透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

新富町の大野屋

2009-10-17 | A あれこれ



 東京は新富町の町屋。3年半前、06年の4月に銀座から徒歩で10分足らずのところで偶然見かけました。どっしりとした店構え、貫禄があります。

今は本当に便利ですね。ネットで検索するといろんな情報を得ることができますから。

まず、地名から。新富町という地名の由来には諸説あるようですが、明治時代にこの辺りに新富座という劇場というか、芝居小屋があったそうで、新富町はそれに由来するという説がありました。説得力があるような気がします、なんとなく。

昔の地名には意味があるんですよね。地名は文化です、安易に変えて欲しくないです。 

さて、屋根の上の看板に「大野屋」とありますが、この店が足袋の専門店であることは、路上観察で分かっていました。近くに歌舞伎座や新橋演舞場があって歌舞伎と縁のある土地柄、大野屋は歌舞伎役者御用達の足袋屋さん。

大野屋は創業が安永年間、今から230年くらい前とのことです。この建物は関東大震災のすぐ後に建てられたそうですから、80年くらい経っていることになります。

以下、写真観察。

1階部分の外壁は改修されてきれいになっていますが、2階部分の押し縁下見板張りは当時のままでしょう、きっと。

少し勾配がきつい瓦葺き屋根はどっしりとしています。立派な鬼瓦と棟瓦から受ける印象です。屋根の両端には今では使われなくなった風切り瓦がちゃんと載っています。

軒先は出し桁造り。太い部材が使ってあります。例によって小口を銅板で包んであります。それに銅板を加工した樋。

昔はこのような造りの町屋が軒を連ねていたんでしょうね。繰り返しの美学な街並みが浮かんできます。 


屋根の上のカエル

2009-10-17 | F 建築に棲む生き物たち

 

 路上観察。建築に棲んでいる動物たち、先日取り上げた老舗の飴屋・山屋さんを再び。

「屋根の上のヴァイオリン弾き」という映画があったことを思い出して、今回のタイトルはそれに倣いました。

蔵と洋館を合体したような建築。パラペットのコーナーの上にちょこんとカエルの姿が。なぜカエルがこんなところに棲んでいるのでしょう・・・。

カエルは幸運を招くシンボル、なんだそうですね(先日いただいたコメントで知りました)。お金がカエル、無事カエル、災いをカエル。ここは飴屋さんですから、お客さんを迎える(ムカエル)という意味かもしれません。カエルは卵をたくさん産むことから、子孫繁栄という意味もあるようです。

カエルのほかにもいろんな動物たちが建築には棲んでいますね。沖縄の民家の屋根に棲んでいるシーサーが松本にもいます。こんど紹介します。建築に棲んでいる動物たちを路上観察するのも楽しそうです。