句集をみていたら、芭蕉の句に 永き日を囀(さえず)り足らぬひばりかな とあった。大変素直な句ゆえあまり知られた句ではないようだ。
私が子供のころにはあちこちの広い畑からひばりが飛び立って、上空でさえずる姿を見たものだが、もう半世紀以上も前の話になる。
上空に上がってさえずるのは、縄張りを主張しているのだそうだが、飛び立つときは巣から離れたところから飛び立つのだと、幼い友達が自慢げに話していたことを思い出す。降りてきたところに巣があるんだと、子ひばりを捕まえようと頑張っていたが、捕まえたという話は聞いたことがない。
「おおひばり・・たかぁくまた♪♪」という唱歌を小学校低学年のころ歌った覚えがあるが、歌詞もメロディも後半はすっかり忘れている。
おお、ひばり、高くまた
かろくなにをか歌う
天の恵み、地の栄え
そをたたえて歌う
そをことほぎ歌う
こんな難しい歌詞だから小学校低学年では意味も分からず歌っていたわけだ。
春の季題に「ひばり」がある訳だが、半世紀もであったことのないからとても句にするには出来ないことである。