大学の救命センター勤務時代のことである。夜10時ごろだった。帰宅途中、後方から「ガシャ~ン」と大きな音がした。振り向くと信号機のある横断歩道で、老女と配達のバイクが衝突して転倒していた。夜間この幹線道路は車の走行はあるが、歩行者の通行はまばらである。急いで引き返し現場に走りよった。バイクの若者はすでに起立、歩行も可能であり問題はない。「わかりますか?」 転倒している老女に声をかけた。しかしウ~ンウ~ンと呻るだけである。とりあえず全身を診たら骨盤部に叩打痛があるようである。骨盤骨折は危ない、ショック状態である。救急車がきたので自分の勤務する救命センターに収容依頼をかけてもらった。