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蛙飛び行事 世界遺産の金峯山寺/毎日新聞「かるたで知るなら」第12回

2021年06月26日 | かるたで知るなら(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、同会が制作した「奈良まほろばかるた」の各札をもとに毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「かるたで知るなら」を連載している。一昨日(2021.6.24)掲載されたのは「役行者開いた蔵王堂」、執筆者は奈良市にお住まいの奈良まほろばソムリエの会会員の藏本博さんだった。新聞へのご執筆は確かこれが初めて、期待の新人だ。では、全文を紹介する。

〈蛙飛び行事 世界遺産の金峯山寺〉
吉野山では、毎年7月7日に修験道(しゅげんどう)の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)(役小角(えんのおづぬ))が開いた金峯山寺蔵王堂(国宝)で、蛙飛び行事が行われます。蛙飛びは、同寺の行事の「蓮華会(れんげえ)」の中で行われるものです。蓮華会は役小角が産湯を使ったとされる大和高田市奧田の蓮池で摘み取った蓮の花を金峯山の神仏に供える法会です。

当日、弁天池で摘み取られた108本の蓮華は、蔵王堂本尊に供えられ法要が営まれます。この後、着ぐるみの大青ガエルが登場して、蛙飛びが行われるのです。このカエル、元は神仏を侮る高慢な男が、大タカにより断崖の上に置き去られ、身動きできずにいたところを通りかかった金峯山寺の高僧が、法力で男をカエルに変えて蔵王堂に連れ帰り、一山をあげて法会を営んで人間の姿に戻した、という伝承に基づいて執り行われるものです。

翌日、奥駈道(おくがけみち)の神仏に蓮華1本ずつ供えながら金峯山の山上(山上ヶ岳・標高1719㍍)の大峯山寺本尊に蓮華を供えます(蓮華入峰)。7世紀後半、役小角は千日の苦行の末に感得した蔵王権現を桜の木に彫刻し、金峯山の山上・山下に堂を建て、まつったのが蔵王堂の起こりです。

1300年前から伝えられる信仰の形を受け継ぎ「懺悔(さんげ)懺悔、六根清浄(ろっこんしょうじょう)」を唱和し山岳を信仰の拠点であり、日本固有の宗教・修験道の聖地である金峯山は、次世代に引き継がれるべき大切な霊場です。金峯山寺は、2004(平成16)年、ユネスコ世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つです。(奈良まほろばソムリエの会 藏本博)

金峯山寺
(住 所)吉野町吉野山2498
(宗 派)金峯山修験本宗
(本 尊)金剛蔵王大権現
(交 通)近鉄吉野駅下車 ロ—プウェイ千本口駅乗車吉野山駅下車 徒歩約10分
(拝 観)本尊は秘仏のため開帳時期は要確認
(駐車場)吉野山駐車場


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