池田町、松川村にて撮影
蔵の妻壁の上部には上の写真のような家紋や屋号を印した円い部分があります。名称が当然あるはずですが、知りません。調べる「ずく」がありません。
どうしてこんな○印がどの蔵にもあるんでしょう・・・。
中の写真にそのヒントがあります。小屋組みによってはこのように棟梁が妻壁から顔をのぞかせることになります。蔵の小屋組みの場合、太い丸太が棟梁に用いられます。その円い小口が妻壁から突き出ていると、前稿で書いたように腐朽しやすいのです。で、小口を左官仕上げで塞いでしまった。その部分に意匠が施されて上の写真のように次第になった、というわけです。中には抜け殻のようにこのようなデザインだけが壁に施されている場合もあります。
壁から突き出た梁の上に小さな切妻屋根を架けた写真を既に載せましたが、あれが「傘」だとするとこちらは「カッパ、レインコート」ということになるでしょうか。
さて下の写真、以前も載せましたが懸魚です(普通の民家ではあまり見かけない形ですが)。 棟木は母屋より木がらが大きいことから破風板の下にこぼれてしまいます。そこで例の「目板」で小口を塞いだのですが、次第に意匠が施されて・・・、懸魚になった、というわけです。
まとめると蔵の○印も懸魚も機能的には同じ、そう棟梁材の小口の腐朽を防ぐため、それが次第にデザインされたのだ、というのが私の見解です。
一見全く無関係に見える両者のデザインの原義は同じ(と私は思います)。