■ 14日付の信濃毎日新聞朝刊に「リニア中央新幹線」の東京―大阪間の輸送需要量や工事費などの新たな試算をJR東海が発表した、という記事が載っていた。そうか、このプロジェクトは東京―名古屋間で終わりではないのか・・・。
記事によると工事費がCルートと呼ばれる南アルプスを貫通するルートで8兆4400億円。維持運営費と設備更新費の合計が年間4240億円だそうだ(諏訪・伊那谷を回るBルートのデータも示されているがCルートより高い)。
記事を読んで「コンコルドの誤謬」を思い出した。
コンコルドは英仏両国で開発した例の超音速旅客機。開発の途中で採算が合わないと分かったが、巨費を投じたので、いまさらやめればすべてが無駄になるということで開発を続行したという「シロモノ」。そしてこのような誤りを「コンコルドの誤謬」と難しくいう。
リニアモーターカーはいまだに山梨リニア実験線で試験走行が繰り返されている。しかし「リニア中央新幹線」は本当に必要なんだろうか・・・。必要だから開発している、というわけではなくて、技術的に可能だからつくるというだけのことではないのか。
東京―大阪間を1時間ちょっとで結んだとしても、その前後の交通事情が改善されない限り、東海道新幹線を利用する場合と目的地までの所用時間はそれほど変わりないだろうに。このようにトータルな交通システムを考えればその一部を構成するだけのリニア中央新幹線の効果はずっと減るような気がする。
そもそもそんなに急いで移動する必要があるんだろうか・・・。現状で充分ではないのかな。そういえば昔「狭い日本 そんなに急いでどこへ行く」というコピーが流行った。
どう考えてもこのプロジェクトは「コンコルドの誤謬」の代表的な事例といずれいわれるようになるような気がする。いや、この手の誤りは「コンコルドの誤謬」に替わって、「リニア新幹線の誤謬」などといわれるようになったりして・・・。
開業時期は東京―名古屋間から20年後の2045年と設定している、と記事にある。まあ、そのころのことは確認できないが・・・。