鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

「私の頭の中の消しゴム」(韓国映画)を観て思ったこと。(すこしネタバレ)

2008年04月20日 00時02分42秒 | テレビ・ネット・映画
これもまた偶然BS放送で観た。ヒロインのスジン役と相手のチョルス役が、単に女と男という以上に対照的な際立ち方で見事なラブ・ストーリーだった。顔が大写しになるシーンが多用されていたが、その時の二人の眼差し、口元、表情の微妙な演技が実に見事なのだ。アップに堪えるというのはこういうことか・・と思った。

裕福な家庭で恵まれた境遇の美女に、自分を生んだ母親から捨てられ一人で生きて来たと語る荒んだ野獣が徐々に心を開いていく。スジン演じる女優が実にはかなげで育ちがよさそうで美しい。対するチョルス役の野獣は、がっしりと大きくふてぶてしい男振りが頼もしい。観ていて自然に両方に感情移入してしまっていた。

そして切ないのが、稀な例だという若年性のアルツハイマーの症状がすすむスジンの現実を知って動揺するチョルスの演技だ。現実を受け入れ難くて、無理な希望的未来を語ったりするやるせなさも胸を打つ。

記憶が喪われていくという感覚はどんなものなのだろう。縁あって認知症にはかかわりがあった。将来自分自身が認知症になる可能性がある。認知症患者との付き合いは未知との遭遇だ。予期せぬことが起り、その場その場で試される。

この映画のラストはとても印象的だった。愛し合ったことを想い出して欲しい、自分を判って欲しい、そして一度も言わないでしまった『愛してる』を伝えたいチョルス。初めての出会いのファミリー・マートから始めるのだ。ファミリー・マートというのがこれ又計算された設定なんだろうか?

想い出して欲しいというのは患者への気配りのない、自分のエゴでしかないわけで、現実にはあり得ない展開のような気がしたけれど、感動的なラストはラブ・ストーリーとして上手い仕上げだった。とても心温まる映画を観た。いや、これはよい映画ミダ!

コメント
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