透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

続・カフェトライアングル

2009-10-11 | A あれこれ
 時々利用するカフェ3店舗の所在地を結んでできる「カフェトライアングル」と「六本木アートトライアングル」、このふたつの三角形は形が似ているのではないか・・・。カフェトライアングルでこのことを書きました。

Googleマップをプリントして所在地を結ぶ三角形を描いてみました。



左のような地図はときどき見る機会がありますから「カフェトライアングル」の形はほぼ正確にイメージできていました。

一方、右の「六本木アートトライアングル」の形はイメージと違っていました。一度だけ同じ日に3館を歩いて巡ったことがありますが、そのとき森美術館が他の2館からもっと離れているというイメージを持ったようです。サントリー美術館と森美術館を結ぶルートはかなり遠回りしていますから、そのような印象を抱いたのでしょう。右のような地図を一度でも見ていればもっと正確な三角形が浮かんだと思いますが、今回初めて見ました。

数少ない移動体験に基づく距離感ってあまり正確ではないんですね。移動手段によっても違いますしね。例えば新宿、浅草、銀座を結ぶ三角形で試してみてください。イメージの三角形と実際の三角形、相似しているでしょうか・・・。

東京の地理的イメージも人それぞれなんですね、きっと。
   



「科学の目 科学のこころ」

2009-10-11 | A 読書日記


■ ある出版社のアンケートに答えて、図書カードをもらった。で、久しぶりに書店へ。川上弘美の『真鶴』が文庫になって、平積みされていた。手にとってパラパラと頁をめくって元に戻して、新書のコーナーへ。『科学の目 科学のこころ』長谷川眞理子/岩波新書を購入、読了。

岩波の雑誌「科学」に3年間にわたって連載された科学エッセイを収録。

「対称性と美的感覚」 人間の美的感覚と対称性の関係。これは繰り返しの美学に通じる問題、左右対称も繰り返しのパターンのひとつだから。

ヒトの顔を合成してどんどん左右対称に作っていくと、その魅力が増すという研究結果があるとのことだが、**そこで、ほんのちょっと対称をくずした顔が、もっと魅力的だと思われるらしい。**

続けて著者は次のように書く。**では、人間以外のものに対する美的感覚はどうだろう? きっちりと対称になった物体は、確かに美しいと感じられる。しかし、そこで対称性をわざと破ったものは、非常におもしろくて美しい。しかし、それは、そもそも対称性の美というものがあることを前提として、はじめて出てくるヴァラエティなのだろうか?**

私も繰り返しの美学について、同様のことを考え始めている。著者がこの問題についての見解を本書で示していないのは残念。

「建築物の自然観」 **数学的な線や物理法則は、なぜ人間の審美的感覚を刺激するのだろう? 自然界の生物が作り出す形は、なぜ美しくみえるのだろう? その答えは、数学や物理学ではなく、私たちの神経系の構成に関する生物学の中にあるに違いない。**

繰り返しを美しいと感じるのは何故か・・・、やはり答えは出てこないようだ。

「あきらめない男」

2009-10-11 | A あれこれ

■ 昨日(10日)の夜、10時過ぎにラジオ文芸館というNHKの番組で太田治子の短編「あきらめない男」の朗読を聴いた。レンブラントは何点も自画像を描いているが、この短編はすべてをあきらめたような表情に見えるレンブラント最後の自画像がモチーフ。この自画像がお気に入りの女性が主人公。昼間、『巨匠たちの迷宮』でレンブラントを読んだばかり。偶然だった。

主人公の女性は50歳で元小学校の校長の65歳の男性と見合い結婚する。自分の父親に似ていた男性の「すべてをあきらめたような」表情が好きだった。結婚して半年後、夫は駅のホームから転落死してしまう・・・。

夫と一緒に観るはずだったレンブラントの最後の自画像の前に女性はひとりで立つ。絵の印象は全く違っていて「あきらめない男」に見えた・・・。

妻や息子に先立たれ、悲しみをこらえながら自画像を描き続けたレンブラント。彼は晩年になっても美を追い求めることを決して「あきらめない男」だった。

作家・太田治子は太宰治の娘。小さい頃から絵画に親しんでいたという。「あきらめない男」の他にも絵画をモチーフにした短編小説が何点かある。書店で探してみよう。