路面に描かれた「止まれ」標識の白文字がキラキラ輝いているのをみて思い出した。高校時代のことである。夏休みに塗料工場でアルバイトをした。予備校の夏期講習もあるので短期のアルバイトであった。バイト要員は毎日、各部署の人手の足りないところに回される。回された先はまさに道路の標識文字に使用する塗料の製造現場であった。造り酒屋の酒樽ぐらいある大きな鉄製の大釜で作るのだが、まず30kgの白い塗料の粉の入った袋を数十袋も大釜に入れるのである。これが重労働であった。しかも細かい白い粉が舞うので夏の暑い盛りであったがマスクをせざるをえなかった。息苦しいし、とにかく暑い。次にその塗料の粉を溶かす有機溶媒が一斗缶に入っているのだが、これを何十缶も大釜に投入するのだ。