■ **君の新しい記念館がこの秋に完成するそうですね。設計したのは柳澤孝彦さんという東京藝大出身の有名な建築家。美術館をいくつか手がけたベテランだからきっと素敵な記念館ができると思います。ぼくも是非見学に行きたい。記念館のオープンが11月23日だとしたら、君はどう思うだろう・・・。**
君にこの手紙を書いたのは、ここ信濃が春爛漫の四月は二十二日のことでした。あれから七ヶ月。小雪も過ぎて早、冬の気配が感じられます。手紙の最後にはこんなことを書いていたんですね。僕は君の記念館はもしかしたら今日、君の命日に開館するのでは、と思っていたのです。でももう開館したんですね。
どんな建築だろう・・・。まだ雑誌には掲載されていないようだけれど、先日ようやく写真を見つけました。正面はどうやら連子格子、光と影が織り成す静謐な空間・・・。
この記念館の所在地、台東区竜泉は、**「たけくらべ」の素材を得た地であり、その歴史のなかで培われた江戸から昭和にかけての雰囲気が今も濃密に感じられる地域です。** と、この「公共建築ニュース」に紹介されています。
近々、出かける予定です。僕は美術館や記念館に出かけても展示作品より、建築の方にどうしても目がいってしまうけれど、今回は展示品もじっくり見学したいと思います。そう、君の達筆な筆字の手紙などを。それにしても君は、1123(いいふみ)をたくさん残してくれましたね。