透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

中年オジサンの常識は・・・

2007-05-14 | A あれこれ

● この頃 外観からは鉄筋コンクリート造なのか鉄骨造なのかあるいは木造なのか構造が分からない住宅を雑誌などでよく見かける。昨日の午後、住宅の着工から竣工までを追ったテレビ番組をみた。

若い建築家が設計した木造住宅は陸屋根(平らな屋根)、合板でわずかな勾配をとってその上にFRP防水をしていた。外周にはパラペットが立ち上がっていた。陸屋根は鉄筋コンクリート造、もしくは鉄骨造の場合に採用する構法だと認識しているのだが・・・。外壁はボードを張ってペンキ仕上げ。屋根が平らで外壁がこれでは構造は分からない。鉄筋コンクリート造だと思ってしまうだろう・・・。

木造の場合には勾配屋根にする、というのが中年オジサンの常識。そしてできれば軒の出もきちんと確保したいところ。多雨な日本、長い長い年月がそのような形を規定した。屋根の雨をできるだけ速やかに排水する、外壁になるべく雨がかからないようにするという要求に応える形(ルール)だ。

番組に登場した住宅の外壁はよく分からないが多分セメント系のボード。ペンキで白く塗っているので木造というイメージからますます離れていく。

抽象的な内部空間は若い夫婦のライフスタイルにぴったり。こういうデザインセンス、中年オジサンは羨ましいのだが・・・。

かつての住宅はみんな先のルールに忠実に従って造られた。同じ形状の屋根、材料も同じ、その地方で入手できるもの。それが美しい街並みを形成したのだが、今ではルールは消え去り「百件百様」の住宅が建ち並び、落ち着きの無い景観を形成している。

平らな屋根の白い住宅、外壁は雨にうたれて数年で汚れてしまうのでは・・・、木造合板下地のFRP防水って10年後も大丈夫なんだろか。中年オジサンは気になってしょうがない。

中年オジサンの常識は若い人たちには非常識なんだろうな、きっと。