期すことのあれど 怪しからぬ暑さかな 津々
母方の祖母は明治15年の生まれであったが、わが家で30年ほど起居を共にした。
この祖母から教えられたことがいろいろあるが、この「怪しからぬ暑さ」も聞き及んでいた。
不思議な言葉だと思いながらも、古文書に親しむ中で時候のあいさつの中などにこの言葉を見つけて我が意を得たりという思いであった。
大坂城に永く徳川千姫のものとする「長慶院」という人に当てた手紙があり、ここに「けしからぬあつさ」と書かれている。
長慶院とは秀吉の正室・ねねの姉だである。
実はここに登場する「千」という人物は徳川千姫ではなく、最近では細川忠興の妹の「千」だと比定されている。(木下延俊慶長日記)
「千」は義兄・木下延俊(室は忠興妹・加賀)が、慶長十八年の夏の暑い中に、病がちながら領地である豊前の日出に帰国しようとしていることにたいして、これを心配しての事であったようだ。
本来は「道理や礼儀にはずれていてよくない。」の意だが、この場合には「はなはだ良くない」という事であろうか。
熊本は梅雨入りもないまま、連日の真夏日で、77爺は少々こたえていて、今日はまだ散歩にも出かけていない。
夕方涼しくなってからと思いながら、もう5時になってしまった。
頭痛がして何事にも気合が入らないでいる。字余りの駄句である。