構成、舞台装置、テーマ…、どれをとっても網走南が丘高校演劇部の舞台は出色だったと私には思えた。一方、苫小牧東高の方はセリフで観客を大いに沸かせたが、私には残念ながらその良さ感得することができなかった…。
今夜、かでるホール(道民活動センター)において昨年11月に行われた全道高校演劇発表大会で最優秀賞に輝いた網走南が丘高校と苫小牧東高校の演劇部の舞台発表があり観劇して帰宅し、帰宅後すぐにパソコンに向かっています。
私は毎年この「高校演劇Special Day」を楽しみにしています。
今年の出演は上記したように網走南が丘高校が「はしれ、たくしい!」、苫小牧東高校が「やっぱり、こっちがいい」という演題で発表しました。
今夜は最初に網走南が丘高校が舞台に立ちました
舞台は一人のタクシー運転手を主役にしたものでした。演劇部の自己紹介の中で、部員同士が体験談や思いをそれぞれ忌憚なく話し合いながらストーリーをつむんでいったということを紹介していたが、まさにそのことを感じさせるストーリー展開でした。
ストーリーの最初は、さまざまなお客さんがタクシーに乗り込み、そこで運転手と客とのやり取りがオムニバスのように展開されます。そのタクシーが舞台用にとても工夫された造りになっていたことにまず感心しました。(その造りが三分割されているのが一つの特徴でしたが、その造りを文章で表現することは私の手に余ります)そして何故かタクシーの横に二人が寄り添っているのですが、この二人はいわば車体の一部を担っているのです。この点も工夫されたところだと思いました。
そしてテーマですが、主人公は学校を卒業し都会での生活に敗れ、故郷へ戻ってタクシー運転手をしているという背景があります。その彼もやがて子どもを持つ親となり、子ども進路問題に行き当たります。親の願いと子どもの希望は行き違います。
自分の職業に必ずしも誇りを持てない主人公でしたが、毎日乗せるお客さんとのやり取りの中からやりがいを見出し、子どもの進路に対しても、子どもの希望を優先してやりがいを見出すように背中を押す主人公、というようなストーリでした。
運転手と客とのやり取りの場面では高校生らしい笑いも巧みに取り入れ、タクシーが三分割されていることにより、さまざまな形態にタクシーの姿を変化させた工夫、
そして舞台転換の巧みさ、etc.どれをとっても「さすがに最優秀賞の舞台!」と思わせてくれた演劇でした。
一方、苫小牧東高校の方ですが、こちらは高校の近くの喫茶店を舞台としたものでした。こちらはどちらかというとセリフが主となる演劇でした。ストーリーは高校生の恋愛がテーマでした。セリフには現代の若者らしい笑いを誘うものが多かったようなのですが、私のように今の若者の実態から遠く離れた者には、その笑いにまったくついていくことができませんでした。
となると、まったく舞台の良さが伝わってこないのです。「いったい何を言いたかったのだろうか?」という残念な思いしか私には残らなかったのです。
まあ、それは私だけの問題だったのかもしれません。
と相反する感想となった今年の「高校演劇Special Day」でしたが、両校ともに今夏の全国高校演劇発表大会(香川県が会場)に出場するとのことです。全国の仲間の中で堂々と発表してきてほしいと思います。