透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

週刊ブックレビューの川上弘美さん 自作を語る

2008-12-09 | A あれこれ

 最後に収められている「ゆるく巻くかたつむりの殻」が一番印象に残った。**死んでいても、まだ死なない。大好きな人の記憶の中にあれば、いつまでも死なない。** これは、『真鶴』のテーマにも通ずる。

先日ブログにこのように書きました。川上弘美さんの新刊『どこから行っても遠い町』新潮社の感想です。

6日(土)のNHKのテレビ番組「週刊ブックレビュー」にゲスト出演した川上さんは、この最新刊では「ひとつの町に人がいて、その人たちがゆるやかにつながりあっている、そういうものを書いてみたいと思っていた」と語っていました。川上さんは商店街歩きが趣味だそうですが、なるほど確かにこの短篇集は東京の下町の商店街が舞台です。

この連作短篇集の最初の作品「小屋のある屋上」は魚屋が舞台ですが、実際にある魚屋がモデルだそうです。『真鶴』の取材で何回も訪れた真鶴で見つけたんだとか。

この短篇集に漂っている雰囲気、なんとなく『真鶴』に通じると感じて上記のように書いたのですが、川上さんのコメントを聞いてそれが当たっていたような気がしてうれしくなりました。

今構想中の次回作は小学生の女の子が主人公だそうです。小さな子どもが主人公の作品は初めてだそうですが、どんな小説になるのか、今から楽しみです。