確かに腰に二刀を手挟んでいる。足元は雪駄だったようだ。途中の竹林で細い竹を選んで釣り竿を作る。その釣り竿を肩に担いで歩く私の横を車が走りぬけていく。私が歩いているのは江津湖の土手道だ。しばらく歩くと一面の葦の原が現れた。土手を下り葦を掻き分けて進むと突然視界が開け、前面には美しい阿蘇の山並みが見える。私は釣り竿に「てぐす」を結び付け、餌をつけて釣りに懸かる。しばらくすると面白いように魚が釣れる。目の前には大学生達がボートの練習をしている。咽喉の渇きを覚えて、上の土手に上がると、少し離れたところに二坪にも満たない、粗末な小さな茶店がある。軒先につるされた小さな木切れの看板が風に揺れていた。「カヒ屋」と書いてある。私は躊躇することなく「カヒ」を頼んだ。粗末な「ばんこ」に腰をおろしていると、十六・七位のかわいい娘がお盆に椀をのせて運んでくる。香りのいい真っ黒な飲み物で疲れを癒す。目の前を小さなトラックが凄い勢いで走りぬけた。店先までひどい土埃だ。「すみませんねー、お客さん」と桃割れ頭の娘が頭を下げた。きらきら輝くかんざしをさしている。「きれいだねー」と声をかけると、てれたように「有難う御座います、これすすきです」と返事が帰ってきた。「ほんとに綺麗でかわいいよ」と声をかけ勘定をすませる。「こんなところで、こんなにおいしいコーヒーが飲めるなんて思いもしなかった」と再び声をかけ、真っ赤な夕日を眺めながら、釣り竿を肩にかけて帰路につく。ボート遊びを楽しんだ家族連れが、三々五々家路を急いでいる。我が家まであと少しだ。
起き掛けにふと笑ってしまった。変な夢を見てしまったが、なかなか面白いじゃないか。椀に入ったコーヒーを片手で飲むのも変なものだが、味はGOODだったなー。
起き掛けにふと笑ってしまった。変な夢を見てしまったが、なかなか面白いじゃないか。椀に入ったコーヒーを片手で飲むのも変なものだが、味はGOODだったなー。