百醜千拙草

何とかやっています

プーチンの言葉、ウクライナ人の言葉

2025-03-11 | Weblog
先週は、今年の始めから作業を始めた書きもの仕事の締め切りが迫り、あまり世間のことに注意を向けている時間がなく、面白いネタが拾えませんでした。
 今年、「終末時計」は世界の滅亡まであと89秒と最も終末に近づいています。世界を滅亡に導く二大原因が核戦争と地球温暖化ですが、ヨーロッパとイスラエルは、いい加減に理性を取り戻して「大人」になってもらいたいと思います。世界を滅ぼして善人に迷惑をかけるのは、いつも権力をもった愚か者です。

トランプが自国第一主義でNATOプロジェクトに後ろ向きなのは良い傾向だと私は思います。NATOも在日米軍も基本的には必要ありません。そんなものができたのは人類の長い歴史の中でつい最近のことです。これらこそが世界滅亡に至る脅威、核戦争と温暖化、の大きな原因になっています。

ヨーロッパが、本気で「ロシアの脅威」を恐れているのなら、一方的にプーチンの悪口を言うだけでなく、対話と外交をまず開始すべきだし、日本も「中国の脅威」をNHKに煽らせる前に、もっと客観的に中国がどのように脅威なのかの証拠を示した上で科学的な議論をしてもらいたいものです。事実を見てみれば、「ロシアの脅威」も「中国の脅威」も覇権主義と戦争ビジネスを売るためのアメリカ軍産のプロパガンダとしか思えません。

「ロシアの脅威」と言いますが、冷戦終結後、ウクライナを除くと、何度、ロシアが他国に侵攻したでしょうか?一度でもプーチンが領土拡大の野望を口にしたことがあったでしょうか?中国はどうでしょう?五十年も前に、国境争いでインドと、政権支援でベトナム内戦に介入して以来、何度、中国が他国に侵攻したでしょう?そして、その間にアメリカとNATOは何カ国に軍事侵攻し、幾つの政権転覆を起こし、何万人の市民を殺し、幾つの社会を破壊してきたでしょうか?ちょっと簡単には数え切れませんが、CIAができて五十年の間に政権転覆を企てた国は少なくとも60カ国以上です。中国やロシアとNATOやアメリカのどちらが世界平和の脅威なのでしょうか?

加えて、中国と戦争になり国交が途絶えたら、日本は、中国が一切軍事行動をとらなくても、二ヶ月も持ちません。それほど中国との貿易に日本社会は依存しています。つまり、日本が生き残るためには中国と戦争をするという選択はありません。一方、NHKが「中国の脅威」を煽るのは、かつて2027年に計画されていた台中戦争に米軍の下部組織として日本軍を使うというアメリカ軍産の目論見があったからだと思われます。ところが、トランプという異端児がこのアメリカの従来のエスタブリッシュメントの長期計画をぶち壊し、アメリカの内部分裂を引き起こしているというのが現状ではないでしょうか。

ま、しかし、トランプに高邁な理想があるはずもなく、取引きの良し悪し次第で右にも左にも転ぶわけで、最終的にこの男が革命児となるか、ただのピエロで終わるかは運次第でしょう。トランプはウクライナの鉱物資源に露骨に食指を動かし、ゼレンスキーの弱い立場を利用して、アメリカの支援とのバーター取引を持ちかけています。一方で、フランスとイギリスのロシア恐怖症は、すでに病膏肓で、マクロンはもうほとんどパニック発作を起こしているように見えます。トランプがヨーロッパから手を引こうとするのを見て、軍備増強を訴えているようですけど、ヨーロッパが一枚岩でまとまるワケもなく、ウクライナに近い国々ほど現実をよく見ております。ハンガリー、スロバキアやルーマニアといった国は、もしゼレンスキーが最後まで戦うつもりなら、結局、ウクライナ全土がロシアに占領されることになり、その次にはウクライナに代わりとなってイギリスやフランスに防護壁がわりに利用されかねない、と考えているようです。
そして、プーチンと言えば、アメリカの支援が止まったウクライナのインフラの破壊を本格的に開始したようで、ゼレンスキーの完全降伏に向けてラストスパートをかけ始めました。 

しかし、こうして、西側諸国が戦争ゲームに興じていられるのは、彼らが搾取を続けてきた国々、特にアフリカや旧ソビエト連邦国の持つ巨大な資源のおかげです。たとえば、フランスの電力の多くが原子力発電で供給されていますが、それに必要なウランは、国外のカザフスタンやアフリカなどから調達しているわけで、これらの国々がフランスに背を向けたらフランスはウクライナ戦争どころではないでしょう。ウランだけではありません。石油を始め、数々のハイテク技術に必要な希少金属や資源の多くはアフリカやアラブ諸国から来ています。リビアのガダフィーがNATOとアメリカに殺されたのは、リビアがネタニヤフのヒットリストにあったこと以上に、彼が、統一アフリカを提唱し、アフリカの権利向上とヨーロッパとアメリカのアフリカの搾取を止めようとしたのが大きな理由でしょう。

ウクライナ戦争は、ウクライナとロシアの問題ではなく、NATOの拡張主義に対するロシアの反応でした。しかし、ロシアとNATOのケンカは、それでも北側世界の覇権争いと金儲けに伴う内輪揉めにしかすぎません。こんなものが、グローバル サウスと一括される世界の人々の搾取と犠牲の上に行われており、しかも核戦争による地球滅亡のリスクでさえ押しつけているということは、本当に腹立たしい限りです。

マクロンもスターマーもロシアに対する敵意と嫌悪をあらわにして、頑なにロシアとの対話を拒んでいます。中国や北朝鮮に対する日本の態度も似たり寄ったりですけど、いくら嫌いでも力では勝てない隣人とケンカして得られるものはありません。いくら嫌いな相手でも、対話によって理解を深め、なんとか平和共存していく道を探るというのが大人というものです。核兵器を持った国同士の「子供のケンカ」の行き着く先は、世界の滅亡ですから。

ロシア恐怖症のヨーロッパに向けたプーチンの最近の言葉を紹介したツイートがあったので、リンクします。
(クロアチアのTV、4チャンネルの番組の中で)プーチンは欧州の人々にこう語りかけた: 
「ロシアがあなた方の敵になったことはないし、今後もなることはない。
 我々はヨーロッパの天然資源や富を欲しているのではない。ロシアは天然資源の面で世界で最も豊かな国だからだ。
 私たちは、あなた方の土地や領土を欲しがってはいない。地図上のロシアの広さを見てほしい。ロシアはヨーロッパ全体の2倍の大きさがある。ロシアは何のためにあなた方の土地が必要で、それを使って何をすると思っているのですか?
 なぜロシアはヨーロッパの敵だと思うのですか?ロシアはあなた方にどんな損害を与えたのでしょうか?
 我々はガスや原材料を、現在あなた方の「友人」が売っている価格よりも安い値段であなた方に売ってきたのではなかったですか?ロシアは第二次世界大戦で、2000万人を犠牲にして、ナチスを排除したのではなかったですか?コロナウイルスの大流行時に、最初にヨーロッパを助けたのはロシアではなかったですか?火事や自然災害があったとき、ヨーロッパを助けたのはロシアではなかったですか?ヨーロッパは、ロシアを憎むようなことを、ロシアに何かされましたか?ロシアはあなた方の敵ではない。あなた方の本当の敵は、あなた方を導く指導者たちなのです」

これは日本でもそのまま当てはまります。どこの国でも、内政が厳しくなると外国に対する反感を煽ります。中国もかつて反日教育があり、今の日本も反中プロパガンダに溢れています。外敵を作り、国民の恐怖を煽るのは、国民の内政への不満を逸らし、独裁主義を受け入れやすくする権力側の常套手段です。

さて、トランプがウクライナ支援の中断を決定してから、アメリカやヨーロッパで「ウクライナ支援」のデモや集会が行われていますが、何とも言えぬ思いです。彼らが支援しているのは、ウクライナ一般国民の敵と言ってもよい腐敗したウクライナ政府であって、それはウクライナの人々の苦難を意味するからです。彼らはウクライナ軍が戦争を続けることができるようにとアメリカの支援継続を求めているのですが、戦争の継続の結果は明らかです。やればやるほど、ウクライナ人が死に、ウクライナは領土を失い、ウクライナは荒廃し、最悪の場合、ウクライナという国が消滅するのです。それでは、ウクライナの外のいる「ウクライナ支援者」は何を求めているのでしょう?「お国」のために総玉砕を叫ぶことが、支援でしょうか?

Twitterで、「ウクライナ政府へのウクライナ人の支持率は80%ある」というツイートを見ました。ハテなと思い、続きを読んでみると、ただし、現在ウクライナ国内にいるウクライナ人は20%である」と書いてありました。そして、タイミングよく、次のようなツイートを見つけましたので紹介します。ウクライナ人と結婚したアメリカ人がウクライナ内部にいるウクライナ人の思いを代弁したものです。
スティーブン・クーンが、ウクライナの真実を暴露したことについて、妻(ウクライナ人)とその家族がどのように感じているかを語っている。

「彼女らは私が発言することを喜んでいる。メディアが伝えること、政治家が伝えることが真実ではないことを知っているからだ。彼女らは、ゼレンスキーがこの戦争を引き起こし、すでに腐敗していた政府をさらに悪化させたことを知っている。彼女らは自分たちの故郷が永遠に失われるであろうことを知っている。
、、、彼女の家族は直接その目で何が起こっているのかを見ているのだ。そして、ウクライナの国旗を振りかざして騒いでいる活動家たちとは違って、彼女らは冷静に受け止めている。彼女らはただ、戦争を終わらせたい、家に帰りたいだけなんだ。
 私が発言することを誰が嫌っているか知っているか?この戦争で何十億も儲けている連中だ。私の妻のような家族が無一文になる一方で、利益を得ている連中だ。暴言でキャリアを築く活動家たちだ。私は自分のために声を上げているのではない。妻の家族のような何百万人ものウクライナ人が声を上げられないから声を上げているんだ。 、、、私のやっていることがそれほど腹立たしいと思うのなら、自分自身に問いかけてみればいい。あなたの個人的なバイアスに合わないものが、なぜあなたにとって脅威なのか?あなた方のほとんどはウクライナに行ったことがないし、これからも行くことはないだろう。そして、メディアが報道を止めれば、あなた方は、これまでと同じように、この問題を忘れ去って次に進むのだろう。だから、もういい加減にしてほしい。 問題に直面している当事者のことを考え、そして彼らを支援してほしい。
 それから、ついでに言うと、ロシア人も平和を望んでいる。 両陣営のほとんどの民間人は、ただ平和を望んでいる。それだけだ。単純なことなんだ」
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外交は反逆、戦争は美徳

2025-03-04 | Weblog
色々、面白いことがあった1週間でした。最初は、最近のノルウィの政治学者の論文を紹介するだけにしようと思っていましたが、おかげで、すごく長くなってしまいました。

まずは、爆発的話題となったトランプとゼレンスキーのホワイトハウスでのケンカです。ケンカのきっかけはバンスですけど、これは歴史的な映像として残るでしょう。「外交というが、どんな外交をするつもりなのか。2014年のロシアのクリミア、ドンパスでの軍事行動でもアメリカの大統領は十分に何もしてくれなかった」と文句を続けたゼレンスキーに、トランプは「(このまま戦争を続けると)ウクライナは全滅する、アメリカが手を引けばウクライナは2週間しか持たない、立場を理解しているのか?アメリカなしではお前はなんの手札も持っていないんだぞ。第三次世界大戦でも起こすつもりなのか?(アメリカがロシアと話をつけてやろうと言っているのだから)もっとアメリカに感謝すべきだ」と、パワハラ ヤクザぶり。ま、トランプが言っていることは半分はもっともですけど
ネットでは、ネタニヤフにも同じように言ったらどうか、との意見多数。

この会見の後、ウクライナではゼレンスキーの罷免を求める動議が提出されたようです。スロバキアでは、首相のRobert Ficoは、スロバキアはウクライナを経済的にも軍事的にも支援しないと表明し、ついでに、ウクライナが止めているロシアからのガス パイプラインをさっさと開けろと要求。人間とは勝手なものですな。

しかし、ロシア恐怖症の西側ヨーロッパは、ウクライナを矢面に立たせてロシアと戦わせないと自分たちに危険が及ぶという妄想に囚われており、戦争継続を支持しています。それが2022年4月にトルコでの和平交渉をぶち壊したボリス ジョンソンの意図でしょう。その和平交渉に参加したウクライナのOleksandr Chalyiは、一年前、「プーチンは侵攻当初から、和平を実現するためにあらゆる努力をしていた。それは覚えておくべき重要なことだ」と語っています(下のビデオ29分あたり)。その上で、彼は、将来的にはウクライナはロシアとヨーロッパの橋渡し国になるという選択もあるが、現時点では、NATOへの加盟がベストだと思うと述べています。

というわけで、トランプにパワハラ喰らって袖にされ、ゼレンスキーは今度はヨーロッパ巡りです。そもそものこの戦争の原因はアメリカ主導のNATOであり、NATOに安全保障を丸投げして、真面目にロシアとの外交努力をしてこなかったヨーロッパは共犯者です。このヨーロッパの「ロシア恐怖症」がもたらした経済的マイナスは大きいです。例えば、この紛争でバイデン(CIA)は、いつもの偽旗作戦でノルドストリーム2を破壊し、ロシアのドイツ経由でのヨーロッパへのガス供給を止めたわけですが、おかげでヨーロッパは高いアメリカ産のLNGを買わされる羽目になりました。燃料コストの高沸で製造業は大きな打撃を受けました。いくらスターマーやマクロンがウクライナ支援をしようとも、ウクライナが戦況をひっくり返せるはずもないです。NATOの活動費の70%をアメリカが出しているのです。アメリカが全力で支援してロシアとはトントンの勝負ができる程度なのに、アメリカなしのNATOなら焼石に水です。それを、スターマーが理解していないとは思えません。下に示す論文に示されているとおり、スターマーの目的は、ウクライナを「捨て駒」として使い、最後の一人までロシアと戦わせ、ウクライナの滅亡と引き換えに、ロシアを消耗させることと思われます。そもそも、ロシアを黒海までに封じ込めるというのは、元々は1850年代の大英帝国対ロシア帝国のクリミア戦争時からのイギリスの戦略でした。それをアメリカ ネオコンが引き継いだわけです。スターマーにはその大英帝国時代の亡霊でもついているのでしょう。

それから、もう一つの週末の興味深い映像は、Piers MorganショーでのGeorge Gallowayです。イギリス人外交専門家で政治家の彼は何度かモーガンのショーに出ており、これまではモーガンに対しても比較的紳士的に議論をしてきました。一方、討論番組ホストのモーガンは、典型的な西側プロパガンダ拡散装置です。何十回も様々な専門家と議論をし、その都度、今回のウクライナの戦争についても教育されてきているのにかかわらず、常に、「邪悪な独裁者のプーチンがヨーロッパの独立国に一方的に侵攻した」という「おはなし」を延々と繰り返しています。イスラエル問題にしてもモーガンは、何度、専門家に教育されても「10/7にハマスがイスラエル人を虐殺したことが全ての発端である」と言い続けてきました。モーガンが単に理解力と記憶力に問題のある知的障害者であるはずがありませんから、彼は、意図的に(Jeff Sachsが言うところの)「子供じみたプロパガンダ」をがなりたて、よく事情をよく知らない人々に西側支配者にとって都合の良い思い込みを植え付けようとしているわけです。「いまだにロシアがこのウクライナ戦争始めたと思っているなら、それは、腐敗しているか、無知なのか、洗脳されているかだ」とJacob Creechは言っていますが、統一教会ではないですけど、無知につけ込んでのメディアによる洗脳というのは厄介なものです。
Gallowayは、モーガンの態度にブチ切れて最初から全開でモーガンを「君の手はウクライナ人の血に濡れている、戦争の共犯者だ」と批判。つまり、戦争のそもそもの責任はNATOの拡大であり、それをロシア恐怖症を煽って正当化してきた西側メディアだと主張したのです。モーガンはGallowayに喋らせまいと何度も口を挟み、揚げ足を取ろうとしますが、最後はほぼ無理矢理会話を終わらせざるを得ませんでした。

さて、ウクライナ情勢に気を取られている間にもイスラエルはウエスト バンクの違法入植を進め、レバノンのナスララの葬儀にまで空襲をかける鬼畜の行いを続けております。3/1には停戦第一期間が終わりましたが、ネタニヤフはいつも通り、ガザからのイスラエル軍の撤退するとの約束を守ろうとしません。こうして自ら約束を一方的に破ることでハマス側の反発を招き、それを口実にさらなる軍事作戦を開始するというのがこれまでのイスラエルのやり口でした。間違いなく、ガザへのジェノサイドを再開させるでしょう。そして、トランプといえば、イスラエル・パレスティナ問題についてはイスラエル支持の姿勢を崩しません。つい先日もイスラエルと$7 billionsの兵器売買に合意しました。ま、トランプの資金元がシオニストユダヤですから、イスラエルの要求には二つ返事、ウクライナに対する態度とは違うでしょう。ただし、ネタニヤフの悲願である対イラン戦争へアメリカを引き込むという目論見に関しては、トランプは一期目からその可能性を否定していますから、イラン戦争は避けられると思います。だからと言って、トランプにモラルとか高潔さとかを求めるのは無い物ねだりというものです。イスラエルのパレスティナへの破壊とジェノサイドは止めようとはしないでしょう。パレスティナ人を追い出してガザを高級リゾート地に再開発することは「取引」の一つぐらいにしか考えておらず、ネタニヤフ同様、人の命もパレスティナ人の苦難も地球の将来でさえも二の次です。

さて、ようやく本題。イスラエルの破壊と殺人活動が再開して、パレスティナの問題に戻る前に、ウクライナ戦争について、先週、ノルウェーSouth-Eastern大学の政治学教授のGlen Diesenが書いた記事を下に紹介します。ウクライナがこの破滅的な戦争に突き進むようになった経緯についてまとめてあります。冷戦後、ヨーロッパがロシアとの関係構築を怠り、盲目的にNATOに依存してしまったこと、それをアメリカネオコンが煽ってNATOを拡大してきたことが、今回の戦争の原因と考えられます。下に述べるように、そもそもNATOの役割は、30年前に終わっていたはずでした。しかるに、冷戦終結後は、1999年のユーゴスラビア爆撃に始まり、イラクにアフガニスタン、リビアにソマリア、などなど、NATOは、安全保障の機関ではなく、アメリカの他国へ政権転覆のテロ活動の道具として使われ、その都度、多くの市民を殺してきたのでした。むしろ、NATOはヨーロッパの安全を脅かす元凶であったといえるでしょう。

NATOと言えば、先週、5月のルーマニアの大統領選挙に立候補している最有力候補のCalin Georgescuが「偽情報拡散」の罪で逮捕されました。ルーマニアでは昨年12月に大統領選が行われGeorgescuが決選投票に残ったのですが、政府は親ロシア派の介入があったとして、突然、選挙の無効を主張し、大統領選を今年5月に延期したのです。一番人気のGeorgescuの大統領就任を現政府が阻止しようと不当逮捕までするのはNATOが原因のようです。というのは、黒海に面するルーマニアのウクライナ国境よりにNATOは巨大な軍事基地を建設しようとしており、Georgescuはそれに反対しているからです。結果、ルーマニアでは現在、大規模な反政府デモが起こっております。

NATOは米ソ冷戦時の1949年にレーニンのソビエト連邦の社会主義のヨーロッパへの拡大を阻止するためにできた組織です。当時は、ソビエトの社会-共産主義の西方拡大は アメリカと西ヨーロッパにとっては真の脅威であったのでしょう。しかし、冷戦が終わり、ゴルバチョフの経済政策が裏目に出てソビエトは弱体化、解体に至り、同時に、ソビエトがNATOに対抗して作ったワルシャワ条約機構も解体されています。本来なら、その時点でNATOも解体して然るべきでした。NATOが解体されなかったことで、今度はNATOがロシアにとっての脅威となりました。それで、冷戦終了時、ロシアが西側に約束させたことは「NATOの東進はしない」ことでした。しかるに、その直後のクリントン政権から、アメリカはその約束を反故にし、NATO加盟国を劇的に増やしてきました。プーチンはNATOの東方拡大が起こる度に抗議を続けてきましたが、NATO拡大は止まらず、当初の10カ国から今は加盟国を3倍に増やし、ついにウクライナにまで手を出したということです。このあたりの話は何度も繰り返していますので、省きます。要は、NATOは1989年のマルタ宣言、そして1991のソビエト崩壊で本来の存在意義を失ったのであり、解体されるべき組織であったということです。そして、元々の存在理由を失った後はNATOは存続することそのものが目的となりました。NATOが存在するためには敵が必要でした。それで、アメリカの外交アジェンダに沿って、タリバンだったりフセインやガダフィであったり、さまざまな敵を作ってはアメリカと一緒に他国に侵攻してきましたわけですが、もちろん、最大の仮想敵国は「強いロシア」をスローガンにしたプーチンのロシアでした。そして、モーガンのようなプロバガンディストのトーキングヘッドを通じて「ロシアの脅威」を喧伝し続けてきたのでした。だから、かつてエリツィンやプーチンが「ロシアもNATOに入るよ」と言った時にNATOがパニックになったのはそういう事情でしょう。戦争することが目的であるNATOの存在には外部に敵が必要であって、敵の中枢にはロシアがいなければならなかったということです。

さて、前置きが長くなりました。それでは、ノルウェーの政治学者、Glenn Diesenの記事を紹介します。この戦争の本質という点において、専門家の意見はほぼ一致していますが、ここでは主に、ヨーロッパの視点から議論されています。

「最後の一人のウクライナ人まで戦う」という戦略は、いかにして道徳的に正しいものとして国民に売られたのか?

戦場で何十万人もの兵士が命を落としているにもかかわらず、NATO諸国はロシアとの外交的接触を3年近くもボイコットしてきた。外交は過剰な暴力を減らし、エスカレートを防ぎ、さらには平和への道をもたらすことができたはずだ。しかし、政治・メディアのエリートたちは、「外交拒否」を自分たちの道徳的正義の証拠として巧みに国民に売り込んだ。

本稿ではまず、ロシアを疲弊させるために、NATOがいかに長期戦を計画していたかを概説する。第二に、政治・メディアのエリートたちが、「外交は反逆」であり、「戦争は美徳」であるとどのように伝えたかを示す。

NATOの長期戦争
長期戦争はロシアを疲弊させるためであり、そのためにロシア人とウクライナ人ができるだけ長く殺し合うようにすることをNATOは目論んだ。ロイド・オースティン米国防長官は、ウクライナ戦争におけるアメリカの目的を、戦略的敵対国を弱体化させることだと説明した。ロシアがウクライナへの侵攻で行ったようなことができなくなる程度までロシアを弱体化することが目的だった [1]。2022年3月下旬、ゼレンスキーは『エコノミスト』誌のインタビューでこう明かした。 「たとえロシアとの戦争が、ウクライナの滅亡を意味し、ウクライナ人の命を犠牲にすることになったとしても、それはロシアを疲弊させることにはなる」[2]。
 イスラエルとトルコの調停者は、ロシアとウクライナがイスタンブールでの平和的解決の条件に合意したことを確認している(2022年4月の交渉)。その条件はロシアが退軍させる代わりにウクライナが中立を保つことだった。しかし、米国とその同盟国は、ウクライナの軍隊を使ってロシアを弱体化させることができる絶好の機会を逃し、ウクライナが中立に戻るようなことを受け入れるはずもなかった[3]。
 トルコ外相は、「戦争継続を望むNATO加盟国は、(ウクライナに)戦争を続けさせ、ロシアが弱体化することを望んでおり、彼らはウクライナがどうなろうと気にかけてはいない」と認めた[4] 。仲介役のイスラエルの元首相も、「プーチンを攻撃し続けるという西側の決定」のもと、アメリカとイギリスが和平合意を「阻止」したことを認めた [5]。 ドイツ連邦軍の元トップであり、NATO軍事委員会の元委員長であるハラルド・クジャット退役ドイツ軍大将も、「これはNATOが意図的に引き起こした戦争であり、米英はロシアを政治的、経済的、軍事的に弱体化させるために和平へのあらゆる道を妨害した」と主張した[6]。 2022年3月の米英首脳とのインタビューでは、「今の最終目的はプーチン政権の終焉だけ」として、「紛争を拡大し、それによってプーチンを血祭りに上げる」ことが決定されていたことが明らかになった[7]。
 チャス・フリーマン元国防次官補(国際安全保障問題担当)兼米国務省中国担当局長は、ワシントンが「最後のウクライナ人まで戦わせる」ために戦闘を長引かせることを目的としていると批判した[8]。共和党のリンジー・グラハム上院議員は、最後のウクライナ人までロシアと戦ってくれれば、米国は有利な立場をとることができると主張した。 「これまで上手くいっている。我々がウクライナに必要な武器と経済支援を提供する限り、ウクライナは最後の一人になるまで戦うだろう」と[9] 。共和党のミッチ・マコーネル党首も同様に明言している。「ウクライナを支援し、ロシアの侵略者を撃退し続ける最も基本的な理由は、冷徹で現実的なアメリカの利益である。この戦争に勝つために東欧の友好国を支援することは、アメリカを脅かし、同盟国を脅かし、我々と利益を争うウラジーミル・プーチンの将来の能力を低下させるための直接的な投資だ」[10]。ミット・ロムニー上院議員は、この戦争への資金提供は「これまでで最高の国防支出である」と主張した。アメリカ下院議員のダン・クレンショーも、「アメリカ軍人を一人も失うことなく、敵対国の軍隊を破壊できるなら、それは良い投資だ」とプロキシ戦争を称賛した[11]。
 キース・ケロッグ退役米軍大将も同様に、ロシアを打ち負かせば米国は中国に集中できるとして、ウクライナでの戦争を延長するよう求めた。「米軍を使わずに戦略的敵対国を打ち負かすというのが、プロというものだ」。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長もこの論理を共有し、戦場でロシアを打ち負かせば、米国が中国に集中しやすくなると主張した。ストルテンベルグはまた、「もしウクライナが勝てば、ヨーロッパで2番目に大きな軍隊であるウクライナ軍が戦いに慣れて我々の味方にできる上に、ロシア軍を弱体化できる」とも述べている[12]。

反逆としての外交と美徳としての戦争
長期戦が決定されると、政治家とメディアは、「外交は反逆」であり、「戦争は美徳」であると国民を納得させるための「物語」と道徳的事例の創作を始めた。
 世界を「善」対「悪」の戦いとして提示することは、戦争プロパガンダの基礎である。それによって、「外交」は危険な宥和策と見なされる一方で、平和の実現には軍事的勝利が必要だと考えるようになるからだ。ジョージ・オーウェルの「戦争は平和である」を彷彿とさせるように、ストルテンベルグは「武器こそが平和への道」だと主張する。
 西側諸国の国民は、プーチンを交渉のテーブルに着かせるためには戦争を煽ることが必要だと考えていたが、3年近くにわたる戦争の間、西側諸国が交渉を提案することはなかった。西側のメディアの報道では、ロシアが交渉を拒絶しているかのような印象を受けるが、ロシアは外交や交渉に反対したことはなく、ドアを閉ざしたのは西側諸国の方だった。西側は、いわゆる「和平サミット」を開催し、各国政府が和平を追求しているという印象操作をしたが、そこには肝心のロシアは招待されていなかった。さらに、その目的はロシアに対する世論と資源を誘導することだと明言されていた。

2022年11月、マーク・ミレー統合参謀本部議長はロシアとの交渉開始を主張した。ウクライナはケルソンとハリコフで広大な領土を獲得したばかりであり、ウクライナは、和平交渉に有利な立場にあると主張した。ミレーのこの判断は正しかったが、彼は戦争の主目的がロシアを疲弊させるために、戦争を継続させることであるということを軽視していた。結果、ミレーは、戦争終結につながる発言を撤回しなければならなくなった[13]。

EUは、世界中の紛争においてほとんど常に即時外交と交渉を提唱している。ところが、ウクライナでは、開戦当初のEUの外交政策責任者であったジョゼップ・ボレルは、戦争は戦場で勝利することだと主張した[14]。 EUの次期外交政策責任者であるカーヤ・カラスは、戦争中の外交の必要性を否定した。 「なぜ彼(プーチン)と話す必要があるのか。彼は戦争犯罪人だ」[15]。外交とは今や、自分の意見に同意する人々と部屋に座り、敵対者を孤立させたことを仲間内で喜びあうようなことに成り下がった。EUは平和プロジェクトから地政学的プロジェクトへ移行してしまったのだ。

外交の回復や交渉の開始を提案する者は、即座に極左や極右の親ロシア派の手先として中傷される。戦争に反対する者が敵国の側にいるように見せかけるのは斬新とは言い難いが、反逆罪の告発は反対意見を圧殺する強力な手段である。ハンガリーのオルバン首相は、ウクライナ、ロシア、中国、そしてアメリカ(トランプ大統領との会談)を訪れ、和平への道筋を描く可能性を探った。しかし、EUはハンガリーを罰することで対抗し、政治・メディアのエリートたちは彼をプーチンの操り人形として委縮させようとした。同じことが、戦争終結を提案する誰に対しても適用されている。

プーチンの侵略に領土で「報いる」という危険な前例に反対する議論も、和平交渉に反対する道徳的な議論に見える。しかし、この議論は、戦争が領土問題から始まったという誤った前提に基づいている。イスタンブール和平合意でわかったように、ロシアは、ウクライナが中立を回復すれば、ロシア軍を撤退させるということに同意した。(しかし、ヨーロッパとウクライナはそれを拒否して戦争を継続し、その結果)この代理戦争で、ウクライナは敗北を続け、日を追うごとに兵力と領土を失い続ける結果となっている。

NATOがウクライナを加盟国にすると主張し続けているのは、ウクライナに対する道義的な支援の表れとして国民に示されているが、実際には政治的解決を妨害する結果となっている。NATOの拡張主義こそが戦争の元凶であるため、それを終わらせることが、恒久的な和平合意の礎石でなければならない。

来るべき反動
ウクライナの前線が崩壊し、死者が続出するなか、アメリカはウクライナに徴兵年齢の引き下げを迫っている。若者を犠牲にすれば、戦争をもう少し長く続けられるからだ。ウクライナ国民はもはや戦うことを望まず、脱走者は激増し、「徴兵」は路上から民間人をつかまえてバンに放り込み、ほとんどそのまま前線に連れて行くことで成り立っている。最近のギャラップ社の世論調査によれば、ウクライナで戦争継続を支持する人が過半数を占める州はひとつもない[16]。
 ゼレンスキー大統領の元顧問であるオレクシイ・アレストヴィッチは2019年、NATO拡大の脅威が「ロシアを刺激し、ウクライナに対して大規模な軍事作戦を開始するだろう」と予測した。そして、NATOはウクライナ軍を使ってロシアを打ち負かすだろうと。 「この紛争では、武器、装備、支援、ロシアに対する新たな制裁、NATO軍の派遣、飛行禁止区域の導入など、西側諸国が非常に積極的に支援するだろう。我々は負けないし、それは良いことだ」[17]。
 しかし、戦争は計画通りに進まず、ウクライナは破壊されつつあり、アレストビッチは戦争を続けることの愚かさを認識せざるを得なくなった。ウクライナ社会では、NATOが最後のウクライナ人までロシアと戦うために和平を妨害したという認識が広がっている。ウクライナ人は今後数十年にわたってロシアを恨むだろうが、西側諸国に対する憎しみもあるだろう。そして、西側メディアの戦争プロパガンダ担当者たちは当惑し、ロシアのプロパガンダを非難するのだろう。

参考文献: (リンク先の原文を参照ください)
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独裁者とオリガルヒ

2025-02-25 | Weblog
ロシア-ウクライナ戦争においてロシアの即時撤退を求めるウクライナ案の決議が先ほど国連で行われました。日本を含む93カ国が賛成、65カ国が棄権、18カ国が反対したわけですが、ロシアと共に反対に投じたうちの一つがアメリカでした。まもなく戦争は終わるでしょう。実際に戦争の中止、継続、凍結に力を持っているのはアメリカとロシアであり、ヨーロッパでもウクライナでもないわけですから。

さて、先週末のTwitterでは、ウクライナの刑務所で一年前に死亡したアメリカ人作家のGonzalo Liraのビデオクリップが流れてきました。今頃、なんだろう?と思っていたら、翌日に、トランプがゼレンスキーを支持率4%の「選挙なき独裁者」と呼んで非難したとのニュース、イーロン マスクがGonzola Liraの死亡に関してゼレンスキーを批判したというニュースを見て、ああ、これか、と納得しました。

ま、民主的な戦争というものはあり得ないので、戦時中のリーダーは事実上、独裁者なわけですが、それでも、それは憲法に従って裏付けられた立場である必要があります。ヒトラーは民主主義の手続きによって選ばれましたし、第二次世界大戦中も、アメリカでは大統領選が行われ、日本でも衆議院選挙が施行されました。トランプが批判しているのは、ゼレンスキーは、戦時中であることを口実に憲法を無視して選挙を延期し、法的裏付けのない権力を握り続けているということでしょう。ウクライナ議会議員代表代理のAnna Skorokhodによると、ゼレンスキーの支持率は、さすがに4%ではなく、6 - 9%だろうという話ですが、公称57%とは随分開きがありますね。この支持率が本当だとすると、選挙となれば落選可能性が強いわけで、それがゼレンスキーが選挙を延期している理由でしょう。

非常時を口実に独裁権力を握り続ける、何か聞き覚えがあると思う方も多いと思いますが、これは、自民党が導入しようとしている改憲案「非常事態条項」ですね。一旦、権力をとってしまえば、非常事態を宣言することで、永久に独裁権力を法的に維持できる仕組みのことです。

さて、ゼレンスキーが独裁者であるのは仕方がないですが、長い選挙戦を戦って大統領の地位を得たトランプにしてみれば、任期切れで正式な大統領ではないゼレンスキーとは話はできないと、和平交渉からのウクライナを排除することの口実にしたということなのではないでしょうか。

独裁者の目的は、自己利益の増大とリンクする権力の維持でしょう。下のLiraのビデオにある通り、現在、ゼレンスキーは大金持ちです。ゼレンスキーに負けたポロシェンコも大金持ちでしたが、彼は自身が運営するのビジネスを通じて裕福になったのです。ならば、どうやって実業家でもない俳優のゼレンスキーが大金持ちになったのでしょう?それは、下のLiraの話にあるように、ウクライナのオリガルヒとの取引があったからだと思われます。

いずれにしても、現時点で、ゼレンスキーが権力を握り続けるためには、戦争をウクライナに有利な条件で終結させるか、さもなければ戦争を継続し続けるしかないわけですが、前者は有り得ません。そして、後者はアメリカの支援がなければ無理です。

これまでも、すでにゼレンスキーはアメリカの支援と引き換えに、国有地の多くをBlack Rockに売り払ってきました。そして、今回、トランプが出してきたウクライナ支援の条件は、アメリカの継続支援と引き換えにウクライナの鉱物資源を提供することでした。このトランプのご都合主義、呆れ返るばかりですが、トランプもゼレンスキーのどちらもウクライナの国民のことなど二の次、三の次ということでしょう。下に示す先日のEU議会でのJeffrey Sachsの講演の中での発言、「トランプは、モラルとかの理由で、この戦争を終わらせたいのではない、彼は負け戦には関わりたくないだけだ」とのトランプ評は腑に落ちました。

今回の戦争は1990年代からの「NATOによってロシア包囲網を築く」というタカ派を中心としたアメリカの政策に始まっていますが、転期は2014年のクーデターによるウクライナ政権転覆でしょう。この時のオバマ政権の誠意のない行動を見て、危機感を抱いたロシアは、クリミア住民の住民投票と独立宣言を受けてクリミアの併合に動きました。その後、ウクライナからの独立を求めたウクライナ東部ドンパス地域の勢力に対してウクライナ政府は武力行使を行い、内戦となりました。2014年、2015年とウクライナ政府と独立勢力との停戦交渉が二度にわたってミンスクで行われ、結果、ウクライナ、ウクライナからの独立を宣言をしたルガンスクとドネツク、ロシア、ドイツ、フランスが二度目の合意書にはサインをしました。しかし、この合意は守られることなくウクライナ政府はドンパスへの攻撃を継続し、最終的にロシアに庇護を求めたドンパスのルガンスクとドネツク共和国の求めに応じると言う体裁で今回のロシアの軍事介入につながっています。

チリ系アメリカ人であるGonzalo Liraはウクライナ人と結婚し、そうしたウクライナ政府と独立を求める東部州との武力紛争の中で暮らし、ウクライナ政府への批判を繰り返した結果、逮捕拘留されました。その経験から、二度目の逮捕が迫ってきた時、次の逮捕では殺されると、SNSを通じてアメリカ政府と関係者に助力を要請したのち政治的亡命をしようとしたがかなわず、再逮捕されました。バイデン政府はアメリカ市民である彼の保護要請を無視、そしてLiraは、自身の言葉通り、「ロシアの侵攻を正当化した罪」によってウクライナ刑務所に8ヶ月の勾留され死亡しました。それが、イーロン マスクの「ゼレンスキーがアメリカ人のLiraを殺した」という言葉の経緯です。

さて、バイデンがLiraを見殺しにしたのには個人的な理由もありそうです。かつての彼のビデオの中にゼレンスキーとコロモイスキーとの繋がりを述べたものがありますので紹介します。(調べてみると、ハンター バイデンは確かにコロモイスキーと繋がりがあるようですが、ジョー バイデンにコロモイスキーからの金が流れていたかどうかについては不明でした)

「、、、ゼレンスキーとハンター バイデンには共通点がある。、、、ゼレンスキーは『作られた政治的虚像』である。彼は、ウクライナ人でイスラエル人の大金持ちの権力者、イゴール コロモイスキーによって仕立て上げられた。コロモイスキーは、ウクライナの”One plus One media"の所有者で、"One plus One media"は「人民のしもべ」というTV番組を作った会社だ。この番組がゼレンスキーという政治経験も興味もゼロであった俳優を雇い、人々のために尽くす大統領役をやらせた。この番組は大人気となったが、多くの人が、そこに含まれるプロパガンダやPRの量に不審を感じた。他の番組に比べても、それは度を超えていた。この番組は2015-2018年まで放映された。それと同調してコロモイスキーは「人民のしもべの党」という(番組名と同じ名の)政党を作った。そして、その党からの大統領選候補がゼレンスキーだった。それまで政治的経験も興味もゼロであった男だ。コロモイスキーはゼレンスキーに資金支援をした。そして、今や、ゼレンスキーはビリオネアである。何人の億万長者の俳優をわれわれは知っているだろうか?トム クルーズでさえビリオネアではないだろう。ゼレンスキーは単なる俳優ではない、コロモイスキーの指人形なのだ。コロモイスキーが他に誰を支援しているか知っているだろうか?、、、ハンター バイデンだ。2014年、ウクライナのオイル会社のブリズマがハンター バイデンを雇用した。そしてブリズマのオーナーはコロモイスキーだ。ゼレンスキーとハンター バイデンは同じ奴と繋がっている。おまけのこの二人はヤク中でもある。もちろん、違いもある。ゼレンスキーの父親はアメリカ大統領ではない。、、、なぜ、アメリカはウクライナに躍起になっているのだろうか?、、、それは、ワシントンの支配者層は、ウクライナを個人的な貯金箱がわりに使ってきたからだ。彼らは経済的にウクライナをレイプし、ウクライナ人から金や資産を搾り上げた。これがウクライナが貧乏な理由の一つだ。、、、『高齢の男(ジョー バイデンを指すと思われる)』はハンター バイデンが得た資金の10%のキックバックを受けている。コロモイスキーはこうして、ジョー バイデンとゼレンスキーに資金提供をしてきたのだ。、、、私の言うことをそのまま信じる必要はない、調べてみれば良い、簡単に調べられるのだから。コロモイスキーのような男はウクライナに他にも大勢いる。、、、アメリカがウクライナに躍起になっているのは、真実が漏れ出すのを恐れているからだ、、、」

結局のところ、この戦争については、対露政策のついでにウクライナを喰い物にしてきたアメリカ ネオコン、軍産複合体の行き過ぎた野望が起源であり、ゼレンスキーは高額の報酬と引き換えに大統領役を演じた文字通りの「役者」であったと解釈できるしょう。コロモイスキーやアメリカ ネオコンにとっては、ウクライナ戦争はゲームなのです。しかし、ロシアにとっては深刻な安全保障上の問題であり、ウクライナ人とロシア人にとっては生死と生活の問題です。

戦争終結に向け、トランプは先日、これまで西側が使ってきた「ロシアの軍事侵攻」という言葉遣いを止めるよう要求したとNHKは伝えています。NHKは、バイデン政権の意向を忖度し、これまでも、ロシアのウクライナ領内での軍事行動は「侵略戦争」であり「軍事侵攻」と呼ぶ一方、ウクライナ軍のロシア領内での軍事行動は「越境攻撃」と言葉を使い分け、クリミア併合以来のロシア-ウクライナの紛争において、強大な軍事大国ロシアが小国ウクライナを一方的に力によって支配し、ロシア帝国を再建しようしている、という印象操作に沿った報道をしてきました。Jeff Sachsはこうした報道の仕方を「あまりに子供じみたプロパガンダ」といい、「子供じみた話ほど人々は信じるものだ」と嘆いています。先日は、NHKに出演した「専門家」は「ウクライナが譲れない戦争終結の条件とは何か」と聞かれて「ウクライナのNATO加盟による安全保障だ」と答えていました。呆れてため息しか出ません。

さて、Sachsが言うように、ネオコン嫌いのトランプは、負けが決まっている勝負に投資するのは嫌なのでしょう。しかし、これまで西側メディアがやってきたように一方的にロシアを悪者に仕立て上げられた状態で、ウクライナが領土と国民と資産を失って完敗の状態で手を引くのは得策ではないとでも考えたのではないでしょうか。そのためには西側ウクライナ(キエフ)とヨーロッパにも戦争の責任を認めさせる必要がある。今回のトランプの度が過ぎたようなゼレンスキー批判にはそんな意図もあるのかもしれません。(一番の悪人はアメリカだと思うのですけどね。詰腹を切らされるのはいつも悪党に利用された弱者です。)

こうしたトランプ政権の見解は、下は副大統領のツイートにも表れていると思います。

For three years, President Trump and I have made two simple arguments: first, the war wouldn't have started if President Trump was in office;… https://t.co/xH33s6X5yf
、、、3年間、トランプ大統領と私は2つのシンプルな主張をしてきた。1つ目は、トランプ大統領が大統領であれば戦争は始まらなかったということ、2つ目は、ヨーロッパもバイデン政権もウクライナ人も勝利へ見込みは持っていなかったということだ。これは3年前もそうだったし、2年前もそうだったし、昨年もそうだったし、今日もそうだ。 、、、、ロシアはウクライナにおいて人員と武器で圧倒的な優位に立っており、その優位性は西側のさらなる援助に関係なく続くだろう。繰り返すが、援助は現在も行われている。、、、紛争が続くことはロシアにとっても、ウクライナにとっても、ヨーロッパにとっても、アメリカにとって悪いことだ。、、、以上の事実を踏まえると、我々は和平を追求しなければならない。トランプ大統領はこれを掲げて出馬し、勝利したのだ。

最後に、今回のウクライナ戦争に至る歴史的背景と経緯を知りたい人は先日のJeffrey SachsのEU議会での演説をお聞きください。普段冷静な彼がアメリカ外交政策への怒りを顕わにしています。
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ウクライナ抜きのウクライナ戦争

2025-02-18 | Weblog
先週はミュンヘンで安全保障についての国際会議がありました。

トランプ政権がウクライナ抜きでプーチンと対話を開始し、「ウクライナ戦争は終結可能だ」と述べた一方、ゼレンスキーは、「ウクライナ抜きで戦争の終結に向けた交渉が進められることは受け入れられない」と言ったとのこと。

ま、この経緯を見れば、ウクライナ戦争の本質がわかるというものです。この戦争はそもそも、ロシア対ウクライナの戦争ではなく、冷戦終結後のクリントン政権以来のロシア対アメリカのプロキシ戦争であったということです。ウクライナ戦争の和平交渉にウクライナは必要ない、ウクライナは米ネオコンの対ロシア政策と米軍産のマネーロンダリングの道具に使われただけですから。ゼレンスキーもアメリカの支援なしでは1ヶ月もたないと認めており、事実上、今やウクライナ軍の生殺は、ネオコン嫌いのトランプが握っています。

ハンガリーの首相は次のように言っています。
「、、、私はロシアのためではなく、ハンガリーのために働いています。ウクライナーロシア戦争においての私の立ち位置は、『この戦争はウクライナとは関係がないことを忘れるな』です。この戦争が起こった戦略的な理由は、NATOの拡大です。、、、」

その米露のウクライナ戦争終結への会談はまもなく、サウジアラビアで行われる予定ですが、興味深いのは、その会談にゼレンスキーは除外されているが、なぜか同時期にサウジアラビア政府には招かれたので訪問するということです。

ま、これだけ表立ってコケにされたらゼレンスキーも平静を保てないのでしょう。切羽詰まったゼレンスキーは、アメリカが握っている$250 bilのロシアの凍結資産をよこせ、アメリカ抜きのNATOを作るべきだ、ウクライナが負けたら、ロシアがヨーロッパに攻め込む確率は100%だ、と見るのも哀れなほどの錯乱状態となっています。

西側メディアや日本では「ロシアの国際法無視と力による現状変更は許されない」と相変わらず、バカの一つ覚えのように言っていますが、そもそもクリントン政権時からロシアとの軍事協定を一方的に破棄し、ソ連時代のNATO東進はしないという約束を破り続け、2014時のウクライナ内戦に乗じて、ウクライナのヤヌコビッチ政権をクーデターで失脚させ、その後のミンスク合意を最初に破ったアメリカの方がはるかに多くの国際的合意を無視し、力によって現状を変更してきたのです。プーチンはこの30年のアメリカのやり方を肌身で知って対処してきたわけですが、ゼレンスキーといえば、TVのショーで知名度を売って紛争の3年前に何の経験もないまま大統領になり、バイデンにいいように使われてきた男であり、しかも現在は任期切れのため、正式な大統領でさえありません。下にあるザハロワの言葉「ゼレンスキーは良心を失っていた」はアメリカとNATOの野望のために、国を売った(売らざるを得ない立場に置かれて、保身を選択した)との解釈ゆえでしょう。そもそも、軍事衝突してウクライナがロシアに勝てるはずはないのですから。侵攻1ヶ月後にゼレンスキーはロシアと和平案で合意することもできたし、おそらくそうしようとしたのでしょう。それを阻んだのがボリス ジョンソンであり、その甘言に乗せられて、ゼレンスキーは交渉よりも勝てるはずのない戦争を選びました。このことをザハロワは指しているのではないでしょうか。


下が、先日、ロシア外務省のスポークス パーソンのザハロワが述べた内容です。

「ゼレンスキーは、まるで、すでに全てを失っていることに気がついていないかのように、EUへの危険とウクライナ領土の逸失を訴え、外国の支援国に武器の供与を要請しているが、もうすでに、彼は、領土を失っており、国を失っており、国民を失っているのである。なぜ、そうなったのか?これらのことが起こる前に、ゼレンスキーは良心を失っていたからだ。一方で、キエフはイスラエルの得意技を真似て、ロシアの軍人に対するテロ活動を増加させている。2024年の9月を思い出してほしい。レバノンのベイルート周辺で、シーア派のヒズボラ戦闘員の多くのポケベルや携帯電話が爆発し、数百人が負傷した。そしてテル アビブでは、イスラエルがそれが抵抗運動を抑制するための計画的テロであったと認めたのだ、、、」

偽旗作戦で自作自演で相手に罪を押し着せるのは、イスラエルやCIAの得意技ですが、ウクライナとCIAがやったと思われるノルドストリーム爆破や、先日のウクライナのチェルノブイリ爆破のことを指して言っているのでしょう。

「お前はすでに死んでいる」とゼレンスキーを批判した上で、そのやり口をイスラエルに喩えるあたり、なかなかですな。アウシュビッツからユダヤ人を救ったのはロシア赤軍でした。だからこそ、ロシアはイスラエルにも歯に絹をきせずに批判できるのでしょう。
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プロパガンダ

2025-02-11 | Weblog
先週は、「ガザをアメリカが保有して再開発する」とふざけたことを言い放ち、世界中から批判を浴びたトランプ。義理の息子にうってつけのプロジェクトだと思ったのかも知れませんが、思い付きのヨタ話を平気で公言するこの男の浅薄さには呆れ果てます。

ネタニヤフにしてもトランプにしても、選挙で選ばれた首相であり大統領だというのが信じられません。それが国民のレベルの表れで、民意なのだと言われたら仕方ありませんが、トランプが大統領になるような民主主義(衆愚政治)と、賢人が導く独裁国家なら後者の方がマシでしょう。ま、そもそもギリシャの時代から独裁は民主主義制から生まれるわけですが。

どんな職業にも遂行に必要な知識、技能や判断力が必要とされます。それらを満たさないものはその職につくべきではないと思います。強大な権力が託される大統領にも最低限の資格試験を科するべきでしょう。まして、この男は重犯罪人です。プラトンもかつて、「民主制国家は、政治活動をする者が、どのような仕事や生き方をしてきた人であろうと一向に気にも留められず、ただ人気さえあれば、権力が与えられる所だ」と皮肉っております。能力も資格もないのに煽動と人気取りだけは上手いこの男が大統領というのは、目立ちたがりの無免許暴走族に大型バスを運転させるようなものです。



George Gallowayも、トランプの「アメリカのガザ保有」発言には、呆れて「トランプも老人ボケになりつつあるのではないか」とコメントしています。無論、当事者のパレスティナ人とハマスと国際社会は激怒。

、、、ずる賢い邪悪なネタニヤフが、愚かなトランプを操っているのだろう。これを言うのは初めてだが言わせて欲しい。(私やバイデンもそうで)楽しい話ではないのだが、トランプは老化し耄碌してきているのではないか、と思い始めている」

このトランプの米のガザ保有発言について、質問を受けた国連の法律家のFrancesca Albaneseは、失笑しながら、「全くのナンセンスで、ジェノサイドより悪い」とコメント。


、、、ああ、トランプ大統領、、、どこから始めればいいのでしょう、、、端的に答えると、トランプのガザ再建は「全くのナンセンス」です。第一に、それは違法です。民族浄化よりもひどい。それは強制移住を強いることであり、国際犯罪です。、、、、、違法で、非倫理的であり、完全に無責任。、、、パレスティナ人以外の誰もどのようにガザを再建すべきかなど指図する権利はない。、、、

ま、アメリカもイスラエルも国際法や人権など屁とも思っていないわけですが。

ガザのリビエラ計画については、思うに、トランプは不動産事業の良いプロジェクトぐらいに思っただけなのでしょう。国際法や人権や国際社会の受け止め、パレスティナの苦難の歴史などの諸事情に思いを巡らせることができるような思考力はこの男にはないのです。自分の利害と「取引」の損得でしか物事を考えられない俗物中の俗物。この男に善意や誠意、高潔さ、公正さや思いやりは期待すべくもありません。しかし、一方で、大統領という権力を振り回す忖度ないキチガイぶりが、ひょっとしたら意図せぬマグレ当たりで、従来の”Deep State"による支配構造を掻き回すこともできるのではないか、とも思うわけです。

それにしても、こんな信用できない男にわざわざホワイトハウスまでノコノコ出向いて、多額の経済投資を約束してきた石破。五人に一人が貧困という日本で、給料だけでも年に何千万円と税金から支払ってもらっている立場でありながら、$1 Trillion(15兆円)の米国への投資を約束した石破。この男も自己保身以外の何も考えてないのでしょう、アメリカへの絶対服従という自民党歴代首相の脳死したパブロフ犬ぶりはもはや伝統技能の域です。NHKは、今回のトランプ政権が始まってからのホワイトハウスで外国の要人との会談は、石破で二人目、とまるで自慢するかのように報道していましたが、一人目は、あの世界で最も嫌われている戦争犯罪人、ネタニヤフ、つまりトランプのご主人様、そして二人目はトランプの下僕、石破だったという話。トランプにとっては、一人目は命令を受けるだけ、二人目は命令するだけ、の簡単なお仕事。ネタニヤフはアメリカに大金を払わせ、石破はアメリカに大金を払わされる、日本国民は石破に搾り取られ、そうしてパレスティナ人は殺される。

さて、それから、先週は、ウクライナ戦争に関して、トランプの和平計画がリークされたとの報道がありました。トランプがプーチンと電話会談をしたというニュースもありました。ウクライナ問題など、トランプも自らに直接利害関係がないことに関しては普通の判断はできるのかも知れません。
その解説図が下のツイート。

ま、しばらく前に予想した通りですが、ロシアがロシア系住民の住む東部州とクリミアを支配し、キエフは中立を宣言する、これが現時点で考えられるベストの妥協案でしょう。というより、これ以外の案ではロシアは納得しないでしょう。事実、この案は、戦争開始一ヶ月後の2022年の3月のイスタンブールでの交渉でウクライナが提案した和平案に極めて近いものでした。この案にロシア側には不満はなかったでしょう。この時点で交渉がまとまっていれば、多くのウクライナ人が死ぬことはなかったと思います。交渉をぶち壊したのはアメリカとNATOの意を受けてキエフを電撃訪問したボリス ジョンソンでした。

いずれにせよ、アメリカのネオコンと軍産の手先に担がれ、使われたゼレンスキー本人にとっては完全敗北。Black Rockは、この戦争でボロ儲けした上に借金のカタにウクライナの農地を手に入れて一人勝ち。そのツケを払わされたのは一般ウクライナ国民。

悪質だなと思うのは、マスメディア。いまだに、「プーチンはヒトラーのように領土を拡大しようと西側に侵攻しようとしている」とロシアに対する恐怖と反感を煽り、ウクライナ人が総玉砕するまで戦わせて、ロシアを悪者に仕立てて、ウクライナをとことん利用しようとしているようです。西側マスメディアはほぼ全てがアメリカの支配下にあり、日本も含む西側の世論醸成を図っております。アメリカにとって都合の悪いロシア側の主張や公式文書が西側メディアにそのまま流れることはありません。西側のプロパガンダに関しては、昨年のTucker Carlsonのプーチンへのインタビューでプーチンは下のように言っています。


(おそらく、ノルド ストリーム 2パイプラインが爆破されたことに関して)
カールソン「NATOやCIAの仕業であるという証拠があるのに、どうして、それを発表して世論を味方につけないですか?」
プーチン 「(苦笑いしながら)プロパガンダの世界でアメリカに勝つというのはとても困難なのだ、なぜならアメリカは世界のメディアと多くのヨーロッパのメディアをコントロールしているからだ。ヨーロッパのメディアの最大の受益者はアメリカの金融機関なのだ。知っていたかね?だから、プロパガンダ戦争に進むことは可能ではあるが、コストに釣り合わないのだ。我々は単に我々の情報の元を照らし出すことはできるわけが、それは結果に繋がらない、、、」

知らない人ほどプロパガンダに乗せられて「知っている」と思い込む。そうした人々によって、ソクラテスは死刑となり、大本営発表を真に受けた日本国民の多くは無条件降伏の直前まで日本の勝利を信じ、最近の選挙ではSNSの陰謀論に引っかかってとんでもない候補が票を集めたりしたわけです。歴史は繰り返し、民主主義の名の元にヒトラーやネタニヤフやトランプのような失格者が権力を握ることになり、多くの人々が殺されることになりました。これは今後AIの世の中になるとより悪くなるでしょう、AIは真実よりはプロパガンダをより多く汲み取って増幅させるでしょうから。
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コロナの起源

2025-02-04 | Weblog
トランプは、相変わらず世界を引っ掻き回しております。先週は、カナダとメキシコに25%の関税、中国に10%に追加関税を掛ける大統領令に署名したようですが、とても充分にシミュレーションをやって深慮の上で決定したものとは思えません。早速、カナダは報復でアメリカからの輸入物に25%の関税返しを宣言。中国も報復措置を取ると宣言。これでますますアメリカ国内の物価は上がるでしょうし、直ちに雇用が増えるわけではないでしょうから、遠からずアメリカ国民の不満が爆発するでしょう。いつもの独善的な思いつきなのでしょうが、迷惑なことです。とにかく、一つ一つの行動や発言に、大統領という強大な権力を預かっている人間が持つべき思慮深さと慎み深さが欠けています。大統領選では、オハイオでは移民がペットの犬を食べていると言ったり、ガザではアメリカが送ったコンドームで爆弾を作っていると言ったりするレベルですから、バイデンの認知症よりタチが悪いかも知れません。全任期中のコロナが蔓延し出した時には、ウイルスは紫外線や漂白剤で死滅するという話を聞いて「コロナ患者に漂白剤と紫外線を注射したらよい」と会見で言って、失笑を買ったのを思い出しました。

コロナと言えば、先週、トランプの情報開示命令に則し、秘匿情報の公開に際して、CIAは新型コロナウイルスの起源についてコメントを出しました。後さき考えず、思いつきで引っ掻きまわすトランプの行動が、意図せず良い結果を生むこともあります。

、、、米中央情報局(CIA)は、COVID-19パンデミックは自然界から発生したものよりも、実験室から発生した可能性が高いととCIAのスポークスマンが土曜日に語った。
CIAは何年もの間、COVID-19が実験室で発生したものなのか、それとも自然界で発生したものなのか、結論は出せないとしてきた。しかし、バイデン政権末期の数週間、ウィリアム・バーンズ前CIA長官はCIAのアナリストと科学者たちに、パンデミックの歴史的重要性を強調し、明確な判断を下すよう求めた。、、、(CIA長官のJohn Ratcliffe は)「私は、我々の情報、科学、そして常識のすべてが、COVIDの起源は武漢ウイルス学研究所から漏れたものであると確信している。」と語った。

昨年6月、アメリカ議会は前NIHアレルギー感染症研究機関(NIAID)トップであったアンソニー ファウチを招致し、COVID19の起源についての質疑を行っていますが、その時の内容はこうでした。

、、、共和党が主導する小委員会は、パンデミックに対する国の対応と、米国が資金を提供した中国での研究がパンデミック発生に何らかの役割を果たしたかどうかを1年以上かけて調査してきた。、、、ファウチは以前から、どちらの説(研究室リーク説と自然発生説)も受け入れるが、COVID-19が自然起源であることを支持する証拠の方が多い、と公言してきた。 、、、NIH(ファウチがディレクターであったNIH機関の一つのNIAID)は長年にわたり、エコヘルス・アライアンスと呼ばれるニューヨークの非営利団体に助成金を提供してきた。エコヘルスはその資金の一部を使って、コウモリがよく媒介するコロナウイルスを研究している中国の研究所と協力していた。 先月、政府はエコヘルスの連邦政府からの資金援助を停止した。、、、ファウチは、エコヘルスの資金で研究されたコウモリのウイルスがパンデミックを引き起こしたウイルスに変化することは「分子学的に不可能である」と述べた。、、、

ホワイトハウスもCIAも、新型コロナウイルスが研究室由来であるとすると、中国の武漢のウイルス研究所が原因である、という論調で中国を非難しています。然るに、この研究所がアメリカのNIHからの研究資金を受けていたことは、COVID-19が始まった頃から明らかにされており、COVID-19はアメリカと中国の研究室の共同研究の結果産物であったことが推測されていました。今回のCIAのCOVID-19情報に関する発表に関して、Jeffery Sachsは最近のインタビューで聞かれて、次のように述べています。


、、、、私はCOVID-19問題の国際協議会の議長であったので、この四年間、この件については、深く調査した。CIAはついに、新型コロナウイルスが研究室から漏れ出たものであることを認めたが、言わなかったことがある。それはこのウイルスは、中国で試験はされたかも知れないが、中国の研究室で作り出されたものではなく、おそらくアメリカの研究室で作り出されたものであるということだ。ノースキャロライナ大学(UNC)の研究室であると思われる。そう考える理由は複数あるが、詳細はバイデン政権によって隠されてきた。(筆者注:2014年以来、エコヘルスに助成金を出してきたNIAIDのディレクターであったファウチに対し、現在何の起訴さえ行われていないファウチを、バイデンが政権末期に行った恩赦の対象の一人であったということが陰謀説の根拠の一つとなっています)、、、、本来なら、率先して情報公開するはずのノースキャロライナ大学は、2019年のemailを公開せずに秘匿していることに対して、訴えられている。

アメリカの中でも比較的地味な南部の州、ノースキャロライナですが、生命研究においては、東部のエリート州に肩を並べるパワーハウスであります。その内陸部の田舎に、リサーチ トライアングルと呼ばれる三つの研究機関、デューク大学、ノースキャロライナ州立大学、ノースキャロライナ大学(UNC)チャペルヒル校が配置され、高度な研究活動が活発に行われております。

調べてみると、確かに、カリフォルニアの団体が、武漢の研究所と関係のあったUNCのDr. Ralph Baricの研究室に関しての情報開示を求める訴えを2022年にUNCに対して起こしています。

Ralph Baricに関して、Wikipediaには次のような記載があります。
2015年、彼は武漢ウイルス学研究所のShi Zhengliと共に、"A SARS-like cluster of circulating bat coronavirus shows potential for human emergence"と題する論文で、マウスに感染するSARS-CoV(rMA15)のバックボーンにコウモリコロナウイルス(SHC014)のスパイクを追加したキメラウイルスの作製に関する彼らの研究を発表した。 この研究は、SHC014-rMA15キメラウイルスがパンデミックの可能性を持っているのではないかという懸念から、他の科学者から批判を浴びた。、、、(詳細は2021年のMIT technology reviewと関連するアメリカ政府の文書に詳細は詳しいです)。

つまり、Baricは、異なるウイルスを継ぎ合わせて、キメラウイルスを作る技術を持っており、コウモリのコロナウイルスの培養に苦労していた中国、武漢の研究者に、キメラによって他の種に感染可能にすることでコウモリのウイルスを増殖させる技術を供与して共同研究をしていた、ということです。COVID-19がこうして作り出されたキメラウイルスなのかどうかは明らかではないですが(Baric本人は否定しています)、ノースキャロライナ大でBaric研究室が作ったもの、もしくはBaric研究室の技術を使って中国の共同研究室が作ったものを漏れ出させてしまった疑いは強いです。とすると、これは陰謀ではなく、純粋に科学研究目的であったが、十分な注意を怠ったために危険なウイルスが社会に漏れ出て起きた事故であるという可能性が高いと思われます。武漢のウイルス研究所で中国の共同研究者がヒト感染能力のあるキメラウイルスを使って動物実験を行った後、感染した動物が適切に処理されずに、誰かが、近所の野生動物肉市場に持ち込んだのだろうと想像されます。

何を今さらという感がありますが、弱毒化はしたというものの、COVID19はいまだに流行しており、研究室の杜撰な管理によって漏れ出たウイルスが世界中で重大な健康被害と犠牲者を出したのなら、許し難いことです。
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TikTok ban

2025-01-28 | Weblog
トランプが就任し、早速、数多くの大統領令を出しましたが、例によって幾つかは明らかに違憲性が高く、裁判沙汰になっているようです。品性下劣な重犯罪人のこの男が再びホワイト ハウスに帰ってきて、ま、不愉快なことが多いわけですが、バイデンやその後任のカマラ ハリスよりは、マシだと思うようにしています。

この度、トランプ政権に抜擢されたイーロン マスクのヒトラー式の敬礼が大きく問題になりましたけど、どういう意図だったのでしょうか。嬉しさのあまり、本性を出してしまったのか、あるいは深い意図を持ってアメリカのhubrisを示してみたのでしょうか。類を持って集まるとはよく言ったものですが、この男も、ひょっとしたら意図せぬ(あるいは意図的な)やらかしを通じて、アメリカと世界を変えてくれるのかも知れません。

というわけで、シオニスト資金の資金を受けてきて、前任期もテルアビブのアメリカ大使館をエルサレムに移したりとイスラエル全面支持姿勢を示してきたトランプ政権ですが、一貫してガザの大量殺人に加担してきたバイデン政権とは違う働きをしてくれるかも知れないことを、ごくわずかですが、期待しています。つまり、トランプの予測不能さが起こしてくれるかも知れない偶然の僥倖に対する期待です。(たぶん、裏切られるでしょうけど)

まず、トランプは正式にウクライナへの軍事支援を凍結すると決定しました。この決定によって、90年代から続いてきた米ネオコンのNATOによるロシア包囲計画およびアメリカ国家予算をウクライナ軍事支援を通じて軍需産業に環流させるマネーロンダリングスキームが一旦、止まります。冷戦終結時のソ連との協定を破り続け、アメリカはNATO拡大を続け、2014年、オバマ/CIAがウクライナの親露ヤヌコビッチ政権を転覆させて、ロシアを挑発し続けた結果、50万人と見積もられるウクライナ兵士と少なからぬ数のロシア兵を犠牲にすることになった今回の戦争に至ったわけですが、トランプによって、この30年にわたるネオコンの野望と軍産の陰謀が一旦は止められることになりそうです。普通なら、ゼレンスキーの処分後、次期大統領がウクライナの中立宣言し、ロシアが東部州とクリミア半島を支配しする条件で和解する、というあたりの落とし所に向かうのでしょうが、なんと言っても予測不能のトランプですから予断を許しません。

またアメリカ軍産は、計画では2027年に、次のマネーロンダリング プロジェクトとして台湾-中国紛争を煽り、日本の自衛隊を使って戦争させ、日本と台湾に武器を買わせるつもりだったようですが、トランプが言葉通りに政権運営するつもりなら、少なくともトランプ政権の間は、台湾と日本のウクライナ化は延期されるのではないかと期待しています。

また、トランプは、JFK暗殺に関する機密情報の公開を要求しています。JFKの暗殺には数々の陰謀論があります。一つはJFKが、FRBが発行するアメリカ通貨を政府の発行にしようと考えていたことがユダヤ金融の反感を買ったという説があります。そして、もう一つも、ユダヤがらみです。JFKは核実験禁止条約をまとめようとしていたが、初代イスラエル首相のベン グリオンが核実験を繰り返していたことに怒り、それがきっかけでベン グリオンが辞任するという事態に発展したこと、それからJFKがユダヤ ロビー団体、AIPACを外国機関として登録させ、その活動を制限しようと考えていたことがあり、JFKの政策に不満を持ったイスラエル/シオニスト勢力の意を受けたMossadが暗殺を計画、実行したという説があります。前回も触れましたが、アメリカ議会下院議員の2/3がAIPACから支援を受けています。支援者を裏切れないのは、統一教会や経団連などから支援を受けている自民党と同じです。

さて、それでは、今になって六十年も前のJFK暗殺に関する機密文書を公開させようとするトランプの意図は何でしょう?ひょっとしたら、もしかして、万が一の確率で、トランプはユダヤ勢力と戦うつもりなのではないかと、わずかな期待を掻き立てられます。その一方で、ガザのパレスティナ人をヨルダンやエジプトに受け入れるように言ったり、イスラエルにこれまで以上の支援を口にするなど、理解不能の一貫性のなさを示しています。

そして、今回は、バイデン政権の末期に、中国が親会社のTikTokをアメリカ国内で禁止するという法律が作られましたが、その法律の施行をなぜかトランプは90日、猶予するという決定をしました。これもなんらかの深い意図でなされたのか、あるいはいつもの気まぐれなのか、わかりません。

そもそも、このTikTok ban は「中国にアメリカ人利用者の個人情報や機密情報が盗まれるのを防ぐための安全保障の一環」として、前任期時にトランプが導入しようとしたもので、その後は、アメリカ政府も、対中国政策であると言ってきたわけです。しかし、この言い訳は破綻しています。これまでも、FaceBookやGoogleは集めた個人情報を中国に売ってきたのですから。今回、バイデン政権が決めたTikTok ban の本当の理由は、どうもイスラエルのようです。トランプがその政策執行を延期したとなると、ひょっとして、もしかしたら、万が一、という期待を持ちたくなります。

より。
、、、2020年8月、トランプは中国の監視に対する懸念と、このアプリが米国の国家安全保障にもたらすとされる脅威を理由に、TikTokを禁止したいと述べた。
 2023年11月、偽情報防止連盟(ADL)のジョナサン・グリーンブラットCEO兼ナショナル・ディレクターのTikTokに関するコメントがリークされた(下のTweet)。そのADLとは、1913年、米国における反ユダヤ主義的活動の増加を受けて、ユダヤ人奉仕団体N'nai B'rithによって設立されたものである。そして、米連邦最高裁判所で審理が始まり、TikTokは同国の表現の自由にとって不可欠な手段であるとの主張をしたわけだが、最高裁は、米国におけるTikTok禁止案を支持したのだった。、、、
アメリカはTikTokを禁止しようとしているが、それはシオニストとイスラエル ロビーの要求によるものだ。なぜならTikTokはガザで進行中のジェノサイドをあまりに多く暴露したからだ。

リークされた電話の中で、ジョナサン・グリーンブラットは、我々は「TikTok問題を抱えている」と語った: それは、すなわち、我々(シオニスト)の「殺人カルト」の本性を、あまりに多く、人々は見続けてしまったということだ。 それを阻止しないといけない。

lsraeI, not China, is the reason behind the TikTok ban.

They are the Thought Police straight from 1984. pic.twitter.com/q7G9jhZw5G

この映像の中では、Mitt Romney (かつての共和党大統領候補)は、ブリンケンとの対談で、「(TikTok禁止に関して)イスラエルはPRが上手いのだが、一体なにが起こっているのか。、、、TikTok禁止に対する圧倒的な支持はどういうことかと不思議に思わざるを得ない。TikTokは他のSNSに比べて、パレスティナ関連の投稿が圧倒的に多いからなのだろうか、、、」と言っています。

TikTokユーザーの発信するパレスティナの惨状とイスラエルの行状を伝える動画は、Z世代に多く共有され拡散されています。若者は映像を通じて、メディアとアメリカとイスラエル政府のプロパガンダを見抜いているということです。

それにしても、トランプの予測不能さは、ほとんどギャグ漫画ですな。
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US大統領とイスラエル政策

2025-01-21 | Weblog
トランプ就任にあわせてのハマスとイスラエルの6週間の停戦合意。しかし期間限定で停戦することにあまり意味はありません。6週後にはまたジェノサイドが再開するということです。しかも、今回の停戦合意の条件は2023年12月の停戦協議時と同じ条件。ネタニヤフが言葉通りに人質奪還を最優先と考えているのなら、一年以上前に人質は解放されていたのです。そして、わざわざ一年、人質の解放を遅らせて、この邪悪な男がやったことは筆舌に尽くし難い。総計20万人近くと見積もられるガザのパレスティナ人が殺され、その何倍もの人々が兵糧攻めにあい、ガザに住むほとんどの人が住処や財産を失って、行く先のない難民となりました。そして、今回、停戦合意がなされた後もイスラエルはガザを攻撃し、発効までの間に100人以上のパレスティナ人を殺し、発効後でさえも子供が殺されました。

これまでも停戦合意は停戦と人質交換、その後にガザの人道的支援と再建というのがセットになっていましたが、イスラエルは、人質交換が終わった後の合意を履行しようとしたためしが有りません。根っからの嘘つきでサイコパスのネタニヤフとそれを支持するシオニスト、彼らに人間性や正直さを期待する方が無理なのでしょうが。

しかしながら、今回の停戦に関しては多少、事情が違うかも知れません。トランプは従来の政治とのしがらみは薄く、しかも、これが最後の任期です。失うものはなく、彼のレガシーを作る最後の期間です。中東和平の実現をそのレガシー作りに考えてもいるでしょう。CIAやMosadによる暗殺を恐れなければや、ひょっとしたらやってくれるかも知れません。(ま、期待はできませんが)

イスラエルはアメリカ大統領が変わる節目には停戦をしてきました。2009年の停戦の際は、イスラエルは「オバマの就任までに、イスラエル軍はガザから撤退する」と述べています。つまり、アメリカの新大統領の就任時は、多少の配慮をしているということです。実際には、2009年の停戦はオバマの要求に応えたものだと考えられています。今回はトランプが要求したのでしょう。

しかし、そのオバマ政権が終了する直前の2017年の総括的記事では、こうあります。

、、、オバマ大統領がネタニヤフ首相を嫌っていることはよく知られているが、あまり知られていないのは、オバマの個人的なネタニヤフ首相に対する反感と、ユダヤ国家の福祉と安全保障に対するコミットメントが共存していることだ。
 オバマ大統領は、ハリー・S・トルーマン以来、最も親イスラエル的なアメリカ大統領の一人である。オバマは前任者の誰よりも多額の資金と武器をイスラエルに与えている。、、、イスラエルへの餞別は、今後10年間で380億ドルという途方もない軍事援助だった。、、、

そして、トランプもまた、2017年の就任後、ウエストバンクへのイスラエルの違法入植禁止の国連決議に反対し、イスラエルはウエストバンクへの違法入植を加速させていきます。しかし、イスラエルへの惜しみない支援と裏腹に、トランプもネタニヤフを無条件で支持しているわけではなく、今回のイスラエルのジェノサイドが始まった時には、大統領選予備選でネタニヤフを非難しています。また、先日は、紹介した通り、ネタニヤフを非難するJeffrey Sachsの動画をツイートさえしています。そして、バイデンもまた、イスラエルをこれだけ支持し、「ジェノサイド ジョー」とさえ呼ばれているにも関わらず、昨年、ネタニヤフを公けに批判しました。

つまり、歴代の大統領は、全員、ネタニヤフを嫌っているのに、なぜかイスラエルには多大な支援をしてきているわけです。思うに、これはAIPACなどのアメリカ国内のシオニスト勢力が、彼らの政治生命を握っている、ということなのでしょう。事実、450人ほどいるアメリカ下院議会で、AIPACの息がかかっていない議員は100人ほどしかいません。
しかし、上で触れたようにトランプに関しては、これまでの大統領とは多少、事情が違うと思います。そこに一縷の望みがあるわけですが。

それにしても、過去のニュース記事を見ていると、イスラエルは、パレスティナに対して、人権蹂躙、迫害、市民の殺害、アパルタイトとずっと今日と同じことをやってきて、同じウソをつき続け、短期の停戦は一時のガス抜きにしか過ぎず、「パレスティナを殲滅する」という彼らの狂った執念は常に一貫している、との認識を新たにさせられます。

イスラエルがシリアの崩壊に乗じてシリアへの爆撃を始め、ロシアがシリアから撤退したその裏で、プーチンは着々とアメリカなしで成り立つ安全な世界の構築を進めています。BRICSは今やコア メンバーが10カ国となり、パートナー国、加盟申請国などを合わせるとG7関連国を凌駕する経済圏となりました。そして、安全保障面でも、先週、ロシアはイランと二十年にわたる戦略的パートナーシップに調印。これでロシア北部とインドはイランを通じて陸路で結ばれることになります。また、これは、イランを最終の敵と考えているイスラエルが、アメリカを引き込んでイラン戦争を仕掛けようとする動きを大きく牽制することになるでしょう。しかも、「中東平和実現」を公約にしているトランプが就任しました。本来なら、アメリカはイスラエルを切り捨てる良い機会だし、それが直接パレスティナ問題の解決に繋がるのですけど、トランプがどう動くかが中東の未来を決めることになります。遠からず、ネタニヤフはイスラエル政府から去るでしょうし、アメリカは凋落して国外の紛争に関わっている余裕はなくなるとは思いますが。
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Deep Dark SOB

2025-01-14 | Weblog
シオニストユダヤ資本の援助を受け、前政権時にはイスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移したほどのpro-Israelのトランプ。1/10には口止め裁判で有罪が決定し、アメリカ史上初の重罪犯罪者の大統領がまもなく誕生します。その品性下劣としか言いようのない人間性とIQ73の脳力を持つこの男の予測不能さは、権力を手にした後に暴発すれば、良くも悪くも原爆一千発の破壊力となるでしょう。それは、アメリカ政治の邪悪さを爆破するだけのパワーを発揮するかも知れません。アメリカ人が彼に期待しているのは、喩えるなら「キチガイに刃物」的破壊力ではないでしょうか。「大統領」の職を小賢しくこなす優等生では、没落するアメリカ中流階級の苦境は打破できない、トランプのような毒を使って、毒を制するしかない、と考えざるを得ない事態にまで、彼らは追い込まれているのかもしれません。

これまでの彼の言動や行動を見ると、トランプは、戦争産業でカネ儲けしながら、世界のヘゲモニーを追求してきたネオコンを嫌っており、ロシアとは友好的にやりたいと思っているが、アジア人は軽蔑しており、イスラエルはとことん支持する、という方針なのだろうと想像していましたが、やはり、この男はなかなか予測不能です。先週にトランプがJeffery Sachsの切り抜き動画をツイートしたことが話題になっています。

このブログでも何度か紹介したコロンビア大のJeffrey Sachsですが、経済政策アドバイザーとしてアメリカ政府および世界各国の政府と長年、関わりを持ってきた彼は、謀略をもって世界の政府に介入してきたアメリカの外交戦略を厳しく批判してきています。先日もシリアの政権転覆に関して、シリアはネタニヤフが95年以来、イラク、リビアを含むターゲットにしてきた7つの国のうちの一つであり、ネタニヤフは(ユダヤロビーなどを通じて)アメリカを使って中東やアフリカ諸国で政権転覆を行わせてきたと、ネタニヤフとアメリカ政府の批判を行いました。事実、アメリカは、イランを除くネタニヤフのヒットリスト国7カ国のうち6つを直接的、間接的に転覆させました。ブッシュはイラクでフセインを殺し、オバマはリビアのガダフィを殺し、そしてシリア空爆も計画していました。シリアは、前任期中のトランプの経済制裁によって、石油からの利益を大きく損ない、アサド政権は軍隊さえ維持できなくなって崩壊したという経緯があります。これらは、アラブ、パレスティナの権利を守るためにイスラエルに抵抗する勢力であるヒズボラ、ハマス、フーチなどを根絶するためには、彼らを支援する国家を転覆させねばならない、と信じたネタニヤフの意向に沿って、アメリカがやったものだとSachsは言います。

これまでシオニストユダヤの資金援助を受け、イスラエルにはとことん優しかったトランプの先週のツイートが話題になりました。トランプは、Sachsがネタニヤフを”deep dark son of a b***h”と呼んで、ネタニヤフとアメリカ政府を強く批判している映像の一部をツイートしたのでした。これを以て、トランプがイスラエルへの外交政策を変換するのでは、という希望的意見が飛び交いました。もし、そうだったら素晴らしいことですが、自己愛性人格障害で品性下劣なIQ73のトランプのことです、期待は裏切られる確率の方が高いと思っておくべきでしょう。

しかし、このトランプのツイートの後、トランプの就任式に出席を予定していたネタニヤフはそれをキャンセル。トランプは「中東平和を実現する」とも言っており、トランプが中東平和を実現できるとしたら、それはネタニヤフの望むような形では無理でしょうから、ひょっとしたら、トランプはネタニヤフを本気で切り捨てるつもりなのかも知れません。(多分、違うでしょうけど)

Sachs:  、、、シリアの戦争はロシアが侵攻してきたからだ、と無知なレポーターが説明するが、そもそもロシアが介入を始める4年も前の2011年に、オバマがCIAを使って、アサド政権転覆を企んだのである。、、、何度、ニューヨークタイムズが、シカモア作戦(大統領令に基づくCIAによるアサド政権転覆作戦)のことを報じたか?10年に3回だ。これは「民主主義」なんかではない。これは「ゲーム」なのだ。お伽話のゲームだ。なぜ、2003年、アメリカはイラクに侵攻したか?この詐欺的な戦争は全く根拠のない言いがかりに基づいていたものだ。実際、彼らは、イラク戦争を国民に納得させる方法を話し合う会議を2002年から持っていた。彼らは常に戦争を欲しているのだ。そして、彼らはアメリカ人に戦争を「売る」方法、アメリカ人を徹底的に怖がらせる方法を見つけた。そもそもが詐欺的戦争なのである。これらの戦争は誰が起こしたか?驚くことに、ネタニヤフが元凶なのだ。1995年以来、彼は、ハマスやヒズボラを根絶するにはそれらを支援している国、つまり、イラク、イラン、シリア、を転覆させるのが唯一の方法だと信じている。この執念深い男は、いまだにアメリカとイランを戦わせようと躍起になっているのだ。奴は闇深いクソ野郎だ。、、、、、これらの戦争は全く大義のない詐欺なのだ。どこが「民主主義」対「独裁主義」だ?バカバカしい。、、、

そして、下のビデオはこのSOBが、アメリカのイラク侵攻前の2002年9月、アメリカ議会で、「イラクは大量殺人兵器を持っていることは間違いない、フセインを倒すことは非常なポジティブ効果を生む」と熱弁を振るった様子や「イランやリビアが密かに核開発を進めている」と子供だましの解説図で演説する様子、そして、それらが全く根拠のないウソの言いがかりであったことを示す6年前の映像です。「根拠がない」との批判にネタニヤフは「根拠はなくても戦争するべきだ、そうでなければ次の911が起こる」と滅茶苦茶を言い出し、結果、このビデオで述べられた三つの国、イラク、イラン、リビアの二つはアメリカによって政権が転覆し、多くの人々が殺され、数百年の歴史ある街は破壊され、社会は混乱を極めることになったのです。

よくも、これだけ公衆やTVの前で、根拠のないウソを堂々と吐けるものです。この子供じみた邪悪な男こそが最大の大量破壊兵器であり、人類の敵に他なりません。

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因果応報

2025-01-07 | Weblog
2025年となって一週間経ちました。
休みが長かったので普段と違う生活が続いた後、実感したことは、年をとってすっかり体の柔軟性がなくなったということです。ちょっと動かない日々が続いただけで、階段を数階昇ると息切れがするようになったし、運動しないと食事も少ししか食べれなくなりました。食べ過ぎたり、飲み過ぎたりすると、翌日一杯持ち越すようになってきました。おかげで、自分の体をよく観察する習慣がつきましたが。

今年は、昔の友人数人から、メールで年末年始のメッセージを貰いました。かつて一緒に働いていた部下の人、大学院生時代に知り合った友人、昔の同僚、と様々です。「朋あり遠方から来たる、また楽しからずや」が実感できる年になりました。知り合って長い年月が経って、共通しているのは、皆が同じように歳をとり、病気になったり、引退を考えたり、新たな道に踏み出したり、とそれぞれの人生をそれぞれに生きていることです。それで、いまだに私のことを思い出しては連絡してくれる人々がいることはとても嬉しいことです。

一方で、ガザでの大虐殺が二つの正月を越えることになるとは思いませんでした。考えれば考えるほど、思えば思うほど、イスラエルの長年の暴虐への憤りとそれを援助し続けてきたアメリカと日本も含むその属国の身勝手さに怒りを禁じ得ません。ネタニヤフとその政権を支持するシオニスト、自らの保身のために大虐殺に加担するアメリカ議会議員、彼らはどうしてこうも残虐で意地汚く愚かなのでしょう。

イスラエルはガザのほとんどの病院を攻撃し破壊しました。戦場で働くジャーナリストを最も多く殺しました。1日平均40人以上という数の子供を最も多く殺した国がイスラエルです。最も多くの医療従事者を殺したのがイスラエルです。
そもそも、病院や子供やジャーナリストを意図的に狙って殺すような「戦争」がどこの世界にあるのでしょう。どれほど捻じ曲がったロジックでも「戦争」において、子供や医療関係者やジャーナリストを殺すことをを正当化はできません。これこそが、イスラエルが、「ハマス」だの、「自己防衛」だのという口実で行ってきた汚らしい行いが、戦争ではなくジェノサイドである証拠に他なりません。どこの世界に自己防衛のために武装もしていない子供や患者ケアに従事する医療者を狙って殺すような軍隊があるのでしょうか。

10日前は、ガザ北部に唯一残っていたKamal-Adwann病院の院長であった小児科医のHussam Abu Safiya氏が、重症患者を置いて病院から立ち退くようにとのイスラエル軍の要求に抵抗したため、イスラエルに拉致されるというニュースが流れました。彼の安否はいまだに不明です。瓦礫の中で一人戦車に立ち向かう姿が世界中の医療者を動かし、世界中で医療関係者がデモを行うという事態に発展しました。


良識と理性と人間性を備えた世界の人々が、イスラエルのネタニヤフ政権をどう見ているかは自明です。これほど世界中から嫌われる国が生きていくには、力で押さえつけるしかないでしょう。イスラエルにはそんな力はありません。これまで、アメリカ議員を金と脅しでコントロールし、アメリカ議会を操り、アメリカの国家予算を使ってイスラエルを支援させてきたからこそ、イスラエルはこのような暴虐を行うことができました。しかし、そうしたロビー活動や買収が必要であったという事実そのものが、イスラエルを支援することは、(議員の保身には必要であったにせよ)、必ずしもアメリカの国益に適ったものとは言えない、ということを示唆しています。これから下り坂に入っていくアメリカがどこかの時点で自らを顧みて反省し、イスラエルと縁を切ることを決断すれば、イスラエルの邪悪な力は失われます。

インターネットで、愚かな人の12の特徴を解説したサイトがありました。それによると、愚かな人は、1. 自己中心的、2. 人の悪口陰口を言う、3. マウントをとりたがる、4. 謝罪と感謝ができない、5. 感情で物事を決める、6. 自慢話が多い、7. プライドが高い、8. すぐに諦める、9. 自分の意見を絶対に正しいと思い込む、10. 失敗を人のせいにする、11. 他人の成功を妬む、12. 自分を過大評価する、らしいです。こういう行動や思考を続けると、周囲の人間に嫌われて孤立し、いずれ社会に居場所を失うことになるという点で「愚か」と考えられるわけですが、8を除くほとんどが、イスラエルに当てはまっています。

先日、昔ながらの友人と飲みながら、昔話をしました。何十年の付き合いなのでで、自然と、共通に知っている人々が、どういう人生を送ってきたのかというような話になり、結局、「因果応報」は確実に存在する、という結論に纏まりました。

旧約聖書の中で、神がイスラエルの人々に何を命令し何を約束しようとも、そしてたとえイスラエルがその聖書の神の言葉に従ってパレスティナ人の虐殺を行っただけであったとしても、「因果応報」の法則は関係なくイスラエルに適用されるでしょう。愚かな行いは愚かな仕打ちを受けることになるでしょう。そして、この後に及んで、イスラエルに$8 billionの武器支援という最後っ屁を放った自称アイルランド系シオニストのバイデンにも因果は巡ってくることでしょう。
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Nessun Dorma

2024-12-31 | Weblog
ジミー カーターが日曜日に100歳で死去しました。
ジョージアの田舎の教育委員会の出身で、真に民主的思想と動機の持ち主であったのではないかと私は想像しています。思うに、ウォーターゲート事件でニクソンが任期半ばで辞め、棚ぼたで大統領になったフォードとの戦いであったということが、カーターにとって選挙戦で有利に働いたと思います。こうしてユダヤ資本と大きな関わりのなかったカーターは大統領になり、そして、再選の選挙で大敗し、一期で政権を去ることになりましたが、経済政策の失敗に加えて、もう一つ要因となったと考えられているのが、中東政策と考えられています。有名なキャンプ デイビッド合意でイスラエルとエジプトの和平を取りもち、シナイ半島のエジプト返還を実現しました。しかるに、それはシナイ半島を超えてエジプトの領域の一部を含む大イスラエル構想を望むシオニストにとっては、喜ばしい取引ではなかったのではないでしょうか。加えて、マサチューセッツでの討論会で、アメリカ大統領として初めてパレスティナ人国家の建設を容認する発言をし、これらのことがシオニストユダヤの反感を買って、落選につながったと考えられています。カーターはその後も「人権外交」を継続し、2002年にはノーベル平和賞を受賞。2006に出版した本で、イスラエルのパレスティナ対するアパルタイト政策を批判し、「中東の問題の根源の多くはイスラエルである」と批判しました。おそらく史上、唯一、公にイスラエルを批判した大統領であったと思います。彼が人生最後の一年余り、どういう気持ちで現在行われているイスラエルのジェノサイドを眺めていたのでしょう。われわれが感じるよりは遥かに大きな悔しさや憤りや虚しさという思いを抱いて旅立って行ったであろうことは想像に難くありません。
「、、、アメリカ人もイスラエル人の多くも知りたくないことは、パレスティナで起きていることだ。それは、ひどい人権侵害で、外部の人間の想像の域を遥かに超えている。アメリカには強力な政治勢力があって、この聖地における問題の客観的評価を妨げている。ただ一人のアメリカ議会議員も、イスラエルが法的国境へ撤退するよう言うもの、あるいはパレスティナ人の苦境に声を上げるものはいないだろうと思う。、、、、これはタブーなのだ。もし議員の誰かがこのことを口にすると、その人は次の選挙で議会に戻ってくることはないだろう。、、、アメリカには内在的にイスラエルの安全保障を追求する勢力があり、アメリカにおいてイスラエル政府の政策を支援するAIPACと呼ばれるグループの非常に効果的な活動が輪をかけている。AIPACは平和を目指してはいるのではない。アメリカにおけるホワイトハウス、議会、メディアの(イスラエル政府に対する)最大限の支援を引き出すことを目標にしているのだ、、、、」

気の狂ったシオニズムというカルト集団が、謀略と力に任せて、悪魔的なやり方で、己が欲を満たすためだけに、無抵抗の子供や一般市民を一方的に殺しまくるという現状が76年間、特にこの一年以上も野放しにされており、それどころか、米英独といった軍事力と経済力に長けた国々が積極的にこの邪悪な行いを支援きているという地獄は信じがたいものがあります。この西側諸国の共謀、特にアメリカ外交政策の責任は極めて重いです。認知症のバイデンはともかく、ネタニヤフの演説に議会で拍手を送ったアメリカ議員は、己の保身と欲の前に持っていたはずの「人の心」を奥深く封印してし、苦しむ人々の声に耳を塞いでいるのでしょう。そうでなければ、ガザの大虐殺に加担している彼らが、夜ぐっすり眠れるはずがない。

イスラエルを支援し続ける西側の良心の欠如を批判する声はネタニヤフへの批判と同じく強いです。ネタニヤフはmadmanですから彼の前立腺と違って治しようがない。むしろネタニヤフの共謀者であるアメリカやヨーロッパのイスラエルへの支援を止めることが最も有効な手段です。

イタリアの国際法法律家で、国連のパレスティナ被占領地区の特別報道官を務めるFrancesca Albaneseは、ガザで行われているイスラエルのジェノサイドに対し、国際法および人道の立場から、説得力ある議論と非難を行ってきましたが、先週、マルチメディア、PassBlueが選ぶ、国連「今年の人」に、国連の永年パレスティナ観察官、Riyad Mansourとともに選ばれています。この受賞を受けて、彼女は下のようにツイートしています。

「最近私が受けた他の賞賛と同様、この賞は、過去14カ月間の私の行動(つまり、ジェノサイド(大量虐殺)に対する人間の正常な反応)についてというよりは、むしろ、イスラエルの犯罪に反対し行動すべきであったにもかかわらず、そうしなかった(特に西側諸国の)多くの人々の沈黙について語るものだ。彼らはどうやって夜眠れるのだろう」

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アイルランドの言葉

2024-12-24 | Weblog
イスラエルのネタニヤフ政権とその支持者の邪悪な悪行三昧は留まることを知らず、 パレスティナ人に対する迫害、殺害、爆撃、違法入植は現在もガザとウエストバンクで進行中です。そして、シオニスト資金とユダヤロビーに言いなりになってきたアメリカが課した厳しい経済制裁による経済的困窮のために軍を維持できなくなったアサド政権はトルコが支援するアルカイダの前に崩壊してしまいました。シリアを空爆しようとしたオバマ政権を耐えぬいたシリアのアサド政権ではありましたが、トランプによる経済制裁によってトドメを刺されたと言えましょう。そして、アサド政権崩壊の直後から、イスラエルはシリアの軍事施設に激しい空爆を開始し、シリア南部地域の侵略を開始し、実効支配地を増やしています。

イランが支援してきたレバノンのヒズボラやイエメンのフーチというパレスティナの大義を掲げる「抵抗の枢軸」を地政的に繋いでいたのがシリアであり、その崩壊はヒズボラとイランの弱体化を意味します。すなわち、イスラエルにとってはその邪悪な野望、大イスラエル計画達成への大きな前進であったということですが、パレスティナ人にとっては大きな痛手でした。

22年前の911の直後に計画されたアメリカによる7つの国の政権転覆計画がWes Clarkの有名なインタビューで明らかにされましたが、そのうち、今回のシリアで6つの国までが実行されました。アメリカの外交政策は、数十年にわたって、シオニスト ユダヤがAIPACなどのユダヤロビー団体、アデルソンのようなユダヤ資本によってコントロールされてきて、Trillionsのドル(数百兆円)が、イラク戦争に始まるイスラエルの戦争アジェンダのために注ぎ込まれました。

この上院議員のBernie Sandersの言葉にあるように、アメリカの政治家はイスラエルに反対するような意思を表明すると、AIPACや億万長者のシオニスト勢力がその財力を動員して、政治生命を奪いに来ます。それが怖くて、アメリカの政治家は意思に反してイスラエルを支持せざるを得ないのです。一般アメリカ人の大多数が反対するガザのジェノサイドでも、バイデン政権が国民の声を聞くことはありません。それどころか、アメリカ議会でのネタニヤフの気狂いじみた演説に満場のStanding ovationを贈るのがアメリカ議員です。民主主義と声高らかに叫ぶアメリカという国で、民意はカネと脅しの前には無力ということです。ま、これは日本の与党政治家も同じことでしょう。国民の大多数が反対する法案でも、スポンサーの要望があれば、いくら国会で理詰めで詰められても、いくら違法であっても何、強行採決で決定され、民意が重視されることはありません。消費税増税や解散を決めた時の野田の顔、変わるたびにレベルが下がっていく自民党総裁が苦し紛れの答弁をする時の顔、それらがこのことを雄弁にものがたっています。山本太郎はかつて国会で与党議員を「保守ではなく保身」と呼びましたが、それは、当の自公議員や多くの野党議員が最もよく自覚していることでしょう。

さて、二十数年前、大イスラエル構想を目指すシオニストの野望実現のために、アメリカが倒すべき国と設定された周辺7カ国、イラク、リビア、レバノン、スダーン、ソマリア、シリア、イランの国々のうち、現在、アメリカが戦争を仕掛けていないのはイランのみとなりました。イスラエルはアメリカをイランとの戦争に引き込もうと強く運動を進めてきています。

しかし、イランはシリアのようにはいきません。中東ではトルコに次ぐ軍事大国であり、ヒズボラ、フーチ、ハマスという「抵抗の枢軸」の人的資源を合わせると、アメリカとNATOが全力投入しないと倒せる相手ではありません。しかもイランはすでにBRICSメンバーの産油国、イランに手を出せば、ロシアも動かざるを得なくなります。

いずれにせよ、イスラエルがイランを倒そうと思えば、アメリカが対イラン戦争に深く介入することが条件で、普通の知能で考えたら、アメリカがイランを攻撃することはあり得ない。しかし、サイコパスのネタニヤフとシオニスト政権の支持者はカルト宗教の狂信ですから、常識は通じません。そして、彼らにコントロールされているアメリカ政治家は金と脅しで簡単に転ぶでしょう。では、シオニストユダヤの資金援助を受けて、イスラエルには優しいが、一方で、反ネオコンで、唯一戦争を始めなかったことを自慢するトランプはどうするでしょう。戦争以外でトランプが取れる手は更なる経済制裁でしょうが、その効果は限定的と思わざるを得ません。

トランプは二度、暗殺されかけました。想像するに、NY Milltary Academy在学時のテストでIQ 73だったとも言われるレベルのトランプの思考と行動は、最新AIでも予測不能であり、かつ、トランプは政治家として今期限り、守るものもない状態です。「扱いづらすぎる」と連中に思われたのではないでしょうか。われわれ、中東平和ひいては世界平和を望むものは、その予測不能さに一縷の望みを託さざるを得ないというのが何とも心許ないわけですが。

イランへの戦争はNATOのウクライナ取り込み計画同様、やがて、ロシアを相手にすることになるでしょう。今度はウクライナのようには終わりません。ロシアとアラブ連合軍がイスラエルに攻め入って中東発の世界大戦となると解釈される聖書の予言を思い出します。トランプがイランへ介入せず、中東和平に向けて動いてくれて、その間にネタニヤフが失脚してくれることを願っています。

現在、世界中で最も嫌われている国がイスラエルだと言って間違いないでしょう。好戦的で毎年のように周辺の国に攻撃を仕掛け、力(しかもアメリカの)に任せて、パレスティナの土地と財産と命を奪い、弱いものイジメを続け、国際法を破り続けるダントツの無法国家で、国際社会から度重なる非難を受け続けても全く無視、ひたすら利己的に振る舞う下品で淺ましい国、そのように思われても仕方がない。彼らシオニストは、ユダヤ人以外をGoy/Goyimと呼び、劣った人種だと考えているようですが、どう見ても「人間として」劣っているのは彼らの方です。ネタニヤフは間違いなく、後世の教科書にヒトラーと並んで、史上最大の人類に対する犯罪者、かつサイコパスとして紹介されることになるでしょう。

さて、世界のイスラエルへのBDS運動は多少の効果をあげているようですが、西側で最も強大な力を持つアメリカやイギリスがイスラエルの国際犯罪を幇助しつづけている中、各国の反ネタニヤフ キャンペーンも広がりつつあります。

先週は、ノルウェーがサッカー ワールドカップでイスラエルとの試合をボイコットすると声明を出しました。とりわけ、アパルタイト政策を身をもって知っている国々が早期からイスラエルのパレスティナへのアパルタイトに反対して声をあげてきました。ヨーロッパではイギリスからの差別に苦しんだアイルランドは、早くから南アフリカがイニシアティブをとったICJへのイスラエルの提訴に賛意を表明してきていました。そのアイルランドで、先日、イスラエルがアイルランドにある大使館を閉鎖しました。対話を拒み、力ずくで自分の意を通そうとするイスラエルは国際社会のメンバーの資格はありません。同様にその共犯であるアメリカやイギリスもボイコットされるべきでしょう。

イスラエル大使館閉鎖をめぐり、イスラエルはアイルランドを、バカの一つ覚えのように「反ユダヤ」であると非難しました。それに関連して、アイルランド大統領のMichael Higginsは会見で次のように述べました

自分の考えと違うからと言って、ネタニヤフ政権が、他の人々に勝手なラベルを張って非難するのは、深刻な問題だと思う。特に、ネタニヤフは数え切れないほど国際法を破ってきて、近隣の独立国の独立性を犯してきた。レバノン、シリア、そして、植民地を作りたいと望んでいるエジプトの3国だ。そんなネタニヤフを非難することが「反ユダヤ」だというのは、全く馬鹿げた捻じ曲げである。

同じくアイルランドの首相であるSimon Harrisも次のように言っています

(イスラエルが大使館を閉鎖したことは)「破壊」の外交だ。彼らの決断は大変、残念なことだと思う。、、、われわれは外交の努力を継続するつもりだが、誰もアイルランドを黙らせることはできない。言論の自由は保障されており、人々は思いを表現することはできるが、事実と異なることを言う権利はない。
中東、ガザで起こっていることは非常に深刻だ。アイルランドの立ち位置は第一日目から明確だ。人質は解放されなければならない。、、、しかし、同時に、無実の子供達が殺され、不具にされ、苦しんでいる。その現実を世界は十分に理解することさえできないのではないかと思う。われわれがガザに入って直接見るまでは、、、

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シリアの消滅

2024-12-17 | Weblog
西側メディアが、シリアのアサド政権崩壊をポジティブな出来事として報道する一方で、現地の今後に明るい未来は見えません。アラブ諸国は、基本的にすべて独裁国家であります。独裁と民主主義には、どちらにも長所と短所があり、いずれが良いかは、その背景や文化や価値観に依存するでしょう。「アラビアのロレンス」で描かれたように、アラブ社会で、個人の単位ではなく、「一族」の単位、「国家」の単位での存続が優先される場合には、民主主義ではやっていけないでしょう。民主主義的な軍隊というものが存在できないのと同じ理由で、軍や隊、一族として生き延びるには、統制のとれた行動とトップダウンの命令系統が厳密に維持される必要があり、個人(民衆)の自由は制限されます。

話がそれますが、日本の地域医療の崩壊の理由も大学医局の独裁権力が崩壊し、医師、医局員の民主化が進んだからと解釈できると思います。 大学医学部は都会にあり、都会を離れたくない医師を医局が強制的に地方医療に従事させることができなくなった結果、医師の偏在が起こり、地方の医療崩壊を招くことになったと思います。

故に、独裁主義が悪で民主主義が善であるというのは、あくまでコンテクストに依存していると思います。「民主化」を理由に、アメリカが他所の独立国に介入するのは、介入のための口実にすぎません。前回紹介したアサドの言葉にあるように、そもそも、われわれが与えられている「民主主義」というのは、時々の選挙で、用意された候補者に投票するぐらいの程度のものでしかありません。しかも選挙戦を戦うには多額の資金が必要です。そういうお金の支援のある「選ばれた」候補者しか、国民には選択肢がない。自前で資金を都合している共産党か、市民の支援で成り立っているれいわ以外は、物的、人的資本をもつスポンサー、資本家団体や宗教団体がバックにおり、結局、その候補者は投票した民衆の意思ではなく、バックの団体の意思を尊重します。 つまり、誰に投票しても一般国民の意思は二の次です。その証左が貧富の差の増大であり、消費税であり、被災地の切り捨てであり、過疎地の棄民政策です。現在、日本を含む西側の民主主義というのは、すでに羊頭狗肉で、実質的には資本家と権力者による独裁主義に過ぎないと言えましょう。

話を戻して、実際、イラク、リビア、ソマリア、スダーン、、、と、アメリカが「民主主義」を建前に、武力と策略によって政権の転覆を実行してきた国々がその後にどういう混乱に見舞われたかを見れば、シリアの未来も想像がつくというものです。一方で、TVや新聞では、アサド政権下のダンジョンで拷問を受けた人が解放されて苦難を語ったとか、民主化運動が実を結んだとか、というanecdotesが報道され、シリアの独裁政権の終わりを讃える論調で報道されています。もちろん、独裁で抑圧された人々や民主化を求める人が喜ぶのはわかりますが、結局は、その本質は、シリアという国が消滅し、アサドが、他所から来た別の搾取者(イスラエルとアメリカ、トルコ)のプロキシ(アル カイーダ)によってとって変わられるというだけのことで、国民の苦難はむしろ悪くなるであろうと思われます。下にあるように、アサド後のシリア政府の中心となると予測されるHTSは、国連認定テロ組織アルカイーダであり、彼らは、現在激化しているイスラエルによるシリア爆撃をさせるがままにしており、シリアの資源を保護しようとする気配はありません。また、イスラム過激派である彼らは少数派であるキリスト教者の弾圧も始めているようで、民衆が望む「平和で安全な民主主義国家」の実現どころか、シリアという国そのものの消滅、つまり東側はイスラエルの領土となり、北から西はトルコとアメリカによる石油利権の餌食となることを目指しているかのようです。

さて、今後のシリアについては、数日前のイギリスの中東専門家で政治家であるGeorge Gallowayのチャンネルでシリア のジャーナリスト、Richard Medhurstが状況を説明していますので、紹介します。

George: まずは、Richard、君と君の家族に、 君の国が滅んだことに弔意を示したい。
Richard: その通りだ。、、、事態は刻々と悪化している。、、、祖国は死んだ。それにしても西側メディアが行う「White-washing」は興味深く見ている。、、、HTS (政権を奪取した反アサド勢力)はアルカイーダだが、他に37の団体が動いている。彼らがどのような規則に則って動いているか知らないが、公けに暴力を振い、処刑を行っているのは現実だ。、、、、例えば、キリスト教徒の迫害が起こっている。これはアサドの問題ではない。、、、(イスラム過激派がアサド政権を倒したということで)シリアの多様性が滅んだという問題だ。間違いなく悲しむべき事態だ。
Geroge: また、領土の問題もある。シリアの一部は深く分断され、新オスマン帝国皇帝のエルドアンとアメリカが支援するクルディスタン労働者党の支配下にある。そして、トルコとイスラエルの侵攻によって、シリアは地理的にも滅んでしまった。
Richard:  その通りだ。、、、これは2回目、いや3回目だ。、、、トルコはシリアの北側を2019年から支配してきて、そこはHTS(アル カイーダ)の根城となっていた。そして、アメリカとNATO国であるトルコはユーフラテス川より東の石油を搾取してきた。シリアの高地、ゴラン高原はイスラエルに占拠されてしまった。今回、ダマスカスを占拠した反アサド勢力は、シリアの利益を守ると宣言したにもかかわらず、イスラエルとは戦おうともせず、イスラエルがシリアの軍事施設を破壊し、土地を略奪するがままに任せている。、、、、そして、イスラエルがシリアの軍事資源を破壊つくした後では、次に誰が政府を運営するかに関係なく、シリアは独立国家としては存在できない。、、、、イスラエルが現在行なっているシリアの軍事施設への爆撃は史上最大のものだ。そして新政府となる人々はそれを止めようともしない。
Geroge:、、、、結局のところ、シリアはどうなってしまうのだろうか?
Richard:、、、(アサド政権下で)シリアにトドメを刺したのは経済制裁で、それはトランプが課したものだ。シリアの1/4の収入は石油だが、ここ何年にもわたって、利益はアメリカに盗まれてきた。(こうした状況のために、シリアは経済的に極めて苦しい状態に陥った。)、、、今後、何が起こるかは予言できないが、起こるとすると、何らかのクーデターだろう。、、、、、そして、アメリカやイスラエルに加えて、アルカイーダを支援してきたトルコの役割を忘れるわけにはいかない。
George:、、、トルコはアメリカやイスラエルと協調しているのか、独立して動いているのだろうか?、、、
Richard:彼らはNATO加盟国であり、共通の利害もあるが、トルコはクルドを弱体化させたいという固有の欲求があり、独立した目的もあるだろう。、、、シリアは地理的、政治的にイラン、レバノン、パレスティナ、イラクを結んでいる。トルコは(パレスティナのジェノサイドに反対するような)そのポーズと裏腹に、イスラエルに石油を供給してその軍事行動を支援してきた。トルコにとってはこれらのアラブ諸国(抵抗の枢軸)を結んでいるシリアをイスラエルが潰すことは国益に叶うことなのだ。、、、、数年前ではなく、なぜ今、アサドが倒されたのか、それはイスラエルがガザ、レバノンと順番に潰して行く計画だったからだ。そして、イスラエルが次に狙っているのはイランだ。
George: あるいは、イランの前にイラクかも知れない。映画で見たようにISISがトヨタの車で砂漠を超えて、マイノリティーの多いイラクの第二の都市Mosulを占拠するのかも知れない。、、、、
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ネタニヤフのリスト

2024-12-10 | Weblog
シリアの内戦が激化し、ついにアサド政権は崩壊し、アサドはモスクワへ亡命することになりました。アサド政権崩壊の直前、トランプは「シリアはアメリカの友人ではない、アメリカが関与すべきことではない」とコメントしています。どういう意図があったのかわかりませんが、ひょっとしたら、トランプは中々の役者なのかもしれません。あるいは、ただの天然ですかね。

シリアの内戦は、2010年ごろから起きた「アラブの春」と総称される中東、アラブ世界での反政府運動の一部としておきました。反政府民兵と政府軍との内戦ですが、いつものことながら、アメリカを中心とした西側諸国が煽ったものです。そして、西側でも日本でも「アラブの春」は「アラブ社会の民主化運動」であり、独裁者に虐げられた民衆の抵抗であると喧伝され、「運動を抑制するために、独裁者アサドが自国民に対して化学兵器を使った」という言説が流布され、日本でも影響力のある人々がそれを信じて拡散したという経緯があります。オバマは当時、「アサド政権は退陣しないといけない」と公にシリアの内政に干渉し、政権転覆を図りました。アメリカが、アサド政権を一気に崩壊させるために、シリアへの空爆を一旦は決定したのは2013年の8月のことです。世界は一斉に反対し、結局、オバマはその決定を実行できませんでした。シリアの戦争は「アメリカと関係ない」どころか、「大あり」です。この経緯を踏まえると、トランプのこの言葉は、トランプが全てを承知していたとするなら、民主党とバイデン政権への批判でしょう。この調子で、「イスラエルのことはアメリカとは関係ない」とでも言ってくれて、イスラエルへの軍事支援を中止するのなら、トランプを今世紀で最も有能なアメリカ大統領と呼ぶのに私は躊躇いはないです。ま、そうはならんでしょうが。

いずれにしても、「民主化を望む国民の意思を支持し、圧政を敷く独裁者を倒す」という名目で他国の政権転覆を煽動するアメリカの手口はあまりに使い古されすぎました。TwitterやBlueskyのコメントを見ても、「アサド=独裁者=悪」というような単純な解釈を支持するような人は皆無です。実際、アサド政府軍を倒した民兵の中心組織はシャーム解放機構と呼ばれるアル カイーダ由来の過激派集団で、国連がテロ組織と認定した組織であり、彼らが政権を担ってマトモに政治ができるのかという疑問が残ります。そして、シャーム解放機構をアシストしたのがシリア自由軍であり、これはオバマ政権時の2015年ごろに米軍が訓練して組織した武装軍が起源です。つまり、シリアの民主化運動の本体は、アメリカによるアサド政権転覆工作であって、その動機はおそらくイスラエルということです。イラクのフセイン、リビアのガダフィ、そしてシリアのアサド、いつものパターンですね。これらの国で、フセインが縛首になり、ガダフィが暗殺された後、現在どのような状況にあるかを思えば、今後のシリアがどうなるかもなんとなく想像がつきます。そして、早速、イスラエルはゴラン高原からシリアに軍事行動を始め、シリアの爆撃を始めたようです。

数日前、コロンビア大のJeffrey Sachs氏へのインタビューで、彼は次のように述べています。
、、、
特別にシリアの内戦をよく知っている専門家の間では、「(アサド政権が使ったとされる)化学兵器は『偽旗』作戦(偽の白旗を揚げて相手を欺く行為;この場合は、反政府軍が民間人を化学兵器で殺害した上で、罪をアサド政府軍に擦りつけたとされる)の可能性が高い」という議論が真剣になされている。アメリカの外交政策を知っているものなら、偽旗作戦はCIAの真髄であることは周知のことだ。確実な証拠があるわけではないが、これが偽旗作戦である状況的証拠は十分にある。だからこそ、オバマはシリアに深く介入することを止めたのだと思う。、、、、、CIAは、1947年の創設以来、おそらく世界中の90 -100%の政権転覆に隠密裏に関与している。、、、、メディアは、ロシアがアサド支援に介入してきたから(アメリカが介入しないといけない)というが、ロシアがシリアに来たのは2015年で、アメリカがアサド政権を転覆させようとシリアに介入したのは2011 年だ。、、、、これは(シリアやレバノン、などなどの)これらの国々と戦争をしたいネタニヤフの挑発なのだ(注:シリア、レバノンの領地を含む大イスラエル構想実現のため)。、、、どうして、我々(アメリカ)は失敗するとわかっているネタニヤフの馬鹿げた計画のために働かないといけないのだ?、、、アメリカがシリアに介入したのは、シリアが「ネタニヤフのリスト」に入っていたからだ。、、、、前NATOのチーフコマンダーのWesley Clarkが911のあと、アメリカ国防省に来て「今後5年間で7つの(中東とアフリカの)国を消滅させなければならない」と言ったが、これらの国が「ネタニヤフのリスト」なのだ。、、、

Sachsが上で述べた、Wes Clarkのインタビュー映像の一部が下のツイートにあります。彼が、911の後、アメリカ国防省を訪れた時、アメリカがイラクに侵攻することになったことを知らされたが、その理由が不明であったこと、そして、5年で7つの国を転覆させるというアメリカの計画を知らせるメモについて話しています。

911での不可解なビルの崩落やペンタゴンでの物的証拠の不整合性をめぐり、ユダヤ人が関与したとする陰謀論はいまだに燻り続けておりますが、911の後、ブッシュが突然、イラクに侵攻すると宣言し、その根拠にイスラム テロリストとの戦いだと説明したこと、先のClarkの証言(下のビデオ)、これまでのイスラエルとアメリカの行動を繋ぎ合わせると、陰謀論というよりは、検証に値する正式な仮説というべきだと思います。シオニスト仮説、端的にはネタニヤフ仮説と呼ぶのが良いかもしれません。

下はしばらく前のアサドのインタビューで、資本主義国における民主主義の欺瞞について話をしています。日本もそのまま当てはまります。眼科医として長年ロンドンで診療にあたっていたアサドは西側社会を直接知っており、その批判は的確だと私は思いました。われわれ教えられている議会制民主主義の欺瞞が端的に述べられています。

「西側諸国の政府は、資本家に制御されている。すべては、会社の利益のための政治がなされ、人々のためになされることはない。西側諸国では中流層がなくなり、貧富の差が拡大している。国民ができるのは投票ぐらいで、それが民主主義だと教えられている。そして、西側の民主主義では、どれほど多くの人が街に出てデモを行っても、何も変わらないのだ。

独裁主義とか民主主義とかという点に関して言えば、第二次世界大戦後、何千万人もの人々を殺した国々が民主主義、人権、国際法について語るなど、考えられないことだ、、、、朝鮮戦争から今日に至るまで、罪ない人々を殺害し続け、アフガニスタン、リビア、シリアを占領した。そんな彼らが、民主主義とか、人権とか、国際法とか倫理観とかを語るのだ。聞いていると、彼らの言葉と詐欺泥棒の言葉の違いがわからない。彼らの言葉には何の価値もない」
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Hareetzの見解、洗脳と陰謀論

2024-12-03 | Weblog
下は、イスラエル メディア、Hareetzが先週に表明したネタニヤフのメディア迫害に対する編集長の声明です。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、限界のない独裁権力を追い求め、我々を黙らせるためにHareetzを迫害しようとしている。ネタニヤフ首相は、すべての権力監視機構を解体し、民主主義の門番を破壊しようとしているのだ。

ネタニヤフ首相は、独立した司法が存在しないイスラエルに作り替えて支配し、警察や治安機関を民兵化しようとしている。そして、彼を阻止する自由で批判的な報道などは存在しなくなる。

イスラエル政府がHareetzに制裁を科す決定を下したことは、この「破壊」の旅における新たな一歩にすぎない。我々は、ネタニヤフ首相と彼のプロパガンダ・マシンによる脅しには屈しない。私たちは屈服することなく、公共の利益のみを念頭に置いて、読者に奉仕し、報道の自由を守り続けていく。

アルフ・ベン
ハーレツ編集長

「ジャーナリズム」とは何かという問いには、表層的な意味を超えた「主義、原則」の問題が含まれていなければなりません。上の声明にあるようにジャーナリズムは単に「報道」するという行為ではなく、公共の利益を念頭に置いて、権力に屈せずに、読者に奉仕し、「報道の自由」を守るという使命に即して行われる行為であります。ちょうど、それは「医療とは何か」という問いに、「ヒポクラテスの誓い」から発展した「ジュネーブ宣言」の精神を抜きに答えることができないのと同じです。

しかるに、その精神を忘れ、権力の手先となったような(どこかの国の国営放送のような)メディアの活動は、上にあるようにプロパガンダ マシンと呼ぶべきであってジャーナリズムとは程遠いものです。

人間は、自分で事実を探り、自分の頭で吟味しないことに関しては、非常に簡単に洗脳されてしまうもののようです。離れてみてみると、イスラエルがパレスティナに対してこの76年に渡って行ってきたことの非道さは明らかなのに、シオニズム教育で洗脳された当のイスラエル人の少なからずは、ずっと自分たちは、アラブのテロリストの被害者だと思っております。彼らはパレスティナという土地がどこにあるかさえ教えられていないし、1948年以来、イスラエルが連綿と犯し続けてきた数々の犯罪の事実も知らないのです。自ら、史実を学ばず、深く考えない人々は、簡単に洗脳され扇動されます。
その典型例がヒトラーへの熱狂的な支持でしょう。

日本でも同様の扇動に乗る大衆行動をしばしば目にします。古くは関東大震災朝鮮人虐殺事件がそうですし、しばらく前なら、SNSや切り取り動画に乗せられた人々が東京都知事選で石丸氏に多数投票したことや、しかし、結局、トップ当選したのは二期連続実績ゼロの小池氏であったことなどは典型例でしょう。それから最近では兵庫県知事選挙で、「知事は議会にはめられた」という一種の陰謀論を信じた人々によって知事が再選されたこと。切り抜き動画やSNSのデマではなく、実際の事実やデータをもとに自分の頭で判断して人々が投票したのなら結果は違っていたのではないでしょうか。

心理学では、人間の脳には、難しく考えることを嫌う特性があり、短くて刺激的なわかりやすいフレーズを好むことがわかっているのだそうです。マスコミなどが大衆誘導をする場合などに頻繁に用いられる手法で、「○○をぶっ壊す」「既得権益」「岩盤規制」「国の借金問題」という短いフレーズだけで意図的に印象を操作できてしまい、短くてわかりやすいフレーズを繰り返し聞かされることで馴染んでしまえば、脳は簡単にはそれを否定できなくなるのだそうです。こうして思考停止に陥り、盲目的にあるテーゼを「信仰」してしまうということが容易に起こるようです。

こうきくと、自民党ではなく日本をぶっ壊した元首相とか、「東京大改革2.0」のキャッチフレーズおばさんとか、「身を切る改革」集団とか、口々に叫んでいた人々を思い出させます。SNSなどでのそうした単純な印象操作だけで、人々は簡単に洗脳され、信じ込むようです。そして、難しく考えることを嫌う人間の脳の特性ゆえに、人は簡単に陰謀論に飛びつくようです。人々が陰謀論に飛びつくのは、客観的に事実を洗い出して、吟味し、自分の頭で判断するという面倒臭いことをやらずに済むからでしょう。すべての謎は、正体不明の黒幕が何らかの悪意を持って仕掛けた陰謀によって説明できてしまうのですから。
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