鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

鳥瞰ニュースとは名ばかりで・・・(その2)

2010年09月02日 12時00分31秒 | 個人的主張など
【軍人という種族・・・②】
軍人は国という枠を越えて共通の利害の元に行動する共同体ということから書き始める予定だったのだが、原爆のことから書きたいと思う。広島に原爆を投下したエノラゲイ号の乗組員で一人だけ存命中の元兵士のインタビュー映像を観た。

口ごもることもなくすらすらと答える様子は、編集のせいでもあろうが暗い陰や哀しみを負った存在ではない・・と思われた。戦勝国アメリカ本位の歴史認識、公式見解のようなものを述べている。第二次大戦に参戦する名目名分が欲しかった当時のアメリカトップは真珠湾攻撃を事前に知っていて、それを最大限利用したこと、そして戦争の名目を得る手法はベトナムでもイラクでもアフガンでもほとんど同様に行われているのだが彼はそのような面には触れようとしない。インタビュアーもそちら側からのアプローチをしない。

『広島と長崎に原爆を投下したことによって、アメリカ軍兵士100万人の命が救われた』というのはよく聞く言い訳だが、彼は「日本人の命と我々の命が救われた・・」と言う。ベトナム戦でもイラク戦でも帰還兵のPTSDが深刻な問題になっているという。彼は精神的にタフな人格なのだろうか。想像力の乏しい人間なのだろうか。それとも空軍兵士は、ダイレクトに現場を見ることが少ないから他人事のように語れるのだろうか。

全くの情緒的憶測なのだが、彼は良いとされる一面だけを見るようにして必死に自分を保っているのだろう。都合の良い公式見解を身にまとい、人間性を押し隠してアメリカの正義とアメリカ軍の正当性を宣伝する報道官の役割を果たしているのだ。軍人となることによって生きながらえる道を選んだのだろう。平常に心を保つにはそれしか選択肢がなかったのかも知れない。彼は復員後、大学で化学工学を学んでからデュポン社に入り、そこを勤め上げたそうだ。デュポン社は原爆製造のマンハッタン計画に参加してウラニウムやプルトニウムの製造をした化学会社で軍産複合体の主要会社の一つだ。

ここで軍人とは何だろうと考える。現役将校をさすのではなく軍事に自分の拠り所を定めた者を軍人と呼びたい。ナチスから逃れてアメリカに亡命した物理学者のレオ・シラードが当時のルーズベルト大統領に原爆を作るようにと進言する手紙を書いたのが核兵器の始まりだが、彼もまた軍人と呼びたい。尚、同調して共同署名したとされるアインシュタインは手紙の効果を上げるために、権威と名声を利用されたようだ。マンハッタン計画にも参加せず、そのことを後悔しつづけたアインシュタインは、軍人にはならなかったのだ。  (つづく)
http://www.youtube.com/watch?v=7-lSdUi0ZmI

コメント (3)
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