トランプは、相変わらず世界を引っ掻き回しております。先週は、カナダとメキシコに25%の関税、中国に10%に追加関税を掛ける大統領令に署名したようですが、とても充分にシミュレーションをやって深慮の上で決定したものとは思えません。早速、カナダは報復でアメリカからの輸入物に25%の関税返しを宣言。中国も報復措置を取ると宣言。これでますますアメリカ国内の物価は上がるでしょうし、直ちに雇用が増えるわけではないでしょうから、遠からずアメリカ国民の不満が爆発するでしょう。いつもの独善的な思いつきなのでしょうが、迷惑なことです。とにかく、一つ一つの行動や発言に、大統領という強大な権力を預かっている人間が持つべき思慮深さと慎み深さが欠けています。大統領選では、オハイオでは移民がペットの犬を食べていると言ったり、ガザではアメリカが送ったコンドームで爆弾を作っていると言ったりするレベルですから、バイデンの認知症よりタチが悪いかも知れません。全任期中のコロナが蔓延し出した時には、ウイルスは紫外線や漂白剤で死滅するという話を聞いて「コロナ患者に漂白剤と紫外線を注射したらよい」と会見で言って、失笑を買ったのを思い出しました。
コロナと言えば、先週、トランプの情報開示命令に則し、秘匿情報の公開に際して、CIAは新型コロナウイルスの起源についてコメントを出しました。後さき考えず、思いつきで引っ掻きまわすトランプの行動が、意図せず良い結果を生むこともあります。
、、、米中央情報局(CIA)は、COVID-19パンデミックは自然界から発生したものよりも、実験室から発生した可能性が高いととCIAのスポークスマンが土曜日に語った。
CIAは何年もの間、COVID-19が実験室で発生したものなのか、それとも自然界で発生したものなのか、結論は出せないとしてきた。しかし、バイデン政権末期の数週間、ウィリアム・バーンズ前CIA長官はCIAのアナリストと科学者たちに、パンデミックの歴史的重要性を強調し、明確な判断を下すよう求めた。、、、(CIA長官のJohn Ratcliffe は)「私は、我々の情報、科学、そして常識のすべてが、COVIDの起源は武漢ウイルス学研究所から漏れたものであると確信している。」と語った。
CIAは何年もの間、COVID-19が実験室で発生したものなのか、それとも自然界で発生したものなのか、結論は出せないとしてきた。しかし、バイデン政権末期の数週間、ウィリアム・バーンズ前CIA長官はCIAのアナリストと科学者たちに、パンデミックの歴史的重要性を強調し、明確な判断を下すよう求めた。、、、(CIA長官のJohn Ratcliffe は)「私は、我々の情報、科学、そして常識のすべてが、COVIDの起源は武漢ウイルス学研究所から漏れたものであると確信している。」と語った。
昨年6月、アメリカ議会は前NIHアレルギー感染症研究機関(NIAID)トップであったアンソニー ファウチを招致し、COVID19の起源についての質疑を行っていますが、その時の内容はこうでした。
、、、共和党が主導する小委員会は、パンデミックに対する国の対応と、米国が資金を提供した中国での研究がパンデミック発生に何らかの役割を果たしたかどうかを1年以上かけて調査してきた。、、、ファウチは以前から、どちらの説(研究室リーク説と自然発生説)も受け入れるが、COVID-19が自然起源であることを支持する証拠の方が多い、と公言してきた。 、、、NIH(ファウチがディレクターであったNIH機関の一つのNIAID)は長年にわたり、エコヘルス・アライアンスと呼ばれるニューヨークの非営利団体に助成金を提供してきた。エコヘルスはその資金の一部を使って、コウモリがよく媒介するコロナウイルスを研究している中国の研究所と協力していた。 先月、政府はエコヘルスの連邦政府からの資金援助を停止した。、、、ファウチは、エコヘルスの資金で研究されたコウモリのウイルスがパンデミックを引き起こしたウイルスに変化することは「分子学的に不可能である」と述べた。、、、
ホワイトハウスもCIAも、新型コロナウイルスが研究室由来であるとすると、中国の武漢のウイルス研究所が原因である、という論調で中国を非難しています。然るに、この研究所がアメリカのNIHからの研究資金を受けていたことは、COVID-19が始まった頃から明らかにされており、COVID-19はアメリカと中国の研究室の共同研究の結果産物であったことが推測されていました。今回のCIAのCOVID-19情報に関する発表に関して、Jeffery Sachsは最近のインタビューで聞かれて、次のように述べています。
、、、、私はCOVID-19問題の国際協議会の議長であったので、この四年間、この件については、深く調査した。CIAはついに、新型コロナウイルスが研究室から漏れ出たものであることを認めたが、言わなかったことがある。それはこのウイルスは、中国で試験はされたかも知れないが、中国の研究室で作り出されたものではなく、おそらくアメリカの研究室で作り出されたものであるということだ。ノースキャロライナ大学(UNC)の研究室であると思われる。そう考える理由は複数あるが、詳細はバイデン政権によって隠されてきた。(筆者注:2014年以来、エコヘルスに助成金を出してきたNIAIDのディレクターであったファウチに対し、現在何の起訴さえ行われていないファウチを、バイデンが政権末期に行った恩赦の対象の一人であったということが陰謀説の根拠の一つとなっています)、、、、本来なら、率先して情報公開するはずのノースキャロライナ大学は、2019年のemailを公開せずに秘匿していることに対して、訴えられている。
アメリカの中でも比較的地味な南部の州、ノースキャロライナですが、生命研究においては、東部のエリート州に肩を並べるパワーハウスであります。その内陸部の田舎に、リサーチ トライアングルと呼ばれる三つの研究機関、デューク大学、ノースキャロライナ州立大学、ノースキャロライナ大学(UNC)チャペルヒル校が配置され、高度な研究活動が活発に行われております。
調べてみると、確かに、カリフォルニアの団体が、武漢の研究所と関係のあったUNCのDr. Ralph Baricの研究室に関しての情報開示を求める訴えを2022年にUNCに対して起こしています。
Ralph Baricに関して、Wikipediaには次のような記載があります。
2015年、彼は武漢ウイルス学研究所のShi Zhengliと共に、"A SARS-like cluster of circulating bat coronavirus shows potential for human emergence"と題する論文で、マウスに感染するSARS-CoV(rMA15)のバックボーンにコウモリコロナウイルス(SHC014)のスパイクを追加したキメラウイルスの作製に関する彼らの研究を発表した。 この研究は、SHC014-rMA15キメラウイルスがパンデミックの可能性を持っているのではないかという懸念から、他の科学者から批判を浴びた。、、、(詳細は2021年のMIT technology reviewと関連するアメリカ政府の文書に詳細は詳しいです)。
つまり、Baricは、異なるウイルスを継ぎ合わせて、キメラウイルスを作る技術を持っており、コウモリのコロナウイルスの培養に苦労していた中国、武漢の研究者に、キメラによって他の種に感染可能にすることでコウモリのウイルスを増殖させる技術を供与して共同研究をしていた、ということです。COVID-19がこうして作り出されたキメラウイルスなのかどうかは明らかではないですが(Baric本人は否定しています)、ノースキャロライナ大でBaric研究室が作ったもの、もしくはBaric研究室の技術を使って中国の共同研究室が作ったものを漏れ出させてしまった疑いは強いです。とすると、これは陰謀ではなく、純粋に科学研究目的であったが、十分な注意を怠ったために危険なウイルスが社会に漏れ出て起きた事故であるという可能性が高いと思われます。武漢のウイルス研究所で中国の共同研究者がヒト感染能力のあるキメラウイルスを使って動物実験を行った後、感染した動物が適切に処理されずに、誰かが、近所の野生動物肉市場に持ち込んだのだろうと想像されます。
何を今さらという感がありますが、弱毒化はしたというものの、COVID19はいまだに流行しており、研究室の杜撰な管理によって漏れ出たウイルスが世界中で重大な健康被害と犠牲者を出したのなら、許し難いことです。