幼稚園か小学生の頃であったと思う。今ではすでに故人の叔父が同居していた。概して母方の男は年配になると髪の毛が薄くなるようである。その叔父も若い頃からやや薄めであったような思い出がある。ある日、叔父が私の頭皮をみながら言った。「はぁー、君は将来、薄くなるよね。うん、間違いないよ」と。私は「えっ? 禿げるの? 僕は禿げちゃうの? なんで? いやだな。どうしてそうなるの?」と聞いた。しかしその時、叔父が明確な返事をした記憶はない。どうも私が母方の血を多く受け継いでいるような話しぶりであったような気がする。あまり納得はしなかったが、しかし決定的な思いにしたのは母親の横からの言葉だった。