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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

デンマークは北海道のお手本?

2022-01-23 19:10:43 | 講演・講義・フォーラム等

 ヨーロッパの小国デンマークは省エネ大国として知られている。そのデンマークの地政学的な現状は北海道と酷似しているという。そのデンマークの取組みを北海道は見習うべきでは?との趣旨のオンライン講座を受講した。

 1月21日(金)午後、(公財)北海道国際交流・協力総合センター(HIECC)が主催する北方圏講座「北欧に学ぶ環境にやさしい地域づくり~北海道の脱炭素社会の姿を考える~」のオンライン講座を受講した。

 講座は2本の講座と、その後のディスカッションで構成されていた。講座自体はそれぞれ短いもの(1講座30分)ものだったが、2講座共に分厚い資料と共に、内容の濃い講座だったので2日に分けてレポートすることにしたい。

 そこで本日は駐日デンマーク王国大使館でエネルギー担当官を務める高橋叶氏による「再生エネルギー100%を目ざすデンマークの挑戦と北海道への適用可能性」と題する講演内容についてレポすることにする。

  

        

※ 東京のデンマーク大使館から講演する高橋叶氏です。

 最初に高橋氏の立場であるが、高橋氏はデンマーク大使館に所属する大使館員であり、エネルギーに関するお仕事をされているところに注目したい。この高橋氏の立場がデンマークのエネルギー政策に大きく関わっていることを講演の中からうかがうことができた。

 高橋氏はまずデンマークの政治・ビジネス・環境・エネルギーの分野で国際ランキングの上位に位置していることに触れた。それによると、国民の幸福度第3位、汚職指数第1位、ビジネス環境改善指数第4位、デジタル政府第1位、環境パフォーマンス指数第1位、最も優れたエネルギーシステムランキング第3位、SDGs達成度第3位、再エネシェア第7位、と軒並み国際水準の上位にランキングされていることを紹介された。

そして北海道とデンマークの酷似点について紹介されたが、その点は下図のとおりである。

   

 そして再生エネルギーに関するデンマークの実績とこれからの目標について、次のように提示された。生産電力に占める風力の割合が現在で50%。2030年までのCO2の排出削減量を1990年比で70%まで削減する。電力の安定供給は現在で99.996%であること。さらに2030年には再エネ電力のシェアを100%とし、2050年には化石燃料からの100%撤退すると目標を掲げているとのことである。高橋氏が提供した資料によるともちろん原子力は2010年代から0%である。

 デンマークと比べ、我が国は昨年菅元首相が2050年までに「カーボンニュートラルを実現する」と高々に宣言した。しかし、これはデンマークが掲げる再エネ電力シェアを100%を目ざすこととは意味合いが違うことを押さえておきたい。

 さて、こうしたデンマークの取組みが功を奏したとして、全世界に与える影響力は人口にして0.07%、世界のCO2排出量に対してわずか0.1%しか寄与しないとのことだ。つまりその影響力は非常に小さい。そこでデンマークが取っている戦略が気候政策に関して世界各国とコラボレーションしていこうとする取り組みである。現在世界19か国(中国・インド・米国・日本など)と合意ができているとのことだ。そして各国において高橋氏のようなエネルギー担当官がデンマークの思想、取り組みを積極的にPRしているということのようだ。高橋氏によると、コラボした国々が合わさることによって世界人口の50%、世界のCO2排出の60%を占めることに繋がっていくという。遠大な計画であるが、小さな国の大きな狙いが見えてくる。

 話が大きくなってしまったが、デンマークが再エネ電力の主力に据えているのが風力発電である。デンマークという国は主として二つの島(一つは半島)から成っていて、周りは海に囲まれている。ここに大規模な洋上風力発電設備を整え、そこから産み出す電力を効率良く集配するシステム(この点については省略する)を構築し、ヨーロッパ各国とも電力の需給調整することを目ざしているという。その他、寒冷地ゆえの地域熱供給システム、バイオマス発電の活用などを総合的に組み合わせ2050年には化石燃料からの完全撤退を目ざすということである。

 こうしたデンマークの取組みと北海道との関連性であるが、高橋氏は広大な土地、そして海に囲まれた地域性からやはり「風力発電」に着目すべきではないか、と示唆された。その他、北海道がデンマークの実践から学ぶべき点について、高橋氏は下図のようにまとめられた。

   

 お話を伺っていて、デンマーク国民のこの問題(地球温暖化)に対する国民の意識の高さを感じざるを得ない。自国の取組みが世界に与える影響力が例え小さくとも、そうした国の政策を国民が積極的に支持していることが伝わってくるからである。我が国においても徐々にこの問題に対する認識は高まってきていると思えるが、デンマークと比べると道かなり遠し、の感はぬぐえない。

 ここまで綴ってきて、私は唐突にある言葉が浮かんだ。その言葉とは…、                                                                        

               悪い行いをする者が世界を滅ぼすのではない。

    それを見ていながら何もしない君たちが滅ぼすのだ。 

※ 明日もう一つの講演の内容をレポしたい。



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