昭和48年10月8日第三刷発行の、興津要編「江戸小咄」を何気なく取り出して、パラパラめくっていたら紙の切れ端が栞がわりに挟まっていた。32・3歳の頃に買った本だが、この小咄には記憶がある。ある酒の宴の余興で私が披露したものだ。苦い思い出ではある。
お世継ぎの若殿御誕生にて、奥のさざめき、表の恐悦、一国の歓びの眉をひらき、お宮参りの御規式もすらすらと済ませられ、けふは御錠口外の主なる士衆へ御目見へ仰せ付けられ、御乳の人抱き奉つて出らるれば、実盛役の奥家老上座にて、皆々あたまを畳へほり込み、さんたし奉り見上げ申して、奥家老申さるるは、「イヤハヤ、おきれいなお生まれ。そしてお丈夫さま。もう少しお笑ひ遊ばすそうな。これはこれは」と頭を上げ、「憚りながら・・・バア~」
ほり込み・・→ 平伏し さんたし・・→ 賛歎し
お世継ぎの若殿御誕生にて、奥のさざめき、表の恐悦、一国の歓びの眉をひらき、お宮参りの御規式もすらすらと済ませられ、けふは御錠口外の主なる士衆へ御目見へ仰せ付けられ、御乳の人抱き奉つて出らるれば、実盛役の奥家老上座にて、皆々あたまを畳へほり込み、さんたし奉り見上げ申して、奥家老申さるるは、「イヤハヤ、おきれいなお生まれ。そしてお丈夫さま。もう少しお笑ひ遊ばすそうな。これはこれは」と頭を上げ、「憚りながら・・・バア~」
ほり込み・・→ 平伏し さんたし・・→ 賛歎し