
居間にネズミが平気で入ってくるようになった。
ネズミの糞のようなものが転がっていて、そうなのかそれとも私が作業ズボンに着けてきてしまう何かの種のようなものなのか疑問に思っていた。
ネズミに食料などをかじられないよう、餌食となりそうなものは冷蔵庫や食料ボックスに収納しているので入られても被害はないはず。
それでも、実際に建てつけの悪い障子の隙間からネズミが入って来るのを目撃してしまった。
歩き回られるのも嫌なら、置き土産はもっと嫌なので、とりあえず手持ちのネバネバシートを通路と思しき場所に3枚仕掛けた。
ところが難関のはずのシートをどうやって避けて入ったか、ふと気配を感じて横を見たら、1m以内の至近距離にまで来ていた。
そうなったら、なにがなんでも捕まえてやろうと闘争心がわく。
昨年天井裏で大ネズミを捕まえ、再度の用心にと屋根裏に仕掛けっぱなしだった鼠捕りを、高野豆腐を餌にして縁側廊下に仕掛けた。
次の朝見ると、まんまと餌を盗られていて、ゲートは上がったままだった。
そこで何かもっと良い餌、引っ張らないといけない餌を付けるべく、食パンを購入して耳を取り付けた。
半日弱経った22時頃に、ばたっと音がしてびっくりしたのだが、そうかやったかと思い至った。
見てみると、間近で見かけた小さい、多分ハツカネズミと思われる奴が閉じ込められていた。
おしっこをされたら嫌なので、とりあえず玄関外に出しておく。
翌、昨日の朝、ふつうならカゴの中で暴れたりするものだけれど、生きてはいるもののおとなしい。
朝のルーティーンが終わり、うちの田んぼ横を流れる用水路の深みに沈めるために紐を用意して、出て見ると動かなくなっていた。
仮死状態の擬態をすることがあるのはオポッサムだったか、そういう振りかもしれないと思った。
騙されまいぞ、と予定通りに沈めてみても動く気配がない。
それでもしばらくそのままにしてから引き上げ、畦に転がしておいた。
トンビとかカラスとかがさらっていくだろうと思ったけれど、半日経って見に行ったが生き返ることもなく、そのままだった。
本当に死んでいたのか、私が沈めたことが致命的だったのかは判らない。
半日も経たずに餓死したのだとすれば、よほどの飢餓状態だったからこそ私の目にも触れるほど接近し、野生の勘も鈍らせ、罠に掛かったか。
などと思ったりするけれど、1匹とは限らないので、鼠捕りはバーナーで炙って死の痕跡を消し、再度仕掛けた。
あれから丸一日経ってもネズミの気配は無く、やれやれ良かった、これで安心してうたた寝もできそうだ。
今朝見ても、パンの耳はそのままなので、1匹だけが我が家への侵入経路を見つけ、人の気配つまり食料の匂いにつられて徘徊していたもののようだ。
夜中に、自分は意外に残酷、というような嫌な夢を見た。
夢見の悪いことは避けたいけれど、仕方ないことだってある。