民家 昔の記録 198003
■ 愛媛県の西端、外泊。
ここに、防風のために家の周りを石積みで囲っている集落があります。斜面に沿って広がる集落の独特の景観に魅せられた多くの人たち、その一人に安藤忠雄さんもいます。『建築を語る』東京大学出版会にそのことが出てきます(写真右下)。安藤さんが外泊を訪れたのは62年のことだそうで、当時は民家がきちんと残っていたそうですが、私が訪れた80年には空き地も見られました。
この集落は交通の便が悪く、一日に何本もないバスでようやく到着した時のことを今でも覚えています。集落の中の民宿に泊まったのですが浴室の壁も石積みだったこと、宿のオバちゃんが民謡を歌ってくれたことなども記憶しています。
日本の各地に防風のための工夫を見ることが出来ます。その大半は屋敷林で、富山県の砺波平野や安曇野、出雲地方(出雲平野っていうんだっけ?)など屋敷林に囲まれた民家が散在する景観は田舎の原風景ともいわれていますね。むかしの人たちの生活の知恵、工夫、努力には敬服するばかりです。
先日、安曇野の屋敷林の見学会が開催されたそうですが、景観を構成する貴重な屋敷林が減りつつあるというのはなんとも残念なことです。
外泊を訪ねてから既に26年、今もあの集落は当時の姿を留めているのだろうか・・・、気になるところです。