百醜千拙草

何とかやっています

プロパガンダ

2025-02-11 | Weblog
先週は、「ガザをアメリカが保有して再開発する」とふざけたことを言い放ち、世界中から批判を浴びたトランプ。義理の息子にうってつけのプロジェクトだと思ったのかも知れませんが、思い付きのヨタ話を平気で公言するこの男の浅薄さには呆れ果てます。

ネタニヤフにしてもトランプにしても、選挙で選ばれた首相であり大統領だというのが信じられません。それが国民のレベルの表れで、民意なのだと言われたら仕方ありませんが、トランプが大統領になるような民主主義(衆愚政治)と、賢人が導く独裁国家なら後者の方がマシでしょう。ま、そもそもギリシャの時代から独裁は民主主義制から生まれるわけですが。

どんな職業にも遂行に必要な知識、技能や判断力が必要とされます。それらを満たさないものはその職につくべきではないと思います。強大な権力が託される大統領にも最低限の資格試験を科するべきでしょう。まして、この男は重犯罪人です。プラトンもかつて、「民主制国家は、政治活動をする者が、どのような仕事や生き方をしてきた人であろうと一向に気にも留められず、ただ人気さえあれば、権力が与えられる所だ」と皮肉っております。能力も資格もないのに煽動と人気取りだけは上手いこの男が大統領というのは、目立ちたがりの無免許暴走族に大型バスを運転させるようなものです。



George Gallowayも、トランプの「アメリカのガザ保有」発言には、呆れて「トランプも老人ボケになりつつあるのではないか」とコメントしています。無論、当事者のパレスティナ人とハマスと国際社会は激怒。

、、、ずる賢い邪悪なネタニヤフが、愚かなトランプを操っているのだろう。これを言うのは初めてだが言わせて欲しい。(私やバイデンもそうで)楽しい話ではないのだが、トランプは老化し耄碌してきているのではないか、と思い始めている」

このトランプの米のガザ保有発言について、質問を受けた国連の法律家のFrancesca Albaneseは、失笑しながら、「全くのナンセンスで、ジェノサイドより悪い」とコメント。


、、、ああ、トランプ大統領、、、どこから始めればいいのでしょう、、、端的に答えると、トランプのガザ再建は「全くのナンセンス」です。第一に、それは違法です。民族浄化よりもひどい。それは強制移住を強いることであり、国際犯罪です。、、、、、違法で、非倫理的であり、完全に無責任。、、、パレスティナ人以外の誰もどのようにガザを再建すべきかなど指図する権利はない。、、、

ま、アメリカもイスラエルも国際法や人権など屁とも思っていないわけですが。

ガザのリビエラ計画については、思うに、トランプは不動産事業の良いプロジェクトぐらいに思っただけなのでしょう。国際法や人権や国際社会の受け止め、パレスティナの苦難の歴史などの諸事情に思いを巡らせることができるような思考力はこの男にはないのです。自分の利害と「取引」の損得でしか物事を考えられない俗物中の俗物。この男に善意や誠意、高潔さ、公正さや思いやりは期待すべくもありません。しかし、一方で、大統領という権力を振り回す忖度ないキチガイぶりが、ひょっとしたら意図せぬマグレ当たりで、従来の”Deep State"による支配構造を掻き回すこともできるのではないか、とも思うわけです。

それにしても、こんな信用できない男にわざわざホワイトハウスまでノコノコ出向いて、多額の経済投資を約束してきた石破。五人に一人が貧困という日本で、給料だけでも年に何千万円と税金から支払ってもらっている立場でありながら、$1 Trillion(15兆円)の米国への投資を約束した石破。この男も自己保身以外の何も考えてないのでしょう、アメリカへの絶対服従という自民党歴代首相の脳死したパブロフ犬ぶりはもはや伝統技能の域です。NHKは、今回のトランプ政権が始まってからのホワイトハウスで外国の要人との会談は、石破で二人目、とまるで自慢するかのように報道していましたが、一人目は、あの世界で最も嫌われている戦争犯罪人、ネタニヤフ、つまりトランプのご主人様、そして二人目はトランプの下僕、石破だったという話。トランプにとっては、一人目は命令を受けるだけ、二人目は命令するだけ、の簡単なお仕事。ネタニヤフはアメリカに大金を払わせ、石破はアメリカに大金を払わされる、日本国民は石破に搾り取られ、そうしてパレスティナ人は殺される。

さて、それから、先週は、ウクライナ戦争に関して、トランプの和平計画がリークされたとの報道がありました。トランプがプーチンと電話会談をしたというニュースもありました。ウクライナ問題など、トランプも自らに直接利害関係がないことに関しては普通の判断はできるのかも知れません。
その解説図が下のツイート。

ま、しばらく前に予想した通りですが、ロシアがロシア系住民の住む東部州とクリミアを支配し、キエフは中立を宣言する、これが現時点で考えられるベストの妥協案でしょう。というより、これ以外の案ではロシアは納得しないでしょう。事実、この案は、戦争開始一ヶ月後の2022年の3月のイスタンブールでの交渉でウクライナが提案した和平案に極めて近いものでした。この案にロシア側には不満はなかったでしょう。この時点で交渉がまとまっていれば、多くのウクライナ人が死ぬことはなかったと思います。交渉をぶち壊したのはアメリカとNATOの意を受けてキエフを電撃訪問したボリス ジョンソンでした。

いずれにせよ、アメリカのネオコンと軍産の手先に担がれ、使われたゼレンスキー本人にとっては完全敗北。Black Rockは、この戦争でボロ儲けした上に借金のカタにウクライナの農地を手に入れて一人勝ち。そのツケを払わされたのは一般ウクライナ国民。

悪質だなと思うのは、マスメディア。いまだに、「プーチンはヒトラーのように領土を拡大しようと西側に侵攻しようとしている」とロシアに対する恐怖と反感を煽り、ウクライナ人が総玉砕するまで戦わせて、ロシアを悪者に仕立てて、ウクライナをとことん利用しようとしているようです。西側マスメディアはほぼ全てがアメリカの支配下にあり、日本も含む西側の世論醸成を図っております。アメリカにとって都合の悪いロシア側の主張や公式文書が西側メディアにそのまま流れることはありません。西側のプロパガンダに関しては、昨年のTucker Carlsonのプーチンへのインタビューでプーチンは下のように言っています。


(おそらく、ノルド ストリーム 2パイプラインが爆破されたことに関して)
カールソン「NATOやCIAの仕業であるという証拠があるのに、どうして、それを発表して世論を味方につけないですか?」
プーチン 「(苦笑いしながら)プロパガンダの世界でアメリカに勝つというのはとても困難なのだ、なぜならアメリカは世界のメディアと多くのヨーロッパのメディアをコントロールしているからだ。ヨーロッパのメディアの最大の受益者はアメリカの金融機関なのだ。知っていたかね?だから、プロパガンダ戦争に進むことは可能ではあるが、コストに釣り合わないのだ。我々は単に我々の情報の元を照らし出すことはできるわけが、それは結果に繋がらない、、、」

知らない人ほどプロパガンダに乗せられて「知っている」と思い込む。そうした人々によって、ソクラテスは死刑となり、大本営発表を真に受けた日本国民の多くは無条件降伏の直前まで日本の勝利を信じ、最近の選挙ではSNSの陰謀論に引っかかってとんでもない候補が票を集めたりしたわけです。歴史は繰り返し、民主主義の名の元にヒトラーやネタニヤフやトランプのような失格者が権力を握ることになり、多くの人々が殺されることになりました。これは今後AIの世の中になるとより悪くなるでしょう、AIは真実よりはプロパガンダをより多く汲み取って増幅させるでしょうから。
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コロナの起源

2025-02-04 | Weblog
トランプは、相変わらず世界を引っ掻き回しております。先週は、カナダとメキシコに25%の関税、中国に10%に追加関税を掛ける大統領令に署名したようですが、とても充分にシミュレーションをやって深慮の上で決定したものとは思えません。早速、カナダは報復でアメリカからの輸入物に25%の関税返しを宣言。中国も報復措置を取ると宣言。これでますますアメリカ国内の物価は上がるでしょうし、直ちに雇用が増えるわけではないでしょうから、遠からずアメリカ国民の不満が爆発するでしょう。いつもの独善的な思いつきなのでしょうが、迷惑なことです。とにかく、一つ一つの行動や発言に、大統領という強大な権力を預かっている人間が持つべき思慮深さと慎み深さが欠けています。大統領選では、オハイオでは移民がペットの犬を食べていると言ったり、ガザではアメリカが送ったコンドームで爆弾を作っていると言ったりするレベルですから、バイデンの認知症よりタチが悪いかも知れません。全任期中のコロナが蔓延し出した時には、ウイルスは紫外線や漂白剤で死滅するという話を聞いて「コロナ患者に漂白剤と紫外線を注射したらよい」と会見で言って、失笑を買ったのを思い出しました。

コロナと言えば、先週、トランプの情報開示命令に則し、秘匿情報の公開に際して、CIAは新型コロナウイルスの起源についてコメントを出しました。後さき考えず、思いつきで引っ掻きまわすトランプの行動が、意図せず良い結果を生むこともあります。

、、、米中央情報局(CIA)は、COVID-19パンデミックは自然界から発生したものよりも、実験室から発生した可能性が高いととCIAのスポークスマンが土曜日に語った。
CIAは何年もの間、COVID-19が実験室で発生したものなのか、それとも自然界で発生したものなのか、結論は出せないとしてきた。しかし、バイデン政権末期の数週間、ウィリアム・バーンズ前CIA長官はCIAのアナリストと科学者たちに、パンデミックの歴史的重要性を強調し、明確な判断を下すよう求めた。、、、(CIA長官のJohn Ratcliffe は)「私は、我々の情報、科学、そして常識のすべてが、COVIDの起源は武漢ウイルス学研究所から漏れたものであると確信している。」と語った。

昨年6月、アメリカ議会は前NIHアレルギー感染症研究機関(NIAID)トップであったアンソニー ファウチを招致し、COVID19の起源についての質疑を行っていますが、その時の内容はこうでした。

、、、共和党が主導する小委員会は、パンデミックに対する国の対応と、米国が資金を提供した中国での研究がパンデミック発生に何らかの役割を果たしたかどうかを1年以上かけて調査してきた。、、、ファウチは以前から、どちらの説(研究室リーク説と自然発生説)も受け入れるが、COVID-19が自然起源であることを支持する証拠の方が多い、と公言してきた。 、、、NIH(ファウチがディレクターであったNIH機関の一つのNIAID)は長年にわたり、エコヘルス・アライアンスと呼ばれるニューヨークの非営利団体に助成金を提供してきた。エコヘルスはその資金の一部を使って、コウモリがよく媒介するコロナウイルスを研究している中国の研究所と協力していた。 先月、政府はエコヘルスの連邦政府からの資金援助を停止した。、、、ファウチは、エコヘルスの資金で研究されたコウモリのウイルスがパンデミックを引き起こしたウイルスに変化することは「分子学的に不可能である」と述べた。、、、

ホワイトハウスもCIAも、新型コロナウイルスが研究室由来であるとすると、中国の武漢のウイルス研究所が原因である、という論調で中国を非難しています。然るに、この研究所がアメリカのNIHからの研究資金を受けていたことは、COVID-19が始まった頃から明らかにされており、COVID-19はアメリカと中国の研究室の共同研究の結果産物であったことが推測されていました。今回のCIAのCOVID-19情報に関する発表に関して、Jeffery Sachsは最近のインタビューで聞かれて、次のように述べています。


、、、、私はCOVID-19問題の国際協議会の議長であったので、この四年間、この件については、深く調査した。CIAはついに、新型コロナウイルスが研究室から漏れ出たものであることを認めたが、言わなかったことがある。それはこのウイルスは、中国で試験はされたかも知れないが、中国の研究室で作り出されたものではなく、おそらくアメリカの研究室で作り出されたものであるということだ。ノースキャロライナ大学(UNC)の研究室であると思われる。そう考える理由は複数あるが、詳細はバイデン政権によって隠されてきた。(筆者注:2014年以来、エコヘルスに助成金を出してきたNIAIDのディレクターであったファウチに対し、現在何の起訴さえ行われていないファウチを、バイデンが政権末期に行った恩赦の対象の一人であったということが陰謀説の根拠の一つとなっています)、、、、本来なら、率先して情報公開するはずのノースキャロライナ大学は、2019年のemailを公開せずに秘匿していることに対して、訴えられている。

アメリカの中でも比較的地味な南部の州、ノースキャロライナですが、生命研究においては、東部のエリート州に肩を並べるパワーハウスであります。その内陸部の田舎に、リサーチ トライアングルと呼ばれる三つの研究機関、デューク大学、ノースキャロライナ州立大学、ノースキャロライナ大学(UNC)チャペルヒル校が配置され、高度な研究活動が活発に行われております。

調べてみると、確かに、カリフォルニアの団体が、武漢の研究所と関係のあったUNCのDr. Ralph Baricの研究室に関しての情報開示を求める訴えを2022年にUNCに対して起こしています。

Ralph Baricに関して、Wikipediaには次のような記載があります。
2015年、彼は武漢ウイルス学研究所のShi Zhengliと共に、"A SARS-like cluster of circulating bat coronavirus shows potential for human emergence"と題する論文で、マウスに感染するSARS-CoV(rMA15)のバックボーンにコウモリコロナウイルス(SHC014)のスパイクを追加したキメラウイルスの作製に関する彼らの研究を発表した。 この研究は、SHC014-rMA15キメラウイルスがパンデミックの可能性を持っているのではないかという懸念から、他の科学者から批判を浴びた。、、、(詳細は2021年のMIT technology reviewと関連するアメリカ政府の文書に詳細は詳しいです)。

つまり、Baricは、異なるウイルスを継ぎ合わせて、キメラウイルスを作る技術を持っており、コウモリのコロナウイルスの培養に苦労していた中国、武漢の研究者に、キメラによって他の種に感染可能にすることでコウモリのウイルスを増殖させる技術を供与して共同研究をしていた、ということです。COVID-19がこうして作り出されたキメラウイルスなのかどうかは明らかではないですが(Baric本人は否定しています)、ノースキャロライナ大でBaric研究室が作ったもの、もしくはBaric研究室の技術を使って中国の共同研究室が作ったものを漏れ出させてしまった疑いは強いです。とすると、これは陰謀ではなく、純粋に科学研究目的であったが、十分な注意を怠ったために危険なウイルスが社会に漏れ出て起きた事故であるという可能性が高いと思われます。武漢のウイルス研究所で中国の共同研究者がヒト感染能力のあるキメラウイルスを使って動物実験を行った後、感染した動物が適切に処理されずに、誰かが、近所の野生動物肉市場に持ち込んだのだろうと想像されます。

何を今さらという感がありますが、弱毒化はしたというものの、COVID19はいまだに流行しており、研究室の杜撰な管理によって漏れ出たウイルスが世界中で重大な健康被害と犠牲者を出したのなら、許し難いことです。
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TikTok ban

2025-01-28 | Weblog
トランプが就任し、早速、数多くの大統領令を出しましたが、例によって幾つかは明らかに違憲性が高く、裁判沙汰になっているようです。品性下劣な重犯罪人のこの男が再びホワイト ハウスに帰ってきて、ま、不愉快なことが多いわけですが、バイデンやその後任のカマラ ハリスよりは、マシだと思うようにしています。

この度、トランプ政権に抜擢されたイーロン マスクのヒトラー式の敬礼が大きく問題になりましたけど、どういう意図だったのでしょうか。嬉しさのあまり、本性を出してしまったのか、あるいは深い意図を持ってアメリカのhubrisを示してみたのでしょうか。類を持って集まるとはよく言ったものですが、この男も、ひょっとしたら意図せぬ(あるいは意図的な)やらかしを通じて、アメリカと世界を変えてくれるのかも知れません。

というわけで、シオニスト資金の資金を受けてきて、前任期もテルアビブのアメリカ大使館をエルサレムに移したりとイスラエル全面支持姿勢を示してきたトランプ政権ですが、一貫してガザの大量殺人に加担してきたバイデン政権とは違う働きをしてくれるかも知れないことを、ごくわずかですが、期待しています。つまり、トランプの予測不能さが起こしてくれるかも知れない偶然の僥倖に対する期待です。(たぶん、裏切られるでしょうけど)

まず、トランプは正式にウクライナへの軍事支援を凍結すると決定しました。この決定によって、90年代から続いてきた米ネオコンのNATOによるロシア包囲計画およびアメリカ国家予算をウクライナ軍事支援を通じて軍需産業に環流させるマネーロンダリングスキームが一旦、止まります。冷戦終結時のソ連との協定を破り続け、アメリカはNATO拡大を続け、2014年、オバマ/CIAがウクライナの親露ヤヌコビッチ政権を転覆させて、ロシアを挑発し続けた結果、50万人と見積もられるウクライナ兵士と少なからぬ数のロシア兵を犠牲にすることになった今回の戦争に至ったわけですが、トランプによって、この30年にわたるネオコンの野望と軍産の陰謀が一旦は止められることになりそうです。普通なら、ゼレンスキーの処分後、次期大統領がウクライナの中立宣言し、ロシアが東部州とクリミア半島を支配しする条件で和解する、というあたりの落とし所に向かうのでしょうが、なんと言っても予測不能のトランプですから予断を許しません。

またアメリカ軍産は、計画では2027年に、次のマネーロンダリング プロジェクトとして台湾-中国紛争を煽り、日本の自衛隊を使って戦争させ、日本と台湾に武器を買わせるつもりだったようですが、トランプが言葉通りに政権運営するつもりなら、少なくともトランプ政権の間は、台湾と日本のウクライナ化は延期されるのではないかと期待しています。

また、トランプは、JFK暗殺に関する機密情報の公開を要求しています。JFKの暗殺には数々の陰謀論があります。一つはJFKが、FRBが発行するアメリカ通貨を政府の発行にしようと考えていたことがユダヤ金融の反感を買ったという説があります。そして、もう一つも、ユダヤがらみです。JFKは核実験禁止条約をまとめようとしていたが、初代イスラエル首相のベン グリオンが核実験を繰り返していたことに怒り、それがきっかけでベン グリオンが辞任するという事態に発展したこと、それからJFKがユダヤ ロビー団体、AIPACを外国機関として登録させ、その活動を制限しようと考えていたことがあり、JFKの政策に不満を持ったイスラエル/シオニスト勢力の意を受けたMossadが暗殺を計画、実行したという説があります。前回も触れましたが、アメリカ議会下院議員の2/3がAIPACから支援を受けています。支援者を裏切れないのは、統一教会や経団連などから支援を受けている自民党と同じです。

さて、それでは、今になって六十年も前のJFK暗殺に関する機密文書を公開させようとするトランプの意図は何でしょう?ひょっとしたら、もしかして、万が一の確率で、トランプはユダヤ勢力と戦うつもりなのではないかと、わずかな期待を掻き立てられます。その一方で、ガザのパレスティナ人をヨルダンやエジプトに受け入れるように言ったり、イスラエルにこれまで以上の支援を口にするなど、理解不能の一貫性のなさを示しています。

そして、今回は、バイデン政権の末期に、中国が親会社のTikTokをアメリカ国内で禁止するという法律が作られましたが、その法律の施行をなぜかトランプは90日、猶予するという決定をしました。これもなんらかの深い意図でなされたのか、あるいはいつもの気まぐれなのか、わかりません。

そもそも、このTikTok ban は「中国にアメリカ人利用者の個人情報や機密情報が盗まれるのを防ぐための安全保障の一環」として、前任期時にトランプが導入しようとしたもので、その後は、アメリカ政府も、対中国政策であると言ってきたわけです。しかし、この言い訳は破綻しています。これまでも、FaceBookやGoogleは集めた個人情報を中国に売ってきたのですから。今回、バイデン政権が決めたTikTok ban の本当の理由は、どうもイスラエルのようです。トランプがその政策執行を延期したとなると、ひょっとして、もしかしたら、万が一、という期待を持ちたくなります。

より。
、、、2020年8月、トランプは中国の監視に対する懸念と、このアプリが米国の国家安全保障にもたらすとされる脅威を理由に、TikTokを禁止したいと述べた。
 2023年11月、偽情報防止連盟(ADL)のジョナサン・グリーンブラットCEO兼ナショナル・ディレクターのTikTokに関するコメントがリークされた(下のTweet)。そのADLとは、1913年、米国における反ユダヤ主義的活動の増加を受けて、ユダヤ人奉仕団体N'nai B'rithによって設立されたものである。そして、米連邦最高裁判所で審理が始まり、TikTokは同国の表現の自由にとって不可欠な手段であるとの主張をしたわけだが、最高裁は、米国におけるTikTok禁止案を支持したのだった。、、、
アメリカはTikTokを禁止しようとしているが、それはシオニストとイスラエル ロビーの要求によるものだ。なぜならTikTokはガザで進行中のジェノサイドをあまりに多く暴露したからだ。

リークされた電話の中で、ジョナサン・グリーンブラットは、我々は「TikTok問題を抱えている」と語った: それは、すなわち、我々(シオニスト)の「殺人カルト」の本性を、あまりに多く、人々は見続けてしまったということだ。 それを阻止しないといけない。

lsraeI, not China, is the reason behind the TikTok ban.

They are the Thought Police straight from 1984. pic.twitter.com/q7G9jhZw5G

この映像の中では、Mitt Romney (かつての共和党大統領候補)は、ブリンケンとの対談で、「(TikTok禁止に関して)イスラエルはPRが上手いのだが、一体なにが起こっているのか。、、、TikTok禁止に対する圧倒的な支持はどういうことかと不思議に思わざるを得ない。TikTokは他のSNSに比べて、パレスティナ関連の投稿が圧倒的に多いからなのだろうか、、、」と言っています。

TikTokユーザーの発信するパレスティナの惨状とイスラエルの行状を伝える動画は、Z世代に多く共有され拡散されています。若者は映像を通じて、メディアとアメリカとイスラエル政府のプロパガンダを見抜いているということです。

それにしても、トランプの予測不能さは、ほとんどギャグ漫画ですな。
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US大統領とイスラエル政策

2025-01-21 | Weblog
トランプ就任にあわせてのハマスとイスラエルの6週間の停戦合意。しかし期間限定で停戦することにあまり意味はありません。6週後にはまたジェノサイドが再開するということです。しかも、今回の停戦合意の条件は2023年12月の停戦協議時と同じ条件。ネタニヤフが言葉通りに人質奪還を最優先と考えているのなら、一年以上前に人質は解放されていたのです。そして、わざわざ一年、人質の解放を遅らせて、この邪悪な男がやったことは筆舌に尽くし難い。総計20万人近くと見積もられるガザのパレスティナ人が殺され、その何倍もの人々が兵糧攻めにあい、ガザに住むほとんどの人が住処や財産を失って、行く先のない難民となりました。そして、今回、停戦合意がなされた後もイスラエルはガザを攻撃し、発効までの間に100人以上のパレスティナ人を殺し、発効後でさえも子供が殺されました。

これまでも停戦合意は停戦と人質交換、その後にガザの人道的支援と再建というのがセットになっていましたが、イスラエルは、人質交換が終わった後の合意を履行しようとしたためしが有りません。根っからの嘘つきでサイコパスのネタニヤフとそれを支持するシオニスト、彼らに人間性や正直さを期待する方が無理なのでしょうが。

しかしながら、今回の停戦に関しては多少、事情が違うかも知れません。トランプは従来の政治とのしがらみは薄く、しかも、これが最後の任期です。失うものはなく、彼のレガシーを作る最後の期間です。中東和平の実現をそのレガシー作りに考えてもいるでしょう。CIAやMosadによる暗殺を恐れなければや、ひょっとしたらやってくれるかも知れません。(ま、期待はできませんが)

イスラエルはアメリカ大統領が変わる節目には停戦をしてきました。2009年の停戦の際は、イスラエルは「オバマの就任までに、イスラエル軍はガザから撤退する」と述べています。つまり、アメリカの新大統領の就任時は、多少の配慮をしているということです。実際には、2009年の停戦はオバマの要求に応えたものだと考えられています。今回はトランプが要求したのでしょう。

しかし、そのオバマ政権が終了する直前の2017年の総括的記事では、こうあります。

、、、オバマ大統領がネタニヤフ首相を嫌っていることはよく知られているが、あまり知られていないのは、オバマの個人的なネタニヤフ首相に対する反感と、ユダヤ国家の福祉と安全保障に対するコミットメントが共存していることだ。
 オバマ大統領は、ハリー・S・トルーマン以来、最も親イスラエル的なアメリカ大統領の一人である。オバマは前任者の誰よりも多額の資金と武器をイスラエルに与えている。、、、イスラエルへの餞別は、今後10年間で380億ドルという途方もない軍事援助だった。、、、

そして、トランプもまた、2017年の就任後、ウエストバンクへのイスラエルの違法入植禁止の国連決議に反対し、イスラエルはウエストバンクへの違法入植を加速させていきます。しかし、イスラエルへの惜しみない支援と裏腹に、トランプもネタニヤフを無条件で支持しているわけではなく、今回のイスラエルのジェノサイドが始まった時には、大統領選予備選でネタニヤフを非難しています。また、先日は、紹介した通り、ネタニヤフを非難するJeffrey Sachsの動画をツイートさえしています。そして、バイデンもまた、イスラエルをこれだけ支持し、「ジェノサイド ジョー」とさえ呼ばれているにも関わらず、昨年、ネタニヤフを公けに批判しました。

つまり、歴代の大統領は、全員、ネタニヤフを嫌っているのに、なぜかイスラエルには多大な支援をしてきているわけです。思うに、これはAIPACなどのアメリカ国内のシオニスト勢力が、彼らの政治生命を握っている、ということなのでしょう。事実、450人ほどいるアメリカ下院議会で、AIPACの息がかかっていない議員は100人ほどしかいません。
しかし、上で触れたようにトランプに関しては、これまでの大統領とは多少、事情が違うと思います。そこに一縷の望みがあるわけですが。

それにしても、過去のニュース記事を見ていると、イスラエルは、パレスティナに対して、人権蹂躙、迫害、市民の殺害、アパルタイトとずっと今日と同じことをやってきて、同じウソをつき続け、短期の停戦は一時のガス抜きにしか過ぎず、「パレスティナを殲滅する」という彼らの狂った執念は常に一貫している、との認識を新たにさせられます。

イスラエルがシリアの崩壊に乗じてシリアへの爆撃を始め、ロシアがシリアから撤退したその裏で、プーチンは着々とアメリカなしで成り立つ安全な世界の構築を進めています。BRICSは今やコア メンバーが10カ国となり、パートナー国、加盟申請国などを合わせるとG7関連国を凌駕する経済圏となりました。そして、安全保障面でも、先週、ロシアはイランと二十年にわたる戦略的パートナーシップに調印。これでロシア北部とインドはイランを通じて陸路で結ばれることになります。また、これは、イランを最終の敵と考えているイスラエルが、アメリカを引き込んでイラン戦争を仕掛けようとする動きを大きく牽制することになるでしょう。しかも、「中東平和実現」を公約にしているトランプが就任しました。本来なら、アメリカはイスラエルを切り捨てる良い機会だし、それが直接パレスティナ問題の解決に繋がるのですけど、トランプがどう動くかが中東の未来を決めることになります。遠からず、ネタニヤフはイスラエル政府から去るでしょうし、アメリカは凋落して国外の紛争に関わっている余裕はなくなるとは思いますが。
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Deep Dark SOB

2025-01-14 | Weblog
シオニストユダヤ資本の援助を受け、前政権時にはイスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移したほどのpro-Israelのトランプ。1/10には口止め裁判で有罪が決定し、アメリカ史上初の重罪犯罪者の大統領がまもなく誕生します。その品性下劣としか言いようのない人間性とIQ73の脳力を持つこの男の予測不能さは、権力を手にした後に暴発すれば、良くも悪くも原爆一千発の破壊力となるでしょう。それは、アメリカ政治の邪悪さを爆破するだけのパワーを発揮するかも知れません。アメリカ人が彼に期待しているのは、喩えるなら「キチガイに刃物」的破壊力ではないでしょうか。「大統領」の職を小賢しくこなす優等生では、没落するアメリカ中流階級の苦境は打破できない、トランプのような毒を使って、毒を制するしかない、と考えざるを得ない事態にまで、彼らは追い込まれているのかもしれません。

これまでの彼の言動や行動を見ると、トランプは、戦争産業でカネ儲けしながら、世界のヘゲモニーを追求してきたネオコンを嫌っており、ロシアとは友好的にやりたいと思っているが、アジア人は軽蔑しており、イスラエルはとことん支持する、という方針なのだろうと想像していましたが、やはり、この男はなかなか予測不能です。先週にトランプがJeffery Sachsの切り抜き動画をツイートしたことが話題になっています。

このブログでも何度か紹介したコロンビア大のJeffrey Sachsですが、経済政策アドバイザーとしてアメリカ政府および世界各国の政府と長年、関わりを持ってきた彼は、謀略をもって世界の政府に介入してきたアメリカの外交戦略を厳しく批判してきています。先日もシリアの政権転覆に関して、シリアはネタニヤフが95年以来、イラク、リビアを含むターゲットにしてきた7つの国のうちの一つであり、ネタニヤフは(ユダヤロビーなどを通じて)アメリカを使って中東やアフリカ諸国で政権転覆を行わせてきたと、ネタニヤフとアメリカ政府の批判を行いました。事実、アメリカは、イランを除くネタニヤフのヒットリスト国7カ国のうち6つを直接的、間接的に転覆させました。ブッシュはイラクでフセインを殺し、オバマはリビアのガダフィを殺し、そしてシリア空爆も計画していました。シリアは、前任期中のトランプの経済制裁によって、石油からの利益を大きく損ない、アサド政権は軍隊さえ維持できなくなって崩壊したという経緯があります。これらは、アラブ、パレスティナの権利を守るためにイスラエルに抵抗する勢力であるヒズボラ、ハマス、フーチなどを根絶するためには、彼らを支援する国家を転覆させねばならない、と信じたネタニヤフの意向に沿って、アメリカがやったものだとSachsは言います。

これまでシオニストユダヤの資金援助を受け、イスラエルにはとことん優しかったトランプの先週のツイートが話題になりました。トランプは、Sachsがネタニヤフを”deep dark son of a b***h”と呼んで、ネタニヤフとアメリカ政府を強く批判している映像の一部をツイートしたのでした。これを以て、トランプがイスラエルへの外交政策を変換するのでは、という希望的意見が飛び交いました。もし、そうだったら素晴らしいことですが、自己愛性人格障害で品性下劣なIQ73のトランプのことです、期待は裏切られる確率の方が高いと思っておくべきでしょう。

しかし、このトランプのツイートの後、トランプの就任式に出席を予定していたネタニヤフはそれをキャンセル。トランプは「中東平和を実現する」とも言っており、トランプが中東平和を実現できるとしたら、それはネタニヤフの望むような形では無理でしょうから、ひょっとしたら、トランプはネタニヤフを本気で切り捨てるつもりなのかも知れません。(多分、違うでしょうけど)

Sachs:  、、、シリアの戦争はロシアが侵攻してきたからだ、と無知なレポーターが説明するが、そもそもロシアが介入を始める4年も前の2011年に、オバマがCIAを使って、アサド政権転覆を企んだのである。、、、何度、ニューヨークタイムズが、シカモア作戦(大統領令に基づくCIAによるアサド政権転覆作戦)のことを報じたか?10年に3回だ。これは「民主主義」なんかではない。これは「ゲーム」なのだ。お伽話のゲームだ。なぜ、2003年、アメリカはイラクに侵攻したか?この詐欺的な戦争は全く根拠のない言いがかりに基づいていたものだ。実際、彼らは、イラク戦争を国民に納得させる方法を話し合う会議を2002年から持っていた。彼らは常に戦争を欲しているのだ。そして、彼らはアメリカ人に戦争を「売る」方法、アメリカ人を徹底的に怖がらせる方法を見つけた。そもそもが詐欺的戦争なのである。これらの戦争は誰が起こしたか?驚くことに、ネタニヤフが元凶なのだ。1995年以来、彼は、ハマスやヒズボラを根絶するにはそれらを支援している国、つまり、イラク、イラン、シリア、を転覆させるのが唯一の方法だと信じている。この執念深い男は、いまだにアメリカとイランを戦わせようと躍起になっているのだ。奴は闇深いクソ野郎だ。、、、、、これらの戦争は全く大義のない詐欺なのだ。どこが「民主主義」対「独裁主義」だ?バカバカしい。、、、

そして、下のビデオはこのSOBが、アメリカのイラク侵攻前の2002年9月、アメリカ議会で、「イラクは大量殺人兵器を持っていることは間違いない、フセインを倒すことは非常なポジティブ効果を生む」と熱弁を振るった様子や「イランやリビアが密かに核開発を進めている」と子供だましの解説図で演説する様子、そして、それらが全く根拠のないウソの言いがかりであったことを示す6年前の映像です。「根拠がない」との批判にネタニヤフは「根拠はなくても戦争するべきだ、そうでなければ次の911が起こる」と滅茶苦茶を言い出し、結果、このビデオで述べられた三つの国、イラク、イラン、リビアの二つはアメリカによって政権が転覆し、多くの人々が殺され、数百年の歴史ある街は破壊され、社会は混乱を極めることになったのです。

よくも、これだけ公衆やTVの前で、根拠のないウソを堂々と吐けるものです。この子供じみた邪悪な男こそが最大の大量破壊兵器であり、人類の敵に他なりません。

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因果応報

2025-01-07 | Weblog
2025年となって一週間経ちました。
休みが長かったので普段と違う生活が続いた後、実感したことは、年をとってすっかり体の柔軟性がなくなったということです。ちょっと動かない日々が続いただけで、階段を数階昇ると息切れがするようになったし、運動しないと食事も少ししか食べれなくなりました。食べ過ぎたり、飲み過ぎたりすると、翌日一杯持ち越すようになってきました。おかげで、自分の体をよく観察する習慣がつきましたが。

今年は、昔の友人数人から、メールで年末年始のメッセージを貰いました。かつて一緒に働いていた部下の人、大学院生時代に知り合った友人、昔の同僚、と様々です。「朋あり遠方から来たる、また楽しからずや」が実感できる年になりました。知り合って長い年月が経って、共通しているのは、皆が同じように歳をとり、病気になったり、引退を考えたり、新たな道に踏み出したり、とそれぞれの人生をそれぞれに生きていることです。それで、いまだに私のことを思い出しては連絡してくれる人々がいることはとても嬉しいことです。

一方で、ガザでの大虐殺が二つの正月を越えることになるとは思いませんでした。考えれば考えるほど、思えば思うほど、イスラエルの長年の暴虐への憤りとそれを援助し続けてきたアメリカと日本も含むその属国の身勝手さに怒りを禁じ得ません。ネタニヤフとその政権を支持するシオニスト、自らの保身のために大虐殺に加担するアメリカ議会議員、彼らはどうしてこうも残虐で意地汚く愚かなのでしょう。

イスラエルはガザのほとんどの病院を攻撃し破壊しました。戦場で働くジャーナリストを最も多く殺しました。1日平均40人以上という数の子供を最も多く殺した国がイスラエルです。最も多くの医療従事者を殺したのがイスラエルです。
そもそも、病院や子供やジャーナリストを意図的に狙って殺すような「戦争」がどこの世界にあるのでしょう。どれほど捻じ曲がったロジックでも「戦争」において、子供や医療関係者やジャーナリストを殺すことをを正当化はできません。これこそが、イスラエルが、「ハマス」だの、「自己防衛」だのという口実で行ってきた汚らしい行いが、戦争ではなくジェノサイドである証拠に他なりません。どこの世界に自己防衛のために武装もしていない子供や患者ケアに従事する医療者を狙って殺すような軍隊があるのでしょうか。

10日前は、ガザ北部に唯一残っていたKamal-Adwann病院の院長であった小児科医のHussam Abu Safiya氏が、重症患者を置いて病院から立ち退くようにとのイスラエル軍の要求に抵抗したため、イスラエルに拉致されるというニュースが流れました。彼の安否はいまだに不明です。瓦礫の中で一人戦車に立ち向かう姿が世界中の医療者を動かし、世界中で医療関係者がデモを行うという事態に発展しました。


良識と理性と人間性を備えた世界の人々が、イスラエルのネタニヤフ政権をどう見ているかは自明です。これほど世界中から嫌われる国が生きていくには、力で押さえつけるしかないでしょう。イスラエルにはそんな力はありません。これまで、アメリカ議員を金と脅しでコントロールし、アメリカ議会を操り、アメリカの国家予算を使ってイスラエルを支援させてきたからこそ、イスラエルはこのような暴虐を行うことができました。しかし、そうしたロビー活動や買収が必要であったという事実そのものが、イスラエルを支援することは、(議員の保身には必要であったにせよ)、必ずしもアメリカの国益に適ったものとは言えない、ということを示唆しています。これから下り坂に入っていくアメリカがどこかの時点で自らを顧みて反省し、イスラエルと縁を切ることを決断すれば、イスラエルの邪悪な力は失われます。

インターネットで、愚かな人の12の特徴を解説したサイトがありました。それによると、愚かな人は、1. 自己中心的、2. 人の悪口陰口を言う、3. マウントをとりたがる、4. 謝罪と感謝ができない、5. 感情で物事を決める、6. 自慢話が多い、7. プライドが高い、8. すぐに諦める、9. 自分の意見を絶対に正しいと思い込む、10. 失敗を人のせいにする、11. 他人の成功を妬む、12. 自分を過大評価する、らしいです。こういう行動や思考を続けると、周囲の人間に嫌われて孤立し、いずれ社会に居場所を失うことになるという点で「愚か」と考えられるわけですが、8を除くほとんどが、イスラエルに当てはまっています。

先日、昔ながらの友人と飲みながら、昔話をしました。何十年の付き合いなのでで、自然と、共通に知っている人々が、どういう人生を送ってきたのかというような話になり、結局、「因果応報」は確実に存在する、という結論に纏まりました。

旧約聖書の中で、神がイスラエルの人々に何を命令し何を約束しようとも、そしてたとえイスラエルがその聖書の神の言葉に従ってパレスティナ人の虐殺を行っただけであったとしても、「因果応報」の法則は関係なくイスラエルに適用されるでしょう。愚かな行いは愚かな仕打ちを受けることになるでしょう。そして、この後に及んで、イスラエルに$8 billionの武器支援という最後っ屁を放った自称アイルランド系シオニストのバイデンにも因果は巡ってくることでしょう。
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Nessun Dorma

2024-12-31 | Weblog
ジミー カーターが日曜日に100歳で死去しました。
ジョージアの田舎の教育委員会の出身で、真に民主的思想と動機の持ち主であったのではないかと私は想像しています。思うに、ウォーターゲート事件でニクソンが任期半ばで辞め、棚ぼたで大統領になったフォードとの戦いであったということが、カーターにとって選挙戦で有利に働いたと思います。こうしてユダヤ資本と大きな関わりのなかったカーターは大統領になり、そして、再選の選挙で大敗し、一期で政権を去ることになりましたが、経済政策の失敗に加えて、もう一つ要因となったと考えられているのが、中東政策と考えられています。有名なキャンプ デイビッド合意でイスラエルとエジプトの和平を取りもち、シナイ半島のエジプト返還を実現しました。しかるに、それはシナイ半島を超えてエジプトの領域の一部を含む大イスラエル構想を望むシオニストにとっては、喜ばしい取引ではなかったのではないでしょうか。加えて、マサチューセッツでの討論会で、アメリカ大統領として初めてパレスティナ人国家の建設を容認する発言をし、これらのことがシオニストユダヤの反感を買って、落選につながったと考えられています。カーターはその後も「人権外交」を継続し、2002年にはノーベル平和賞を受賞。2006に出版した本で、イスラエルのパレスティナ対するアパルタイト政策を批判し、「中東の問題の根源の多くはイスラエルである」と批判しました。おそらく史上、唯一、公にイスラエルを批判した大統領であったと思います。彼が人生最後の一年余り、どういう気持ちで現在行われているイスラエルのジェノサイドを眺めていたのでしょう。われわれが感じるよりは遥かに大きな悔しさや憤りや虚しさという思いを抱いて旅立って行ったであろうことは想像に難くありません。
「、、、アメリカ人もイスラエル人の多くも知りたくないことは、パレスティナで起きていることだ。それは、ひどい人権侵害で、外部の人間の想像の域を遥かに超えている。アメリカには強力な政治勢力があって、この聖地における問題の客観的評価を妨げている。ただ一人のアメリカ議会議員も、イスラエルが法的国境へ撤退するよう言うもの、あるいはパレスティナ人の苦境に声を上げるものはいないだろうと思う。、、、、これはタブーなのだ。もし議員の誰かがこのことを口にすると、その人は次の選挙で議会に戻ってくることはないだろう。、、、アメリカには内在的にイスラエルの安全保障を追求する勢力があり、アメリカにおいてイスラエル政府の政策を支援するAIPACと呼ばれるグループの非常に効果的な活動が輪をかけている。AIPACは平和を目指してはいるのではない。アメリカにおけるホワイトハウス、議会、メディアの(イスラエル政府に対する)最大限の支援を引き出すことを目標にしているのだ、、、、」

気の狂ったシオニズムというカルト集団が、謀略と力に任せて、悪魔的なやり方で、己が欲を満たすためだけに、無抵抗の子供や一般市民を一方的に殺しまくるという現状が76年間、特にこの一年以上も野放しにされており、それどころか、米英独といった軍事力と経済力に長けた国々が積極的にこの邪悪な行いを支援きているという地獄は信じがたいものがあります。この西側諸国の共謀、特にアメリカ外交政策の責任は極めて重いです。認知症のバイデンはともかく、ネタニヤフの演説に議会で拍手を送ったアメリカ議員は、己の保身と欲の前に持っていたはずの「人の心」を奥深く封印してし、苦しむ人々の声に耳を塞いでいるのでしょう。そうでなければ、ガザの大虐殺に加担している彼らが、夜ぐっすり眠れるはずがない。

イスラエルを支援し続ける西側の良心の欠如を批判する声はネタニヤフへの批判と同じく強いです。ネタニヤフはmadmanですから彼の前立腺と違って治しようがない。むしろネタニヤフの共謀者であるアメリカやヨーロッパのイスラエルへの支援を止めることが最も有効な手段です。

イタリアの国際法法律家で、国連のパレスティナ被占領地区の特別報道官を務めるFrancesca Albaneseは、ガザで行われているイスラエルのジェノサイドに対し、国際法および人道の立場から、説得力ある議論と非難を行ってきましたが、先週、マルチメディア、PassBlueが選ぶ、国連「今年の人」に、国連の永年パレスティナ観察官、Riyad Mansourとともに選ばれています。この受賞を受けて、彼女は下のようにツイートしています。

「最近私が受けた他の賞賛と同様、この賞は、過去14カ月間の私の行動(つまり、ジェノサイド(大量虐殺)に対する人間の正常な反応)についてというよりは、むしろ、イスラエルの犯罪に反対し行動すべきであったにもかかわらず、そうしなかった(特に西側諸国の)多くの人々の沈黙について語るものだ。彼らはどうやって夜眠れるのだろう」

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アイルランドの言葉

2024-12-24 | Weblog
イスラエルのネタニヤフ政権とその支持者の邪悪な悪行三昧は留まることを知らず、 パレスティナ人に対する迫害、殺害、爆撃、違法入植は現在もガザとウエストバンクで進行中です。そして、シオニスト資金とユダヤロビーに言いなりになってきたアメリカが課した厳しい経済制裁による経済的困窮のために軍を維持できなくなったアサド政権はトルコが支援するアルカイダの前に崩壊してしまいました。シリアを空爆しようとしたオバマ政権を耐えぬいたシリアのアサド政権ではありましたが、トランプによる経済制裁によってトドメを刺されたと言えましょう。そして、アサド政権崩壊の直後から、イスラエルはシリアの軍事施設に激しい空爆を開始し、シリア南部地域の侵略を開始し、実効支配地を増やしています。

イランが支援してきたレバノンのヒズボラやイエメンのフーチというパレスティナの大義を掲げる「抵抗の枢軸」を地政的に繋いでいたのがシリアであり、その崩壊はヒズボラとイランの弱体化を意味します。すなわち、イスラエルにとってはその邪悪な野望、大イスラエル計画達成への大きな前進であったということですが、パレスティナ人にとっては大きな痛手でした。

22年前の911の直後に計画されたアメリカによる7つの国の政権転覆計画がWes Clarkの有名なインタビューで明らかにされましたが、そのうち、今回のシリアで6つの国までが実行されました。アメリカの外交政策は、数十年にわたって、シオニスト ユダヤがAIPACなどのユダヤロビー団体、アデルソンのようなユダヤ資本によってコントロールされてきて、Trillionsのドル(数百兆円)が、イラク戦争に始まるイスラエルの戦争アジェンダのために注ぎ込まれました。

この上院議員のBernie Sandersの言葉にあるように、アメリカの政治家はイスラエルに反対するような意思を表明すると、AIPACや億万長者のシオニスト勢力がその財力を動員して、政治生命を奪いに来ます。それが怖くて、アメリカの政治家は意思に反してイスラエルを支持せざるを得ないのです。一般アメリカ人の大多数が反対するガザのジェノサイドでも、バイデン政権が国民の声を聞くことはありません。それどころか、アメリカ議会でのネタニヤフの気狂いじみた演説に満場のStanding ovationを贈るのがアメリカ議員です。民主主義と声高らかに叫ぶアメリカという国で、民意はカネと脅しの前には無力ということです。ま、これは日本の与党政治家も同じことでしょう。国民の大多数が反対する法案でも、スポンサーの要望があれば、いくら国会で理詰めで詰められても、いくら違法であっても何、強行採決で決定され、民意が重視されることはありません。消費税増税や解散を決めた時の野田の顔、変わるたびにレベルが下がっていく自民党総裁が苦し紛れの答弁をする時の顔、それらがこのことを雄弁にものがたっています。山本太郎はかつて国会で与党議員を「保守ではなく保身」と呼びましたが、それは、当の自公議員や多くの野党議員が最もよく自覚していることでしょう。

さて、二十数年前、大イスラエル構想を目指すシオニストの野望実現のために、アメリカが倒すべき国と設定された周辺7カ国、イラク、リビア、レバノン、スダーン、ソマリア、シリア、イランの国々のうち、現在、アメリカが戦争を仕掛けていないのはイランのみとなりました。イスラエルはアメリカをイランとの戦争に引き込もうと強く運動を進めてきています。

しかし、イランはシリアのようにはいきません。中東ではトルコに次ぐ軍事大国であり、ヒズボラ、フーチ、ハマスという「抵抗の枢軸」の人的資源を合わせると、アメリカとNATOが全力投入しないと倒せる相手ではありません。しかもイランはすでにBRICSメンバーの産油国、イランに手を出せば、ロシアも動かざるを得なくなります。

いずれにせよ、イスラエルがイランを倒そうと思えば、アメリカが対イラン戦争に深く介入することが条件で、普通の知能で考えたら、アメリカがイランを攻撃することはあり得ない。しかし、サイコパスのネタニヤフとシオニスト政権の支持者はカルト宗教の狂信ですから、常識は通じません。そして、彼らにコントロールされているアメリカ政治家は金と脅しで簡単に転ぶでしょう。では、シオニストユダヤの資金援助を受けて、イスラエルには優しいが、一方で、反ネオコンで、唯一戦争を始めなかったことを自慢するトランプはどうするでしょう。戦争以外でトランプが取れる手は更なる経済制裁でしょうが、その効果は限定的と思わざるを得ません。

トランプは二度、暗殺されかけました。想像するに、NY Milltary Academy在学時のテストでIQ 73だったとも言われるレベルのトランプの思考と行動は、最新AIでも予測不能であり、かつ、トランプは政治家として今期限り、守るものもない状態です。「扱いづらすぎる」と連中に思われたのではないでしょうか。われわれ、中東平和ひいては世界平和を望むものは、その予測不能さに一縷の望みを託さざるを得ないというのが何とも心許ないわけですが。

イランへの戦争はNATOのウクライナ取り込み計画同様、やがて、ロシアを相手にすることになるでしょう。今度はウクライナのようには終わりません。ロシアとアラブ連合軍がイスラエルに攻め入って中東発の世界大戦となると解釈される聖書の予言を思い出します。トランプがイランへ介入せず、中東和平に向けて動いてくれて、その間にネタニヤフが失脚してくれることを願っています。

現在、世界中で最も嫌われている国がイスラエルだと言って間違いないでしょう。好戦的で毎年のように周辺の国に攻撃を仕掛け、力(しかもアメリカの)に任せて、パレスティナの土地と財産と命を奪い、弱いものイジメを続け、国際法を破り続けるダントツの無法国家で、国際社会から度重なる非難を受け続けても全く無視、ひたすら利己的に振る舞う下品で淺ましい国、そのように思われても仕方がない。彼らシオニストは、ユダヤ人以外をGoy/Goyimと呼び、劣った人種だと考えているようですが、どう見ても「人間として」劣っているのは彼らの方です。ネタニヤフは間違いなく、後世の教科書にヒトラーと並んで、史上最大の人類に対する犯罪者、かつサイコパスとして紹介されることになるでしょう。

さて、世界のイスラエルへのBDS運動は多少の効果をあげているようですが、西側で最も強大な力を持つアメリカやイギリスがイスラエルの国際犯罪を幇助しつづけている中、各国の反ネタニヤフ キャンペーンも広がりつつあります。

先週は、ノルウェーがサッカー ワールドカップでイスラエルとの試合をボイコットすると声明を出しました。とりわけ、アパルタイト政策を身をもって知っている国々が早期からイスラエルのパレスティナへのアパルタイトに反対して声をあげてきました。ヨーロッパではイギリスからの差別に苦しんだアイルランドは、早くから南アフリカがイニシアティブをとったICJへのイスラエルの提訴に賛意を表明してきていました。そのアイルランドで、先日、イスラエルがアイルランドにある大使館を閉鎖しました。対話を拒み、力ずくで自分の意を通そうとするイスラエルは国際社会のメンバーの資格はありません。同様にその共犯であるアメリカやイギリスもボイコットされるべきでしょう。

イスラエル大使館閉鎖をめぐり、イスラエルはアイルランドを、バカの一つ覚えのように「反ユダヤ」であると非難しました。それに関連して、アイルランド大統領のMichael Higginsは会見で次のように述べました

自分の考えと違うからと言って、ネタニヤフ政権が、他の人々に勝手なラベルを張って非難するのは、深刻な問題だと思う。特に、ネタニヤフは数え切れないほど国際法を破ってきて、近隣の独立国の独立性を犯してきた。レバノン、シリア、そして、植民地を作りたいと望んでいるエジプトの3国だ。そんなネタニヤフを非難することが「反ユダヤ」だというのは、全く馬鹿げた捻じ曲げである。

同じくアイルランドの首相であるSimon Harrisも次のように言っています

(イスラエルが大使館を閉鎖したことは)「破壊」の外交だ。彼らの決断は大変、残念なことだと思う。、、、われわれは外交の努力を継続するつもりだが、誰もアイルランドを黙らせることはできない。言論の自由は保障されており、人々は思いを表現することはできるが、事実と異なることを言う権利はない。
中東、ガザで起こっていることは非常に深刻だ。アイルランドの立ち位置は第一日目から明確だ。人質は解放されなければならない。、、、しかし、同時に、無実の子供達が殺され、不具にされ、苦しんでいる。その現実を世界は十分に理解することさえできないのではないかと思う。われわれがガザに入って直接見るまでは、、、

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シリアの消滅

2024-12-17 | Weblog
西側メディアが、シリアのアサド政権崩壊をポジティブな出来事として報道する一方で、現地の今後に明るい未来は見えません。アラブ諸国は、基本的にすべて独裁国家であります。独裁と民主主義には、どちらにも長所と短所があり、いずれが良いかは、その背景や文化や価値観に依存するでしょう。「アラビアのロレンス」で描かれたように、アラブ社会で、個人の単位ではなく、「一族」の単位、「国家」の単位での存続が優先される場合には、民主主義ではやっていけないでしょう。民主主義的な軍隊というものが存在できないのと同じ理由で、軍や隊、一族として生き延びるには、統制のとれた行動とトップダウンの命令系統が厳密に維持される必要があり、個人(民衆)の自由は制限されます。

話がそれますが、日本の地域医療の崩壊の理由も大学医局の独裁権力が崩壊し、医師、医局員の民主化が進んだからと解釈できると思います。 大学医学部は都会にあり、都会を離れたくない医師を医局が強制的に地方医療に従事させることができなくなった結果、医師の偏在が起こり、地方の医療崩壊を招くことになったと思います。

故に、独裁主義が悪で民主主義が善であるというのは、あくまでコンテクストに依存していると思います。「民主化」を理由に、アメリカが他所の独立国に介入するのは、介入のための口実にすぎません。前回紹介したアサドの言葉にあるように、そもそも、われわれが与えられている「民主主義」というのは、時々の選挙で、用意された候補者に投票するぐらいの程度のものでしかありません。しかも選挙戦を戦うには多額の資金が必要です。そういうお金の支援のある「選ばれた」候補者しか、国民には選択肢がない。自前で資金を都合している共産党か、市民の支援で成り立っているれいわ以外は、物的、人的資本をもつスポンサー、資本家団体や宗教団体がバックにおり、結局、その候補者は投票した民衆の意思ではなく、バックの団体の意思を尊重します。 つまり、誰に投票しても一般国民の意思は二の次です。その証左が貧富の差の増大であり、消費税であり、被災地の切り捨てであり、過疎地の棄民政策です。現在、日本を含む西側の民主主義というのは、すでに羊頭狗肉で、実質的には資本家と権力者による独裁主義に過ぎないと言えましょう。

話を戻して、実際、イラク、リビア、ソマリア、スダーン、、、と、アメリカが「民主主義」を建前に、武力と策略によって政権の転覆を実行してきた国々がその後にどういう混乱に見舞われたかを見れば、シリアの未来も想像がつくというものです。一方で、TVや新聞では、アサド政権下のダンジョンで拷問を受けた人が解放されて苦難を語ったとか、民主化運動が実を結んだとか、というanecdotesが報道され、シリアの独裁政権の終わりを讃える論調で報道されています。もちろん、独裁で抑圧された人々や民主化を求める人が喜ぶのはわかりますが、結局は、その本質は、シリアという国が消滅し、アサドが、他所から来た別の搾取者(イスラエルとアメリカ、トルコ)のプロキシ(アル カイーダ)によってとって変わられるというだけのことで、国民の苦難はむしろ悪くなるであろうと思われます。下にあるように、アサド後のシリア政府の中心となると予測されるHTSは、国連認定テロ組織アルカイーダであり、彼らは、現在激化しているイスラエルによるシリア爆撃をさせるがままにしており、シリアの資源を保護しようとする気配はありません。また、イスラム過激派である彼らは少数派であるキリスト教者の弾圧も始めているようで、民衆が望む「平和で安全な民主主義国家」の実現どころか、シリアという国そのものの消滅、つまり東側はイスラエルの領土となり、北から西はトルコとアメリカによる石油利権の餌食となることを目指しているかのようです。

さて、今後のシリアについては、数日前のイギリスの中東専門家で政治家であるGeorge Gallowayのチャンネルでシリア のジャーナリスト、Richard Medhurstが状況を説明していますので、紹介します。

George: まずは、Richard、君と君の家族に、 君の国が滅んだことに弔意を示したい。
Richard: その通りだ。、、、事態は刻々と悪化している。、、、祖国は死んだ。それにしても西側メディアが行う「White-washing」は興味深く見ている。、、、HTS (政権を奪取した反アサド勢力)はアルカイーダだが、他に37の団体が動いている。彼らがどのような規則に則って動いているか知らないが、公けに暴力を振い、処刑を行っているのは現実だ。、、、、例えば、キリスト教徒の迫害が起こっている。これはアサドの問題ではない。、、、(イスラム過激派がアサド政権を倒したということで)シリアの多様性が滅んだという問題だ。間違いなく悲しむべき事態だ。
Geroge: また、領土の問題もある。シリアの一部は深く分断され、新オスマン帝国皇帝のエルドアンとアメリカが支援するクルディスタン労働者党の支配下にある。そして、トルコとイスラエルの侵攻によって、シリアは地理的にも滅んでしまった。
Richard:  その通りだ。、、、これは2回目、いや3回目だ。、、、トルコはシリアの北側を2019年から支配してきて、そこはHTS(アル カイーダ)の根城となっていた。そして、アメリカとNATO国であるトルコはユーフラテス川より東の石油を搾取してきた。シリアの高地、ゴラン高原はイスラエルに占拠されてしまった。今回、ダマスカスを占拠した反アサド勢力は、シリアの利益を守ると宣言したにもかかわらず、イスラエルとは戦おうともせず、イスラエルがシリアの軍事施設を破壊し、土地を略奪するがままに任せている。、、、、そして、イスラエルがシリアの軍事資源を破壊つくした後では、次に誰が政府を運営するかに関係なく、シリアは独立国家としては存在できない。、、、、イスラエルが現在行なっているシリアの軍事施設への爆撃は史上最大のものだ。そして新政府となる人々はそれを止めようともしない。
Geroge:、、、、結局のところ、シリアはどうなってしまうのだろうか?
Richard:、、、(アサド政権下で)シリアにトドメを刺したのは経済制裁で、それはトランプが課したものだ。シリアの1/4の収入は石油だが、ここ何年にもわたって、利益はアメリカに盗まれてきた。(こうした状況のために、シリアは経済的に極めて苦しい状態に陥った。)、、、今後、何が起こるかは予言できないが、起こるとすると、何らかのクーデターだろう。、、、、、そして、アメリカやイスラエルに加えて、アルカイーダを支援してきたトルコの役割を忘れるわけにはいかない。
George:、、、トルコはアメリカやイスラエルと協調しているのか、独立して動いているのだろうか?、、、
Richard:彼らはNATO加盟国であり、共通の利害もあるが、トルコはクルドを弱体化させたいという固有の欲求があり、独立した目的もあるだろう。、、、シリアは地理的、政治的にイラン、レバノン、パレスティナ、イラクを結んでいる。トルコは(パレスティナのジェノサイドに反対するような)そのポーズと裏腹に、イスラエルに石油を供給してその軍事行動を支援してきた。トルコにとってはこれらのアラブ諸国(抵抗の枢軸)を結んでいるシリアをイスラエルが潰すことは国益に叶うことなのだ。、、、、数年前ではなく、なぜ今、アサドが倒されたのか、それはイスラエルがガザ、レバノンと順番に潰して行く計画だったからだ。そして、イスラエルが次に狙っているのはイランだ。
George: あるいは、イランの前にイラクかも知れない。映画で見たようにISISがトヨタの車で砂漠を超えて、マイノリティーの多いイラクの第二の都市Mosulを占拠するのかも知れない。、、、、
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ネタニヤフのリスト

2024-12-10 | Weblog
シリアの内戦が激化し、ついにアサド政権は崩壊し、アサドはモスクワへ亡命することになりました。アサド政権崩壊の直前、トランプは「シリアはアメリカの友人ではない、アメリカが関与すべきことではない」とコメントしています。どういう意図があったのかわかりませんが、ひょっとしたら、トランプは中々の役者なのかもしれません。あるいは、ただの天然ですかね。

シリアの内戦は、2010年ごろから起きた「アラブの春」と総称される中東、アラブ世界での反政府運動の一部としておきました。反政府民兵と政府軍との内戦ですが、いつものことながら、アメリカを中心とした西側諸国が煽ったものです。そして、西側でも日本でも「アラブの春」は「アラブ社会の民主化運動」であり、独裁者に虐げられた民衆の抵抗であると喧伝され、「運動を抑制するために、独裁者アサドが自国民に対して化学兵器を使った」という言説が流布され、日本でも影響力のある人々がそれを信じて拡散したという経緯があります。オバマは当時、「アサド政権は退陣しないといけない」と公にシリアの内政に干渉し、政権転覆を図りました。アメリカが、アサド政権を一気に崩壊させるために、シリアへの空爆を一旦は決定したのは2013年の8月のことです。世界は一斉に反対し、結局、オバマはその決定を実行できませんでした。シリアの戦争は「アメリカと関係ない」どころか、「大あり」です。この経緯を踏まえると、トランプのこの言葉は、トランプが全てを承知していたとするなら、民主党とバイデン政権への批判でしょう。この調子で、「イスラエルのことはアメリカとは関係ない」とでも言ってくれて、イスラエルへの軍事支援を中止するのなら、トランプを今世紀で最も有能なアメリカ大統領と呼ぶのに私は躊躇いはないです。ま、そうはならんでしょうが。

いずれにしても、「民主化を望む国民の意思を支持し、圧政を敷く独裁者を倒す」という名目で他国の政権転覆を煽動するアメリカの手口はあまりに使い古されすぎました。TwitterやBlueskyのコメントを見ても、「アサド=独裁者=悪」というような単純な解釈を支持するような人は皆無です。実際、アサド政府軍を倒した民兵の中心組織はシャーム解放機構と呼ばれるアル カイーダ由来の過激派集団で、国連がテロ組織と認定した組織であり、彼らが政権を担ってマトモに政治ができるのかという疑問が残ります。そして、シャーム解放機構をアシストしたのがシリア自由軍であり、これはオバマ政権時の2015年ごろに米軍が訓練して組織した武装軍が起源です。つまり、シリアの民主化運動の本体は、アメリカによるアサド政権転覆工作であって、その動機はおそらくイスラエルということです。イラクのフセイン、リビアのガダフィ、そしてシリアのアサド、いつものパターンですね。これらの国で、フセインが縛首になり、ガダフィが暗殺された後、現在どのような状況にあるかを思えば、今後のシリアがどうなるかもなんとなく想像がつきます。そして、早速、イスラエルはゴラン高原からシリアに軍事行動を始め、シリアの爆撃を始めたようです。

数日前、コロンビア大のJeffrey Sachs氏へのインタビューで、彼は次のように述べています。
、、、
特別にシリアの内戦をよく知っている専門家の間では、「(アサド政権が使ったとされる)化学兵器は『偽旗』作戦(偽の白旗を揚げて相手を欺く行為;この場合は、反政府軍が民間人を化学兵器で殺害した上で、罪をアサド政府軍に擦りつけたとされる)の可能性が高い」という議論が真剣になされている。アメリカの外交政策を知っているものなら、偽旗作戦はCIAの真髄であることは周知のことだ。確実な証拠があるわけではないが、これが偽旗作戦である状況的証拠は十分にある。だからこそ、オバマはシリアに深く介入することを止めたのだと思う。、、、、、CIAは、1947年の創設以来、おそらく世界中の90 -100%の政権転覆に隠密裏に関与している。、、、、メディアは、ロシアがアサド支援に介入してきたから(アメリカが介入しないといけない)というが、ロシアがシリアに来たのは2015年で、アメリカがアサド政権を転覆させようとシリアに介入したのは2011 年だ。、、、、これは(シリアやレバノン、などなどの)これらの国々と戦争をしたいネタニヤフの挑発なのだ(注:シリア、レバノンの領地を含む大イスラエル構想実現のため)。、、、どうして、我々(アメリカ)は失敗するとわかっているネタニヤフの馬鹿げた計画のために働かないといけないのだ?、、、アメリカがシリアに介入したのは、シリアが「ネタニヤフのリスト」に入っていたからだ。、、、、前NATOのチーフコマンダーのWesley Clarkが911のあと、アメリカ国防省に来て「今後5年間で7つの(中東とアフリカの)国を消滅させなければならない」と言ったが、これらの国が「ネタニヤフのリスト」なのだ。、、、

Sachsが上で述べた、Wes Clarkのインタビュー映像の一部が下のツイートにあります。彼が、911の後、アメリカ国防省を訪れた時、アメリカがイラクに侵攻することになったことを知らされたが、その理由が不明であったこと、そして、5年で7つの国を転覆させるというアメリカの計画を知らせるメモについて話しています。

911での不可解なビルの崩落やペンタゴンでの物的証拠の不整合性をめぐり、ユダヤ人が関与したとする陰謀論はいまだに燻り続けておりますが、911の後、ブッシュが突然、イラクに侵攻すると宣言し、その根拠にイスラム テロリストとの戦いだと説明したこと、先のClarkの証言(下のビデオ)、これまでのイスラエルとアメリカの行動を繋ぎ合わせると、陰謀論というよりは、検証に値する正式な仮説というべきだと思います。シオニスト仮説、端的にはネタニヤフ仮説と呼ぶのが良いかもしれません。

下はしばらく前のアサドのインタビューで、資本主義国における民主主義の欺瞞について話をしています。日本もそのまま当てはまります。眼科医として長年ロンドンで診療にあたっていたアサドは西側社会を直接知っており、その批判は的確だと私は思いました。われわれ教えられている議会制民主主義の欺瞞が端的に述べられています。

「西側諸国の政府は、資本家に制御されている。すべては、会社の利益のための政治がなされ、人々のためになされることはない。西側諸国では中流層がなくなり、貧富の差が拡大している。国民ができるのは投票ぐらいで、それが民主主義だと教えられている。そして、西側の民主主義では、どれほど多くの人が街に出てデモを行っても、何も変わらないのだ。

独裁主義とか民主主義とかという点に関して言えば、第二次世界大戦後、何千万人もの人々を殺した国々が民主主義、人権、国際法について語るなど、考えられないことだ、、、、朝鮮戦争から今日に至るまで、罪ない人々を殺害し続け、アフガニスタン、リビア、シリアを占領した。そんな彼らが、民主主義とか、人権とか、国際法とか倫理観とかを語るのだ。聞いていると、彼らの言葉と詐欺泥棒の言葉の違いがわからない。彼らの言葉には何の価値もない」
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Hareetzの見解、洗脳と陰謀論

2024-12-03 | Weblog
下は、イスラエル メディア、Hareetzが先週に表明したネタニヤフのメディア迫害に対する編集長の声明です。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、限界のない独裁権力を追い求め、我々を黙らせるためにHareetzを迫害しようとしている。ネタニヤフ首相は、すべての権力監視機構を解体し、民主主義の門番を破壊しようとしているのだ。

ネタニヤフ首相は、独立した司法が存在しないイスラエルに作り替えて支配し、警察や治安機関を民兵化しようとしている。そして、彼を阻止する自由で批判的な報道などは存在しなくなる。

イスラエル政府がHareetzに制裁を科す決定を下したことは、この「破壊」の旅における新たな一歩にすぎない。我々は、ネタニヤフ首相と彼のプロパガンダ・マシンによる脅しには屈しない。私たちは屈服することなく、公共の利益のみを念頭に置いて、読者に奉仕し、報道の自由を守り続けていく。

アルフ・ベン
ハーレツ編集長

「ジャーナリズム」とは何かという問いには、表層的な意味を超えた「主義、原則」の問題が含まれていなければなりません。上の声明にあるようにジャーナリズムは単に「報道」するという行為ではなく、公共の利益を念頭に置いて、権力に屈せずに、読者に奉仕し、「報道の自由」を守るという使命に即して行われる行為であります。ちょうど、それは「医療とは何か」という問いに、「ヒポクラテスの誓い」から発展した「ジュネーブ宣言」の精神を抜きに答えることができないのと同じです。

しかるに、その精神を忘れ、権力の手先となったような(どこかの国の国営放送のような)メディアの活動は、上にあるようにプロパガンダ マシンと呼ぶべきであってジャーナリズムとは程遠いものです。

人間は、自分で事実を探り、自分の頭で吟味しないことに関しては、非常に簡単に洗脳されてしまうもののようです。離れてみてみると、イスラエルがパレスティナに対してこの76年に渡って行ってきたことの非道さは明らかなのに、シオニズム教育で洗脳された当のイスラエル人の少なからずは、ずっと自分たちは、アラブのテロリストの被害者だと思っております。彼らはパレスティナという土地がどこにあるかさえ教えられていないし、1948年以来、イスラエルが連綿と犯し続けてきた数々の犯罪の事実も知らないのです。自ら、史実を学ばず、深く考えない人々は、簡単に洗脳され扇動されます。
その典型例がヒトラーへの熱狂的な支持でしょう。

日本でも同様の扇動に乗る大衆行動をしばしば目にします。古くは関東大震災朝鮮人虐殺事件がそうですし、しばらく前なら、SNSや切り取り動画に乗せられた人々が東京都知事選で石丸氏に多数投票したことや、しかし、結局、トップ当選したのは二期連続実績ゼロの小池氏であったことなどは典型例でしょう。それから最近では兵庫県知事選挙で、「知事は議会にはめられた」という一種の陰謀論を信じた人々によって知事が再選されたこと。切り抜き動画やSNSのデマではなく、実際の事実やデータをもとに自分の頭で判断して人々が投票したのなら結果は違っていたのではないでしょうか。

心理学では、人間の脳には、難しく考えることを嫌う特性があり、短くて刺激的なわかりやすいフレーズを好むことがわかっているのだそうです。マスコミなどが大衆誘導をする場合などに頻繁に用いられる手法で、「○○をぶっ壊す」「既得権益」「岩盤規制」「国の借金問題」という短いフレーズだけで意図的に印象を操作できてしまい、短くてわかりやすいフレーズを繰り返し聞かされることで馴染んでしまえば、脳は簡単にはそれを否定できなくなるのだそうです。こうして思考停止に陥り、盲目的にあるテーゼを「信仰」してしまうということが容易に起こるようです。

こうきくと、自民党ではなく日本をぶっ壊した元首相とか、「東京大改革2.0」のキャッチフレーズおばさんとか、「身を切る改革」集団とか、口々に叫んでいた人々を思い出させます。SNSなどでのそうした単純な印象操作だけで、人々は簡単に洗脳され、信じ込むようです。そして、難しく考えることを嫌う人間の脳の特性ゆえに、人は簡単に陰謀論に飛びつくようです。人々が陰謀論に飛びつくのは、客観的に事実を洗い出して、吟味し、自分の頭で判断するという面倒臭いことをやらずに済むからでしょう。すべての謎は、正体不明の黒幕が何らかの悪意を持って仕掛けた陰謀によって説明できてしまうのですから。
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ウクライナ戦争の思惑

2024-11-26 | Weblog
遅すぎるICCのネタニヤフに対する逮捕状の発行、ウクライナのロシア領内へのミサイル攻撃とその報復、と色々あった先週でした。バイデンがアメリカ製長距離ミサイルの使用許可を出したことは、アメリカがトランプ政権までの間にこの紛争をできるだけ大きくしておこうと考えたのだろうと想像します。さすがに、ミサイルをロシア領内に数発打ち込んだぐらいで勝てると思っているほど、ゼレンスキーはバカではないでしょうし。

ゼレンスキーは「ウクライナは独立国である」と主張してロシアの干渉を非難しましたが、その独立国であるウクライナは、自力では内戦を収束されることもできず、外交交渉能力もなく、軍事に至っては、その計画と遂行にアメリカの支援や許可が必要なわけです。独立国という建前ながら、その政権はアメリカが支援したクーデターでできた傀儡であって、ゼレンスキーはその臨時大統領という不安定な立場、アメリカの対露政策と戦争ビジネスに使われて、ウクライナの国土を多国籍企業に売り払い、ウクライナの社会を荒廃させ、50万人とも言われるウクライナ人の命を失わせ、ウクライナ消滅の危機を招くことになりました。

トランプ政権の発足が見えてきて、バイデンもゼレンスキーも、ここで多少無茶をしてもプーチンは我慢するだろう、と踏んだのでしょう。彼らの権力も後2ヶ月、最後の花火ですかね。プーチンも彼らの思惑は見抜いているでしょうから、核戦争に踏み切ることはないと私も思ってはいます。実際、ロシアが報復としてウクライナに射ったミサイルは、中距離ミサイルで、新兵器の実験を兼ねたものに過ぎませんでした。その後、プーチンはこの超音速ミサイルの迎撃は不可能であることを会見で述べました。つまり、本気でキエフのウクライナ政府を消滅させる気になれば、ロシアはいつでもできるのだ、と改めてゼレンスキーに思い出させるために報復の機会を利用したに過ぎないようです。にもかかわらず、ゼレンスキーはまた長距離ミサイルで攻撃を仕掛けたようです。「ヤケクソ」になっているとしか思えません。

ウクライナ戦争が始まって1,000日、人々は、そもそも、なぜこの戦争が起こったのかでさえ忘れつつあるのではないかとツイッターやBlueskyを見ていると感じます。ガザの戦争が、昨年の10/7に突然のハマスのテロによって始まったとでも思っているイスラエル人が多いように、ウクライナの侵攻は2022年の始めに突然、ロシアの軍事侵攻で始まったと思い込んでいるような人々がネットにはまだ大勢いるようです。

プーチン自身やアメリカの外交専門家が言うように、ロシアにとってはこれはロシアの安全保障、すなわちNATO東進の問題であって、三十年来の問題です。そして、アメリカにとっては、基本的にビジネスです。この視点から眺めれば、黒幕はアメリカ、ゼレンスキーはそれに踊らされた手先、迷惑をうけたのはロシア、命と土地を奪われ最も被害を被った最大の被害者は、ウクライナ国民のように見えます。

歴史的事実を見てみると、ロシアの言動はほぼ一致しています。プーチンが言うことは、大抵「そのまま」のことを意味していると感じます。対して、アメリカがやってきたことに誠意を感じ取るのは困難です。

今回の戦争開始直前のクレムリンでの会議録をあらためて見直してみる機会がありましたので、その一部を紹介します。議事録ですので、全文はかなりの長文で、ウクライナ侵攻の根拠となった理由がかなり詳細に議論されています。そこに西側が非難するようなロシアの野心(ロシア領土の拡大)は見つけられません。事実、プーチンはこの会議で述べたような意見を以前から公言しています。この会議録に示されている主要な議題は、プーチンが主張してきた二つの点、すなわち、ウクライナ東部州およびクリミアのロシア系住民に対してウクライナが2015年のミンスク合意を履行せず迫害を継続していることの問題とNATO東進に関してのロシアの懸念です。会議の最初のプーチンの言葉とラブロフの言葉の一部にそれが要約されているので、ごく一部を示します。

____________________________
プーチン: 私たちは今日、ドンバスの現在の状況について話し合うために会合を開いています。この事態がどのように始まり、どのように進展してきたか、皆さんはよくご存じでしょうが、簡単に思い出していただきたいと思います。適切な判断を下すためには、一般的な背景が必要です。

2014年にウクライナでクーデターが起きた後、ウクライナ国民の一部はその結果を受け入れませんでした。この武力クーデターによる政権転覆は、憲法に反しており、多くの罪のない人々を殺害したことを思い出してください。誰もそのことには異論はないでしょう。

そのクーデターの結果を受け入れなかった国民もいます。クリミアの住民や、現在ドンバスに住んでいる人々です。その人たちは、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国という2つの独立共和国を樹立すると宣言しました。これが、キエフの当局者とその領土に住む人々との対立の始まりでした。

その中で、ロシアは当初、これらの不和が平和的手段(対話と交渉)によって解決されるよう、手を尽くしたことを指摘したいと思います。しかし、キエフの当局者は、これらの領土で2回の懲罰的な軍事行動を実施し、現在、3回目のエスカレーションを起こしました。

この数年間 -- 私はこのことを強調したいと思いますが --、これらの領土に住む人々は、絶え間ない砲撃と封鎖によって文字通り拷問を受けてきました。いわば「前線」に近いその地域の住民は、砲撃を避けるため、子供達と一緒に地下室での生活を強いられてきたのです。

交渉の過程で、「ミンスク措置パッケージ」と呼ばれる和平計画が立案されました。 しかし、その後の動きを見ると、ウクライナのキエフ当局はそれを実行しようとしませんでした。国家トップレベルでも、外相や安全保障理事会事務局長レベルでも、彼らが繰り返し公言している通り、 ウクライナがミンスク合意を履行するつもりがなかったことは、すでに周知のところです。しかし、こういう状況下ではあるものの、ロシアは複雑な局面や悲劇的な展開を平和的手段、対話で解決しようと努力してきました。

本日の会合の目的は、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の主権承認に関する指導者の訴えと、関連するロシア連邦の国家議会の決議を話し合い、将来のステップを考えることです。後者に関しては、ロシアはドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立と主権を承認するようウクライナ大統領に求めています。

同時に、これらの様々なことは密接にヨーロッパの安全保障の問題と関連していることを指摘しておきたいと思います。とりわけ、(NATO、アメリカが)ウクライナをロシアと対峙するための道具として利用することは、我々にとって重大かつ深刻な脅威となるからです。

このため、我々は過去数ヶ月間、そして2021年後半にかけて、ワシントンとNATOの主要パートナーとの協議を強化し、これらの安全保障措置について最終的な合意に達し、ウクライナが平和的な条件のもとで平穏かつ成功裏に発展することを目指してきました。対立するのではなく、安全を維持し、発展のための条件を確保する必要があります。

しかし、私たちは、もちろん「現実」を理解しなければなりません。そして、これまで何度も申し上げてきたように、もしウクライナが北大西洋同盟(NATO)に加盟するという状態になれば、わが国の安全に対する脅威はますます高まります。

しかし、ウクライナは、クリミアとセヴァストポリの人々が表明した意思を認めず、これらの地域をウクライナの領土だと主張し続けて、軍事力を使って支配しようとしています。そのことは文書によっても示されており、これにはNATO全体が関与することになってきます。

ご存知のように、NATO加盟国の中にはウクライナが加盟することに反対している国もあります。しかし、彼らの反対にもかかわらず、2008年には、ブカレストで覚書が交わされ、NATOはウクライナとグルジアの加盟への門戸を開いたのです。なぜそのようなことをしたのか、という私たちの質問にNATOは答えていません。(筆者注:この時ウクライナのNATOへの加盟に強く反対したのはドイツのメルケルでした。それがなければウクライナ戦争はもっと早く起こっていたと考えられています)しかし、米国からの圧力でその一歩を踏み出したのであれば、さらなる圧力で次の一歩を踏み出さないという保証がどこにあるでしょう?

米国が、どんな協定や文書も簡単に破棄してきた国であることは周知の通りです。しかし、それでも、少なくとも何かを紙に書き留めて、国際的な法的行為として定めなければなりません。現時点では、私たちはこの一点でさえ、合意することができていないのです。

それでは、まず、安全保障に関するワシントン、ブリュッセル、NATOとの合意に直接関与しているラブロフ氏に発言してもらいたいと思います。 次に、コザック氏に、ミンスク合意の履行に関する協議の結果について報告してもらいます。 その後、各自から発言していただきたいと思います。 

セルゲイ・ラブロフ外相: ロシアが昨年12月に米国とNATOに提出した安全保障に関する提案を行い、我々は1月下旬に米国とNATOから回答を受け取りました。この回答では、西側諸国の同僚たちは、われわれの主要な提案、主にNATOの東方不拡大に関する提案を取り上げる気がないことを示しています。この要求は、NATOのいわゆる門戸開放政策と、安全保障を確保する方法を各国が独自に選択する自由について言及するばかりで、我々の提案は拒否されました。加えて、米国もNATOも、この重要な条項に対する代替案は何も提案しませんでした。、、、、(以下省略)。
__________________________

この会議のサワリ部分は、ロシアはNATOのウクライナ取り込み計画についての歴史的経緯とロシアの懸念を述べたロシア議会でのやり取りです。つまり、1990年の冷戦終結時の米露の約束、「NATOは東進しない」をアメリカが一方的に破ってきて、2014年には、ウクライナ内戦に乗じて、親露であったヤヌコービッチ政権を転覆させたオバマ政権下のアメリカの対露計画に対するロシアの危機感と、2022年のウクライナ包囲から侵攻に至るまでの米露の交渉の様子を述べたもので、ロシアのウクライナへの軍事作戦が、NATO東進、すなわち、アメリカのロシアへの強硬政策に対するものであったことが明言されています。つまり、ロシアの見解は、ウクライナへの軍事作戦は、そもそもウクライナに対する戦争ではなく、アメリカ軍事戦略に対するロシアの防衛行動であったと言うことです。

アメリカの思惑はどうでしょう。チェイニーなどのタカ派ネオコンが、ロシアを徹底的にNATOによって包囲する防衛政策を進めてきたのは、アメリカの世界でのヘゲモニーを保つという観点からの戦略でありましたが、もちろん、世の中はカネで動いているわけですから、カネがらみの思惑が大きかったと思われます。

カネの話については、米大統領選候補であったRobert Kennedy Jr.のウクライナ戦争の解釈を述べた映像を紹介します。


「この戦争はそもそも始まるはずではなかったものだ。ロシアは何度もアメリカとウクライナにとって都合の良い条件で問題を収めようとした。ロシアの主たる条件はNATOがウクライナを取り込まないことだった。アメリカ軍需産業は常にNATO加盟国を増やそうとしてきた。なぜなら、それらの国が顧客となるからだ。、、、
2022年3月、アメリカは113 billion$をウクライナ支援に計上した。、、、Mitch McConellがそんな大金をウクライナに使って大丈夫なのかと訊かれた時、彼は『心配するな、それは本当はウクライナには行かない。それはアメリカ軍需産業に行くのだ』と答えた。つまり、これはマネー ロンダリングなのだ。

これらの軍需産業を誰が所有しているか、知っているか?そうだ、BlackRockだ。、、、ウクライナへの支援は、実は借金であって、借金のカタにウクライナは、肥沃な農作地を含むあらゆる政府資産を多国籍企業に売り払うことになる。すでにウクライナは30%の国有地を売り払った。その多国籍企業は誰が所有者か?BlackRockだ。2022の12月、バイデンはウクライナ再興計画支援を表明した。それを請け負うのは誰か?BlackRockだ。
このような悪巧みが我々の目前で起こっており、彼らはそれを隠そうともしない。なぜなら、連中は逃げおおせると思っており、そのために彼らは昔ながらの戦略を使うからだ。つまり、我々をお互いに戦い合わせることである。共和党 対 民主党、白人 対 黒人、、、、、」
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アメリカの民主主義

2024-11-19 | Weblog
プーチンは、9月、「もしアメリカ製のミサイルがロシア領内で爆発するようなことがあれば、それはロシアとNATOの直接戦争となる」と警告しました。プーチンのこの発言に見られるようにウクライナ戦争の本質は、30年にわたるアメリカによるNATO東進に対してのロシアの反応であり、ウクライナを使った米露のプロキシ戦争といえます。アメリカの意図はチェイニーなどのタカ派、ネオコンの対露強硬策に加えて、アメリカ軍産の戦争ビジネスでしょう。それはブリンケンがイスラエルのジェノサイドをアメリカがアメリカの公金で支援する正当性を問われた時に答えた理由と同様です。
Lame duckのバイデンは、残る1ヶ月あまりで、できる限り、ウクライナ戦争をエスカレートさせ、トランプが戦争をやめられない状況に持ち込もうとしているかのように、このタイミングでウクライナに長距離ミサイルの使用を許可しました。長距離ミサイルや核ミサイルの使用に関しては米露間でいくつかの協定がこれまで結ばれましたが、アメリカがロシアの協定不履行を口実に一方的に破棄してきたという歴史があります。勝ち目のない戦争で追い詰められたゼレンスキーは、ヤケクソで長距離ミサイルを使ってロシア領内の攻撃をする可能性があり、そうなった場合にはプーチンの我慢がどこまで持つかわかりません。ウクライナを消滅させるだけですめばいいですけど、プーチンはNATO(すなわちアメリカ)との直接戦争になる、と何度も警告していますから、それはロシアのアメリカへの核攻撃、すなわち第三次世界大戦と繋がりかねず、そうなったら歯止めはありませんから、人類の破滅です。

「Deep Stateを解体する」とトランプは言い、次期政権に起用されるイーロン マスクは「政府の財務情報を公開する」と公言しました。トランプはネオコンを政権から一掃し、ウクライナ戦争を1日で終わらせる、と言っていますから、この痴呆老人のとびっきり臭い最後っ屁は、ネオコン、軍産の指図なのでしょう。

Deep Stateという概念そのものは陰謀論とは言えません。確固とした特定の存在とは言えないというだけです。日本では、かつて、ドジョウ野田は「シロアリを退治する」と言い、民主党政権は「霞ヶ関を解体する」と言っていましたけど、政権を得た後、すっかりミイラ取りがミイラになり、見事にコケました。それでは、東大財務官僚が日本におけるDeep Stateかと言われたら、そういうものではないと思います。構成因子の利害に従って自然と形成されたシステムの集合的意思、メタ意識とでもいうべきものがDeep Stateの本体なのではないかと思います。何らかのシステムが長期にわたって存在し、その運用に個人の利害関係が絡めば、腐敗は生まれてきます。

さて、トランプはどうでしょうか?アメリカが掲げる錦旗である「民主主義」に則って、民主的手続きで選ばれた大統領ですから、民主主義に則った形で、民意に従って権力を行使することが「正しい」ことで、よって、国民の意志とは無関係に政治に介入する「Deep State」というものがあって、それを解体するというなら、正しいことには違いありません。

しかるに、危ういのは、トランプがDeep Stateをどう定義し、具体的に誰を標的にするかということで、それは恣意的になりかねず、トランプの個人的な好き嫌いや思い込みで行動し、暴走しうかねないということでしょう。また、トランプのようなタイプは、頭の良い官僚にとっては、むしろ扱い部分もあるかもしれません。ならば、そもそもトランプに改革などできるのかという疑問は残ります。結局、トランプ一期目同様、国民を失望させて終わりではないかというシニカルな思いは拭えません。

今回のトランプ人気も、第一期のトランプ政権の時と同じく、トランプが「ヒラリーやバイデンやハリスではない」という理由で人々は期待を持っているだけだとことだろうと想像しています。ネオコンや彼らと繋がる利権団体をトランプがターゲットにしているのは明らかですが、彼らがトランプのような男に素直にやられてしまうとは思えません。それに、「取引」の損得で思考する俗物のトランプですから、取引次第では容易に転ぶかもしれません。

もしトランプが従来のエスタブリッシュメントの外から来て、Status quoを打破する救世主であるならば、下でプーチンが語っているような「アメリカの民主主義」を打ち砕いてもらいたいものです。ま、トランプに「民主主義を守る」とか「人道主義に立つ」とか「人類と地球の平和的存続に邁進する」とか、そんな広い視野に立った高邁な考えはないでしょう。

先日の発言を聞いても、国際社会がほぼ異口同音に非難するイスラエルのジェノサイドに関しても、イスラエル支援を継続し、イスラエル抗議運動を抑圧する方針のようです。それは、思うに、トランプを支援してきたAdelsonのようなシオニスト ユダヤの意向を受けたものと思われ、結局は、こうした一部の大金持ちがトランプを支援してきた以上、イスラエル支援がトランプにとって「良い取引」だと思っているからでしょう。

敢えて言うならば、トランプは広く長期的な視野からアメリカはどう振る舞うべきかというような深い思想や洞察はなく、単に目先の損得にしか興味のない単純近視眼男ではないかと思っています。つまり、人々が危惧するトランプの予測不能さ、危うさというものは、一国のリーダーとしての志、資質の欠如、端的に言えば知性の欠如、むしろ知性をバカにする反知性主義ゆえでしょう。しかるに、腐敗したアメリカ政治によって忘れ去られた人々は、トランプのような人間に希望を見出すしかなかったのだろうと思います。ならば、アメリカの病は深刻です。

一期目、トランプはRust Bestと言われる斜陽になった重工業産業地帯の「忘れ去られた」人々の不満に手を突っ込み、彼らの不満を掬い上げることで票を集めました。しかし、そうして彼に投票した人は、結局、期待を裏切られて失望し、バイデンを選ぶことになりました。そして、バイデン政権によって彼らは更なる失望を味わい、それならトランプの方がマシであったと思い直した、それが今回であったと思います。

トランプが彼らを救うことができるかどうかはわかりませんが、悲観的です。保護主義的政策で彼らの産業の再復興を目指すとは口で言っていますが、どうでしょう。イーロン マスクはトランプを支持した理由として、移民政策を挙げています。政権を決めるのはSwing Statesでの票で、民主党政権は、彼らの支持基盤であるヒスパニック、黒人、外国移民の票をそうした州で集めるために、移民を促進し、不法移民の合法化を進めようとしているというのがマスクの主張です。それが、「オハイオでは移民がペットの肉を食べている」とトンデモ発言をしたトランプをマスクが支持する根拠の一つでしょう。

しかし、それでも私は振ればカラカラ音がするようなハリスよりはマシだろうとは思っています。ま、立民が自民党よりマシという程度の差に過ぎませんが。来年の春には、トランプが何をしようとするのか、明らかになっていくでしょう。バイデンがプーチンを本気で起こらせてしまわない限り、トランプは、少なくともウクライナでの戦争を終わらせるであろうと期待しています。その点でトランプが「戦争を始めない」と公言した点は、とりあえず評価しています。

さて、Putinがアメリカの「官僚政治」について、語っている映像がありましたので紹介します。


私は、これまで3人のアメリカの大統領たちと話をした。彼らは政権に来て、そして去っていったが、政治は誰であっても同じだ。なぜだかわかるかね?それは、強力な官僚システムがあるからだ。誰かが選出されると、彼らは考えを思いつく。そうして、ブリーフケースを持って、ネクタイの色は違うがちょうど私のようにダーススーツに身を包み、良い身なりをした人々がやってくるんだ。彼らは、何をどのようにするか説明を始める。そして、全てが変わってしまうのだ。これが、全ての政権において、起こってきたことだ。物事を変えることは簡単ではない、と私は皮肉でなく言える。それは、決して彼らがそうしたくないからではない、それは難しいのだ。オバマを例にとってみよう。先進的でリベラルな民主党党員だ。彼は選挙の前は、グアンタナモを閉鎖すると言ったのではなかったか?そして閉鎖したか?いや、しなかったのだ。なぜだと聞きたい。閉鎖したくなかったのではない、できなかったんだ。本気でやろうとしたが、成功しなかった、なぜなら、それはとても厄介なことだと分かったからだ。これは中心的な事件ではないが、重要なことだ。ちゃんとした裁判も調査もなく、何年も人々が鎖に繋がれてそこに収容されているというのは理解し難いことだ。フランスやロシアでそんな事態を想像できるか?それは大惨劇になるだろう。しかし、アメリカ合衆国では、起こり得ることで、現在まで続いている。
このことは「民主主義」の問題に繋がる。ところで、私はこの例を、ものごとは我々が考えるほどシンプルではないということを示すために紹介したのだが、とは言っても、私は控えめではあるが楽観視している。私たちは重要な問題については、合意を形成するに至るはずだと私は信じているんだ。

アメリカのDeep Stateに関係してのプーチンの言葉:
「世界の95%のテロ攻撃はCIAによって起こされている。CIAはアメリカ国民の利益のためにあるのではない。CIAはDeep Stateのはぐれもの因子であって、新たな世界秩序を目論む世界の支配者たちの意思の現れだ」
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今後のウエストバンク

2024-11-12 | Weblog
アメリカ大統領選は、大方の予想通り、トランプの大勝に終わりました。その後、トランプの「Deep Stateを解体する10ステップ」のビデオがネットで話題になりました。「Deep State」という陰謀論的概念をアメリカ大統領が公言するようになったことは感慨深いものがあります。今時、民主主義国家の政治とは民意の負託を受けた政治家が民意を反映して国家の政策を決めていくものだ、と素直に思っている人は少ないでしょう。日本やアメリカで一般国民がどんどん貧しくなっていく一方で一部の者だけが富と力を蓄積していっている現状と、これらの国の政府がやってきたことを見てみれば、誰でも、民意とは別の何らかの強い影響力を持つものが政治を操っていることを感じると思います。日本では昔から「官僚政治」という言葉がありました。東大出の官僚が、世襲ボンボンの政治家を振り付けして日本の政治を操ってきた現実を指す言葉です。民主党の政権交代前「シロアリ(天下り官僚)を退治する」と公約を掲げて当選した野田が総理になったあと、すっかりシロアリに喰われてしまったのを覚えている人もいるでしょう。「官僚政治」は日本版Deep Stateの一面と言えなくはないです。「官僚政治」という概念を陰謀論だと一蹴できないと同じく、「Deep State」は、「陰謀論」と無視するのではなく、正当な「仮説」として調査、研究の対象とすべきものだと私は思います。


トランプによれば、「ディープ・ステート」とは、「選挙で選ばれた政権に関係なく、政府の政策に不当な影響力を行使する、強力な官僚や役人からなる裏の集団」ということのようです。あるインタビューの中では、トランプは、それは、はっきりした形態を持たない様々な者の集合的な集まりだと「概念的存在」であることを認めた上で、しかし、ほぼ一方的に特定の組織を「敵」認定するいつものやり方で非難しています。 こういうやり方がトランプの危ういところです。

トランプ自身はどうなのか、という話になります。トランプ自身の利害、すなわち、彼の権力を支援することによって何らかの政治的見返りを期待するもの、は存在します。それも広い意味でamorphousなディープ ステートに属するものと言えるでしょう(定義次第ですが)。下に述べる通り、私は、民意とは別にトランプの外交政策を操るものの存在がパレスティナ問題の帰趨に大きく影響を与えると思っています。

さて、選挙後、トランプは「戦争を始めない、戦争を終わらせる」と公言しました。ウクライナで戦争の犠牲者60万人、ガザやレバノンでの犠牲者、推定20万人、その多くの責任はアメリカにあります。ウクライナでの犠牲者の多くは軍人と考えられていますから、責任の残りの半分はゼレンスキーとプーチンともいえますが、ガザは話が別です。アイルランド系ながら自称シオニストのジェノサイド ジョーとハリス政権が、パレスティナを違法に占領し子供を殺し続けるイスラエルへの軍事支援を盲目的に続けて、わかっているだけで2万人以上の子供、行方不明となっておそらく瓦礫の下で死体となった子供を合わせると10万人とも推定される子供の殺害に手を貸してきたのです。加えて、その殺害や迫害の方法は極めて非人道的でした。居住区の8割を完全に破壊し、全ての病院や教育機関を爆撃し、兵糧攻めにして子供を餓死させ、避難所に集まる人々の頭上に爆弾を落とす。書いていても怒りが突沸しそうな外道ぶりです。その今世紀最大のイスラエルの戦争犯罪の最大の共犯者がアメリカです。

ウクライナに関しては、トランプが言葉通りに、ウクライナへの軍事支援をひきあげるとすると、ウクライナは戦争継続は不可能となるでしょう。であるなら、プーチンが言ったように、ロシアが「本気を出す」前に戦争が終わりそうでよかったです。多分、ウクライナ東部州の自治をウクライナ政府が認め、ウクライナがこれまで通り中立を維持するという以前の形に戻って終わるのでしょう。結局、ウクライナのほぼ一人負け。ロシアも戦争でそれなりの損失、そして、ノルドストリームの破壊工作のあおりを受けたヨーロッパも損失、アメリカ国民も税金を戦争に回され損失、アメリカの金魚の糞の日本も盲目的にウクライナに無駄金使わされて多少の損失。儲けたのはアメリカ軍産だけ。こののまま民主党政権が続いて、プーチンを刺激し続けたら、核戦争まで発展する可能性もあったと思います。この点では、共和党の強硬派チェイニーが応援するほどの戦争屋政権であったバイデン政権の傀儡、ハリスが選ばれなくて良かったです。

ウクライナに関しては終わりが見えそうですが、それでは、イスラエルに関してはどうでしょう。トランプの最大の支援者がカジノ王、シオニストユダヤのAdelson家でしたから、トランプは彼らの意向は尊重したいと思っているでしょう。Adelsonは、ウエストバンクを完全にイスラエルのものとすることを望んでいたと言われています。とすると、ウエストバンクでの違法入植とパレスティナ差別の更なる激化を通じてのEthnic Cleansingに関しては、トランプは見て見ぬふりをするのではないかと想像します。

選挙後、次の政権人事の段取りをしていると伝えられるトランプですが、時期政権では、イスラエル支援、反イラン、反共であったMike Pompeoと共和党のPrimaryで争った同じくジェノサイド支援派のNikki Haleyを人事から外すという話。いわゆるネオコン(新保護主義者)と呼ばれてきた反共、強硬派は政権から一掃されるようです。これらの人事、つまり、イスラエル支援派のポンペオやヘイリーを外し、ネオコンを外したことはひょっとしたらトランプのイスラエル支持方針の転換を意味しているのではないかと希望を持ったりするわけですが、どうでしょうか?あるいは、例によって、彼の個人的な好き嫌いに過ぎないのかも知れません。

遠からずイランはイスラエルに報復しますし、ハマスもヒズボラもイエメンのフーチも抵抗を続けるでしょう。イスラエルによるウエストバンクでの違法入植とパレスティナ人による暴力は連綿と続き、この3ヶ月ほどでも50人以上のパレスティナ人がウエストバンクでイスラエルによって殺されていると言われています。ウエストバンクでは、ファタハよりもハマスを支持するパレスティナ人が増えているという話もあり、違法入植がこのまま進行すれば、ウエストバンクでも武力蜂起が起こるかも知れません。そうなったら、トランプは、一体、「戦争」をどう終わらせるつもりなのでしょう?今後を見るしかありません。もし、万が一、イスラエルへの軍事支援を人質に戦争を終わらせて、パレスティナとユダヤの平等な共存の道を開き、長期的な和平の道筋をつけれるのであれば、いくらトランプが犯罪者で傲慢な人種主義者でセクハラ親父の「黒い猫」であっても、イスラエルやアメリカ帝国主義の人類に対する犯罪という「ネズミ」を退治する「良い猫」ならば、私は彼の政治的業績を大きく讃えるのにやぶさかではありません。私がオスローのノーベル賞審査委員であれば、ノーベル平和賞三年分をあげても良いと思います。
ま、マーフィーの法則によれば「期待は裏切られる」ものですが。

さて、大統領選を振り返ると、私が興味を持っていた第三極は当然ながらelectoral voteは一票も取れませんでしたが、popular voteではGreen PartyのJill Steinが0.4%、LibertarianのChase Oliverが0.4%、途中からトランプ支持に回ってキャンペーンを中止したのに候補者に名前が残ったRobert Kennedy Jr.が0.4%、その他が0.2%という得票でした。前回はGreen Partyは0.31%、Libertarian Partyは1.07%という結果でしたので、Green Partyはわずかに表を伸ばし、Libatarianは票を失ったものの、第三極全体としては著明な変化はなしでした。ま、こんなものでしょう。人々の意識はそう簡単には変わりません。
アメリカの教育システムの中で、アメリカは民主主義を体現した強国であって、世界のリーダーである、というようなお伽話を子供の頃から聞かされて、教室には国旗を掲げて、毎朝、国家忠誠を誓う儀式をやらされて育ってきたのがアメリカ人です。政治に関しては、二大政党制は議会制民主主義であるべき制度で、民主党か共和党かのいずれかに政権を託するのが民主主義だと思っているのでしょう。その実、両政党とも裏にいる連中はダブっていて、ラベルが違うだけだったりします。ここから先はディープ ステート陰謀論になってしまうので省略。

人間はその育った環境に大きく思考を左右されます。その一種の洗脳を離れて物事を客観的に見ることはしばしば極めて難しいもので、なぜなら「病識」を持つことは簡単ではないからであります。そのことを、かつてシオニストであったユダヤ系精神科医のGabor Maté は、シオニストユダヤ人との会話の中で、"live in a bubble"という表現を使って、覚醒を促そうとしました。アメリカが、ヨーロッパ人移住者のアメリカ原住民への虐殺や略奪を隠すように、イスラエルはイスラエル人に正しい歴史を教えません。イスラエルはカルト国家であり、国民の洗脳を行なっていると彼は非難します。実際、先日のアムステルダムでのサッカー試合でのイスラエル人の暴動と差別的行動を見ると、彼らが自省して目覚めることは簡単ではないだろう思わざるを得ません。子供の時から、国策として特権意識とアラブ系の人々への差別意識を植え付けられて育っているわけですから。


(訂正と追記)最初の投稿時にJackson Hinkleがホワイトハウス報道官に選ばれたという話を書きましたが、どうもガセネタだったようです。その部分は削除いたしました。

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内部崩壊するイスラエル

2024-11-05 | Weblog
今日は米大統領選挙投票日、4年に一度のお祭りの日ですが、これほどシラけた気分で迎える大統領選は、久しぶりです。ビル クリントンがモニカ ルウィンスキーとのセックス スキャンダルで人気を落とし、アル ゴアが子ブッシュに負けたのが2000年。今回、ビル クリントンがミシガンでの応援演説に出てきて、中東政策を語っているのを聞いて、民主党が勝つことはないだろうと思いました。ミシガンはペンシルバニアと並んで選挙の勝敗を握るSwing Stateであり、かつ最もイスラム教徒の多い州でもあります。イスラエルの戦争犯罪に最も怒っているであろう人々です。そのミシガンで、わざわざイスラエルの戦争犯罪を擁護するような発言をした上で、これまでジェノサイド ジョーと一緒にイスラエルの戦争犯罪を全力で支援してきたハリスの方がトランプよりも中東平和実現に尽力できる、と主張するのはどういうロジックに依っているのでしょう?そういえば、ルウィンスキー スキャンダルの時の盗聴テープを使って、ホワイトハウスを脅し、イスラエル スパイを釈放させたのが、当時も首相だったネタニヤフだったという話を思い出しました(Netanyahu said to have offered Lewinsky tapes for Pollard)。アメリカの政治家はイスラエルに色々と弱みを握られているのでしょうな。

クリントンの後は、イラク戦争を始めたブッシュ政権となりました。それを煽ったのもネタニヤフでした。そして、オバマ政権に変わったもののノーベル平和賞を貰ったのはいいが、結局、色々な戦争事業は引き継ぎ、リビアの侵攻をはじめとして色々とやらかしました。ウクライナに関しては2008年、ブッシュ政権の終わりにNATOサミットで明らかにしたウクライナをNATOに取り込む計画は続行、国務長官はヒラリー、2014年、オバマ政権はマイダン革命に乗じて、親露であったウクライナ政権を違法に転覆させ、今日のウクライナ戦争への道筋をつけました。2016年の大統領選で、戦争事業をヒラリーが引き継ぐという目論見は外れ、第一次トランプ政権が成立。この選挙で、トランプはミシガンを獲得し勝利を決めたのです。また同じくトランプが敗れた2020年の選挙ではバイデンが僅差でミシガンを取っています。今回もミシガンを獲った方が選ばれると思うのですけど、私の予想は、大差でトランプだと思います。ま、選挙は水物、フタを開けてみるまで分かりませんが。

2016年の選挙はよく覚えています。トランプが選ばれたとわかった時は本当にがっかりしました。しかし、振り返ってみれば、トランプは俗物で嘘つきのエゴイストであったものの、トランプ政権は、ニクソン以来、オバマから引き継いだ戦争以外に、新たな戦争を始めなかった唯一の政権であったと思います。結果、トランプ政権の間、コロナまでは世界は比較的平和でアメリカ経済も安定していたのでした。もし、ヒラリーが大統領になっていたら、ウクライナもガザももっと前倒しで戦争になっていたと思われます。

「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」という実利的思考でアメリカ国民が判断するとすれば、俗物で嘘つきのエゴイストの人種差別者でセクハラ親父であるが、平和と安定した経済を保っていた前大統領と、「民主」という名前でマイノリティーの味方のような顔をしていても、ウクライナ戦争とイスラエルの戦争犯罪にアメリカの多大なリソースをつぎ込んで、世界の反アメリカ感情を煽り、BRICSを急発展させてドルの価値を落としインフレを抑えきれずにミドルクラスの生活を破壊したような政権の副大統領と、どちらを選ぶかは明らかなのではないかと思います。

しかし、私に取っては、どっちに転んでも、ジェノサイダー。どっちが勝っても同じです。ただ、何事も「取引」でものを考えるトランプの行動は予測不能です。トランプは、アメリカのイスラエル支援が「良い取引ではない」と判断すれば、ジェノサイドを止めるかもしれません。良い取引かどうかは、その場の時勢いやさまざまな因子で影響を受けるので、判断はコロコロと変わる可能性があります。つまり、その動機が「主義」や「原則」ではなく「取引上の損得」であるところが危ういわけですが、カマラ ハリスではそれも望めませんし。

アメリカ大統領選挙に関しては、近い未来に政治を動かせるようになるかという点においては今は絶望的ですが、私は、第三極のGreen Partyがどれほど人気票を集められるのかには多少、興味があります。遠くない将来、唯物主義、拝金主義、利己主義のアメリカは、BRICSの台頭、ドルの基軸通貨としての地位の低下などにより、急速に世界での力を失っていくと予想します。そうなった時に、アメリカはかつてのヨーロッパのように帝国主義を捨てて、「普通の国」になろうとするのではないか、そして、その兆候はGreen Partyの票に表れるのではないかと想像しているのです。

さて、ようやく本題。いまだに、「人質開放」を口実にパレスティナやレバノンの子供を殺しまくっているICJが「違法国家」と断ずるところのイスラエルですが、結局、一年にわたって、歴史ある街を破壊しまくり、子供を殺しまくっただけで、今だに何の目標も達成していません。ハマスもヒズボラも根絶していないし、人質も帰ってきてません。レバノンへの地上戦は、例によって住宅地を攻撃して市民を殺しただけ。一方で、イスラエルの経済はボロボロ、イランは報復攻撃の機会を測っており、アメリカとアメリカの取り巻きの諸国以外の世界中からはソッポを向かれ、国際機関からは非難を受け続け、国際社会から孤立しつつある状態で、もはやネタニヤフ政権のイスラエルに未来はない、と断じざるを得ないと思います。ネタニヤフの極右シオニズム思想は筋金入りの精神病と言っていいですから、この男が正気を取り戻す可能性はゼロです。目的のためには手段を選ばず、人質になるようなイスラエル人は殺害する(Hannibal Directive)のが軍の正式方針となっているような国です。

関連して、しばらく前のHaaretzの記事を目にしたので、紹介します。

ネタニヤフ首相の人質取引への執拗な妨害を示す新たな証拠
 「イスラエルのチャンネル12ニュースのは、ネタニヤフ首相があらゆる人質取引を妨害しようとしたことを示す新たな文書や新たな会話を発表した。、、、
 過去11ヶ月の詳細なタイムラインとして紹介されたこの調査には、未公開の文書や未聴の会話が含まれ、ネタニヤフ首相が「取引の妨害」を執拗に試みたことが浮き彫りにされた。、、、
レポートは、2023年11月25日から6日間の取引で解放された81人のイスラエル人と24人の外国人パスポート保持者の映像から始まった。、、、
それから9ヵ月間、イスラエルの交渉チームは、より多くの人質を取り戻すための新たな取り決めを確保するに駆り出されたが、無駄であったとアブラハムは報告した。その過程で、ネタニヤフ首相は彼らの交渉が成功しないようにあらゆる手を尽くした。ネタニヤフ首相は、彼らが停戦交渉に行くのを何度も阻止したり、交渉権限を大幅に制限したりした。、、、
さらに、ネタニヤフは、戦争を終結させるという合意を含む約束を反故にし、以前は言及されることのなかった新たな理屈を捻り出した。彼は考えを変え、否定し、可能な限り誰にでも責任を転嫁した。そして、スモトリッチやベン・グヴィールのような閣僚に、もし(人質解放や停戦の)合意が前進したら政権を去ると脅しをかけた。、、、」

わかってはいたけれど、ネタニヤフがイスラエルのメディアからもその卑怯で不誠実な嘘つき体質を非難されているのを見ると、ますます、この男の悪魔ぶりに怒りが湧いてきますね。

最近、イスラエルの元首相であったEhud Olmertは、CNNのテレビインタビューで、次のように述べました。ネタニヤフの年貢の納め時は近づいているように思います。

「、、、思うに、本当の敵はイランでも、ヒズボラでも、ハマスでもない。本当の敵は内部にいる。本当の敵は、パレスティナ人を追い出して領土を略奪することができると信じているイスラエルのユダヤ狂信者の過激派だ。私は彼らと断じて戦う。それは現ネタニヤフ政権だ。ネタニヤフは政治的に(過激派の)彼らに依存しており、彼らの決して許されないような行為を黙認しているのだ、、、」




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