鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

監視カメラ映像のこと

2008年04月27日 05時36分00秒 | 個人的主張など
ある地方の街でプランターの何十本だか何百本だかのチューリップが花を切り落とされた。類似のことが他所でもあって、マスコミが一斉にとりあげた。そして、防犯カメラに映った映像が全国放送で流され、ユーチューブでも見られるようになっている。モノクロ画像の連続でパラパラしたものだが一応映像だ。こういう映像は多少荒くても決定的な証拠となって、身近な人間ならほぼ特定できるだろう。心当たりの人は情報を・・・と通報(密告)の勧めまでもやっていた。

結論から書こう。本当に身震いするほど恐ろしい。監視社会になっている事が。マスコミ各社がこんなことを一斉に取り上げ、テレビ放映してしまうことが。そして警察はマスコミに踊らされるように、誘導された世論に後押しされるように、警戒態勢を敷いて犯人逮捕を目指し、チューリップ一本を抜いた人間さえも逮捕して世に晒す。

どうして日本のマスコミは大人の対応ができないのだろう。子供じみた軽犯罪に対してこのヒステリー状態は何なのだろう。いけにえを探し回っている雰囲気にあっては、あらぬ疑いをかけられる人も出てくるだろう。疑心暗鬼を行政とマスコミが協力して作り上げてどうする。

もっと取り上げるべき巨悪はいくらでもあるだろうに。後期高齢者医療制度にしたって、なぜ前もってのシミュレーションができなかったのだろう。あれもこれもそれもだ。

四ヶ月ほど前のことだが、歓楽街が隣り合わせになっている繁華街に早朝から行く用があった。冬の彩りにポインセチアのプランターが歩道に並べられていた。その内の4~5鉢が商店のシャッターに投げつけられたり、倒されたりして無残に散らばっていた。吐しゃ物まであって、酔っ払いの仕業というのがあきらかだった。これはマスコミに取り上げられることもなく、「しょうがないなぁ酔っ払いは・・・」で鉢も元通りにされ、片づけられた。これが大人の対応だ。やんわりとした緩さが必要なのだ。

最近、小学校の登下校時に交差点などの要所要所にリタイアした人たちが子供達を見守っている。そろいの蛍光色のジャンパーを着て『見守り隊』などとプリントされていたりする。見守りという事なら、子供達の安全に役立ち、見守る方にはボランティアとしての張り合いも満足も得られ、それはそれで一石二鳥なのだろう。しかしこれが監視にならないように切に望みたい。

《監視体制と集団ヒステリー状態》というタイトルで書こうと思ったのだが、例証をあげて考察することができない。思いつくままにこんな形でしか書けないのが残念だ。全体主義やナチズムまでもっていけたらとまでは考えなかったが、そこまでの論に発展させることだってその気になればできるかも知れない。

余談になるのだが、先日たまたま仲代達也、三船敏郎、新珠三千代の出演している映画『大菩薩峠』をテレビで途中からだが観た。仲代演じる机竜之助の鬼気迫る殺陣がすさまじい。心の闇をあのような映像にしたのはすごいなと感じた。そしてネットの青空文庫で『大菩薩峠』を読み始めた。

理性で抑えてはいても、大抵の人間には、特に男には『大菩薩峠』の竜之助のような心の闇が心象風景としてあるのではないかと思う。それが理知の境界を踏み越えてしまって傘を振り回しチューリップをなぎ払うようなことを時に起こすこともある。何だか感情移入してしまいそうだ。 

コメント (4)
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