住宅の射程/TOTO出版
■ 書店でこんな本を見つけたら、中身なんて確認しないで買ってしまう。この本はギャラリー間20周年を記念して今年の1月から2月にかけて開催された連続講演会「21世紀の住宅論」の全記録だということが自宅に戻って初めて分かった。
寸評(にもならないか・・・)
〇磯崎新「住宅は建築か」講演録なのにどうもよく分からない、私には磯崎さんは難しすぎる。
〇安藤忠雄「すまいについて考える」安藤さんのキーワードは闘い。
〇藤森照信「二十世から二十一世紀への日本のすまいの流れ」全体像を概観して簡潔に説明してみせるあたりはいつものことながらさすが。
表参道ヒルズはほとんど要塞的に自閉していると見学者の感想を紹介している。住吉の長屋とその点で共通していると以前私も指摘した。伊東さんの「せんだい」のチューブについては「内化した外」、チューブの中に外が流れ込んでいると指摘。確かに「せんだい」をトポロジカルに考えると面白い。
〇伊東豊雄「今、住宅とは何か?」最近家の機能が分化していると指摘し、その傾向が体現された住宅として西沢立衛の「森山邸」を紹介している。因みに藤森さんはこの住宅を新しい「分離派」の最初の作品としてとりあげている。なるほど分離派ね(むかし登場した分離派とは違うことに要注意)。
塩尻のプロポの時にも書いたが、藤森さんの表現に倣えば最近の建築は「分離」する傾向にあるようだ。
やはりときどき建築の本を読まなくては・・・。