寛永七年十二月の奉行所日帳に興味ある記事がある。林作左衛門なる人が「きつねつき」になり、薬を与えたら本性に戻ったというのである。
その妙薬とはどのようなものであったのだろうか。「於豊前小倉・御侍帳并軽輩末々共ニ」に、切米取りとして拾石弐人扶持として作左衛門の名前が見える。
十一日
一、吉田縫殿被申候ハ、林作左衛門尉儀罷帰候、此者儀前かと藪内匠(正照)所ニ居申、ぬい預り候者にて候か、狐ののき申薬與申候ヘハ、
はや本性ニなり申候由被申候、如前々被 召仕候事ハ如何有御座哉と被申候、返事ニ何も談合可申由申候事
十六日
一、林作左衛門本生に成申候間、前かとのことく御役儀をも被仰付候様にと、吉田縫殿被申候事、左様ニ候は、御扶持方をも被遣候様ニと
被申候間、尤請取候て可然と申候事
私が子供のころ祖母から、「稲荷神の信心深い人が良くなる」と話していたことを思い出す。(本当かしらん・・・・)
我が本籍地にして曾祖父が住んでいた城山下代の近くに、日本五大稲荷の高橋稲荷神社があり、ここは商売の神様として有名で初午の日は参拝者でごった返す御社である。