「胃の薬、頭痛薬、足腰の痛み止めの薬・・・そぎゃんいっぱい薬ば飲むと泡吹くバイ」 ご老人を前にして、公立菊池養生園の名誉医院長竹熊宣熊氏の話である。「バケツにな、ああた達が飲む薬ば一月分入れち、水ばチイート入れて置いとくと、反応してあぶく(泡)の発つて思わんね・・・」ひげ面で熊本弁丸出しで、百姓医者とも呼ばれる竹熊先生のこんな話は、聞く人たちに「ご尤も」と思わせる説得力がある。菊池市外五ケ町による公立病院だったが、現在は診療所として予防医学や漢方治療などにも力を入れている、ユニークな診療所である。そしてフアンも多い。「医は農に、農は自然に学べ」をモットーに「薬は止めち、綺麗か水ば飲んで、お百姓さんの作んなはったうまか野菜ば食うて、うまか空気ば吸うて運動すっと病気は退散する」と力説される。
いささか疲れ気味の私は、ビタミン剤と数錠の健康薬品を口に含みながら、かって聞いた先生の講演があざやかに頭をよぎった。
いささか疲れ気味の私は、ビタミン剤と数錠の健康薬品を口に含みながら、かって聞いた先生の講演があざやかに頭をよぎった。