TBSアナウンサーの安住氏の、誰もが一度は読んだであろう「走れメロス」を題材とした母校・明治大学での講演は、「走るなメロス」で落ちをつけるなどまるで落語のようである。
太宰治著の小説の文中の「少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。」という一節を取り上げ、これだけ話を盛り上げて聴講する学生たちを魅了し、笑いを起こし拍手の渦を巻き起こしている。
「沈んでゆく太陽の十倍の速さ」を解説していくのだが、太宰治も良い(太宰ならぬ)題材を提供したものだ。
安住氏のこの話は大いに評判を呼んでいるのはYoutubeによるところが大きいと思われるが、巷間いろんな処でも紹介されているようだ。
しかしそんな表現をしながら、現実的には10里の道を一日で走るというのだから、江戸時代の参勤交代を考えると「沈んでゆく太陽の十倍の速さ」で走るという表現がとんでもなく過大であることが判る。
安住氏が引用したこの表現の意外性は、柳田化学男氏が誰にもわかる様に計算解説したものが現実離れした話なので笑いを取る結果となる。
一方では安住氏は触れていないようだが、ある中学生がメロスの時速は3.9㌔だと算出して2013年の「算数・数学の自由研究」で最優秀賞を受賞されている。
安住氏は日本一ともいえる話術で明治大学の生徒さんを笑いの渦に巻き込んでいるが、一方岡崎中学の生徒さんは「一日で40㌔なら行けるんじゃない?」という素朴な判断の上に計算をして、そのスピードが「3.9m/時間」だとされた処が素晴らしい。
そして、上記の過大な表現を小説構成上の有用な表現として快く受け入れる豊かさも持ち合わせている。
安住氏は作家による日本語の表現の素晴らしさについて述べられたのだと理解しているが、またそれとは違う視点で同じ小説の文章に考察を加えるという中学生の研究心もまた素晴らしいと思うのである。
若者の好奇心は素晴らしく、未来は明るい。2014年の黒田官兵衛の水攻めを徹底検証!等もすごくためになって面白い。
私は毎日ブログを上げるのに四苦八苦しているが、毎日読書する中、疑問を持つ視点をもって精読するとこのような成果が得られるのではないかと強く思うのである。
以前小川研次氏が投稿された■『阿部一族の一考察』の加筆として「明石掃部」・2の中の■第四章 明石掃部-五、田中氏に田中河内守なる人物が登場しているが、この人物の特定に至っていなかった。
先日、八女市在住で「筑後国主田中吉政研究会」の江崎様から「田中河内守吉久は、長男の吉次だと分かりました。吉次は、吉久と名乗り、四男の忠政を補佐して家老として尽力していました。昨年、福岡県地方史連絡協議会の機関紙「地方史ふくおか」に載せることが出来ました。ほっとしています。」というご連絡をいただいた。
熊本の田中家は吉政の弟の家系であり、この人物の特定については力の及ぶところではなかったが、有難いご示教をいただき感謝申し上げる。
掲載誌「地方史ふくおか」を購入したいと思っているが、まだ連絡のつけようが判らないでいる。
朔日お尋ねした禅定寺に弟・与左衛門・氏次を祖とするお宅のお墓が存在する。
「柳川城主・田中吉政の弟の家系です」とご説明した処であった。
禅定寺さまは先の熊本大地震でお住まいが倒壊するとともに、大雨が続く中解体の手が入り、大切な諸家の過去帳などが失われたとお聞きした。
過去帳に代わる諸家の「先祖附」等をそろえて、お届けしたいと考えている。