■ 路上観察 今回は松本の蔵(081223撮影)。
この蔵、軒樋を受ける金物のデザインが秀逸。職人の美に対するこだわりが伝わってくる。銅板で加工した樋も凝ったつくりだ。
妻側の窓上部の庇のたる木と破風板には直線材ではなく、湾曲加工材を使っている。これらの部材の小口を銅板で包むという丁寧な仕事。
腕木を支える金物の力板は初めから設置されていたのだろうか。
■ 雑誌「新建築」の今月号(08年12月)の書評コーナーで建築家の内藤廣さんがこの本を取り上げていた。
日建設計の林さんといえばやはり竹橋の「パレスサイド・ビル」が代表作だと思うが、この作品の外観写真と「ポーラ五反田ビル」の有名なロビーの内観写真(共にカラー)が巻頭を飾っている。
この本はこのふたつの代表作品に加えて「三愛ドリームセンター」を取り上げて、施工中や竣工後の興味深い写真、実施設計図面などを載せ、作品を解説すると共に建築のありようを説くという企画。
内藤さんは書評で**何よりどの建物もいまだに現役バリバリで、デザインがまったく古くなっていないことに驚く。もしこれらが来年建ち上がったとしても、どの建物もジャーナリズムの話題をさらうだろう。**と書いているが、全く同感だ。
明快な空間構成の「パレスサイド・ビル」、外に開いた「ポーラ五反田ビル」、光りの円筒「三菱ドリームセンター」。
年末年始にじっくり読みたいと思う。
『林昌二の仕事』新建築社 297mm×297mm(A4サイズの長辺)の正方形の本。定価5,250円はちょっと高い。でも、忘年会1回分か・・・。