今考えると、触ると死ぬような物質がそうやたらと町の工場にあるわけはない。たぶんガラスの粉は粒子が細かいのでちくちく皮膚にささるか、吸い込んで呼吸器症状を起こすかのいずれかなので工場側としても大げさなリスク・マネジメントとしてそう言っていたのかもしれない。それよりも換気のされていない室内で長時間有機溶媒を吸い続けることのほうが身体にはよくなさそうである。まあいずれにせよ数十年以上も前の話であるのでやむをえない。それにしても当時の我々高校生はたかだか1~2週間程度のアルバイトである。ここの従業員は毎日このような環境でずっと働き続けているのである。自分はとてもこのような環境のところには就職できないと感じた。劣悪な環境だからというわけではなく、とにかく猛暑の中での重労働が長時間続くので耐えられなかった。