色はデザインの重要な要素だ。車、家電製品、ファッション、もちろん建築の場合にも。色の選択は恣意的に行なわれることもあるし、色の持つ意味、機能によることもある。選択した色に後から意味付けをする場合もある、あたかもその色が必然であるかのように。
西伊豆の松崎町には屋根を黄色に塗装した集落がある。町に「伊豆の長八美術館」を設計した石山修武さんの提案によるが、この色には当初国からクレームがついたらしい。景観上黄色は好ましくない、ということだったのだろう。
石山さんはこれは「うこん色」、日本の伝統色なのだと反論した。役人は伝統色という説明に納得したらしい。それで黄色い集落が出現したというわけだ。ただ、何故うこん色なのか、そのことについて石山さんの説明があったのかどうか記憶に無いが、たぶん何らかの理由付けがされているはずだ。建築のデザインには説明が求められる、もちろん色についても。
しばらく前に祝祭性を演出するのにアイシティの場合には旗が有効だと書いた。昨日久しぶりに出かけてみると旗の色が替わっていた。このえんじは好きな色だがクリスマスの色でもないし正月の色でもない。この色は何かを表象しているのだろうか。
恣意的に選択された色は弱い。やはり、意味というかメッセージ性が欲しい。「豊かな緑」と表現する場合、緑が自然を表象するように。仮にクリスマスカラーの濃い赤と緑だったら、そして大きなツリーが飾られたらここは楽しい空間になったのに・・・。そういう祝祭性の演出は商業空間には大事だと思うけれど。しばらく前にもそう書いたが、しつこく繰り返しておく。