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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

白神山地の旅 回想編③ 白神岳登山

2020-10-27 17:16:02 | 道外の旅

 白神山地の盟主とも称される白神岳は標高1,235m、日本二百名山にも選定されている白神山地を代表する山である。私もその名から今回の白神山地を巡る旅で迷うことなくスケジュールに組み込んだ山だった。しかし、白神岳は甘くはなかった。体力に劣る私を容赦なく痛めつけた…。

 私のブログのコアな読者の一人である息子から「登山のブログを書くとき、苦しかった、辛かったという表現はしないでほしい」ときつく厳命されているのだが、ついつい本音を吐露してきた経緯がある。息子の言いたいことは理解できる。ブログを読む方の身になってみれば、読んでいて苦しいとか、つらいと言われて楽しいはずはないからである。今回レポでも気を付けたいと思っているが…。

   

   ※ 偵察に訪れた前日の日曜日の登山口駐車場はこの盛況でした。

    

   ※ 登山口駐車場にある休憩舎兼トイレの建物です。  

 今回の旅の中で「白神岳登山」が旅のハイライトと考えていた私は天気予報を睨みながら慎重に予定を立てた。当初は西目屋村側から入り、「暗門の滝」や「黒熊の滝」、「ブナの林」などのトレッキングをした後、日本海側に回り「十二湖巡り」や「白神岳登山」を考え、フェリーやホテルの予約をした。しかし、旅が近づくにつれ旅の日程の前半の方が好天が続きそうだと判明した。そこで予約したフェリーやホテルの日程を変えることなく、日本海側を先に訪れ、その後西目屋村側に回る日程に変更した。結論を先に言えば、この変更は功を奏した結果となった。

   

   ※ 白神岳登山口です。

 7月20日(月)、あまり眠れぬ夜を過ごした十二湖海浜公園の駐車場から5時半過ぎ白神岳登山口の駐車場を目ざした。駐車場にはすでに2台の車が駐車していた。そして登山の準備をし、ちょうど午前6時まだ空が明けきらぬ中、登山を開始した。

   

   ※ 最初のチェックポイント「二股分岐」です。

 白神岳にはチェックポイントが大きく4か所ある。その4ヵ所とは「二股分岐」、「最後の水場」、「マテ山分岐」、「大峰分岐」の4ヵ所である。

   

   ※ 山の下部はまだまだ木々は色付いていませんでした。

「二股分岐」まではいわば助走区間といった感じで登山口からおよそ1時間かかって通過した。鬱蒼としたブナの森が広がっていたが、この辺りでは紅葉(黄葉)の時期はまだ先のようだった。二股分岐を過ぎると徐々に登山路もところどころ険しさを増してきた。それでも休むことなくおよそ50分で「最後の水場」に到達した。この時点で私はすでにかなりの疲れを感じていた。そこで最後の水場のところが大休止(約15分間)を取ることにした。案内ではここから急登が続くとなっていた。

   

   ※ 「最後の水場」です。

 最後の水場からは案内どおりにかなりの急登が続いた。途中で女性3人組に遭遇した。「早くも下山?」と思って話を聞いてみると前日に登って、避難小屋で一泊して下山中とのことだった。(さらに男性の二人組にも出会ったが、彼らも避難小屋一泊組だった)彼女たちは私の疲れ具合を見て取ったのだろうか?「この区間が最も険しいところです。頑張ってください」と激励された。

   

   ※ 写真では分かりませんが、かなりの急登が続きました。

 急登との格闘を続けること約1時間、ようやく急登を登り終え尾根状のところに出た。そこが「マテ山分岐」だった。   

 しかしここからが長い。次のチェックポイントの「大峰分岐」までは標準時間で2時間を要するという。尾根とはいってもアップダウンの続く険しい登山路だった。この辺りから私の体力は限界に近付きつつあったようだ。私が急激に疲れを感じ、さらには眩暈まいを覚えた。眩暈などこれまで感じたことがなかったので不安になり、体を休めた。しばらく休み行動を開始すると、また眩暈が襲ってくる。そうしたことを3度くらい繰り返しただろうか?私はすっかり弱気になった。加えて辺りは霧に覆われ、好天が見込めそうもない。「止めようか」という考えが頭をもたげ始めた。そう思い足を止めていた時だった。旅日記でも記したように私と同年代の救世主が現れた。旅日記では「ホワイトナイトの出現!」と記したが、調べてみるとホワイトナイトとは株式取引の際に現れる救世主のことらしい。ここでは素直に救世主(これもキリスト用語?)と改めることにする。

   

   ※ 中腹以降になると、木々は徐々に色付いてきました。

 救世主は弱っている私を見て「ゆっくり私たちと一緒に山頂を目指しましょう!」と誘いの言葉をかけてくれた。私は彼の後について登ることにした。彼の登り方はけっして急がずゆっくりゆっくり歩を進めるものだった。それでいてイーブンペースを崩さず、というおそらく老年登山の極意なのだろう。彼は二人組で登っていたのだが、ずーっと後に続く男性に話しかけながらの登山だった。私はその話に耳を傾けることで苦しさから逃れ、彼らに付いていくことができた。

    

   ※ 尾根道です。周りはまだ霧に包まれていました。 

 標高1,000mくらいまで登ったときだったろうか、視界が開けてきた。すると先ほどまでの霧が晴れ、遠くまで見渡せるようになっていた。天気予報は外れていたわけではなかった。眺望が開けてきたこともあり、気持ちも晴れてきて、苦しさはあるもののマテ山分岐から2時間数十分かかって「大峰分岐」に到達した。ここまで来ると山頂までは標準時間で約20分。山頂直下の「避難小屋」も視界に入ってきた。もう大丈夫!気持ちも晴れやかになり、一気に白神岳山頂に立つことができた。

   

   ※ 1,000m付近の眺望が効いたところです。紅葉も霧に包まれています。

   

   ※ 眼下には日本海も望めました。

 山頂は風もなく穏やかな気温で気持ち良く、視界も全方向を見渡せる最高のコンディションで、周りの山々は紅葉(黄葉)に包まれ、見事なグラデーションを呈していた。 

   

   ※ 山頂直下の避難小屋です。なかなか立派でした。

   

   ※ 山頂から見た紅葉です。

   

   ※ 私をリードしてくれた二人組です。特に左の男性がリードしてくれました。

   

   ※ 山頂に立つ私です。

 下山の様子については省略することにする。下山も先の救世主二人組に同行し、彼らの好リードもあり無事に午後3時30分、登山口駐車場に帰り着いた。

 そんな救世主が教えてくれた名言がある。それは「ちりも積もればチョモランマ」という言葉である。老年登山の極意を言い表した言葉である。

 登山時間5時間15分。下山時間4時間15分。今の私の体力には荷が勝ち過ぎた登山だったかもしれない。しかし、今回の旅「白神山地の秋を味わい尽くす旅」には欠かせないピースだったことも間違いない。曲がりなりにも目的を達成できたことに大きな安堵感を覚えている。

 この日(10月20日)のデータ

 ◇距離 22.1キロ ◇上がった階段 73階 ◇歩数 30,529歩



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
貴兄の登ろうとする意志の結晶・・ (夢逢人)
2020-10-27 21:47:22
貴兄の今回の『白神山地の旅』に於いて、
私は『白神岳登山』に注視してきたひとりです。

貴兄が《・・白神山地の盟主とも称される白神岳は標高1,235m、
日本二百名山にも選定されている白神山地を代表する山である。・・》、
私は観光地の『青池』だけ秋田の『竿灯まつり』から青森の『ねぶた祭り』の途中で遊学したありますが、
白神山地の奥深い処に聳え立つ白神岳・・知識だけは学んできた次第です。

今回、貴兄は白神岳にいどまれ、苦難ながら登山され、
たまたま今回、《・・私と同年代の救世主が現れ・・》励まされながら、
頂上に立たれたことに、無力な私でも感動させられ、
万歳三唱したくなりました。

こうした根底には、貴兄の登ろうとする意志の結晶・・、
感じ深めた次第です。

今回の『白神山地の旅』は、貴兄にとって思い出深い山旅で、
貴兄なりの人生の軌跡の中で、自身に対しての心の勲章のひとつ・・
このように私は感じている次第です。

貴地は秋深まり、まもなく初冬の時節、
御身体を奥様共々ご自愛されながらお過ごしして下さい。
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夢逢人さんへ (田舎おじさん)
2020-10-28 17:00:35
 夢逢人さん、コメントありがとうございます。返信コメントがたいへん遅れてしまい大変失礼しました。
 私の情けない登山をことを称揚してくださり穴があったら入りたい思いです。原因はひとえに私の体力の無さからくるものなのですから…。
 苦労することは事前から分かっていたことで、「粘れるだけ粘る」ことが今回のテーマでしたから、そのことだけは救世主のお力も借りてなんとか達成することができました。恥ずかしい姿をレポしましたが、それでも所期の目的をなんとか達成することができ、恥も外聞も投げ捨てて自分自身を納得させています。
 いつも思いだけは先走りするのですが、体が追い付いていけないようになってきました。これからは自分の体と相談しながら、私なりの楽しみ方を見つけていきたいと考えています。
 いつもいつも激励くださりありがとうございます。
 また寒い冬がやってきます。お互い体に気を付けながら、意味ある日々を探していきたいものです。
 ありがとうございました。
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