日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
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【本】須田鷹雄著 「いい日、旅打ち」(中公新書ラクレ)

2015-04-02 21:10:51 | 本・映画・展覧会
 サブタイトルは「公営ギャンブル行脚の文化史」。タイトルはもちろん山口百恵の歌った(作詞作曲は谷村新司)「いい日旅立ち」のもじり。

 旅打ちとは何か。文字通り「旅」に出て「打つ」ことだ。飲む打つ買うの打つすなわちギャンブルである。その中でも合法的な公営ギャンブルを対象としている。ギャンブルに興味はないのだが、過去に旅先で「青春18きっぷを使って地方競馬をハシゴした」と言う人に会ったことがありそれを思い出したのと、「旅先で打つ」のでなく「打つために旅に出る」と言うあたりに自分の行動と共通点を感じ読んでみた。

 公営ギャンブルの成り立ちと、それに伴う「観戦(参戦)ツアー」の興りとが時代背景とともに整理されており興味深い。きちんと数字(場数)の年代別遷移も示されており、ここの部分だけ読めば公営ギャンブルの成り立ちの概略を掴むことができる。

 「旅打ち」についてはそもそもの発生から公営ギャンブル大衆化への過程における衰退、そして現代での愉しみ方について詳説、訪れるための動機(切り口)について細々と解説しているのが面白い。まずは競技の種類(競輪・競馬・競艇・オート)、それに地域地方、或いは競技場のテイスト(レトロかモダンか)、競技場のみか、周辺観光地も含む地域的な魅力を勘案するか、等々。その上で各セグメントにおける「おすすめ競技場」を挙げている。

 例えばこれを鉄道趣味に挿げ替えてもそっくり同じように考えられるではないか。車両や駅舎、駅弁、そして乗車後の見どころ湯どころ食べどころ、等々。「周辺の観光地はどうでも良いからレトロなディーゼルカーに乗りたい」「最新鋭の電車に乗って、降りたら海の幸ゆたかな温泉地でのんびりしたい」本質的に何も変わらない。あぁ、だからこの本はギャンブルを知らなくてもスイスイ読み進められるのか。「旅と鉄道」派が無意識にやっていることを公営ギャンブルに置き換え体系化した、ニッチ作品なのだな。あー面白かった!

 ちなみにこの本、何故か図書館の蔵書にあるくせに通常の貸し出しができない。どんな稀覯本なんだ。故に古本を入手し、読後は寄贈した。2冊あれば1冊は貸し出しに回せるでしょう。

 2015年3月28日 八幡浜のホテルにて読了
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2015年3月28日 【旅行】四国のジョイフルトレインいっき乗り(1)

2015-04-02 05:53:26 | 旅行・ハイク&ウォーク
 「乗車+付加価値」と言うことで、地元の産品を使った食事を提供する列車が各地で走り始め、その手の車両乗りつぶしをしている身としては対応が追いつかず大変なのです。この週末は四国のジョイフルトレイン乗りつぶしに精を出すことにしました。初日は昨夏走り始めた「伊予灘ものがたり」一点狙い。

 JL1461便(JA322J:737-800)で松山へ。ちなみに明日からはガラリと便名が変わります。空港からバスで市内へ、未訪問だった「坂の上の雲ミュージアム」を見学。原作を読まないといけないなぁ。JR松山駅まで乗った伊予鉄市内線では昭和28年製の車両に当りラッキー♪

 「伊予灘ものがたり」は松山を昼過ぎに発車する「八幡浜編」を選びました。この手の列車はなるべく最もしっかりとした飲食が供される便に乗りたいものです。きっぷは普通に「みどりの窓口」で買えますが、マイナーな列車のためか指定席と食事券の発券に20分以上もかかってしまいました。

 松山を駅員や清掃員などのお手振りに見送られながら発車。眺めの良い海側席は取れませんでしたが山側は一段高くなっており、むしろ窓枠と言う「額縁」越しに景色を眺められて良いかも?内装は完全にリニューアルされ、エンジン類もきちんと整備されたようでキハ40系にしては車内は静かだという好印象です。保線状況も良好のようです。

 最初にカップのスープが出され、その後に「フレンチ松花堂弁当」が運ばれてくる段取りですが、どうにもサーブに時間がかかりいただけません。おまけにドリンクメニューのオーダーをスープの時にとればメインと前後して飲めるのに、モタモタ配り終わりそれから呼んでようやくオーダーできる始末。「のんびり四国流」も時と場合によりけり、改善要望を出すことにしましょう。食事は味そのものはさすがに美味しかったですが、量は物足りなく別に乗車券やグリーン券まで買うことを考えると割高感は否めません。「景色代」と思うほかなさそうです。

 週末ごとに数往復している列車なので沿線の方々にはもう珍しくないと思いますが、それでもあちこちで手を振ってくれる人が大勢いてこちらも一生懸命振り返します。ジョイフルトレインはこの手の交流が楽しいので恥ずかしがってはいけません!伊予大洲では遠く大洲城から町おこし衆が幟を何本も左右に打ち振ってくれるのを見ながら肱川の鉄橋を超徐行で進行、ここは屈指の撮影ポイントになりそうです。沿線あちこちで菜の花も盛大に咲いており赤い車体が良いコントラストで見えるでしょう。写真は「青春18きっぷ」ポスターにも採用された予讃本線屈指のロケーション・下灘駅にて。

 八幡浜に到着したのは、まだ先まで行ける時間でしたが、過去ゆっくり町を歩いたことがないので今日はここまで。春の町をぶらぶら歩きましたが、どうしようもなく寂れたシャッター通り、住む人が居なくなって荒れた古い家屋などが目立ち物哀しい気分でした。夜はホテルで聞いた新進気鋭の居酒屋へ。とても美味しかったけど21時には店内いっぱいだったお客さん全員が帰ってしまい、ここでも地方の賑わいに考えさせられました。

 スーパーホテル八幡浜泊


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