【ぼちぼちクライミング&読書】

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「11/22/63」(上・下)スティーヴン・キング

2014年01月08日 20時36分31秒 | 読書(小説/日本)

「11/22/63」(上・下)スティーヴン・キング

スティーヴン・キングの『タイム・トラベル』もの。
タイトルの11/22/63とは、1963年11月22日のこと。
ケネディが暗殺された日を意味する。
文春ミステリー海外部門ベスト1位。
もう読むしかないでしょう。

・・・・と言う訳で、さっそく読んだ。
上巻529ページ。
下巻515ページ。
しかも、二段組。
読みごたえがあったし、おもしろかった。

ケネディ暗殺を止められるか?
これが大きなテーマだけど、これに主人公の恋愛が絡んでくる。
公と私の両面から物語が展開する。
ハラハラどきどきの展開。
このあたり、さすがベテラン、熟練の文章力を感じる。

上巻で、感極まるシーンが2箇所あった。
P297
エレンが主人公に問い詰めるシーン。
「あなたはあの男ね?」

P340
マーニーが主人公を抱きしめるシーン。
「夫をなにから救ってくれたんです?」

記憶に残るセリフ
P394
人の意見はケツの穴とおなじ、だれにでもひとつはある。

バタフライ効果について(下巻)
P279
過去は変えられることを望まないからだ。過去は反撃してくるんだよ。
中略
「バタフライ効果とうものがあって――」
「知ってるわ」セイディーはいった。「その話が出てくるレイ・ブラッドベリの短編があるし」
「ほんとに?」
「題名は『いかずちの音』。とても美しくて、とても心を騒がせる作品。(後略)

いろいろエンディングを想像しながら読んだ。
私はセイディーを連れて帰る、って思ったし、途中から、著者も作中で触れていた。
(だから、セイディーは浦島太郎状態になる、と思った)
見事に裏切られた。
でも、このラストはすばらしい。
(男性作家らしいロマンティックな終わり方)

【参考リンク】
「リテイク・シックスティーン」豊島ミホ

【ネット上の紹介】
小さな町の食堂、その倉庫の奥の「穴」。その先にあるのは50年以上も過去の世界、1958年9月19日。このタイムトンネルをつかえば、1963年11月22日に起きた「あの悲劇」を止められるかもしれない…ケネディ暗殺を阻止するためぼくは過去への旅に出る。世界最高のストーリーテラーが新たに放った最高傑作。

手すり

2014年01月05日 17時03分31秒 | 身辺雑記

手すりを設置してもらった。

こんな感じ。
昨年春先から計画していたが、なかなか進展せず。
3業者に見積依頼したが、なぜか、どの業者も立ち消え。
最後の頼みで、旧いクライミング仲間に依頼。
このほど、完成した。
迅速・丁寧な仕事に感謝!

写真を撮っていると、雀の声が賑やか。
それもそのはず、電線に雀がいっぱい。

お腹がへっているのか?それとも挨拶、世間話?


「ペテロの葬列」宮部みゆき

2014年01月03日 08時28分28秒 | 読書(小説/日本)

「ペテロの葬列」宮部みゆき

新年度早々大当たり。
とても面白かった。
「誰か」「名もなき毒」に続くシリーズ第3弾。

宮部みゆき作品は多種多様で作品数も多い。
「龍は眠る」「火車」「模倣犯」「ソロモンの偽証」。
私は今まで「模倣犯」がベスト、と思っていた。
しかし、このシリーズの方が面白いかも。
本作「ペテロの葬列」も前作「名もなき毒」も最高位のレベルと思う。

今回、おっ、と思った。
主人公の妻・菜穂子さんの描かれ方。
前作まで、造形が薄味であった。
今回、心理描写が深くなされ、作品に奥行きが出た。
その結果、シリーズ作品としての『枠』を破ってしまった。
まさか、と思うようなエンディングだ。

タイトルについて
P400
〈あなたは、鶏が啼く前に三度、私を知らないと言うだろう〉
自らの嘘と、そんな心の有様をイエスに見抜かれていたことを激しく恥じ、後悔したペテロは真実を述べ、逆十字架にかけられて殉教する。そんな彼の墓の上に立つのがキリスト教の総本山、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂だ。
聖人ペテロは嘘をつき、その嘘を悔い改めた人だった。一度は生き延びるために嘘をつき、しかし、嘘を背負って生きることはできないと、壮絶な死を選んだ。
レンブラントの魔術が生んだ美しい明暗のなかで、『聖ペテロの否認』のペテロは、「イエスなど知らない」と嘘を言い並べている。その彼を、役人たちに引き立てられてゆくイエスが振り返る。イエスの顔には光があたり、ペテロの顔は影に沈む。


P402
真実はけっして美しくはない。この世でもっとも美しいのは、真実ではない。終わらない嘘の方だ。

PS
『人気・実力ともに』、というフレーズがこれほど似合う作家はいない。
ストーリーテリングの巧さ、最終ページに引っ張っていくベクトルの強さ。
いずれも、日本のトップだし、海外作家に引けを取らない。
昨年正月も、宮部みゆき作品「ソロモンの偽証」を読んだ。
私にとって、どちらも最高の「お年玉」だった。

【蛇足】
ネタバレありなので、未読の方は、ここから読まないように。
ずっと誉めてきたけど、あえて瑕疵を挙げてみる。

①菜穂子さんのような性格と立場の方が、一線を越える可能性は、どのくらいあるのだろう?(かなり低い、と思うし、そう信じたい)
②坂本君が詐欺にあって、尚且つ、同じ『事件』を起こす可能性は?
③犯人『佐藤一郎』が、『改心』して罪を悔い改め、且つ、『行動』に移す可能性は?

以上、微妙なバランスの上に、物語が設定されている。
もし、③を否認すると、根本的に作品が成り立たなくなってしまうし、
①から③全て揃う可能性は『ロイヤルストレートフラッシュ』クラス?

・・・と、いろいろ難癖をつけ、申し訳ない。
面白かった、という感想を、撤回するつもりはない。

【シリーズ関連作品】

「誰か」は、「ペテロの葬列」「名もなき毒」に比べると、面白さのレベルは、少し落ちる。
でも、後に続く2作を考えると、押さえておきたい。

【さらに蛇足】
アクションシーンの多い「クロスファイア」も、宮部みゆき作品代表作の一つとして(ぜひ)入れたい。
DVDも購入して、何回も観ている。
光文社文庫<br> クロスファイア〈上〉 光文社文庫<br> クロスファイア〈下〉 

【ネット上の紹介】
今多コンツェルン会長室直属・グループ広報室に勤める杉村三郎はある日、拳銃を持った老人によるバスジャックに遭遇。事件は3時間ほどであっけなく解決したかに見えたのだが―。しかし、そこからが本当の謎の始まりだった!事件の真の動機の裏側には、日本という国、そして人間の本質に潜む闇が隠されていた!あの杉村三郎が巻き込まれる最凶最悪の事件!?息もつけない緊迫感の中、物語は二転三転、そして驚愕のラストへ!『誰か』『名もなき毒』に続く杉村三郎シリーズ待望の第3弾。

初詣・初登山は阿武山

2014年01月02日 09時50分23秒 | 登山&アウトドア(関西)

初詣も兼ねて、阿武山に登ってきた。

山頂は正月バージョンになっていた。

冬らしいシルエット

立派な鳥居・・・『阿武山稲荷』、とある。


謹賀新年

2014年01月01日 09時24分15秒 | 身辺雑記

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

いつも年賀状のイラストはネットから引っ張ってくるが、
今年は趣向を変えて、自分で描いた。
ただし、元ネタがある。
プロベンセン夫妻による「かえでがおか農場のなかまたち」。

この絵本はシリーズになっている人気作品。
とても気に入っている。