■東京 建築観察記 3
表参道ヒルズについて設計者の安藤さんは、新建築に寄せた「公共という主題」という文章を**とにかく難しい仕事だった。**と書き出している。企画から完成まで12年にわたるプロジェクト、100人近い権利者との打ち合わせ、その苦労を**冗談でなく100倍のエネルギーが要った気がする。**と書いている(06年5月号)。困難な仕事をまとめた安藤さん、闘う建築家の面目躍如といったところだろう。
さて、この表参道ヒルズ観察記。これは、表参道ヒルズの内部の様子を写したものだが、もう少しアングルを工夫すれば、どこかのショッピングストリートに見せることが出来そうだ。
安藤さんはこのプロジェクトの経緯について**表参道と建築空間を繋ごうという話が、建物の中にもうひとつの街路を、もうひとつの街をつくろうという話に発展していった。**と紹介している。そのことは、この文章を今日再読するまで知らなかった。そういうことだったのか・・・。この内部空間の構成がよく分かった。表参道ヒルズは建築の中に街をスパイラル状に創ったところなのだ。そのように捉えると上の写真がどこかのストリートに見えて当然だ。そして下の写真は、「内部空間化されたスパイラルストリート」の様子をよく示している。
休日ともなるとこのショッピングストリートを設計者の目論み通りに大勢の人たちが「回遊」する。先日私も回遊したがなんだか息苦しかった。あまりに閉鎖的なのだ。せめて一ヶ所、黒川さんがやったように抜けていたら、そして表参道のケヤキの紅葉が見えたら・・・。そのためだったらもう少し高層にしても良かったのに、私はそう思う。
それが無理だとするなら、安藤さん、吹き抜け空間の上に屋根など造らないで欲しかった、「住吉の長屋」のように。
もうすぐクリスマス、この吹き抜けに雪が降る・・・、最高の演出だと思うけどな。開閉式の屋根という手だってあったじゃないですか。 クリスマスのころ東京には雪なんか降らないか・・・。