百醜千拙草

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自分の問題

2024-08-13 | Weblog
先週は、長崎市長が平和祈念式典へイスラエルを招待せず、パレスティナを招待したことが、世界中で話題になりました。世界のメディアは長崎市長の英断を讃える一方、イスラエルの招待がなかったことに抗議したG7国の大使は出席を見合わせました。アメリカの駐日エマニュエル大使は父親が右翼シオニストのイスラエル人、自身はもちろんユダヤ人という出自。自民党政権が統一教会に牛耳られている以上に、アメリカ議会や政府がシオニストに牛耳られており、G7諸国はアメリカに追従して保身を図るという構造が顕わで情けない気持ちになります。

アメリカ大統領選に立候補しているGreen partyの反シオニズム ユダヤ人であるJill Steinは、「米国は、歴史上最悪の大量殺戮のひとつである長崎の原爆投下記念式典をボイコットし、ガザで民間人を虐殺するために米国製爆弾を使用するイスラエルを支持した。ジェノサイド支援の バイデン-ハリスは、どこまで堕ちて行くのか?」とツイート。

原爆が広島や長崎の市民の上にいきなり投下され、合計25万人が殺されたということはどういうことか、東京大空襲の絨毯爆撃で、東京市民10万人が殺されたということがどういうことか、それは、今ガザで起きているイスラエルのジェノサイドと相似であることは明らかではないでしょうか。当時、帝国主義の日本が近隣アジアに侵攻の末、中国と戦争状態にあった中での真珠湾攻撃と、75年の不法占領下で抑圧されてきたパレスティナの武力抵抗である10/7のハマスのイスラエル攻撃を対等に並べることはできません。しかし、紛争終結という目的には不要であった原爆や空爆による大量の一般市民の虐殺は、ガザでの絨毯攻撃による市民の虐殺と社会インフラの破壊という点において性質は同じです。つまり、他の人間を大量に殺す力をたまたま持つものがその力を弱い立場の人間に平然と行使し、弱いものを傷つけて命と権利を奪うという、「人間性」への攻撃であります。戦闘員ではない市井の人々が日々の生活を送り命を繋ぐという根本的な人間の営みを、力によって奪い去る行為です。当時の米軍や今のイスラエルは、市民と戦闘員、戦争とジェノサイドの区別もついていないか、悪意をもって意図的に混同しているのでしょう。加えて、日本人市民やパレスティナ人は自分達と同じ人間であるという認識がないのです。彼らは単なる殺人マシンであって、自分たちが何をやっているのかさえわかっていないと言えます。アメリカの原爆投下は、原爆の実地実験に過ぎませんでした。しかし、イスラエルによるガザのジェノサイドは、市民を殺し、生活と社会を破壊し、その土地を手に入れることを目的としたもので、はるかに邪悪なものです。ここまで「人の心」を失った悪質なシオニスト政権とそれに洗脳されたイスラエル人、そして保身のためにイスラエル支持を続けて殺人幇助を続けるアメリカ政府と西ヨーロッパ諸国、には心からの軽蔑と怒りの念しかありません。

ガザでの死者は18万人以上と見積もられており、殺された人々に加えて、生涯残る障害を負った人々は数えきれず、しかも、イスラエル スナイパーは意図的に子供や妊婦を狙い、彼らを殺すことができない場合は障害者にすることを目的に膝を撃つという話もあります。スナイパーによって殺された子供を調べた医師は、頭に二発の銃弾が打ち込まれていることを見て、「たまたまうっかり子供に銃弾が当たったということはあり得ない、意図的に殺そうとして撃たなければ、二発の銃弾を頭に受けるわけがない」と述べています。5歳の子供が両手両足を吹き飛ばされて、残って短い棒になってしまった手足で泣きながら懸命に生きようとしている映像を見て、何も思わないなら人間ではありません。つくづく、イスラエルの邪悪さと残忍さに怒りが募ります。
被爆者の人やガザの市民だけの問題ではなく、力を持つものが邪悪な意図を持って行った「人類に対する犯罪」が、原爆投下でありガザのジェノサイドです。本来なら、イスラエルに対して最も大きな反対の声をあげる資格のあるのは日本なのです。しかしアメリカの植民地である日本で、その植民地管理の現地代理人である自民党政権が、シオニストに牛耳られているアメリカ政府の意向に反して「正義の声」をあげることはありません。イスラエルの横暴を見て見ぬふりをして、遠い中東での出来事であって、自分とは関係のない話として耳を塞ぎ、目を塞いでいるのです。他国の人々の苦難どころか、自民党には自国民の苦難や困難も他人事だし、もっと言えば、日本の将来にさえ無関心、彼らの頭にあるのは、「今だけ、金だけ、自分だけ」。

さて、長崎市長は、同じ人間性の蹂躙を味わったものとして、パレスティナを招きイスラエルを拒絶することで、「人間性」への支援と連帯の意思を示しました。「人間の生命と尊厳」に対する邪悪な攻撃が、大国アメリカの後ろ盾でイスラエルというカルト国家によって、堂々と行われ続けています。これは、当事者だけでなく、世界の全人類に関わる問題であり、日本人の一人一人の問題でもあります。

ガザにおいて、力を持つものが、立場の弱い人間の尊厳と権利と生命を力ずくで奪い取るということが当たり前のように行われている現実が、自分のこととして実感できない人は是非、自民党の改憲案を見てください。われわれの権利もアメリカの植民地現地管理人の自民党によって、次々と奪われて行っていきます。

基本的人権の保障を述べた憲法97条は、自民党案では11条と重複するという理由で、丸々削除されています。そもそも基本的人権が二つの条項にわざわざ書いてあるには理由があります。11条は「国民の権利・義務」としての記載ですが、97条は国家権力側の義務として書かれているのです。97条の削除は、極論すれば、国民の基本的人権は保障されるべきだが、国家は必ずしもその保護に責任を持たない、と言っているようなものです。つまり、自民党は基本的人権が蹂躙される事態が起こりうることをすでに想定しており、それに対して責任を取る気がないということです。そして、自衛隊が軍隊と明記され、ナチスや今のウクライナと同じように、内閣が独裁政権を維持し法律を自在に変えることができるような「緊急事態条項」を潜り込ませようとしています。これを見れば明かでしょう。つまり、今後、日本は、表立ってアメリカや日本の軍産の戦争ビジネスのコマに使われ、国民は独裁政権によって否応なく徴兵されて、自国と無関係な戦地に送り込まれ、物資や食糧の輸入が途絶えて、あらゆる困窮のもとに置かれても、抵抗する権利もない状況に置かれる可能が正式に開かれるということです。

アメリカが反露政権に変え、ロシアを挑発してきた結果、西側の操り人形となったゼレンスキーが突っ走ってロシアと戦争となり、多大な人的、領土的、経済的困難を被り、焼け野原となったあと、国富をBlackRockにのっとられようとしているウクライナを見てください。プーチンは我慢の限界が近づいているようで、このままゼレンスキーが引かないようなら、ウクライナは消失するでしょう。それが将来の日本となりかねません。

私がガザの話を昨年の10月以来、綴り続けているのは、それが直接に自分自身の問題であるからであります。遠い中東の話ではありません。アメリカは第二次対戦後も世界各地で、他国政府の転覆を図り、テロを支援し、戦争を連綿と継続し続けてきました。今年になってだけでも、自国に都合の悪い政権は、反政府勢力を支援し、ボリビア、ベネズエラ、バングラデシュで政権の転覆を図り、先日は、米軍基地を拒否したバングラディシュでは実際に政権転覆がおきました。

敗戦後の日本は、面従腹背でアメリカに従順な顔をしながらも経済発展を目指し国益を追求してきましたが、戦後生まれで保身第一の世襲議員が総理をやるようになって、面従腹従、アメリカの単なる傀儡と成り果てました。このままアメリカとその植民地管理代理人である自民党政権に任せておいては、私自身や若い世代の人々の基本的人権がなくなり、独裁政権に意に沿わぬことを強制されて、殺されかねないし、そもそも、そうなる前に、今の政権では、経済、食料を貿易に頼っている日本は困窮して食い詰めることにもなりかねません。

そして何より、ガザで起こっていることやアメリカやイスラエルのテロ行為は、私が信じるところの「あらゆる人間は等しく尊い命と意志を持っており、それらは等しく尊重されなければならない」という信念に反しているからであります。それらが脅かされる時、知恵ある人々は話し合いで解決しようとしますが、愚か者は力でねじ伏せようとするのです。
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ゴグの戦乱

2024-08-06 | Weblog
この一週間もいろいろありました。
ベネズエラの大統領選。1999年からのチャベス政権は社会主義政策を取り、明確な反米姿勢で政権運営を行いましたが、それは続くMadulo政権に引き継がれました。アメリカはこの間、例によって、反米のベネズエラ政府の転覆を目論み何度かクーデターを支援したり、制裁を加えたりと干渉を加えてきました。その理由は石油です。ベネズエラは豊かな石油、鉱物資源がありますが、チャベスがベネズエラの資源はベネズエラの民衆のために使われるべきであって、アメリカ資本に搾取されるべきではないという姿勢を鮮明にしたため、アメリカは何度もベネズエラ政府転覆を試みたのです。近年、影響が大きかったのはトランプ政権下で、チャベスの後継であるマデュロを大統領と認めず、ベネズエラに対して石油取引の停止(禁輸)をおこなったため、ベネズエラ経済は大きく打撃を受け、ベネズエラの人々は困窮しました。そして、接戦だった今回のベネズエラ大統領選でも、反米路線のマデュロの再選に関して、西側メディアは例によって選挙不正だ、独裁だと批判的記事。挙句に、アメリカ国務長官のブリンケンは「対立候補の Urrutiaが正式な大統領選の勝者であるとアメリカは考えている」と公式声明を出しました。

さすがはアメリカ、他国の内政に干渉し、裏工作を行うだけでなく、表立って口を出してくるその傲慢と厚顔には呆れ返ります。ベネズエラの選挙は電子投票と紙投票の二重で行われて、その結果の整合性を確認するのだそうで、欧米や日本よりも厳密な方法で選挙は行われているそうです。マデュロは「ベネズエラの選挙結果に口を出してくる欧米諸国は、その前に自国の選挙不正についてもっと精査したほうがいい」と皮肉。その後、マデュロはBRICSへの参加意図を改めて表明、そして、イスラエルのパレスティナ虐殺を強く非難し、パレスティナとの連帯を表明しました。

もう一つの大きなニュースは、テヘランでハマスのリーダーIsmail Haniyehがイスラエルによって暗殺された事件。どうも射程数キロの短距離ミサイルを打ち込まれたようです。彼は、すでに自分の一族、子供もや孫もイスラエルに殺されています。ヒズボラ、フーチやイランは当然のこと、プーチンもイスラエルのハマスリーダーの暗殺を国際政治犯罪だと強く批判。イランは「イスラエルへの復讐はわれわれの義務である」と報復を宣言。イランではイラン-イラク戦争の時の軍歌が流されているようで、イランは全面的にイスラエル戦争へ向かっているようです。すでに、ロシアから武器を積んだ飛行機がテヘランへと飛んでいるのが確認されており、イランのイスラエルへの本格的攻撃は秒読み段階となりました。一方で、サイコパス ネタニヤフはレバノンのベイルートの住宅地を爆撃。ヒズボラも全面戦争の決意を表明し、今後は軍事施設に限定せずにイスラエルへより強力な攻撃を加えていくものと思われます。

見境なく周辺諸国を攻撃しまくるイスラエル、狂気の沙汰ですが、その意図は、ひょっとしたら、中東一帯を一旦完全に荒廃させて、その荒地にかつてからの野望であった「大イスラエル」(シナイ半島を含めむエジプトの一部、シリア、イラクとサウジアラビアの半分、ヨルダンとレバノンまで領地を拡大したユダヤ人国家 ) を創るという構想を本気で追求しようとしているのかも知れません。彼らは平和を望んでおらず、戦争の拡大と中東の荒廃を目指しているのかも知れません。そのために、イランとロシアを引き込んで、意図的に核戦争を起こし、一帯の人々を一掃した後、その土地を完全掌握するのが目的なのではないかとさえ、思います。つまり、ガザに対して行なったことを周辺に拡大し、人の住めない土地にした上で、新たに欧米資本を呼び込んで、領地を拡大するという邪悪な計画なわけですが、もし本気でこれを出口戦略として考えているならば、「愚か」という以外の言葉がありません。そして、もしイスラエルをアメリカが支援し続ける理由の一部も、新国家創設時に見込まれる莫大なビジネスのチャンスを見込んでいるのであれば、アメリカの傲慢な愚かさも病膏肓、死ななきゃ治らんと言わねばならぬでしょう。

今や雪崩をうつようにGlobal Southは、世界一強大な軍事力を持つロシアと世界一の経済力を持つ中国が主導するBRICS参加へと動いている状況です。BRICSは共同体内の通貨システムを含め、着々とインフラ整備を進めてきており、BRICS内での取引にドルを排除するようですから、アメリカが世界のヘゲモニーの頂点から転がり落ちるのも時間の問題だと思います。

さて、イスラエルに投資するアメリカの思惑は、ウクライナと基本的には共通していると思います。アメリカは、2014年のウクライナでのクーデターを支援し親ロシアであったヤヌコビッチ政権を転覆させ、EU入りを餌にゼレンスキーにロシアを挑発させ、ウクライナ人兵士を使い、ウクライナの社会を破壊しながら、勝てる見込みのない戦争をさせてきました。そして今、ウクライナは兵力も尽きかけ、国家財政も債務不履行寸前となって、破綻しつつあります。戦争の間、ウクライナに巨額に投入されたアメリカの公的資金は、結局、アメリカ軍需産業へ還流してきたわけで、これは一種のマネー ロンダリング スキームあり、ちょうど自民党が海外に金をバラ撒いては事業を日本企業に受注させるやり方と同じで、公的資金を私企業に移し替えるメカニズムです。そして、戦争の後は、ウクライナの復興をネタにもう一儲けするつもりではないでしょうか。事実、2023年の時点で、ゼレンスキーは復興資金を集める計画を世界最大の資産管理会社のBlackRockと進めようとしていました。その担保として使えるのはウクライナの天然資源でしょう。ウクライナの最大の資源はその肥沃な農業地であり、それを欧米私企業は狙っているのではないでしょうか。つまり、ウクライナを戦場にして、アメリカ軍産に資金を流し、返す刀でウクライナの土地を奪いつつ、うまくいけばロシアにダメージを与えられる、というアメリカらしい自分勝手で浅薄なスキームであろうと思われます。プーチンはそれを許すことはないでしょう。結局、この戦争は、多大な人的損失、領土の喪失、社会インフラの破壊、経済破綻を被ったウクライナの一人負けに終わることになります。

さて、秒読み段階となったイスラエル vs イランの戦争に戻ります。これは、同じ米露の戦争でもこれはウクライナのようないつものプロキシ戦争とは次元の違うものになるでしょう。かなり高い確率で核戦争となります。

前にも触れましたが、旧約聖書の預言の書、エゼキエル書には、イスラエルでの戦争と荒廃が、ゴグ マゴグの戦乱として預言されています。マゴグをロシア、ゴグをロシア軍と解釈すると、ロシアの大軍がイランやイスラムと連合軍をつくって、イスラエルに攻め込んで、イスラエルを荒廃させた後、神によって滅ぼされると解釈されます。ひょっとしたら現実になるかも知れません。

「、、、しかし主なる神は言われる、その日、すなわちゴグがイスラエルの地に攻め入る日に、わが怒りは現れる。わたしは、わがねたみと、燃えたつ怒りとをもって言う。その日には必ずイスラエルの地に、大いなる震動があり、 海の魚、空の鳥、野の獣、すべての地に這うもの、地のおもてにあるすべての人は、わが前に打ち震える。また山々はくずれ、がけは落ち、すべての石がきは地に倒れる。、、、」

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生き延びるために泳ぐ

2024-07-30 | Weblog
パリ オリンピックが開幕しました。今や商業主義に陥り、4年前は、賄賂、利権に中抜きと、その腐敗ぶりとボッタクリ男爵の悪名ばかりが印象に残った競技会でしたが、今回は、オープニングセレモニーで、世界から大反発をうけました。平和の祭典という建前のオリンピックのオープニングで、あれをみて世界の平和への意図を感じますかね?あれで、多様性の尊重とか人類愛への賛美を感じますかね?近代民主主義の確立へと導いたフランス革命をモチーフに使うのはわかります。しかし、それを断頭したマリー アントワネットで象徴させるというのは余りに短絡的で、かつチープな演出と言わざるをえません。そして、「最後の晩餐」のパロディーを思わせるパフォーマンスは、嫌悪感を抱かせるものでした。これはどうも「最後の晩餐」ではなく、ギリシャのオリュンポス12神を意図したものだったようですが、このパフォーマンスを「最後の晩餐」のパロディーだと思い込んだ人が圧倒的だったようで、特にクリスチャンの人々から多くの文句がでました。クリスチャンだけではありません。イスラム教ではイエス キリストは重要な預言者の一人で、それを揶揄したことにイスラム教徒の少なからずも怒りました。実際、イスラム国家であるイランはこの演出に怒り、フランス大使を呼びつけて抗議しました。それだけではなく、聖書の故事から偶像崇拝、拝金主義を象徴する「金の牛」を配置したステージ、そして「蒼い馬」の疾走。蒼馬はヨハネの黙示録に出てくる第4の騎士が乗る馬であり、複数の小説のタイトルにも使われているように、それが意味することは「死」です。これらを見て不愉快になる人は多いでしょうが、啓発的だと感じる人は余りいないでしょう。
 芸術は人間の感情を揺さぶるものですけど、感情を揺さぶるものがすべて芸術とはいえないでしょう。感情が揺さぶられるのはあくまで芸術そのもののエクセレンスに伴う二次的な結果であって、人の感情を刺激することそのものを目的とした打算的で浅薄な演出は邪道であります。刺激的であること自体が目的なら、ポルノビデオでもいいのです(実際、出演者の一人は睾丸がパンツからはみ出していたみたいですが)。

このパフォーマンスを監督したのが、フランスの役者で劇監督のThomas Jollyという42歳の男で、ネットではユダヤ人の同性愛者であるという噂が飛び交っています。その真偽はともかく、平和の祭典のオープニングで、これほど多くの人を不愉快にさせるような演出をするというのは、それが意図的でないならば、観る人の立場に立って心情を思いやる能力を欠いていると言わざるを得ません。先日の東京知事選でも思いましたけど、寿命が伸びたせいなのか教育の問題なのか、現在の40歳というのは精神年齢は10歳ぐらいになってきているのではないでしょうかね。かつては「不惑」の年と呼ばれたものですが。

さて、オリンピックの偽善性は、昔から指摘されてきており、スポーツと平和の祭典という建前であっても、従来から国威発揚の道具として、政治的に利用されてきた催しものでした。自国の選手が勝てば国旗を振りかざす心理というのは自然な同胞愛に根ざす一方、それは同時に、差別思想に利用され「愛国心」という名のもとに、大衆のコントロールや戦争に利用されてきました。(正直、私は「愛国心」などという言葉をためらいなく振り翳す人間は詐欺師だと思っております)それは別にしても、そもそも、仮にもオリンピックが平和の祭典というのなら、どうしてイスラエルを参加禁止にしないのでしょう。そうした抗議の声は開会前からありました。ICJは、先日、正式に「イスラエルはアパルタイト国家であり、不法にパレスティナを占拠している」と判決を述べましたが、アパルタイト国家であった南アフリカは1964年から1988年まで、同じ理由でオリンピック出場禁止処分を受けていたのです。南アフリカはダメでイスラエルは良い、ウクライナが攻撃されるのはダメでもパレスティナなら良い、こうしたダブルスタンダードを見ていると、一体どういう連中がオリンピックや西側諸国を牛耳っているのかよくわかります。しかし、観客は正直です。入場式でのイスラエルの入場には会場はブーイングの嵐、ユーロビジョンの時を思い出しました。

そして、日本は史上最多の400人を超える選手団が盛大に入場しました。一方で、パレスティナと言えば、総勢15人にすぎません。最小の選手団です。

その理由は、この十ヶ月で、300人以上のパレスティナ人競技者がイスラエルに殺されたからです。

そのパレスティナ選手団の旗手を務めた24歳の水泳のValerie Taraziが開会に先立ち、述べたメッセージを下に紹介します:
、、、スポーツは人間の基本的な権利の一つです。私たちは競技に参加できることを光栄に思いますが、すべてのパレスティナ人が、日々、直面している厳しい現実を、私たちは無視することはできません。
 私たちは世界中で、最も幸運なパレスティナ人です。私たちは、競技に参加することができます。しかし、その権利はパレスティナの子供からは奪われてしまいました。彼らはスポーツをする自由がありません。生き延びるための泳ぎを覚えることでさえ、彼らにとっては今や贅沢なのです。
 パリでの競技に備えている中で、私はニュースを見ました。そして、パレスティナの人が(海に落とされた)援助物資を手に入れようと泳いでいる姿を見ました。私は競技のために泳ぎます。しかし、彼らは生存のために泳いでいるのです。、、、
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テロリスト、ネタニヤフ

2024-07-23 | Weblog
先週のイスラエルと欧州のメディアの情報だと、国際犯罪裁判所(ICC)がようやくネタニヤフとIDFのギャラントに逮捕状を出すという話です。これまで、イギリスやアメリカはICCのネタニヤフに対する逮捕状発行に異議申し立てを行ってきましたが、イギリスは意見を変えたようです。これはどうも先日のイギリスの選挙の影響のようで、17日、労働党政権は、ICCへの異議申し立てを取り下げるとイギリス議会は発表しました:
しかし、これは別に労働党がイスラエルのジェノサイドに反対しているからではないようです。事実、労働党のpro-Israelの方針に変化はないようで、下に触れるイエメンへのイスラエルの爆撃の露払いをしたのはイギリス空軍だったという話。イギリスはICCの加盟国であるため、単に、ICCの判断を支持しないと筋が通らないというだけだったようです。

オランダ、ハーグに本拠をおくICCは、日本を含む世界124カ国が加盟国となっていますが、米中露は加盟していません。ネタニヤフに逮捕状が発行された場合、ネタニヤフが加盟国のどこかに入った場合、加盟国はネタニヤフを逮捕する義務を負うことになります。ネタニヤフは24日に予定されているアメリカ議会での演説のために、どうもアメリカに到着したようですが、この記事によると、ネタニヤフの飛行機「シオンの翼」は満席でのアメリカ-イスラエルの飛行では、途中で給油することが必須になるそうで、直行するには制限のかかった旅行を強いられるとのこと。逮捕状が速やかに発行され、ネタニヤフの帰りの飛行機がICC加盟国のどこかに不時着することを心から願ってます。

先週は、イスラエルのジェノサイド対策に、後方支援をしてきたイエメンのフーチ派がテル アビブのアメリカ領事館を"Yaffa "と呼ばれる新型ドローンで爆撃したというニュースがありました。Yaffa はテルアビブ地域のアラブ名です。イスラエルご自慢の「Iron Dome」とやらは何をしていたのでしょうね。市民に対する一方的な攻撃は、誰がやったにせよ、非難されるべきですが、これが因果応報でなくて何でしょうか?イエメンのフーチ派は「テルアビブはもはや安全ではない、テルアビブの市民は避難するように」と声明を出しました。この攻撃は、イスラエルの第二の都市を数千キロはなれた場所からピンポイントで攻撃できることを証明しており、フーチはいつでもイスラエルの都市を攻撃できるとの示威行動です。イスラエルは報復としてイエメンを爆撃し、イエメンは大陸弾道ミサイルをイスラエルに向けて発射、イエメンは「徹底的にやるべきことをやる」と宣言。フーチはイスラエルとの長期の戦争を想定していると述べ、受けて、ヒズボラはイエメンを支持するとの声明を発表、そして、イランはイスラエルのイエメンへの爆撃を非難。

北からはヒズボラ、南からはフーチ、東にイランとシリア、西にはエジプト、北西にトルコ、アラブとイスラム諸国に囲まれて、いつの間にか形勢は逆転しつつあるようです。アメリカの兵器はテル アビブ経由で入ってくるようですから、テル アビブ空港の機能を破壊すれば、イスラエルの兵力は半減すると思われます。

さて、7/18は、南アフリカの人権運動の闘士で大統領だったネルソン マンデーラの誕生日で、現在はネルソン マンデーラ国際記念日として、彼の偉業を偲ぶ日となっています。「我々の自由はパレスティナの自由がない限り、不完全だ」と述べたマンデーラはつい15年前までは、アメリカにテロリストと認定されていた人物です。客観的にみて、アメリカとイスラエル、マンデラとパレスティナ、どちらがテロリストなのかは明らかでしょう。その南アフリカのアパルタイド政策を終わらせた Boycott, Divestment, Sanctions(BDS)運動が、反イスラエル運動の戦略として展開され、ボディブローのようにイスラエルにダメージを与え始めているようです。イスラエルの産業はかなりの打撃を受けています。そして、ICCの逮捕状はネタニヤフの行動範囲を大きく限定することになります。ここで一番の問題はアメリカということになります。ジェノサイドを犯して推定18万人以上の市民を虐殺し、ICCから逮捕状が出される人間をわざわざ国外から呼んで議会で演説させ、両政党が揃って総立ちの拍手を送り、パレスティナの子供を殺すための大量の武器弾薬を供給する、というキチガイ沙汰がまかり通る国がアメリカです。

さて、国際司法裁判所(ICJ)が審議中であった、イスラエルの国際犯罪の訴えに対し、ICJは週末に判決を出しました。判決では「イスラエルはアパルタイド国家であり、長年に渡りジェノサイドを行い、不法にパレスティナ人の土地を占拠してきており、これらは直ちに改められるべきである。国連加盟国はイスラエルに対する投資を引き上げ、制裁を課することを考慮すべきである」と述べました。同調するかのようにパキスタン政府は正式に「ネタニヤフはテロリストである」との認識を示し、今や、イスラエル支持はシオニストに汚染されてきたアメリカ、イギリス、EU諸国の一部(とインド?)のみとなったようです。そして、これまでは、イスラエルのジェノサイドに関しては、パレスティナへの人道支援のみにとどめていたロシアでしたが、外相ラブロフは、「(フーチ派を支援していると思われる)イランではなくイスラエルの方が戦争を仕掛けている。ロシアは(国際社会での)責任を果たすため、いつまでも沈黙してはいないだろう。例えば、シリアを見るが良い」と述べ、軍事介入の可能性を示唆しました。

まだ先ではないかと思われていた中東発の第三次世界大戦が着々と近づいて来ているような不気味な予感を感じさせます。ロシアが口にしたことは、多くは「そのままのこと」を意味しており、その言葉は真剣に熟考する価値があると私は思います。

現在、BRICS側は着々とその世界への影響力を強めており、ロシアの力はより強大になって行くと思われます。サウジのペトロダラーが終わり、BRICS経済圏の中で米ドルによる決済がなくなったとき、ドルのパワーは失われ、アメリカは大きくその影響力を失うでしょう。そうなれば、アメリカがかつてのヨーロッパ諸国のように、帝国主義を捨て「普通の」国となることを選択せざるを得なくなり、これまでのように、世界各地に出かけて行っては、適当な理由をでっちあげて、戦争をやり続けることは不可能になるのではないかと思われます。

さて、アメリカの大統領選では、予想通りバイデンが撤退を表明、カマラ ハリスを候補にするという話ですが、いずれにしても民主党の惨敗に変わりはありません。バイデン、ハリス、トランプ、全員、AIPACに金で雇われたシオニスト議員であり、彼らのイスラエルに対するスタンスは同じです。先日、ハリスは記者会見で「イスラエル軍が難民キャンプを攻撃するのは不法と思うか?」と問われて「イスラエルのやることに口を出す立場にない」と返答しました。この言葉からこの人のスタンスは明らかです。見た目は有色人種でも、中身はジェノサイド ジョーと同じです。民主党政権が続けば(続くと思えませんが)パレスティナ人の虐殺は続きます。トランプが勝ったとしてもパレスティナに関しては同じことでしょう。しかし、トランプが勝つならば、多少はマシな方向に変化する可能性はあります。

従来のエスタブリッシュメントの外からきたトランプが、自分自身で自慢していたことの一つは、「トランプ政権の4年はアメリカが唯一戦争を始めなかった期間である」ということです。トランプのその動機の根底に善意があるとは思いませんが、これは事実です。私はトランプの人間性が大嫌いですが、大統領という職を務める人間としては、バイデンよりはマシかも知れぬと思っております。少なくともトランプが大統領になれば、これまでの人を殺して金儲けをしてきたアメリカ軍産ビジネスはこれまで通りには行かなくなるのではないかと思います。ただ、「取引」の損得勘定だけでやってきた男で、大した政治的信念があるわけでもないでしょうから、また方針はコロコロ変わるかも知れません。思うに、トランプの予測不能さというのはその底の浅さからきているのかも知れません。

さて、トランプが大統領になってウクライナから手を引けば、ウクライナ周辺は安定し、ウクライナ発の世界大戦は回避できるでしょう。そうなれば、さらに国民からのアメリカファーストへの圧力が強まり、ひょっとしたらイスラエルへの支援も終わることになるかも知れません。普通はそうはならないですが、トランプの予測不能さというのがいい方向に転がれば、それは、これまでのアメリカ帝国主義に基づく世界秩序を変える劇薬となるかも知れません。このエゴセントリックなこの男が、権力をもったときに何をしでかすかわかないことを私も恐れていますが、現時点ではその予測不能さはStatus quoを打破する唯一の可能性でもあると思わずにはおれません。毒をもって毒を制す、ですかね。
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先制攻撃

2024-07-16 | Weblog
先週のNATOサミットでは、NATOはアグレッシブにロシアを非難しウクライナ戦争へ深くコミットしようとするそぶりを見せています。どこまで本気なのかわかりませんけど、世界にとっては危険な状況になりつつあります。
ウクライナはそもそもNATOのメンバーではないし、NATOはそもそも北太西洋の安全保障(防御)機構であります。そのNATO(アメリカ)が35年前のソビエトとの約束を破りつづけて、東進を繰り返し、2002年には一方的に弾道弾迎撃ミサイル制限条約を破棄し、「北大西洋の防衛」という名目をはるかにこえて、NATOメンバーですらないウクライナ政府軍の対ロシア戦争を支援しようとしています。

以前に触れたように、このウクライナの戦争に至ったウクライナをNATO側に引き込む企てはオバマ政権時代から計画されたものでした。オバマ政権がウクライナのクーデターを支援し、ウクライナの親ロ政権を転覆させた2014年、ウクライナ東部を巡る新政府軍 vs 東部独立派軍との内戦が激化し、結果、現在の事態へとエスカレートするに至りました。今のバイデン政権とNATOが、80-90年代のアメリカ対ロ強硬派が主張していた「ロシアの黒海へのアクセスを封鎖するようにロシアをNATO加盟国で包囲する」という目標を諦めていなかったのか、ウクライナの中立性がロシアにとってどういう意味を持っているのかを理解していないのか、あるいは本当に第三次世界大戦を望んでいるのか、私には分かりかねますけど、多分、その全てがある程度は当たっているのだろうと思います。

アメリカとか日本とかウクライナとか、われわれは包括的に呼んで、あたかも一国の全体の利益のためにその政体があるかのように、我々は思い込むクセがありますけど、歴史を見てみれば、そして、近年のグローバル化を見てみれば、「国」というのは、単に地理的な概念にすぎなくなってきています。アメリカ政府や日本政府がアメリカ国民や日本国民全般の利益と安全と繁栄を望んでいるわけでないのは明らかです。むしろ、そうした国の一部の支配者層がその国の国民を搾取し、戦争を口実に、戦争の道具として使って、富と力のヒエラルキーを維持してきました。江戸時代の参勤交代のようなもので、中央主権を維持するためには地方や一般国民が豊かであっては、むしろ困るのです。富の偏在こそがグローバル化した世界の支配者層が望んでいることで、彼らは、経済的に階層化された社会の頂点にい続けるため、国民は「生かさず、殺さず」、日々の目先の生活のことで頭がいっぱいという状況に置いておくシステムを構築してきました。そして、その構造が不安的になってくれば、戦争という非常事態に持ち込んで、リセットすればいい、死ぬのは下々の一般国民だ、とでも思っているのでしょう。彼らにとっては国境はないに等しく、常に安全な場所にいることができるのですから。

アメリカでもイスラエルでも、思うに、その支配者層は自国がロシアの核兵器で荒廃し、数多の国民が犠牲になっても、大きなダメージはなく、むしろ、そうして人口が減ってくれた方が良いとでも思っているのではないか、とさえ想像します。ですので、NATOやアメリカが過去35年間、ロシアを挑発し続け、2014年にウクライナ政府を転覆させて、ロシアと敵対させ、現在、わざわざウクライナのNATO加盟の可能性をちらつかせて、意図的にロシアを世界大戦に引き込もうとしているのだと考えているのだとしても、驚きません。

幸い、NATOの加盟条件に「他国との紛争のないこと」「政治的に透明な民主主義国家であること」という条項があります。前者をウクライナは満たさないのは明かですし、後者についても今のゼレンスキー政権は選挙で選ばれた大統領ではなく、臨時軍事政権の独裁政権になっているので、NATO加盟国がその規則を重んじるならば、ウクライナのNATO加盟は基本的に不可能だとは思います。しかし、嘘と約束を重んじないことでは定評のあるアメリカですから、そのあたりは力で捻じ曲げてくるかも知れません。

NATOが全面的にウクライナ側に立ってのロシアとの戦争は、米ソ軍事衝突であり、即ち第三次世界大戦のことですから、そうなって迷惑を被るのは主戦地の周辺国です。前にも述べた通り、NATOメンバーのハンガリーはNATOのウクライナ支援に強く反対しているし、黒海を挟んだ同じくNATOメンバーのトルコも同じスタンスです。日本と言えば、いつもと同じでアメリカの命令には「ワン、ワン」と二つ返事。北大西洋の自衛に、太平洋の島国が、自分からわざわざ首を突っ込んで、戦争ビジネスの捨て駒にされるために憲法改悪し、自国とは無関係の米ソ戦争に、米兵の代わりに自衛隊員を出して犠牲にし、たっぷりと軍事費を負担させられて、そのツケはわれわれ国民に回す、っていうのはどの世界のマヌケなのでしょう。相手から、都合よく使われて腰抜けぶりをバカにされているのに、何の勘違いしているのかニヤける増税メガネ。

世界の平和を望む人々は、当然、戦争反対です。NATOやウクライナの「平和を守るために戦争する」という言明自体がoxymoronであり、「平和を守るため」にはあらゆる手を使って戦争を避ける知恵が必要です。勇ましいことを言う人ほど知恵がない。そういう人間を我々は警戒し、立ち止まって深く考える必要があると思います。

かつて自民党がまだ多少はマトモだったころ、宮沢喜一が「『保守』とは立ち止まることだ。立ち止まって考えること」と「保守」と言う言葉を定義しましたが、立ち止まって考えれば、戦争をすれば、勝っても負けても、国民が死に、国が疲弊し、社会が破壊される、それで徳をするのはごく一部の支配層の人間だけであると言うことは明らかではないかと思います。

ロシアを激しく非難し挑発するNATO(アメリカ)は煽動者であり、東ヨーロッパのみならず世界の平和を脅かす存在となってきました。NATOは中国もウクライナにおけるロシアの戦争の「決定的な支援者である」と非難しましたが、それに対し、中国は、「NATOの声明は冷戦的な考え方と好戦的なレトリックに満ちており、挑発的であり、明らかな嘘と中傷に満ちている。(NATOは)対立を煽ってはならない」(中国外務省、林健報道官)と述べました。つまり、戦争を起こしたい連中の意図を冷静に指摘して批判したわけです。

そして、週末、トランプが襲撃されました。まだ状況が混沌としていますが、時期大統領になる可能性が濃厚なトランプに大統領になってほしくない勢力がやったと仮定すれば、最も怪しいのはウクライナでの戦争を拡大させたい連中でかと思われます。私はトランプという男が人間的に嫌いですが、時期大統領としては、バイデンよりはちょっとだけマシかもしれぬと思っています。それは、トランプはウクライナへの軍事支援を止めると言っているからで、ウクライナはアメリカの軍事支援がなくなれば、現政権はロシアと交渉するしかなくなり、とにかく戦争は止まるからです。

さて、そのNATOの態度に、プーチン自身も、「NATOは第三次世界大戦を起こそうとしている」と直裁的に述べましたが、かつて、プーチンは下のようにも言っていたのはNATO、アメリカを含めて世界は覚えておくべきでしょう。

「50年前、レニングラードのストリートは私に一つのルールを教えてくれた。
 もし戦いが避けられないのなら、先に攻撃しろ、と」
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選挙の週

2024-07-09 | Weblog
先週は選挙の週でした。
まずは、イギリスの総選挙で労働党が地滑り的勝利を収めて政権交代となりました。労働党の前党首であり、パレスティナ支援を訴えてきたJeremy Corbynは、今回、無所属で立候補し議席を回復。イスラエルのジェノサイドを支援してきたスナクの保守党は壊滅的敗北となりました。一方で2ヶ月前の補選で議席を回復したばかりのGeorge Gallowayは、南アとイスラエルのアパルトヘイト問題の深くコミットしてきた議員でしたが、残念なことに落選してしまいました。現在の労働党のパレスティナ問題やウクライナ問題へのポジションは保守党と大差ないような感じで、この今世紀最大の殺戮と人権蹂躙に強く反対を打ち出しているものではありません。先の労働党党首であったCorbynは「反ユダヤ」カードを切られて、党を追放されましたから、この政権交代がイスラエル-パレスティナ問題に大きな影響を与えることは期待薄ではないかと思います。

アメリカ大統領選、あの史上最悪の米国大統領候補討論会の後、民主党はバイデンをどうするのか、という床屋政談でネットは多少盛り上がっております。「バイデンはアルツハイマーや認知症があるのではないか」との記者会見での質問に政府広報官が「時差ボケや風邪やらで調子が悪かった」というような言い訳で乗り切ろうとしたのがますます、「バイデンは公務執行不能」であるとの国民の確信を強めました。直ちに辞任が必要な状態に見えます。この状態であと4年半はあり得ません。それでも、討論会場に出てくるだけ、マシと言えます。現役都知事でありながら、後ろめたいことが多すぎて、討論や対面の記者会見から逃げまわる、学歴詐称と権力者へのすり寄りで政界を渡ってきた「緑のたぬき」おばさんよりは潔いでしょう。

バイデンの独立記念日翌日のツイート

これ、ほんとにバイデンがツイートしたのか影武者なのかAIなのかわかりませんけど、民主党としては、もうバイデンで戦うしか他に手がない、という玉砕モードなのでしょう。もし、民主党に黒人かヒスパニックでオバマ並みのカリスマのある若手が居れば、バイデンと差し替えることも可能であったかも知れません。白人で男性で高齢なのでは、いくらバイデンよりも能力と魅力があっても勝てる見込みはなく、かといって女性で有色人種であるからと言っても、カマラ ハリスはあくまでバイデンの添え物として選ばれたわけでメインは務まりません。いずれにしても都会のヒスパニックや黒人層を支持基盤にしてきた民主党であるのに、白人のバイデンがパレスティナというアパルタイト政策の加害者であるイスラエル支援を続けて多くのパレスティナ人を殺してきたという事実を、黒人やヒスパニックの支持層が受けつけないのではないかと私は思います。東部のマサチューセッツやニューヨークはともかく、ひょっとしたらカリフォルニアやハワイなどは民主党支持州でなくなるかも知れません。

そして、土曜日はイランの大統領選。宗教国家であるイランは大統領よりも最高指導者の方が強い影響力があるようです。これまで保守強硬でハメネイ氏と保守派の政権が一致していましたが、今回は欧米との対話を掲げた改革派、ペゼシュキアン氏が当選。選挙システムそのものが与党に有利に設計されている中での改革派の勝利というのは意義深いと思います。それに「対話」があることはいいことです。例え、それが罵り合いであったとしても、対話のある間は戦争にはならないわけですから。

人気低迷のマクロン政権が自爆解散して行われたフランス総選挙。フランス国民の右傾化傾向は以前から話題になっており、選挙では当初、極右政党「国民連合」が躍進しましたが、共闘の結果、決選投票の結果は左派連合が第一党となりました。喜ばしいニュースは、勝利後の演説で、代表のメランション(多分、次期大統領)は、「われわれはパレスティナを国家として認める必要がある」と述べ、聴衆が歓声をもって応えました(下のビデオの1:15あたり)。フランス一般国民のジェノサイド非難の声を代表する政権となって、イスラエルの犯罪を止める力になってほしいと思います。

ところで、ガザでのイスラエルのジェノサイドによる犠牲者数についての記事が、臨床医学雑誌、Lancetに出ています。
"Counting the dead in Gaza: difficult but essential" (Lancet 7/5/2024, Khatib R et al). 
UNによる公式発表では犠牲者は37,000ですが、さまざまの状況証拠から推測すると186,000人かそれ以上、ガザの人口の7.9%にあたる人々が殺されたと考えられると述べています。
医療は人道主義に基づき、医学研究は人類の健康と幸福の促進のためにありあります。LancetもNEJMもその他の医学雑誌もそうした精神に基づいて、知見をdisseminateするプラットフォームであります。このコレスポンデンスの最後に"Editorial note: The Lancet Group takes a neutral position with respect to territorial claims in published text and institutional affiliations."と断ってありますが、医学雑誌であるLancet編集部はgenocideという大量殺人を非難するというポジションも明確にしておくべきではないでしょうか。

話をもどして、日曜日は東京都知事選。胸糞悪い選挙戦と選挙結果でした。討論やジャーナリストから逃げ回る緑のたぬき、新宿での街頭演説では「辞めろ!」コールに沈黙する場面もありました。東京の公的資産を企業に売り払い、巨大な公金を利権企業に流す一方で、都民のための政策の公約は達成ゼロ。一般の国民、都民から広く集めた税金を利権企業に流す「富の逆再分配」のいつもの自民党政治がこの8年東京都でも行われてきました。巨大な財源を持つ東京、「緑のたぬき」の選挙戦を支援しているのは利権に群がる自民党と公明党。そして、8年やって公約達成ゼロ、議会での答弁拒否率7割、学歴詐称がバレ始め、自民と創価学会の組織票だけでは心もとないとなって、ひっぱり出してきたのが石丸某という地方の市長だった男。パワハラ体質で市議会と問題を起こし、名誉毀損などで訴えられ、現在裁判に2連敗中。この無名の田舎の市長が二位の得票率。カラクリは自民党(と、おそらく統一教会)による選挙支援。どうも反小池票を割るための捨て駒だったようで、本人にしてみれば、ここで名前を売って自民党から国政へというハラなのでしょう。選挙後のインタビューのビデオクリップを見る限り、単に頭が悪いのでなければ、どうも誠実に対話するということができず、対話は反則技を使っても勝てばいいとでも思っているようなタイプのようです。 余計なお世話ですけど友達いるのかな?

選挙結果は、自民党の思惑通り、利権ファーストの学歴詐称おばさんが「東京大改革3.0」で三選。8年、二期も改革をやって成果ゼロ、やったことは、都民の大勢が反対する「再開発」という名の利権業者への東京の資産叩き売り。そのために築地や神宮外苑など歴史ある財産を次々と破壊し、精々数百万円レベルの無駄なプロジェクトに48億の予算をつけて電通(子会社)に中抜きさせる。改革と称して破壊と略奪を繰り返し、東京を公金目当ての企業の草刈り場にしてきたくせに、もっとやるらしい。

ま、しかし、結局は、東京都民の選択です。都民の中には創価学会も統一教会もいろんな人がおります。その中で、都政の実情や候補者について、客観的に評価できるだけの知識をもって、自ら判断できる人間は、残念なことに多くはありません。ゆえに民主主義は衆愚政治と呼ばれ、政治家のレベルは国民のレベル以上にはならない、と言われるわけで。
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カレー味の...

2024-07-02 | Weblog
先週もいろいろありました。一週間は短いと思いますけど、日々の出来事を思い出すとその短い期間にも色々なことが起こっていることが実感されます。

先週の大きなニュースの一つはジュリアン アサンジュの出所ですかね。2006年のWikiLeaksの創設によって、世界に名を知られることになったアサンジュは、この活動を通じて国家の犯罪を明らかにし、ジャーナリズムに大きな貢献をしました。彼が明らかにしてきた数々の国家の犯罪の中で、最大のインパクトがあったのは、アフガニスタンとイラクでのアメリカ軍の機密文書の公開ではなかったでしょうか。国家の機密を盗み出すことは犯罪ですが、それを公開する者を罰するのは筋違いであります。まして、その機密が国家の犯罪である場合は、いわば公益通報のようなものであって、むしろ、それがジャーナリズムの本質的な役割と言って良いでしょう。

Wikileaksと彼の活動に対しては、複数の機関がその貢献に対して賞賛をおくってきた一方で、アメリカ政府は、アサンジュを刑事告発。先週もボリビアでのクーデターを支援して失敗したアメリカ政府ですが、さすがに世界中で他国の内政に軍事的に介入し、70件にも及ぶ数の国家転覆を企てたとされる国ですから、色々とバラされては困るのはわかります。アサンジュは2010年にスウェーデンで性加害を仕立て上げられて、国際手配されイギリスで逮捕、勾留されました。スウェーデンはとっくの昔にこの件を終結させたのに、なぜか勾留は解かれぬまま、このほどアメリカとの司法取引がようやく、成立しサイパンで有罪を認める代わりに釈放されて、ようやくオーストラリアに帰りました。

人道主義と真っ向から対立しているのが欧米の帝国主義であり、それは姿形を変えて存続し、現在も人類の不幸を生み出し続けています。ジャーナリストの活動などを通じて、世界の人々が「知る」ことが、そうした人類に対する国家的犯罪を抑制していく第一歩であると私は思います。人道主義、すなわち我々自身と世界の人々の安寧と平和を実現しようとする活動において、「知は力」であり「無知に住ずることは不善」であります。世界や自らの国やその政府をまずは知り、そして自らの頭で思考することなしに、それらを改善できるわけがありません。ジャーナリズムとは人々を啓蒙し、権力の暴走をペンの力で抑制する活動であり、村上春樹風に言えば、「常に卵の側に立つ」べきものです。残念ながら、現在の日本のマスメディアは、「壁」の側に立って「卵」を搾取する権力の広報機関と成り果ててしまいました。メディアが保身第一で、事なかれ主義の単なる傍観者、もしくは権力者のプロパガンディストして存在しているのなら、それはもうジャーナリズムでがありません。

もう一つの話題は、大統領選にむけてのトランプとバイデンの公開討論でしょうか。他の大統領候補者、ジル スタインやロバート ケネディJrらは、二大政党制というプロレス興行から弾き出されて、討論にも参加できず。アメリカやイギリスでは、この二大政党制というシステムが定着して、人々は投票によっていずれかの政党の政策を支援することが「民主主義」だと考えさせられているようです。しかし、アメリカや日本やイギリスが「民主主義国家」だというのは羊頭狗肉というものです。いずれの政党も一般国民の利益を考えていはいません。もしそうであれば、富は適切に再配分され、格差は縮まっていくはずですから。実際に起きているのは、その真逆であり、政府に直接影響を及ぼすことができるだけの経済力や権力を持つものが、彼らの利益のために庶民を搾取し続けているのが現実です。大統領選を戦うのに50億ドル以上の金がかかり、日本の衆議院選には立候補するだけで、最低でも300万円の金を預けなければならないような国が民主主義国家であるはずがありません。金の出所が選挙前から政治を支配しているのです。イスラエルやウクライナの政策に見られるように、実際の政治を動かしているのは、そのどちらでもあってどちらでもない勢力であり、実際は、国民は選挙というセレモニーで、あたかも彼らが政策決定に参加しているかのような幻想を持たされているだけと言っても良いでしょう。

昔の職場では、リサイクルに回す紙は、白黒印刷の紙とカラー印刷の紙に分別するように別々の容器が用意されていましたが、廃棄紙を収集に来る人が、分別した容器の中身を一緒くたにまとめて持っていくのを見て、何のための分別だったのだろう、と思ったことがありました。二大政党制はこのリサイクル容器を思い出します。どちらに投票しても、結局、政策は似たり寄ったり、共通しているのは一般市民の利益よりも、政治家と一部の金を力を持つ者の利益のための政策(カバルのアジェンダ)が粛々と実行されていくということです。

多額の献金が可能な資本家、組織票を纏めることができる宗教団体、政治家の地位を維持させてくれるそうした一部の団体の便宜を図るために、彼らには補助金を出し、公共事業を請け負わせ、減税してやる一方で、消費税などを増税して一般国民にツケを回して帳尻を合わせる、それが政府のやっていることです。アメリカ政府も同じことで、その典型例が、政治家に対するAIPACの献金と脅迫によるイスラエルへの軍事支援政策でしょう。アメリカがイスラエルを支援しなければ、今回のような規模の民族殲滅を目指したような大量殺人は不可能だったのですから。

さて、大統領候補者討論、4年前のこの二人の討論もひどかったですが、今回は前回以上で、舞台に上がったのは、一人はボケ老人で、もう一人は犯罪者。「カレー味のう◯◯」か「う◯◯味のカレー」かという究極の選択の例えを思い出しましたが、実のところは、二人とも「う◯◯味のう◯◯」。通常は、選挙戦の後半に支持率アップさせるような減税とか利下げとかの政策を打つことができる現職者が有利なはずですが、今回は、イスラエルのジェノサイドを支援し続け、インフレを押さえきれずに利下げもできず、社会格差をどんどん広げてきて、ただでさえ評判の悪いバイデンなのに、これほどまでのモウロクぶりを討論会で見せつけたのでは、彼の勝ち目はありません。スウィング ステートは全部、共和党に取られて民主党は歴史的敗北を喫するでしょう。この討論の前、国際紛争に詳しいイギリスの議員George Gallowayはインタビューで「米大統領選はトランプの地滑り的勝利におわる」と言っていましたが、正確には「バイデンの地滑り的敗北」であって、結果、我々は大統領に最も相応しくない人間が二度も大統領になるという悲喜劇を見せられることになるようです。ま、大統領にふさわしい人間など民主党にもいませんけど。バイデンを降ろして候補を差し替えるにしても時間も適当な候補者もない状態では、民主党の勝利はまずないでしょう。(と、書いていたら、バイデンは大統領選から降りるらしい、といううわさが聞こえてきましたが、どうなんでしょう)

ただ、トランプが大統領に再選された場合に、一つよいことは、ウクライナの戦争が終わるであろうということでしょうか。バイデンが二期目を続けたのでは核戦争になりかねません。トランプは以前からウクライナへの支援を取りやめて、資金を国内に回すと明言してきました。先週、ゼレンスキーが突然、戦争終結のための交渉の計画を口にしだしたのは、バイデンの勝ち目がないと悟ったからかもしれません。交渉といっても、ロシアの要求は2014年時のウクライナのクーデター時から変わっていないので、ゼレンスキーがロシアの要求を飲むか飲まないかの二者択一ですが。

しかし、トランプが大統領に再選されたとしても、イスラエルの支援は継続され、パレスティナの迫害は止まらないでしょう。それほど「反ユダヤ」カードはアメリカの政治家に対して強力であり、一旦「反ユダヤ」のレッテルを貼られたら、それは政治生命の終わりを意味することになります(少なくともこれまでは)。

イスラエルに対するイスラム、アラブの反感は高まる一方。同時に、先日、話題にした通り中東周辺の国々、イラン、エチオピア、サウジアラビア、エジプト、UAEなど、イスラム系国家は続々とBRICSへ参加していっています。いくらアメリカが支援するとは言え、イスラエルがこれからも中東でバカ続けると、ロシアがアラブ連合軍を引き連れて出てきます。そうでなくてもヒズボラの兵力はすでにイスラエルを圧倒しているという話です。ロシアがコーカサスを下れば、それは核兵器による第三次世界戦争を意味し、イスラエルのみならずアメリカ本土も無傷ではすみません。しかし、トランプがその危機を回避できる知恵を持っているとはとても思えません。
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Dr. Sacks' take on Ukraine

2024-06-25 | Weblog
イスラエルの戦争犯罪が正式に認定され、世界から強い口調で非難されていますが、ネタニヤフは反省の色を見せません。その反吐の出るような傲慢で邪悪な愚かさはネタニヤフだけのことではなく、シオニズムに洗脳されたイスラエル軍やイスラエル国民の多くにも共有されていると考えられます。そして、イスラエルの非道な悪行知っていながらも自己利益のためにそれを支えているのがアメリカ政府とその属国です。一方で、プーチンは人道支援として43,000人のパレスティナ難民を6ヶ月間受け入れることを表明。イスラエルのジェノサイドを支援し続けるG7諸国(日本も含む)とパレスティナ難民の受け入れを表明するロシア、どちらが「人として」マトモなのかは私には自明に思います。

パレスティナとイスラエル、ロシアとウクライナの構図はよく似ています。パレスティナを挑発し10/7に軍事行動を起こさせたイスラエル、ロシアを挑発し続け、2014のクリミア独立とロシアへの編入、2022のキエフ侵攻を招いた新ウクライナ政府、いずれもアメリカの積極的な支援をがあってのものです。

日曜日にはウクライナ政府軍はクリミアの都市をアメリカ製のミサイル攻撃し市民が死傷する事件がありました。戦争法に則って普通に戦争をしたのではウクライナはロシアには勝てないので、市民の住む都市にミサイルを打ち込むテロ行為に出たのでしょうか。ま、プーチンが言うように本当は誰がやらせたのかは明らかですけど。

下のビデオにある通り、アメリカがウクライナのヤヌコビッチ政権を転覆させ、ウクライナをNATOに取り込もうとした2014年、ロシアはそれを看過できず押さえたのがクリミアです。しかも、このプロセスでは、クリミアはまず住民投票と議会でウクライナからの独立を可決し、独立した後にロシアに編入を依頼した上で、ロシアが認可するという手続きを踏んでいます。つまり、アメリカやイスラエルとは違って、ロシアは国際法を(少なくとも形式的には)尊重する姿勢を見せています。そうしないと、戦争は際限なくエスカレートし、ただの殺し合いになる(つまり世界規模での核戦争になる)とプーチンは考えているからでしょう。

ロシアにとってウクライナとジョージアは譲れないred lineであり、特に、クリミア半島は黒海からの防衛上の重要拠点であり、ここをNATOに押さえられることはロシア国家の危機に直結します。ロシアにとっては国家存続の問題であり、自らの生存のためにやらねばならぬことを手順を踏んでやってきたと私には思えます。しかし、アメリカは、ウクライナでの戦争を単なる陣取りゲーム程度に考えているように見えます。ロシアと西側での戦争に対するこの見方の差は深刻だと思います。

ロシアがクリミアをわざわざ煩雑な手づづきを経て編入したのは、その手続きがロシアに法的根拠を与えるからで、ちょうと同国がサンフランシスコ条約を根拠に、北方領土を日本に返さないと主張しているのと同じだと思います。そしてクリミアや北方領土を管理下に置く目的は、ロシアにむけたアメリカ軍のミサイル発射台をこれらの土地に設置されないようにすることでしょう。

キューバ危機の時にアメリカは、自分の喉元にナイフを突きつけられることがどういうことかを身をもって学んだはずで、ウクライナやクリミアにNATOが進出することがロシアにとって何を意味するかは理解できると思うのですが、そのようには見えません。キューバ危機当時はオバマは2歳、バイデンも20歳そこそこですから、実感がないのかもしれません。上にも述べた通り、この認識の差、つまりロシアにとっては国家存続の問題であるが、米英にとっては単なる陣取りゲーム、が私はもっとも恐ろしい結末へつながる要因ではないかと思います。

アメリカが第二次対戦後も、世界中で不法行為をやりたい放題できたのは、その圧倒的な軍事力と経済力があったからでした。しかし、中国の台頭、ロシアの軍事強化、インドの人口増加によって、軍事力、経済力、人的資産もBRICSが欧米を凌駕する勢いとなってきました。そして、親米であったサウジアラビアはアメリカドルを捨てて、BRICSに加盟、イラン、エチオピアといったイスラム諸国も加盟、トルコ、ベネズエラといった数多くの国々も加盟への動きを見せており、アメリカの世界一極支配は終わりに向かいつつあります。しかし、傍目には明らかなパワーバランスの推移を、アメリカやイスラエルは実感しているようには見えません。

NATO諸国の中でも、このアメリカの態度に「いい加減にしろ」と思っている人々は少なくないと思います。ハンガリーはNATOがウクライナに入るなら、軍事協力はしないと表明。トルコもおそらく同様の行動をとるでしょう。そもそもこのウクライナ戦争はアメリカが仕組んだものと言ってよいでしょう。下の動画で言及されている通り、かつて「ロシアをNATOで包囲する」という欧米の対露戦略をいまだに引きずっているのか、アメリカはウクライナをNATOに組み入れることに異様な執着を見せてきました。

実のところ、私は近代における防衛問題というのは、結局は戦争ビジネスを回すための口実に過ぎないと思っております。しかし、問題は、当事者がいつの間にかそれを忘れ、ゲームに熱中する子供のように政治家自身がその建前を信じ込み、そして大衆を巻き込んで、状況がコントロールできなくなるまでエスカレートしてしまうことが起こりうるということでしょうか。

これまでアメリカによるNATO拡大とウクライナへの介入に対し、比較的、鷹揚に対応してきたプーチンも、さすがに「もしNATOがウクライナに入るようなことがあれば、それは第三次大戦になる」と、理解の悪い不良高校生に諭すように当たり前のことを言いました。この当たり前のことがアメリカやNATO諸国の少なからずが理解できていないように私は感じます。

「NATOはウクライナに手を出すな」このプーチンの要求は今回のキエフ侵攻時も、2014年のクリミア編入時も、それ以前も一貫しています。これらのロシアの行動は、アメリカが挑発しなければ起こらなかったことです。前回も述べたとおり、「NATOは東進しない」は1991年の冷戦終結時の東西の合意であり、アメリカとNATOはそれをずっと破り続けてきました。そのNATOが最後のred lineであるウクライナに入れば、ロシアは西側とフルスケールの戦争となるという当たり前のことをプーチンはあらためて言わざるをえませんでした。それほどアメリカは傲慢なのか、キューバ危機のチキンレースの時のように、意地になっているのか、私にはわかりかねますが、ひょっとしたら本当に愚かなだけなのかも知れません。

さて、ウクライナ戦争に関して、先週、話題になったのが、"Piers Morgan Unsencored" でのアメリカの経済学者で公共政策専門家のJeffrey Sacksへのインタビューでした。
今回のウクライナ戦争に至る歴史的経緯についてSacksが解説しています。西側プロパガンダに沿った主張をするピアス モーガンを、ロジカルな議論を積み重ねて教育するという構造ですが、もしモーガンが意図的に無知を装っているのなら大したものです。下にインタビューの真ん中あたりの一部の内容を示します。

、、、、
モーガン:あなたは、プーチンが行なった野蛮な戦争の現実の基づいているというよりも、プーチンの世界観を受け入れることに非常に依存しているように見えるのだが、、、。

サックス:多分、それは私がアメリカについて知りすぎているからでしょう。
第二次世界大戦後のヨーロッパにおける最初の戦争は、アメリカがベオグラードを78日間爆撃したものでした。目的はセルビアを解体し、飛び地としてコソボを作り、バルカン半島南西部にバルカン半島最大のNATO基地であるボンドスティールを設置することです。アメリカはクリントン政権下でこれを始めました。アメリカが、不法にヨーロッパの国の国境を破り爆撃したわけですが、国連は無力でした。しかも、これはNATOの「任務」と正当化されたのです。

その後、アメリカは何度も不法に他国で戦争を起こしました。アフガニスタン、イラク、そしてシリア。シリアへの軍事行動は、オバマ政権下で、特にオバマとヒラリー・クリントンが、アサド政権を転覆させるためにCIAにやらせたことです。そして、NATOがカダフィ政権を転覆させるためにリビアを不法に空爆しました。

2014年2月にはアメリカはキエフで何をしたのか、私はその一端をこの目で見ました。アメリカはウクライナの右翼軍とともにヤヌコビッチを政権から引き摺り下ろしたのです。我々(アメリカ)はウクライナの大統領を転覆させたということです。

興味深いのは、このクーデターは、EUの代表とヤヌコビッチが「早期選挙、国民統合政府、両陣営の撤退」をすることで合意をした翌日に起こったということです。(EUとウクライナ大統領が正式に合意したものであったにもかかわらず)反ヤヌコビッチ勢力が「我々は同意しない」と言って、政府ビルを襲撃し、ヤヌコビッチを引き摺り下ろしたのです。そして、間髪を入れず、アメリカは新政府を支持すると宣言したのでした。本来ならば、「協定合意があったのだから(クーデターは)違憲である」とアメリカは言うべきはずのところです。つまり、アメリカは、EUがウクライナ政府と交わした協定を無視して、(親ロシア)政権を転覆させたのです。しかも、アメリカは、ロシア、EUとともにこの協定の当事者だったにもかかわらずです。

ところで、2015年ですが、ロシアは「平和は交渉によってもたらされるべきだ」と言ったのであって、決して「ドンバスを返せ」と要求したのではありません。これによって、ウクライナ東部のロシア系民族とこのウクライナ新政権の間で交渉が行われ、停戦合意、ミンスク第2次合意(ミンスク II) に至りました。(最初のミンスク合意は2014年)ミンスク II 合意は国連安全保障理事会で全会一致で決議され、ウクライナ政府が署名し、ドイツとフランスが保障人となりました。
そして、私は直接聞いたのですが、この国連安全保障理事会が全会一致で承認したこの合意はアメリカ内部では笑い飛ばされたのです。

ウクライナ新政府は、この合意に不満をもち、この地域(ドンパス、ルガンスク)に自治権を与えたくないと言うと、アメリカは彼らに「心配するな」と言ったのです。ドイツのメルケルは、2022年のインタビューで、「ミンスク II はウクライナに力をつける時間を与えるための、単なる保留期間だ」と説明しました。とんでもないことです。ミンスク II は国連安全保障理事会が全会一致で採択した条約であり、これで東ウクライナの戦争は終わるはずのものでした。(しかし、ウクライナ政府を転覆させたアメリカは言うに及ばず、協定の保証人であるはずのドイツも最初から合意を誠実に履行するつもりはなかった)

誰が信頼に足るのか、誰を信用すればいいのかという話になると、私の問題は私がアメリカ政府をよく知りすぎているということだと思います。私はアメリカ政府を一瞬たりとも信用したことはありません。

だから、この両者(アメリカ/ウクライナ新政権 と ロシア)に、全世界の前で、「これらが合意の内容である」と示してもらいたいと思います。そうすれば世界は(誰が正しくて誰が間違っているのか)判断できるでしょう。なぜなら、次のようなことを明白な合意文書にすることもできるからです。
アメリカは「もう他国の政府を転覆させるつもりはない、アメリカはこの合意を受け入れる」と言う必要があるでしょう。ロシアは「決められた境界を越えることはない」と言う必要があるでしょう。そして、NATOは拡大してはなりません。これらを合意して、それを世界に示し、どうなるか見てみたらどうでしょう。条約は時には実際に守られたりすることもあるのだから。、、、、
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BRICS 対 欧米帝国主義

2024-06-18 | Weblog
先日のガンツの辞任を受けて、ネタニヤフは「戦争内閣」の解散を宣言しました。だからといってパレスティナ殲滅作戦が終焉に向かうわけではなく、統一教会に洗脳された信者のような大半のイスラエル国民はいまだにジェノサイドを支持しているようです。カルト宗教というのは度し難いものです。

さて、イスラエルのジェノサイド、ウクライナ戦争を支えているのはアメリカを中心とする欧米諸国ですが、先週は、欧米から独立した経済圏を構築しようと努力してきたBRICSの躍進の一方で、いよいよアメリカ帝国主義が終焉に近づきていることを思わせられることがありました。軍事力と人口と経済力という点で見れば、BRICSは、アメリカと欧米と日本を含むその他アメリカの属国を凌駕するパワーを持ちつつあります。

先週、ロシアの中央銀行は、中国元をロシアの主な外国貿易基軸通貨とすると発表しました。そしてサウジアラビア、イラン、エジプト、UAE、エチオピアがBRICSに加入。NATO加盟国でありながら、イスラエルのジェノサイドを強く批判しロシア-ウクライナ紛争にも独自の対応をとるトルコもEU諸国から離れてBRICS経済圏に移行するそぶりも見せています。

そして、今回のサウジアラビアのBRICS加盟とPetrodollarと呼ばれる50年にわたるアメリカとのオイル協定(サウジアラビアは石油貿易にドルを基軸通貨として使い、アメリカ国債を購買する代わりに、アメリカが防衛軍事力を提供する)の終焉は、アメリカ経済に大きなインパクトを与える可能性があります。

そして、先週のG7では、欧米+日本の首脳がイタリアに集まり、記念撮影しました。そのThe lame ducks とでも呼ぶべき面々の集まりがネットではさまざまに揶揄されています。G7の最終声明では、「我々は、イスラエルとその国民に対する全面的な連帯と支援を表明し、イスラエルの安全保障に対する揺るぎないコミットメントを再確認する」と宣言、G7が如何なる集まりなのかがよくわかります。受けて、ネットではG7 とは "Genocide 7"のことだ、との批判が続出。平たく言えば、カルト宗教団体と癒着した暴力団アメリカ組系列の集会がG7。

そのほか、集まったメンバーの記念撮影についたコメント
"The losers' club"

集まったメンバーに共通しているのは、全員が国民から嫌われていることだ。

このグループを名づけるとしたら?では、
"Genocide 7 (G7)" "Team Genocide", "The Geno Ciders", "Gang 7" "Terror Squad", "Warmongers ", "The Usual Suspects", "The Pretenders", "8 Horsemen of the Apocalypse", "Ali baba and the seven thieves", "The seven dwarves plus one intruder" ...
などなど、G7 国がイスラエルのジェノサイドの共謀者であることを批判するものが多い一方、リーダーであるはずの彼らが自国の国民からの支持されていないことを指摘する内容のものが多かったです。

G7につづいてスイスで行われたウクライナ和平会議、上記の指定暴力団アメリカ組系列の集まりのペップトーク。ウクライナとロシアの和平のための会議なのに、一方の当事者であるロシアは招待さえされず。欠席裁判でアメリカとNATO側に都合のように言われてプロパガンダを流されるのがわかっているプーチンは先だって、「和平案」を提案。

プーチンは、(ウクライナを含めて)ヨーロッパ諸国がアメリカの手下となって、対ロシアに使われていることを強調して下のように述べました。
「ロシアがヨーロッパを攻撃するという発言は全くのナンセンスである。ヨーロッパにとって危険なのはロシアではなく、米国にほぼ全面的に依存することだ。ヨーロッパの政治家たちはアメリカに監視され、圧力をかけられ、(パイプラインで供給されてきたロシア産天然ガスを止めて)高価なアメリカ産ガスの購入を強制されている。もしヨーロッパが世界の中心であり続けたいのであれば、ロシア連邦と良好な関係を保つ必要がある」
そして、ウクライナとの戦争に関しては、「ウクライナ軍が新しい地域(独立を宣言している東部のドネツクとルガンスク)から完全に撤退し、キエフがこのことを発表し、NATOに加盟しないと約束し次第、モスクワは停戦と交渉開始の命令を下すだろう」と述べました。

ウクライナのNATO加盟を防ぐことが今回の侵攻のロシアの主目的の一つであるのは明らかです。冷戦終結時の西側諸国は「NATOは東進しない」という合意をロシアと交わしましたが、例によってアメリカとNATOは合意を守らず、当初12国であったNATO加盟国をこの30年で30カ国にまで増やしてきました。ロシアにとってはNATOの拡大は35年来の脅威であり、ウクライナは譲れない最終ラインでしたが、アメリカはそこに手を突っ込んできました。他国の政治に介入し政府を転覆させるのはアメリカのいつもの手口。事実、アメリカは、2014年のマイダン革命で親ロシア大統領であったヤヌコービッチ大統領失脚を支援したとオバマはかつて語っています。それがなければ、クリミアの独立とロシアのクリミアへの介入もなかったでしょうし、ドネツクとルガンスクでの武力紛争も早期に終結していたしょうし、今回のウクライナ戦争もなかったでしょう。今回のプーチンの発言は、アメリカとNATOに対し、あらためて35年前の約束履行を求めたものと言えます。特に、以前からウクライナ政府軍と独立軍との戦闘が続いてきたウクライナ東部のドネツク、ルガンスクは、2014年にウクライナからの独立を宣言しており、シリア、北朝鮮と共に両州の独立を承認しているロシアは、これらの州の特別地位の承認を重ねて要求しました。

これらのことは歴史的な経緯から眺めると、ロシアにとっては譲れない要求と考えられますが、これに対して、ウクライナではなくNATOが反応し、「ロシアは和平を求めているのではなく、ウクライナの東部を占領したいだけだ」とプーチンの和平プランを拒否。このことからも、ウクライナの戦争は誰がやらせているのか明らかです。

一方、 ゼレンスキーの和平プランは、「ロシアがウクライナの全領土から撤退し、賠償金を支払い、戦争犯罪の処罰を受ける」ことらしいです。これでは交渉の余地はありません。すでに大統領任期が切れての特例暫定政権にしかすぎないゼレンスキー政権が、兵士不足で18歳未満の子供を軍隊にリクルートしているという異常事態を見ていると、いくらアメリカが金だけ出しても戦争継続には限界があるし、ウクライナ国民もいつまでも勝てる見込みのない戦争を続けるゼレンスキーを支持はしないでしょう。

NATO東進が国家存続に直結するプーチンの要求には一貫性がありますが、一方、アメリカはなぜ、ウクライナにこれほどまでの支援をするのでしょうか?朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラクにリビア、などなど、これまでアメリカが世界中でやってきたことを考えれば、その理由は「戦争がしたいから」としか思いつきません。戦争をすると当事国に衰退しますが、軍需産業は儲かります。だから、戦争で儲ける最も良いやり方は戦争は遠い外国でやらせて武器支援だけするということでしょう。アメリカの予算の多額を東ヨーロッパの小国の勝ち目のない戦争に注ぎ込む最大の理由がそういうことだと思います。
 「平和憲法」のおかげで、戦後80年近くにわたって積極的に戦争に関わらずにすみ経済発展できた日本で、その憲法を変えてまで、大っぴらに戦争をできる国に変えようと自民党がしているのも、同様の理由でしょう。広く国民から集めたカネ(予算)を組織票や献金と引き換えに軍需産業に回す、いつものネポティズムと利権。

さて、ウクライナ戦争に関して欧米に直接要求を伝えた一方、ロシアはキューバに原子力戦艦を派遣して軍事演習を行いました。アメリカが60年前のキューバ危機を覚えているならば、そのメッセージは明確ではないかと思います。
プーチンも第三次世界大戦を望んではいないし、アメリカ軍産もそこまでは望んでいないでしょう。なぜなら第三次世界大戦は、もはや代理戦争では済まず、ロシア対アメリカの直接対決となって、アメリカ本土への核攻撃を覚悟しなければならないからです。

ウクライナ戦争を通じてロシアとの対立が深まりつつある状況に反応してか、アメリカの下院は、18歳から26歳のすべての男性を自動的に徴兵登録する法案を可決しました。第三次世界大戦を実際に想定しての動きかも知れません。ワシントンのシンクタンクではシミュレーションぐらいはすでにやっているでしょうし。

耄碌が著しいシオニストのバイデンですが、さすがにギリギリで留まってプーチンを本気で怒らせることは避けてくれることを望んでいます。しかし、BRICS経済圏が独立し、米ドルのパワーが失われたらどうなるか、ちょっと予想がつきません。

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シオニスト対ユダヤ

2024-06-11 | Weblog
先週、国際法を無視しつづけ、市民を攻撃して子供を大量に殺したことに依って、国連はイスラエルを他の国際テロ組織と同様にブラックリストに入れました。
日々、想像を絶するほどの邪悪さで行われるイスラエルの殺戮を目にして、シオニスト政権の卑怯さと悪質さに怒りで身が震えるます。それを止めることができない国際社会にも自分自身にも歯痒く悔しい思いが募る一方です。

週末、アメリカでは、イスラエルのジェノサイドを支援するバイデン政権に反対する抗議活動で、ホワイトハウスが赤い色のテープで囲われました。バイデンが、イスラエルの攻撃が人道上踏み越えてはならない"Red line"越えるようであれば、イスラエル支援を止める、とかつて約束したことを受けての抗議です。しかし、利権と保身で動く国家権力者が一般国民の声を聞かないのは、洋の東西を問いません。

先週のイスラエル人質4人の奪還でのイスラエル軍の攻撃で、パレスティナの多くの子供を含む270人余りが殺されました。イスラエルがガザへの食料の搬入を止め、ガザ住民を飢餓に晒していることに対する非難に応じて、以前にアメリカは海上から支援物資を届けるための「人道的措置」の名目で桟橋を作りました。その桟橋を使って、イスラエル兵士と(噂によれば米兵も)がガザに入り込み、人質奪還の建前のもと、パレスティナの子供を虐殺したのでした。ハマスは昨年10月から10回に渡って人質の解放に同意してきたのに、イスラエルはそれを一方的に拒絶して、ガザの破壊と虐殺を繰り返した挙句に、「人質奪還」を口実に虐殺を正当化するという外道ぶりです。彼らの建前は、人質奪還であったり、ハマスの殲滅であったり、とコロコロ変わります。このことと彼らの行動そのものが、それらがウソの建前に過ぎないことを語っており、本音はガザと(ウエストバンク)から、パレスティナ人を追い出し、彼らの土地の収奪することであるのが明白です。

どうしてシオニストというのは平然と嘘をつき、自己正当化のために、完全に破綻したロジックを弄び、ガス ライティングにマッチポンプと、これほどまで人として最低の行動をとるのでしょう?イスラエル政府のスポークスマンやシオニストに共通しているのは、一方的にかれらの主張を喚き散らして相手にしゃべらせないという態度です。議論や対話をしようとする態度ではありません。また、普通の人間なら「嘘をつく」ことに良心の呵責を感じるし、他に対する「共感性」というものを持っています。しかし、嘘をつくことを躊躇わず、他人の痛みに全く共感することがなく、自分の利益だけにしか興味を示さない「性格異常者」は25人に1人という高頻度で社会に存在し「治しようがない」のだそうですが、思うに、シオニストは矯正不能の性格異常者なのでしょう。ならば、彼らの反省や改心は求む術もありません。世界ができることは、彼らから力を奪うしかありません。

シオニストが、パレスティナを侵略し、パレスティナ人から土地を奪い取り、パレスティナ人の死体の上に作り上げた偽りの国家がイスラエルです。以後、76年にわたって、侵略と虐殺を繰り返して領土を広げ、パレスティナ人を難民化させ、ガザとウエストバンクに彼らを封じ込め、武力で脅してアパルトヘイト政策を続けてきました。そして、今、イスラエルのシオニスト政権は、ガザを完全に奪い取るため、コンクリートの壁と銃をもったイスラエル兵で囲まれた200万人がひしめくこの福岡市ほどの面積の狭い土地に、約6年の第二次世界大戦中に落とされた爆弾以上の数の爆弾をこの半年余りで落としまくり、4年のイラク戦争で殺された市民の数を圧倒する数の子供や女性を含む市民を意図的に殺し、病院、学校を問わず、インフラを含めて街を大規模に破壊しまくり、現在も虐殺を繰り返しているという信じられないような現実があります。これは戦争ではなく、一方的な大量殺戮、ジェノサイドであって、ナチスによるユダヤ人虐殺、ホロコーストと同じものです。ジェノサイドはパレスティナだけに限りませんが、イスラエルが凶悪で悪質なのは、アメリカやイギリスなど、強力な軍事、経済力を持つ国の力を利用して、二百万人のパレスティナ難民がひしめく塀で囲まれた牢獄、ガザ、を総攻撃し、意図的に子供や女性をターゲットにして殺しまくっていることです。成人男性は全員ハマス、子供は将来のハマス戦闘員、女性は将来のハマス戦闘員を産み育む人間であって、パレスティナ人全員がテロリストだというのが、本当のテロ国家、イスラエルの理屈です。彼らは邪悪なだけでなく、バカなのでしょう。

律法に従う宗教的なユダヤ人は、シオニストは本当のユダヤではないと言い、シオニズムに反対してきました。われわれは、ユダヤとシオニストと国家としてのイスラエルを同一視しがちですが、バイデンのようなユダヤ人ではないシオニスト、クリスチャン シオニストというものも存在します。そもそも律法ユダヤとシオニストはオーバーラップはあったとしてもその精神において極めて異なると思われ、実際、律法ユダヤはむしろ、シオニストとシオニスト国家であるイスラエルはユダヤ教の精神にそぐわないと反対しているようです。統一教会がキリスト教を借りたカルトに過ぎないのと同じで、シオニズムはユダヤの仮面を被ったカルトであり、イスラエルはそのシオニストが、パレスティナ人の犠牲の上に人工的に作ったカルト国家です。

アメリカはイスラエルについでユダヤ人の多い国で、現在もAIPACなどのイスラエル支援を続けるpro-Israelユダヤ団体によって、アメリカ議会の議員は買収され、彼らはイスラエルのジェノサイドに手を貸し続けています。かつて、そのアメリカのユダヤ人(団体)が第二次世界大戦のホロコーストの最中に何をしたか、という調査が行われました。その様子を伝える40年前のNew York Timesの記事を偶然見つけましたので、下に紹介します。(一部のみ、全文はリンク先で読めます)

New York Times    Jan. 4/1983  by Bernard Weinraub

ナチスによるヨーロッパ・ユダヤ人絶滅作戦当時のアメリカにおけるユダヤ人組織の行動を調査するための委員会が、怒りと不和の中で分裂した。
、、、
調査委員会の報告書の序文草案には、「振り返ってみると、一つの否定できない事実が他の何よりも際立っている。 ヒトラーによるヨーロッパのユダヤ人に対する絶滅の総力戦を前にして、アメリカのユダヤ人指導者たちは、救出のための総動員を宣言することを最後まで決定しなかった」と書かれていた。 また、「既存のシオニスト組織は(ヨーロッパのユダヤ人の救済よりも)『戦後計画』と『ユダヤ人国家の創設』に関心が向いてた」とも述べている。、、、近年のヨーロッパ・ユダヤ人の窮状に対するアメリカ・ユダヤ人の対応をめぐる論争では、事実上すべてのアメリカのユダヤ人団体が、ヒトラーから逃れてきたユダヤ人を迎え入れることに積極的でなかった、という点で一致している。、、、

つまり、アメリカのユダヤ団体は、WWIIの中、600万人が殺されたホロコーストでのユダヤ人救済には関心がなく、その後のユダヤ国家設立の方に関心があったということでしょう。このことからもアメリカのユダヤ団体はユダヤ教信者であるというよりは、自らの利益にしか関心がないシオニスト集団であったと想像されます。
シオニストは、パレスティナ人や人権の普遍性を願う世界の人々の敵であると同時に真のユダヤ教徒人にとっても打倒されるべき敵です。以下はTorah Judismという反シオニスト ユダヤ団体のtwitter postsで、シオニストがナチスのホロコーストでのユダヤ人殺戮に協力したことを述べています。このことは、上のアメリカのユダヤ団体が、ホロコースト時のユダヤ人救済に興味を示さなかったことと合致します。シオニストは、彼らの国家建設という野望の前には、むしろ「普通の」ユダヤ人は邪魔だったのです。

「ヨーロッパのユダヤ人は、聖地に国家を樹立するというシオニストの計画を受け入れなかった。宗教的ユダヤ人は、自分たちは神の流刑地にいるとしてシオニズムに反対した。そこでシオニストは、ナチスのユダヤ人大量虐殺計画に協力した。シオニストは、ドイツで権力を握っていたナチスに密かに資金を提供し、ナチスがヨーロッパのユダヤ人狩りを始めたとき、シオニストは沈黙を守った」

つまり、シオニストはホロコーストでのユダヤ人虐殺にに手を貸した上、現在では、自らパレスティナ人に対してホロコーストを行なっているということです。また、Wikipediaには次のようにあります。「イスラエルは、テロの国家的支援に関与していると非難されており、パレスチナでは日常的に自身がテロ行為を行っている。イスラエルのテロ支援の役割をボリビア、イラン、レバノン、サウジアラビア、シリア、トルコ、イエメンなどが非難している」

イスラエルというのは、テロリストであるシオニストが先住のパレスティナ人を殺し略奪した土地に人工的に作られた偽りのカルト国家であり、その政体はテロ組織以外の何者でもないと言えるでしょう。差別政策を続けるシオニストから権力は剥ぎ取られ、シオニズムは根絶されなければなりません、イスラエルというシオニストによって作られたテロ国家は滅ばされなければなりません。そして、イスラエルではなく、ユダヤ人もパレスティナ人もキリスト教徒もイスラム教徒も同じく等しい権利を持つ「普通の」国家が、パレスティナ土地に作られる必要があると思います。
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欺瞞は暴かれる

2024-06-04 | Weblog
先週アメリカで話題になった三つの事件は、1)トランプが2016年の大統領選の前に不倫の口止め料を不正に支出したことで全ての罪状で有罪となったこと、2)共和党予備選で大統領候補だったNikki Haleyがイスラエルを訪問し、ガザに落とされる爆弾に「奴らにとどめを刺せ」と書いたこと、そして3)バイデンがガザでの停戦への提言をしたこと、でしょうか。

アメリカは法治国家が建前ですから、トランプは法によって粛々と裁かれなければなりません。陪審員は議員と違ってその点に忠実でした。トランプの有罪判決を受けて喜ぶニューヨーカーの映像が流れていましたが、法に反したものが法によって裁かれる当たり前のことが当たり前に起こったことに安堵したのだと思います。一方、我が国では、明らかな脱税でも与党が組織ぐるみでやれば起訴さえされません。

然るに、バイデンはどうでしょう?トランプの有罪判決に関して「何者も法より上にあるものはない」と言ったらしいですが、「お前が言うな」です。ICCのネタニヤフの逮捕状請求を受けて、ホワイトハウスは、(国際犯罪人を裁く法的機関である)「ICCに制裁をする」と会見で公言し、バイデンは、ガザでの大虐殺は(国際法で禁じられている)「ジェノサイドではない」と言い張り続け、国連機関のICJのイスラエルに対するラファへの攻撃の即時停止命令を無視するイスラエルに「寄り添う」と言い、国際法は平気で無視の無法者です。

そしてバイデンは、ウクライナがロシアを攻撃するための兵器を更に供給し、アシュケナージ ユダヤのゼレンスキーを使って、ウクライナ人を使って戦争させて、多大な税金を軍需産業に横流し、中東ではガザとウエストバンクでのパレスティナ人の大虐殺に共謀し続けています。「れいわ」の大石議員は、かつてキシダ政権を「アメリカの犬、統一教会の犬、資本家の犬」と批判しましたが、バイデン政権はさしづめ「イスラエルの犬、シオニストの犬、軍産の犬」といったところでしょう。

Nikki Haleyについては言葉もありません。イスラエル ロビーのAIPACから今期はバイデン以上の資金援助を受けており、身内がイスラエルにも兵器を機供給する兵器会社。わざわざイスラエルまで行って、パレスティナ子供の頭上に落とす爆弾に「奴らにとどめを刺せ」とサインする、トランプが可愛く見えるほどの外道ぶりです。人間、ここまで落ちれますかね。

さて、バイデンは政治的には微妙な立ち位置とタイミングにあります。自身をユダヤ人ではないがシオニストだと以前から公言してきた男です。統一教会ならぬシオニストに媚を売り続け、老人になってようやく大統領になれたのです。党のためにも5ヶ月後の大統領選では再選したいでしょう。しかし、一般アメリカ人と世界の人々のイスラエルのジェノサイド反対、パレスティナ解放を叫ぶ声をいつまでも無視するわけには行きません。イスラエルの立場を立てながら、事態を収めなければ、ただでさえ危うい大統領再選がさらに遠のきます。

そして、バイデンがようやくイスラエルの停戦勧告を表明した金曜日、アメリカ議会は共和党と民主党が合同で、ネタニヤフをアメリカ議会に招待することを明らかにしました。イスラエルはこれまで9度にわたる人質の解放と停戦の提案を一方的に拒絶し続け、ガザを徹底的に破壊し続けてきました。ガザを人の住めない土地にし、パレスティナ人がガザではもはや生きていくことができない状態にした頃に、ネタニヤフをアメリカ議会に呼んで都合の良い話をさせた上で、あたかもバイデンとイスラエルが「中東の平和」をもたらしたかのような印象操作をして批判を躱そうという腹なのでしょう。

しかし、そんな稚拙な工作で、アメリカ議会とネタニヤフは、世界の人々は騙せないでしょう。SNSが発達した現代は、マスメディアを使ってプロパガンダを流せば大衆は容易に洗脳された前世紀の社会とは違います。イスラエルが2005年以降、何度もハマスとの合意をわざと破って挑発し、武力蜂起を起こさせて、今回の"mowing the grass"作戦に持ち込んだことは、大勢が指摘しているところです。シオニストが、平然と嘘をつき、自らの利益のために他を陥れることをためらわず、加害者でありながら被害者を装って人々を騙す邪悪な詐欺師であるということは、これまでは陰謀論として扱われてきましたが、今回のことで世界中に「事実」として広く知られることになりました。「ホロコーストの被害者」という立場を免罪符にしてきたシオニストらが、実はパレスティナ人に陰湿な迫害を続け、買収と脅迫でアメリカ議会を操り76年にわたってパレスティナに対するアパルトヘイト政策に共謀させ続けてきた犯罪者であることが晒されつつあります。

そして、現代で最も凶悪な人権侵害を繰り返してきたシオニストに共謀しながらも、「民主主義」を錦旗に世界各地で戦争を繰り返してきたアメリカの「ダブル スタンダード」を中国は、先週、強く批判。
 

「、、、アフガニスタン、イラク、ウクライナにガザ。あらゆる危機や紛争はアメリカの利己的なダブルスタンダードの結果である。アメリカが世界秩序の混乱の最大の原因であるというのが事実である、、、」

シオニストはアメリカという強大な軍事力の後ろ盾を得てきたことで、その露骨で邪悪なやり方を隠そうともしなくなりました。そのおかげで、世界は、イスラエルのシオニスト政権が過去76年に渡って行ってきたアパルトヘイト政策の悪質さを再確認することになりました。もはや、多くの国からイスラエルは信用できる国際社会の一員として扱われることはないでしょう。事実、観光国のモルディブはイスラエル人の入国禁止を表明しました。AIPACを通じて手なづけたアメリカ政府でさえ、露骨にイスラエルを支援し続けることは難しくなっていくでしょう。

先週は、ネタニヤフがフランスのテレビ局に招かれて出演したことで、フランス国民は激怒しました。アメリカ人がバカでなければ、ネタニヤフがアメリカ議会で演説することは事態を鎮静化するどころか、逆に反発を生むでしょう。またそれは、両政党そろってイスラエルを支援してきたアメリカの二大政党制という「プロレス興行」の欺瞞に国民を目覚めさせることになるのかも知れません。
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Commencement Walk-Out

2024-05-28 | Weblog
先週、ハーバード大学で卒業式がありました。前プレジデントがシオニスト議員に"反ユダヤ"とレッテルを貼られ、身の危険を感じて辞任した後、学長でユダヤ人のAlan Garberがinterimのプレジデントに就任しました。全米の大学で起こっていたイスラエルのジェノサイドに対する抗議運動が活発化したころ、 Garberはハーバードでの抗議活動に参加した学生は「停学を検討する」という内容の通達を出し、そしてHarvardは、ガザでの大量虐殺の抗議活動に参加したundergraduate13名の卒業式への参加と学位授与の保留を正式に決定しました。1,500人以上の学生、500人の教職員、45の学生団体が、この処分を不服として嘆願書を提出したにもかかわらず、大学当局はその声を無視することを決定したわけです。

ハーバード大 のundergraduateの卒業式では学生代表がスピーチの中で、次のように抗議しました。
「昨年秋は、ハーバードでは私たち黒人や褐色肌の人種が公けにターゲットにされた。、、、そして、この学期では、言論の自由、連帯への意思表示が、処罰の対象になった。、、、この壇上で、私は私たちの仲間について述べなければならない。13人の学生は今日卒業することができなかった。私は、大学における言論の自由と市民の反抗の権利に対する寛容のなさに深く失望している、、、アメリカ人でハーバード卒業生の私から見て、大学で起こっていることは、自由と市民の権利、つまり民主主義の根幹に係わっている問題だ。学生は声を上げたし、教官も声を上げた。ハーバードよ、我らの声が聞こえるか!」
その後、1000人を超える卒業生が卒業式をボイコット、式の最中に抗議の声と共に会場を立ち去りました。

また、ハーバード大の法学、医学、経営などのgraduate schoolの卒業式でも、卒業生はパレスティナの解放を訴える旗などを掲げ連帯を示しました。
政治、行政を研究するHarvard Kennedy Schoolの卒業式では、卒業生代表は、ガザのジェノサイドに抗議する学生を警察権力を使って力ずくで黙らせたことに抗議し、アメリカ、そしてハーバードがイスラエルのジェノサイドを間接的に支援してきたことを批判し、次のように述べました。

「(学位授与を保留にされた13人の学生について)これらの学生たちは、学位よりもはるかに重要な、明確な良心と人類に対する断固としたコミットメントの証しを持ってハーバードの門を出ることになる。、、、ハーバードがパレスチナ支援の学生を罰する一方で、ガザで進行中のナクバは、現状における最悪の事態を象徴している。すべての大学は壊滅状態となり、ジャーナリストは大量に殺され、子どもたちは学校、病院、家の瓦礫の下に埋もれている。、、、ガザの人道的危機は、私たちのモットーである『できることを問え!』の実践を要求している。、、、」

「できることを考え、実行せよ」ハーバードでは学生にそう教え、学生は卒業式でそれを実践しました。私たちの希望は若い世代にあると思わされると同時に、われわれ自身がこの言葉を常に心に留めなければならないと思います。

そのKenney Schoolは、かつて、「アメリカの外交政策がシオニストのロビー活動に影響されている」という内容の83ページにわたる論文を発表しています(リンク先よりダウンロードできます)。抄録には次のようにあります。
「、、、アメリカの中東政策の中心はイスラエルとの親密な関係にある。それは戦略的利益の共有や道徳的要請を反映したものとして正当化されるが、アメリカのイスラエルへのコミットメントは、主に「イスラエル・ロビー」の活動によるものである。本稿はさらに、アメリカの外交政策をイスラエル寄りの方向にシフトさせるために、親イスラエル派が行ってきたさまざまな活動について述べる」

選挙支援や献金を通じ、いわゆる「壺議員」を使って自民党を操る統一教会のように、シオニストはAIPAC(American Israel Public Affairs Committee)を通じて、共和党、民主党問わず有力議員に多額の献金をし、アメリカの外交政策を金で買ってきました。「イスラエルのやっていることはジェノサイドではない」と言い続けるバイデンも、「国際犯罪裁判所(ICC)がネタニヤフに逮捕状を出すなら、アメリカはICCに制裁する」と言った下院議長のマイク ジョンソンも壺議員ならぬ、シオ議員です。ついでにトランプもR. ケネディJr.もシオ議員。

下はTwitterで見つけた1987年のビデオクリップですが、シオニストがアメリカ議員をどうコントロールしているかを簡単に解説しています。
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学生運動の戦略

2024-05-21 | Weblog
シオニストのパレスティナ略奪は1948年、100人以上の村人が殺害されたヤシン村の大虐殺で本格化しました。以後、シオニストは500の村々を破壊し、パレスティナ住民を殺害し、彼らの土地を奪い、結果、75万人に至るパレスティナ難民を生み出すことになりました。ヤシン村虐殺から一月後の5月14日、シオニストは念願のイスラエル建国を宣言しました。パレスティナ人にとっては以来、76年の抑圧の苦難の日々、Nakba(大厄災)の始まりであり、イスラエル建国の翌日、5月15日はNakbaの日として覚えらることになりました。今年のNakbaの日は、世界各地でパレスティナ支援の巨大なデモが行われました。そして、昨日、国際犯罪裁判所(ICC)はようやく、イスラエルのネタニヤフとギャラント、そしてハマスのリーダー三人の双方に彼らの犯した戦争犯罪に基づいて逮捕状を要請しました。認められるとネタニヤフは国外での活動が困難になります。国際社会は徐々に動いています。

さて、5月は欧米では卒業シーズンで、北米各地で卒業式では、イスラエルのジェノサイドに反対して卒業生がパレスティナ国旗を掲げたり、反対の声をあげる映像がSNSに流れてきます。ジェノサイド反対の学生運動の火種となったコロンビア大では卒業式は中止されましたが、Nakbaの日の翌日、教官と学生有志は大学のそばにある聖ヨハネ大聖堂で卒業式を行いました。ここはベトナム戦争反対の学生運動の年、1968年のコロンビア大の卒業式が行われた場所で、学生数百人が戦争に抗議して退席した因縁の場所であり、卒業式ではパレスティナへの連帯が改めて示されました。

仮にも「言論の自由」をアメリカ憲法修正第一項に掲げ、「民主主義」の看板で商売してきた国であるにもかかわらず、先月半ばから全米各地で起きたイスラエルのジェノサイドに反対する大学での学生運動に対して、シオニストに因果を含められた当局ははやばやと警察権力を介入させ、見せしめに学生や教官を逮捕し、運動の鎮圧を図りました。看板と本音の乖離はどこの国にもありますけど、そもそもアメリカというのはそういう国だということです。

そして、今回の学生運動に関して、日本のTV番組で、とあるタレントが、学生運動の効果や動機に疑問を呈するようなコメントをしたことで、ネットで炎上しているという話を聞きました。折角ですので、これを機に、アメリカでの「学生運動の意味」について、秀逸な解説動画を見つけましたので、紹介したいと思います。

アメリカでの今回の学生運動というのは、実は歴史的背景があります。それは、アメリカの学生運動での大学生の「Disclose, Divest(開示せよ、投資を引き上げよ)」というシュプレヒコールに表れています。この言葉は、南アフリカのアパルトヘイト政策を終わらせた時の運動から来ています。因みに南アフリカは、国際司法裁判所(ICJ)に、最初にイスラエルのジェノサイドを糾弾して訴え、判決を勝ち取っていますが、今回、二度目の提訴を行い、先週、口頭弁論が行われています。そのイスラエルの戦争犯罪の醜悪さと悪質さを糾弾する弁論には人種隔離政策を直接経験してきた国の怒りが滲み出ております。アパルトヘイトが終わり、南アフリカの最初の黒人大統領となったネルソン マンデーラは、パレスティナ問題が終わらない限り、本当の自由はないという言葉を残しています。南アフリカの問題はパレスティナ問題と相似であり、それを可能にしてきたメカニズムも共通しています。

さて、それでは、Sara El-Yafiさんによる解説動画に移りましょう。要点だけ、箇条書きにすることにしますが、是非、試聴ください。

南アフリカのアパルトヘイト政策を支えたのは南アの白人政権に対する西側諸国の共謀である。
少数派の白人移民が、多数派であった原住民の黒人を劣悪な環境に隔離し、黒人の権利を制限してきたアパルトヘイトに反対して、最初に立ち上がったのは学生であった。黒人学生は彼ら自身の「学ぶ権利」を主張し、デモを行った。
これに対し、南アの白人政府は暴力を導入し、100人を超える学生を殺害したため、学生運動は逆に勢いを増し、やがて世界中に広がった。
結果として、世界各国は南アフリカへの経済制裁や文化的制裁を発動し、アメリカでさえアパルトヘイト政策への共謀を続けることができなくなり、南アでのアパルトヘイト政策は撤廃された。
南アのアパルトヘイト政策を廃止に追い込んだ原動力は南アと世界の学生運動であった。
今回も、イスラエルのジェノサイドに共謀しているアメリカをはじめとする西側諸国で学生運動が勃発し広がっている。
大学はendowmentsと呼ばれる寄附や支援者からの資金を投資し、その運用益によって活動を維持している。
アメリカのトップ15の大学は、合計$327 billionという巨額の資金を持っている。(ゆえに、大学は「教室を持つ銀行」と呼ばれることもある)
これらの資金はイスラエルのジェノサイドを支援する数々の企業(ロッキー マーチン、ヒューレット パッカード、モトローラ、アルビッド、G4S、トリップアドバイザー、などなど)に投資されている。
学生は、大学資金の投資先を開示(disclose)し、イスラエル支援企業への投資をやめる(divest)ように要求している。
南アのアパルトヘイトを支援してきた最大の共謀国はアメリカとイスラエルであった。特にイスラエルは軍備、兵器、軍事訓練の供与など、南アフリカのアパルトヘイト政府に最大の協力をしてきた。
1980年台、南アのアパルトヘイトに反対する学生運動がアメリカに広まった。カリフォルニア大学バークレー校で始まったこの運動で、学生たちは南ア関連の企業への投資をやめるように要求、運動は急速に全米に広がり、南ア政府への投資引き上げが始まったことで、国際的プレッシャーが高まり、アパルトヘイト政策が崩壊した。つまり、大学生がプロテストを通じて、大学の資金運用に口を挟むことによって、間接的にアメリカやイスラエルの南ア差別政権の支援をやめさせたのである。
南アのアパルトヘイトもイスラエルのジェノサイドも戦いの中心は西側諸国内にある。(アパルトヘイトやジェノサイドは、西側諸国の共謀なしには成り立たない。これらを支援する西側諸国の政治や企業と、反対する学生や人々との戦いである)
、、、、

「学生運動にどんな意味があるのか」という問いは、質問者の単なるnaiviteゆえの疑問であったとしても、こうした歴史的背景を鑑みれば、批判されても仕方がありません。むしろ「学生運動こそが社会を変えてきた原動力である」と言って良いでしょう。そして、アメリカの学生運動は、単なる衝動に基づくものではなく、イスラエルの横暴を可能にしているメカニズムの理解と歴史的経験を踏まえた上で、戦略的に行われているということをわれわれは理解すべきでしょう。しかし、何より、われわれが忘れてはならないのは、アイビーリーグを出てエリート街道を進むはずの彼らが、自らの順調な将来を失うリスクを承知の上で、身を張って抗議運動を展開していることです。彼らの行動への熱意と真意と戦略を知らずに、公けの場で無知な疑問を呈することは侮辱と取られかねません。

力を持たない大衆は力を持つ支配階級とどう戦うのか、われわれはアメリカの大学生に学ばねばなりません。なぜなら、これは中東や欧米の話だけではないからです。日本の沖縄米軍基地問題も同じ構図です。そして、沖縄県外に住む日本人も搾取する一部とされる大多数に二分され、社会経済格差によって隔離政策を受け始めています。人ごとではないということを強調したいと思います。
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Eurovision 2024

2024-05-14 | Weblog
先週はヨーロッパの国対抗音楽コンテストEurovisionがスウェーデン南部の港町Malmöで開催されました。縦ノリの音楽が主流のヨーロッパの最近の音楽が私はあまり好きではないですが、今年はちょっと注目していました。もちろんイスラエルの参加に関しての抗議が大きかったからです。最近のヨーロッパの若者の感性にはついていけない部分も多いですが、エントリー曲の中では、民謡の変則リズムとアラビア音階を効果的に使ったアルメニアのLADANIVA (Jako)や昔風の情緒的なバラード、フランスのSlimane(Mon Amour)などは楽しめました。

そして、イスラエルの歌手、Eden Golanは、土曜日のファイナルに残りました。バラードのその曲調は昔のセリーヌ ディオーンのような感じで悪くはありません。しかし、そもそもヨーロッパのコンテストなのに中東のイスラエルが参加することに以前から疑問が呈されてきていたのに加え、今回はガザでのイスラエルによるジェノサイドがあったため、Eurovisionへのイスラエルの参加に反対する声が高まっており、実際、コンテストの前にはMolmoで大規模なデモもあり、環境活動家のGreta Thunbergも抗議活動に現れました。

Golanは"Hurricane"というタイトルの歌を歌ったわけですが、そのオリジナルの曲名は"October rain" とつけられており、10/7のHamasの武力蜂起に関してのイスラエル側の心情を歌ったものと解釈される歌詞であったため、コンテストの主催者であるヨーロッパ放送協会(EBU)は、政治的中立でない楽曲の放送禁止というポリシーに抵触するとのことで、歌詞の一部とタイトルの変更を要求、応じてGolan側が政治的メッセージ性の薄い歌詞に変更しEBUが承認したという経緯があります。

しかしながら、イスラエルを代表してEurovisionコンテストに参加するというだけで、十分に政治的メッセージがあるわけで、演奏の間は会場からはブーイングの嵐。前年の優勝者のLoreenは、もしイスラエルが優勝したら、自分はトロフィーの授与を拒否する、と明言していましたから、Golanもさすがにイスラエルがヨーロッパ中から非難を受けているという自覚はあったようで、楽屋でのリハーサルではそれを見越して、ブーイングの中でも普通に歌えるようにスタッフがブーイングやヤジを飛ばす中で歌う練習をしたようです。

政治家でも活動家でもない20歳そこそこの一歌手が、イスラエルの極右政権によるジェノサイドのために、人々の反感を買い、フィナーレの晴れ舞台に拍手の代わりにブーイングに見舞われるというのは気の毒な気もします。しかし、家族と家を失い、瓦礫の中で空腹を抱えて眠っている間に空爆で吹き飛ばされて殺される子供の苦難とは比ぶべきもありません。

また、この歌手の立ち位置は、イスラエルの国旗を振り回すことを恥じる様子もなく、出場を辞退するでもなかったこと、そして何よりコンテストが終わってからのインタビューで、「わたしたちの国(イスラエル)が困難の中にあって、イスラエルを代表して演奏できたことを誇りに思う」との趣旨のコメントをしたこと、そもそもGolanという芸名はイスラエルがシリアのゴラン高原を侵略したことからつけたこと、から容易に想像できます。被害者を装い、正当な批判を「反ユダヤ主義」と逆ギレして反省しないイスラエル。この歌手にとってはイスラエルはテロリスト ハマス襲撃の「可哀想な被害者」であって、75年にわたってパレスティナ人の土地と財産と命を奪い続けてきた非道な抑圧者であり加害者であるという自覚はないようです。ブーイングの嵐にさらされたことを「反ユダヤ主義」で「ユダヤ人は差別被害者」だと喧伝するシオニストのプロパガンダをそのまま信じているような彼女とそのサポーター。20歳そこそこですから、容易に洗脳されもするでしょうし、歴史を深く洞察する機会にも能力にも欠けるのかもしれません。いずれにしても彼らとは理性的な議論にならないのが絶望的です。

ヨーロッパの国々の融和と協調を促す一環としてのEurovisionですが、この歴史あるコンテストに政治が絡んだことは何度かあります。ちょっと調べてみると、ちょうど50年前、スウェーデンのABBAがWaterlooを歌って優勝した時は、ポルトガルからの歌手の演奏がクーデターの開始の合図に使われました。その3年後にイスラエルが初めて優勝しましたが、イスラエルとアラブ世界とのコンフリクトのため、ヨルダンはEurovisionの放送を途中で中止しています。さらに2019年、イスラエルでの開催時にはアイスランドからのコンテスタントが投票時にパレスティナ国旗を掲げたために、罰金を課されるという事件が起きています。

音楽もその他の芸術も、そもそも人間性と人間らしさの追求の一部であります。人は、音楽、芸術や学問といった活動を通じて人間として成熟していく目的のために、この物質世界に生まれて時間を過ごし死んでいくのだと私は信じております。であるので、この世の中の不条理や悪に対しては、それを人間の成長する機会と捉えて、可能な限り、目を背けず、考え、行動し、戦っていくべきであると私は思っています。

罪ないい大勢の子供や人々から土地や財産や家を奪い、食料を奪い、飢えさせ、その頭上に爆弾の雨を降らせ、子供から体の一部や未来や命を奪い、生き延びた子供から家族を奪う、ただただ自らの欲望のために、悪魔の所業を繰り返すネタニヤフとシオニストとそれを支援するアメリカの行いは、それに反対する人々によって非難され倒されるために存在しております。力を持つ側が、その力を濫用して弱いものを蹂躙した上で、「弱肉強食」は自然の摂理、すべては自己責任だと強弁するのは、力に溺れ「人間的成熟」への努力を放棄した落ちこぼれの言い訳であると私は思っております。

今のわれわれにできることは、この地獄の現実から目を離さず、声をあげ続けるぐらいのことかもしれません。一人一人の声は山火事に注ぐ一滴の水のようなものに過ぎないでしょう。しかし、その一滴の水のような無力な善意の若人が世界中で連帯し、声を上げ続けた結果、世界は動き始めたように見えます。

先週はネタニヤフ政権にとって逆風が吹き始めたような出来事がありました。まず、国連総会はパレスチナの国連加盟権を拡大する決議を圧倒的多数で可決しました。米国とイスラエルは反対票を投じましたが、明らかに世界の大多数はパレスティナに対してイスラエルとアメリカが行う不正義に怒っております。
そして、アラブ首長国連邦(UAE)は、ネタニヤフが「ガザの民政にUAEの参加を打診したい」という発言を非難しました。いずれガザをイスラエルの完全なる支配下に置いてアラブ国家に統治させるというネタニヤフの傲慢極まりない計画を批判したものでしょう。そして、リビアは、国際司法裁判所においてイスラエルをジェノサイド(大量虐殺)であると非難してきた南アフリカ共和国と共闘するとの宣言を提出し、その 南アフリカは国際司法裁判所(ICJ)に対し、イスラエルに対する追加緊急措置(ラファからの撤退命令を含む)を命じるよう要請書を提出。

この先、イスラエルは、仮にネタニヤフの野望が成就したところで、イスラム圏のみならず、ヨーロッパ、アラブ、アフリカ、アジア、南米諸国から嫌われ、恨まれてより閉鎖的なカルト国家となり、ビクビクしながらユダヤ至上主義の妄想にすがって生きていくことになるのでしょう。そうなる前にイスラエルというマヤカシのカルト国家が解体され、あらゆる人種と宗教の権利が保証される近代の民主主義国家がパレスティナの地に創られることを望んでおります。
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究極の選択

2024-05-07 | Weblog
いよいよ、イスラエルがハマスに突きつけた最後通告にハマスが回答する日を迎えました。ハマスは人質の交換と引き換えに永久停戦を望んでいますが、ネタニヤフはハマスが解体しない限りは兵を引かないと主張。しかし、そもそもハマスの盾になっているとの言いがかりでガザで一般人を殺し、病院、学校、住居を破壊しまくったネタニヤフの目的はハマスではなくパレスティナの殲滅とガザの掌握であるのが明らかですから、仮にハマス側がイスラエルの主張を受け入れたとしても、ネタニヤフはまた適当な言いがかりをつけて攻撃を再開するでしょう。つまり、永久停戦はイスラエルにとっては最初から選択にない。そしてガザの次はウエストバンクのファタハに対しても同様のことを繰り返すだろうと予想されます。イスラエルの要求は、ハマスが要求を飲めば、Rafahへの攻撃をちょっとだけ待つが、そのうち再開して150万人の一般人を集めたRafahを攻撃する、要求を飲まなければ、直ちにRafahを攻撃する、ということで、いずれにせよRafahの攻撃とその後のガザの完全掌握は変わらない。財産も破壊され食料でさえ不足し移動することもままならない一般人の首にナイフを突きつけ、パレスティナの土地からパレスティナ人を消し去ろうとする下劣極まりないネタニヤフ。

これは言ってみれば大規模なイジメです。イジメは力のあるものが弱いものに対して嫌がらせをする卑劣な行いであって、力の不均衡と差別意識に基づいています。イスラエルの場合でも、自分が相手より優れていると思い込む愚かで醜い差別意識がシオニストの根底にあります。旧約聖書にあるように、彼らは(イスラエルの)神に選ばれた存在でパレスティナは神が彼らに約束した土地であり、異教徒は皆殺しにするべきだ、と文字通り信じているのでしょう。ホロコーストのあった時代、彼らは差別される側にあって力を持ちませんでした。結果として600万人と言われるユダヤ人が殺されました。そしてヨーロッパで金融で成功したユダヤ人らは自らの国土とそれを守る武力を欲したのでしょう。結果、資本主義(金持っている奴が偉い主義)という人間の欲望のエネルギーを使って強大な経済力と軍事力を持つに至ったアメリカという国の政治や様々な機関の中枢へユダヤ人は入り込み、アメリカを内部からコントロールしそのパワーを利用するに至りました。ガザに落とされた大量の爆弾の大半はアメリカ製であり、イランからのドローンとミサイルの多くを拿捕したのはアメリカ軍でした。アメリカの武力援助がなければ、イスラエルの力は半減し、周辺のアラブ諸国との力関係は大きく変わっていたはずです。

一方、土地を盗まれ、難民となりガザに閉じ込められてきた200万人のパレスティナは、その生存を国外からの支援に頼り、兵力はほぼ皆無です。力に圧倒的な差がある状態で、その力に任せてパレスティナをイジめ続け、抵抗を挑発し、それを口実に最後のトドメを刺そうとしているのがネタニヤフの極右政権であると言えると思います。ユダヤ人は「自分の身を守るため」という大義名分が立てば、全てが正当化されると考えるようです。ネタニヤフや彼を支持するユダヤ人は、おそらく本気でパレスティナ人を殲滅しないと我が身が危ないと考えているのだろうと思われます。それだけにタチが悪い。われわれからすると、彼らシオニスト自体がそもそもの厄災の種であって、その狂信と歪んだ認識が彼ら自身のみならず、世界を危険に晒し続けているとしか見えません。

さて、そのイスラエルのパレスティナ虐殺を支援してきたアメリカですが、統一教会、経団連とアメリカにコントロールされている日本と同じで、一般国民の意思と政治権力の乖離は如何ともしがたいものがあります。アメリカの多数の大学で行われている巨大なプロテストを見ても、アメリカ政府のイスラエル支援に抗議して焼身自殺した軍人の行動を見ても、多くのアメリカ人がイスラエルの武力支援中止を訴えていても、「聞く力」のないバイデンもアメリカ議会も耳を貸しません。アメリカ議会の二大政党の議員の多くがシオニストの息がかかっており、大企業、メディア、政府機関、教育研究機関の多くの管理部門はユダヤ人で占められています。

アメリカでは、各地の有名大学でのプロテストへの警察介入に見られるように権力側は大学での学生運動も黙らせようとしてきています。ハーバードの臨時学長は今日、泊まり込み運動に参加する学生は停学処分の審議にかけるとする脅迫まがいのメールを関係者に送付。そもそもこのユダヤ系の学長、Alan Garberは、前学長である黒人のClaudia Gayが12月の「反ユダヤ主義」に関する議会の公聴会での吊し上げにあい、身の危険を感じて今年1月に学長を辞任ため、後を一時的に引き継いだものでした。上述の通り、議会はシオニストに牛耳られており、議会の質問は、挑発、誘導によって「言質」をとり、コンテクストから切り離して拡散し、「反ユダヤ」のレッテルを貼る目的で行われたもので、Gayの言葉によると、「巧妙に仕組まれた罠」でありました。今回のコロンビアの学長の吊上げでも見られたように、議員はわざと曖昧な質問をして高圧的にYesかNoで答えを迫り、シオニストに都合の良い答えを強要し、意にそぐわない答えの場合は強く糾弾した上でその模様をSNSで流させるという汚い手を使っています。議会の様子は公開されていますが、日本の国会中継と同じで、ニュースやSNSに拡散されるのは、与党に都合の良い部分だけが切り取られるのです。

さて、アメリカ次の大統領選ですが、もしこの一連の裁判を乗り切ればトランプが返り咲くという悪夢が再来しそうで戦慄します。しかし、パレスティナに関しては、仮にバイデンが再選となってもトランプが選ばれても、何らかの奇跡が起きてロバート ケネディーJr. が勝っても、アメリカのイスラエル支持は変わりません。これだけ全国の学生が抗議デモを激化させ、一般人が怒っても、政治に反映されません。

これが政権交代によって社会は改善していくと国民に思わさせる二大政党制の欺瞞です。結局は、どちらが勝とうが興行主は同じなのです。これは日本の場合も言えます。山本太郎は、かつて、自民党と立民に関して、どちらも貴族階級であって大差はない、が立民の方がちょっとだけマシと言いました。思うに、権力を持っていない立民は自民党ほど腐敗していない分マシだが、与党になった場合の政治のスタンスは変わらないと言っているのでしょう。政権交代前のシロアリ演説で有名になったノダの与党時代の手のひら返しは酷かったですからね。しかし、独裁制と政権交代できる体制とどちらが良いかと言われたら、無論、後者です。少なくともプレーヤーの交代で多少の腐敗は防げますからね。
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