップのもと見事予選会を突破するという、およそ現実的ではないストーリー展開なのだが、さらには本番においても次年度の予選会出場が免除となるシード校10校に入ってしまうというマンガ的な結末なのだ。

   

 しかし、そんなマンガ的なストーリーなのだが、三浦しをん氏の筆力はちっとも不自然さを感じさせないまま読者を夢中にさせてしまうのだ。それは三浦氏が執筆のために6年間も取材を続けたという裏打ちがあってこそなのだと思う。

 ピタッとはまってしまった私は夢中になり寝る間も惜しみ2日間で読了してしまった。 こんなことはそうそうある体験ではないが、それほど私を夢中にさせてくれた「風が強く吹いている」だった。

        

 三浦しをん氏についてはご存じかと思うが、2006年「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を、2016年には「舟を編む」で本屋大賞を受賞している作家である。そうだ!「舟を編む」は映画を観ているのに原作は読んでいなかった。さっそく取り寄せて読まねば…。



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