(紅く静かな秋の宵@戸狩野沢温泉駅)
すっかり夜の帳が降りた戸狩野沢温泉の駅に、141Dで出て来る飯山色を迎えに。駅裏の駐車場のナトリウムランプが、紅く染まった街路樹をより一層紅く染め上げて、駅に到着した飯山色の雰囲気をより引き立てています。友情の列車、夜汽車の旅…と行きたいところですが、141Dは前1両だけが越後川口行き。後ろに付いた飯山色は、ここで切り離されて折り返しの運用に。
十日町発の単行142Dをホームに迎え入れ、先発の141D前が越後川口に向けて発車すると、飯山色の入換作業の時間。戸狩野沢温泉の増解結作業は何度も見ていますけど、ホームの有効長や乗客の流動に合わせた列車の運用両数と合わせ、実に緻密に作られているなあといつも感心してしまう。飯山線の車両運用を見ていると、単行のキハ110を中心に1両~5両編成までの多層建ての編成を仕立て上げ、戸狩を中心に実に弾力的な運用をしている事が分かります。倉庫番的なパズル感というか、そういう面白さがありますよね。
入換を終えて。142Dの後ろに併結される飯山色。141D後→142D後という流れ。飯山色のトレードマークである流麗なブルーが、一般色のキハ110の後ろにピタリと寄り添う。出発まであと5分の静寂、ホームの水銀灯が照らす142Dのボディ。アクセントのオレンジのグラデーションだけに、スポットライトが当たっていた戸狩の晩秋。
秋の日のヴィオロンの、ためいきの身にしみて、ひたぶるにうら悲し。枯葉舞うベンチに座って、ヴェルレーヌの詩でも一つ諳んじてみたくなるような秋の宵。フランス言葉が綴られた列車には、お国の詩人の一節がよく似合う落葉の戸狩の駅。季節は冬へ。白銀の世界に、再び飯山色を追う季節がまたやって来るのでしょう。
平成最後の冬が、飯山色最後の冬…なのかもしれませんが、ひとまず秋の飯山絵巻を結びます。