10/7でハマスの蜂起から一年となりました。イスラエルとアメリカの信じ難いほどの邪悪さと残忍さと愚かさに、人間は簡単には成長しないと痛感すると同時に、世界がこの邪悪を一年たっても止めることができなかったことに絶望を感じざるを得ません。その間、イスラエルの攻撃によってガザの土地の8割が破壊尽くされ、確認された4万人あまりの犠牲者に瓦礫の下で亡くなったまま放置されている犠牲者を加えると約20万人のパレスティナ人が犠牲になったと考えられています。このイスラエルの邪悪の最大の支援者はアメリカとアメリカの属国であります。これらの国は、国民の大多数が反対しているにも関わらず、国民の声を聞かない政府が統治する国、すなわち「民主主義国家」という名の独裁国であります。傲慢、強欲で、他民族を見下し、世界中から嫌われた挙句に、ひたすらに破滅に向かって権力を濫用する愚か者の独裁者、そんなものがイスラエルの首相であり、アメリカの大統領なのです。そんなものどもを国家の代表に選ぶ国民も結局は罪を負わねばならぬでしょう。因果応報で自らの行いは返ってきます。
それから、10/7はノーベル生理学賞の発表の日でした。驚いたことにmicroRNAが受賞しました。受賞者であるVictor Ambros とGary Ruvkunの1993年の二本のCellの論文は、発表当時、大きな関心を呼ぶことはありませんでしたが、それから8年たって、Ambrosのグループを含む三つのグループが2001年に同時にScienceに論文を発表し、microRNAという言葉が生まれてから、爆発的なmicroRNA研究が展開しました。Ambrosとあとの二つのグループ、MITのBartelと当時ドイツのTuschlのグループ、それから、それに続いた多くの研究グループがmicroRNA研究の主動力であったと言えます。
RuvkunとAmbrosはMITの線虫の遺伝学の研究者であったRobert Horwitzの弟子で、この二人は基本的に線虫の遺伝学者であり、microRNA研究の主動力は、遺伝学者ではなく、むしろ生化学、分子細胞生物学のグループでした。Ruvkunに関しては1993年の論文以来、microRNAの研究はほとんどやっていなかったはずで、彼のこの分野での貢献は限定的です。
microRNAがノーベル賞になったことに私が驚いたには複数の理由があります。まず、1998年のAndrew FireとCraig Melloの発見であったmicroRNAと近縁の現象であるRNAiがすでに2006年にノーベル賞になっていること、RNAiと違ってmicroRNAの発見は実用的な技術に(未だ)つながっていないこと、そしてmicroRNA研究分野はすでに衰退期にあること、などです。
私のノーベル予想は、インクレチンでしたが、どうも今年ではなかったようです。
さて、本題。イランは今年4月、シリアのイラン大使館をイスラエルに攻撃された際に限定的な報復を行いました。そして、ハマスのリーダーをテヘランでイスラエルに殺された際、報復を明言していました。そんな中で、イスラエルはベイルートへの攻撃を激化させて、ヒズボラのリーダー、ナスララを殺害したのをうけて、10/1 、ついにイランはイスラエルに報復を行い、軍事組織をターゲットにミサイル攻撃しました。かなりのダメージを与えたようですが、イスラエル市民の犠牲は避けられたようです。
イランはその軍事能力の一端を示し、イスラエルを牽制したわけですが、狂人ネタニヤフはイランの意図も今後の展開をも考える理性を失っているようで、報復を宣言し、石油施設や核開発施設を攻撃する意図を示しました。一方で、プーチンはイランに最新の対空防衛システムを供与して支援。また、イスラエルのアパルタイト政権を批判してきたテヘラン大のSeyed Marandi教授によると、イランはアメリカのイラク、アフガニスタン侵攻時から、対米戦争に備え、軍事力増強を図ってきており、西側諸国が把握しているよりもはるかに強大な攻撃能力を地下に保有しており、イスラエルがイランの攻撃をした場合、イランは数ヶ月にわたってイスラエルを攻撃しつづけるぐらいのミサイルを備えているという話です。
イスラエルの攻撃力はアメリカに依存しており、またイスラエル軍は武器を持たない市民を射撃したり殺したりはできるが、ヒズボラのような実際の戦闘員を相手にできるような訓練は受けていないということで、レバノン侵攻で地上戦になったら、イスラエル軍は大きな痛手を負うことになるだろうという予測。
これが本当だとすると、西側メディアやイスラエルの「イスラエルは鉄壁の守りがあり、強大な軍事力で周囲のアラブ諸国を圧倒している」という主張とはかなりの隔たりがあります。実のところ、ウクライナと同じでイスラエルもアメリカが手を引けば、一気に崩落する程度に脆弱な状態にあるのかも知れません。
そして週末、イスラエルは1982年のレバノン侵攻を繰り返すかのように、ベイルートの居住区に大規模な空爆を行いました。ヒズボラは対抗してHaifaの軍事施設を爆撃した模様です。多分、イスラエルは対イラン戦争にまでエスカレートさせ、アメリカを直接戦争に引き込むしか、長期的に勝利をおさめる手段がないというところに追い込まれつつあると感じます。
さて、イギリスの活動家でもあるラッパーのLowkey、ガザのジェノサイドが始まった後、「Palestine will never die」や「Genocide Joe」というメッセージ ソングを発表していますが、先週のPiers Morganのショーに出演しました。モーガンが都合の悪い話の腰を折ろうと口をはさんでくるのを跳ね返すLowkeyの主張はなかなか圧巻でしたので、紹介します。15年にわたってパレスティナの人権侵害にコミットしてきた人間と、西側プロパガンディストとしての立場から議論する人間とでは言葉の重みが違います。
「、、、、イスラエルは忘れてしまっているようだが、憶えておかないといけないことは、戦争に勝つということは、『相手集団の中で最も弱い者を工業的規模で殺しまくる』ことではない。これは、イスラエルが得意とするところで、シオニズムの根本的態度(弱いものいじめ)である。戦争に勝つということは『最大数の人々をこちら側の視点に納得させる』ということだ。もしも、この基準でこの戦争を見るならば、イスラエルはガザで敗北したのである。そして、レバノンでも敗北するだろう。なぜなら、現在、イスラエルは世界中にこれまでになかった数の敵を作り、これまでになかった数のシオニズムに批判的な人々生んだのであり、そして、今やより多くの人が『(シオニズムは)、反生命イデオロギーであって、多くの人々がそれによって殺され苦しめられている』ということを理解するようになったからだ。、、、、
(Piersに向かって)あなたに質問がある。New Core International (NCI)のルパード マードックは、あなたの雇用者だ、、、そして、NCIにはチャリティー部門があって、エルサレムに不法居住地を建設している『エルサレム財団』に寄付をしている。
(Piers: 「それが私と何の関係があるんだ!」)
さて、あなたはルパード マードックを批判するか?、、、
これは、 (文書をとりだして) イギリスのメディアでは、これまで発表されたことのないものだ。これはネタニヤフの政治団体が発行した文書で、下にはネタニヤフのサインがある。この文書はネタニヤフの政治キャンペーンの支持者のリストだ。ここに、この名前がある。ルパード マードック、あなたの雇用者だ。、、、
(Piers: 「彼は私の番組に口を挟んだことはない、、、」)
Sam Kileyは、マードックのイスラエルへの投資と偏向のためにTimes紙を辞職したんですよ、、、、」
西側メディアは、アメリカとイギリスのプロパガンダを拡散し、イスラエルのジェノサイドを幇助する共謀者である、とその実行兵の目の前に、突きつけたわけです。アメリカやイギリスにとっては、ロシアは悪の帝国でイランはテロリストの巣窟で、イスラエルは中東で唯一の民主主義国家でなければならぬのでしょう。アメリカとイスラエルがやってきたことを客観的にながめれば、事実は全くの真逆なわけであるわけですが。
Palestine will never die