鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

しゃべり方観察(その5)

2008年04月25日 20時25分58秒 | 言葉の世界
うなりしゃべり、がなりしゃべり、ねこなでしゃべり、おねがいしゃべり、したりしゃべり
こごとしゃべり、ぱずるしゃべり、はきすてしゃべり、のうがきしゃべり、てんびんしゃべり

《したりしゃべり》
したりしゃべりは講演の演者によくあるしゃべり方だ。特に中高生などに対して「夢は強く思っていたら必ずかなう・・・」なんて熱っぽく語る成功者(?)の話法だ。『自分を見ろ!こんなにも成功して、母校の後輩に教訓を垂れているではないか!努力して運を掴んで夢をかなえてみろ!夢は必ずかなうと言っておこう。現実には万に一つもないが。どうだ私を見上げるんだ。あこがれるだろう成功者に!!』とたぶん想い、自分に酔っているに違いない人を今までにかなり見た。「夢は必ずかなう」などと、どういう神経で言うのだろう、罪作りな言い様である。

バブル期の頃だが、ある会社のお客さん感謝デーのような会合で大蔵官僚だという税務署長の講演があった。経済の先行きとか業界に関連することなどは有るか無しかで、ほとんどは東大から大蔵省へと進んだキャリア歴や国費での海外留学といった自慢話に終始した。その中のひとつのエピソードには唖然とした。話し振りを覚えているので再現してみよう。『エイズはアルコールに弱(よお)う御座います。あーいうものは気合でどうにでもなるのでございまして、事前にでございますね、アルコール分の強いお酒を口に含みまして、ぷーっと吹き付けるのでございます。わたくしなぞは色々ありましたが、そのやりかたで、まったく感染することもなく今日に至っております』としたり顔なのであった。アホくさ!

もうひとつ思い出した講演がある。高校生の頃のことでもう何十年も前なのだが、母校の一期生だか二期生だかというエラくなった先輩が全校生徒を前に話した内でずっと忘れられない話題がある。『すぐに中国の時代がくる・・・何と言っても広い国土と何億という人口だ。中国に目を向けなさい』というもので、私は時々思い出してはまだだなぁと思っていたのだった。「先輩!ようやく、そんな気配です。あなたの『すぐ』はこんなにも時間がかかりましたよ・・・先見の明も早すぎると光りません」

したりしゃべりは、してやったりという顔でしゃべるというイメージなのだ。でも、したり顔で辞書を引いてもネットで検索しても『してやったり』という説明は出てこない。したりは為(し)たりだそうだ。些細な違いにはこだわらないでおこう。したりしゃべりの本人は良い教師を演じているつもりであり、それを受けている方は反面教師として観ていることが多々あるのだと踏んでいる。一方的に片方がしゃべり、片方は黙って聞いているのであれば、それはそれで良い関係なのかも知れない。と、これもしたりしゃべりか。
(つづく・・・・そろそろ中休みするかも)


コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする