学会演題抄録の〆切で、字数制限のある抄録の手直しをしておりました。そこで、ショックな出来事がありました。抄録はスペースを含めて英文2500字という規定で、一つの演題が字数をそこそこオーバーしていたのです。別の人の書いたものの体裁を整えていたのですが、ピリオドの後にスペースが一個なのに気がつきました。「ピリオドのあとのスペースは二つ」と言ったら、彼女は、ピリオドの後のスペースはいつも一つで書いている、と言い出したのです。不思議に思って調べてみたら、驚いたことに、ピリオドの後のスペースは実は一つが正しいらしいということが分かり、私は存在を否定されるぐらいのショックを受けました。私は、英文を書き始めて以来ずっと、すべての論文、抄録、メール、ピリオドの後には必ず二つのスペースを入れてきたのです。ゲラの稿正でも、「ピリオドの後のスペースを減らして下さい」と言われたことも一度もないので、ピリオドの後にスペースが二つというのは、アプリオリな真理であると信じていました。
ところが、ピリオドの後にスペースを二つ置く習慣というのは、どうも手動タイプライターの時代の実用的習慣の名残りであるようで、電動タイプ、コンピューターの時代のタイピングには、むしろマッチしないのだそうです。ご存知でしたか?
つまり、手動タイプライターの場合は、フォントの形に無関係に一つの字が取るスペースは一定であり(Courierというフォントがそれです)、幅の狭い字、例えば「i」とか「l」も、幅のある字、例えば、「m」とか「w」も同じスペースが割当てられていました。なので、幅の狭い字が続いたりすると妙に、スカスカした感じになります。それで、そもそもスカスカしてスペースが多いので、区切りを分かりやすくして読みやすくするために、ピリオドの後にスペースを二つ置き出したというのが、スペース二つの歴史なのだそうです。言われてみると、確かにCourierで打たれた文は読みにく、何でかなと感じていましたが、そのスカスカのせいだったようです。
それで、私はどこで、ピリオドの後にスペースが二つという打ち方を習ったのだろう、と思い出そうとしてみました。インターネットがない時代に覚えているので、本とかマニュアルに違いありません。ふと、思い出したのが、昔、ウチにあったブラザーの手動タイプライターでした。そこに薄っぺらいマニュアルがついていたような気がします。キーボードの指使いなどはそれで覚えたような気がします。ひょっとしたら、それにスペース二つルールが書いてあったのかも知れません。だとすると、手動タイプライターに特有の打ち方を、私はずっとユニバーサルな法則と勘違いして英文を打ってきたということになります。
手動タイプライターを使ったことのない若い世代の人が、ピリオドの後はスペースが一個という「本来の」ルールを自然と身につけているのは、思えばあたり前のことなのでしょう。なにしろ、彼女らは物心ついた時にはインターネットにつながったパソコンがあるのは当然という環境で育っているのです。
ちょっと話はずれますが、論文もオンライン投稿の時代になっているのですから、それにあったスタイルを取り入れて行くべきだと思います。個人的には投稿原稿をダブルスペースにするのを止めてもらいたい、と思います。これこそ、手動タイプライターで紙に印刷して投稿していた時代の名残ではないでしょうか。シングルスペースだとさすがに読みにくいので、1.5スペースが適当だと思います。フォントのサイズも12ではなく11にして欲しいです。投稿された論文は大抵Pdfに変換されるわけですが、私は、大抵一旦、紙に印刷しています。ダブルスペースだと、論文によっては50ページ以上になります。それだけの紙を使って印刷した原稿の出来が悪いと、(細かい話ですが)紙代を損した気持ちになって、ますます評価が悪くなります。だいたい長い論文にロクなものはありません。とくにイントロやディスカッションが長いのは、大抵、出来が悪いです。出来が悪いので前置きや言い訳が長くなるのです。それはともかく、フォントを11にして1.5スペースにすれば、世界規模でみれば、かなりの紙の節約になると思うのですが、どうでしょう。それから、最近、紙に印刷しないで論文や原稿をタブレットなど読むことを試していますが、これは紙で読むよりも表示スペースが少なくなり、一ページ幅に書かれた文章は、それなりの大きさの字で読もうとすると、頻繁にスクロールとズームを併用して読まざるを得ません。これが、一ページを二段や三段に区切ってあると、一段分の幅だとスクロールなしで読めるのでかなりラクです。紙に印刷しないでタブレット端末で読むことを考えると、投稿原稿を二段に区切って、最終出版形態に近い状態で、FIgureも原稿内にembedして形態で投稿してもらえると、大変ラクだと思います。本文とFigureとFigure legendを行ったり来たりしながら読むのは、紙に印刷した状態でも苦痛です。一部のジャーナルは、最初の投稿はFigureとlegendを一体化したものを要求していますが、これは読む方からすると助かります。ジャーナル側も古い紙の時代の習慣で時代に沿っていないものは変えて行く努力をしてもらいたいと思います。
ピリオド後のスペースに関しては、どうもピリオドの後、チョンチョンといつも二回、スペースバーを押していた私の生活のリズムを変えないといけないのは間違いないようです。「ピリオド、チョンチョン」というリズムのある行為は、呼吸をするのと同じぐらい無意識にやっている行動で、吸った息を吐くのを忘れることがないように、ピリオドのあとのスペースバーは自然と二度押してしまうのです。こうやって何十年もやってきたのに、これからは、「ピリオド、チョンチョン」のかわりに「ピリオド、チョン」にして、「チョン」を一回ガマンしろ、ということなのです。
できるでしょうか?ガマンした「チョン」への欲求不満が無意識の深層に溜まっていって、後々、精神の不調となって現れるということはないでしょうか?ちょっと心配です。
ところが、ピリオドの後にスペースを二つ置く習慣というのは、どうも手動タイプライターの時代の実用的習慣の名残りであるようで、電動タイプ、コンピューターの時代のタイピングには、むしろマッチしないのだそうです。ご存知でしたか?
つまり、手動タイプライターの場合は、フォントの形に無関係に一つの字が取るスペースは一定であり(Courierというフォントがそれです)、幅の狭い字、例えば「i」とか「l」も、幅のある字、例えば、「m」とか「w」も同じスペースが割当てられていました。なので、幅の狭い字が続いたりすると妙に、スカスカした感じになります。それで、そもそもスカスカしてスペースが多いので、区切りを分かりやすくして読みやすくするために、ピリオドの後にスペースを二つ置き出したというのが、スペース二つの歴史なのだそうです。言われてみると、確かにCourierで打たれた文は読みにく、何でかなと感じていましたが、そのスカスカのせいだったようです。
それで、私はどこで、ピリオドの後にスペースが二つという打ち方を習ったのだろう、と思い出そうとしてみました。インターネットがない時代に覚えているので、本とかマニュアルに違いありません。ふと、思い出したのが、昔、ウチにあったブラザーの手動タイプライターでした。そこに薄っぺらいマニュアルがついていたような気がします。キーボードの指使いなどはそれで覚えたような気がします。ひょっとしたら、それにスペース二つルールが書いてあったのかも知れません。だとすると、手動タイプライターに特有の打ち方を、私はずっとユニバーサルな法則と勘違いして英文を打ってきたということになります。
手動タイプライターを使ったことのない若い世代の人が、ピリオドの後はスペースが一個という「本来の」ルールを自然と身につけているのは、思えばあたり前のことなのでしょう。なにしろ、彼女らは物心ついた時にはインターネットにつながったパソコンがあるのは当然という環境で育っているのです。
ちょっと話はずれますが、論文もオンライン投稿の時代になっているのですから、それにあったスタイルを取り入れて行くべきだと思います。個人的には投稿原稿をダブルスペースにするのを止めてもらいたい、と思います。これこそ、手動タイプライターで紙に印刷して投稿していた時代の名残ではないでしょうか。シングルスペースだとさすがに読みにくいので、1.5スペースが適当だと思います。フォントのサイズも12ではなく11にして欲しいです。投稿された論文は大抵Pdfに変換されるわけですが、私は、大抵一旦、紙に印刷しています。ダブルスペースだと、論文によっては50ページ以上になります。それだけの紙を使って印刷した原稿の出来が悪いと、(細かい話ですが)紙代を損した気持ちになって、ますます評価が悪くなります。だいたい長い論文にロクなものはありません。とくにイントロやディスカッションが長いのは、大抵、出来が悪いです。出来が悪いので前置きや言い訳が長くなるのです。それはともかく、フォントを11にして1.5スペースにすれば、世界規模でみれば、かなりの紙の節約になると思うのですが、どうでしょう。それから、最近、紙に印刷しないで論文や原稿をタブレットなど読むことを試していますが、これは紙で読むよりも表示スペースが少なくなり、一ページ幅に書かれた文章は、それなりの大きさの字で読もうとすると、頻繁にスクロールとズームを併用して読まざるを得ません。これが、一ページを二段や三段に区切ってあると、一段分の幅だとスクロールなしで読めるのでかなりラクです。紙に印刷しないでタブレット端末で読むことを考えると、投稿原稿を二段に区切って、最終出版形態に近い状態で、FIgureも原稿内にembedして形態で投稿してもらえると、大変ラクだと思います。本文とFigureとFigure legendを行ったり来たりしながら読むのは、紙に印刷した状態でも苦痛です。一部のジャーナルは、最初の投稿はFigureとlegendを一体化したものを要求していますが、これは読む方からすると助かります。ジャーナル側も古い紙の時代の習慣で時代に沿っていないものは変えて行く努力をしてもらいたいと思います。
ピリオド後のスペースに関しては、どうもピリオドの後、チョンチョンといつも二回、スペースバーを押していた私の生活のリズムを変えないといけないのは間違いないようです。「ピリオド、チョンチョン」というリズムのある行為は、呼吸をするのと同じぐらい無意識にやっている行動で、吸った息を吐くのを忘れることがないように、ピリオドのあとのスペースバーは自然と二度押してしまうのです。こうやって何十年もやってきたのに、これからは、「ピリオド、チョンチョン」のかわりに「ピリオド、チョン」にして、「チョン」を一回ガマンしろ、ということなのです。
できるでしょうか?ガマンした「チョン」への欲求不満が無意識の深層に溜まっていって、後々、精神の不調となって現れるということはないでしょうか?ちょっと心配です。