盛りを過ぎた生き様はあまり注目されないようだが、アキノキリンソウだろうか葉は紅紫色に凛々しく、咲き誇った花は丸い綿毛となり幻想的で美しい。ポプラやサクラはすでに九分通り葉を落とし土をおおっている。プラタナスのだいだい色の輝きが碧空に映え、そのコントラストがひときわ麗しい。そして、つるバラの赤い実が小春の陽に輝いている。
自然を観察し野の草をスケッチする手にアカネが静かに舞い降りた。誰もめったに踏み入ることのないグランドの片隅にも、秋の終わりの精一杯の美しい自然の営みがあった。
久しぶりに自然の中にある自分と、冬を目前にした木々が共有する感懐をうれしく思った。それは情景からくる一抹の寂しさであり、一年を巡りここに到った道のりを振り返る思いでもある。晩秋のひととき、この小さな自然を見つめながら、時が明日へ遷ろい、会津から遥か彼方の大地へと連なる思いにしばし時を忘れた。